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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~心強き援軍の到着~

同日、16:30―――――



リィン達がジュライロッジでの探索を続けている中、クレイグ中将率いる第四機甲師団を移送している”グロリアス”はハーケン街道に到着しようとしていた。



~グロリアス・ブリッジ~



「―――後約20分でハーケン街道に到着します。グロリアスの着陸地点は戦場を中心としてハーケン門方面とパルム方面。どちらにしますか。」

「…………ならばハーケン門方面に着陸して頂けないだろうか。」

グロリアスの指揮を取っているシェラ元帥に問いかけられたクレイグ中将は静かな表情で答え

「ちゅ、中将閣下?戦略的に考えればパルム方面に着陸して頂くべきなのでは?パルム方面から進撃すれば挟撃が可能となりますから、敵軍を効率的に無力化する事ができるのに、何故……」

クレイグ中将の傍にいた副官は驚きの表情で尋ねた。



「……此度の戦いの目的はリベールとエレボニアの国際問題を発展させない為に、”紅き翼”の者達が”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンターを討伐するまで貴族連合の残党や悪魔共によるリベール侵攻を喰い止め続ける事だ。教団の薬物によって傀儡となった貴族連合の残党共やヨアヒムによって召喚され続ける悪魔共はヨアヒムを討たない限り、何度倒しても立ち上がり、悪魔共は召喚され続けて攻撃を続けるとの話だ。それらの事を考えると今回の戦いは持久戦になる可能性が高い。よってハーケン門方面に戦力を固めて迎撃すべきだ。」

「なるほど……理解致しました。」

クレイグ中将の説明に副官が納得した様子で頷いたその時、通信の音が聞こえて来た。

「元帥閣下!リベール王国軍所属の攻撃艇より通信が来ていますが、いかがなさいますか?」

「なっ!?」

「リベール軍からだと……!?」

メンフィル兵の報告を聞いた副官とクレイグ中将は驚き

「―――リベール軍との通信を開始。」

「ハッ!」

シェラ元帥の指示によってメンフィル兵が端末を操作すると巨大なモニターがシェラ元帥たちの目の前に現れ、モニターには老将軍の姿が写った。



「貴殿は………!」

「リベールの”武神”モルガン将軍……!」

モニターに映った人物―――リベール王国軍の老将、モルガン将軍を見たクレイグ中将と副官は驚きの表情をし

「突然の連絡による失礼、申し訳ない、シェラ・エルサリス元帥。ぶしつけだがそちらがハーケン街道に移送しているエレボニア正規軍の司令官と通信をしたいのだが。」

「………ちょうど我々が移送している”第四機甲師団”の司令官であるオーラフ・クレイグ中将が私の傍にいますが。」

モルガン将軍の言葉に答えたシェラ元帥はクレイグ中将に視線を向け

「―――お久しぶりです、モルガン将軍。私に御用と仰っていたが、何の御用だろうか?」

視線を向けられたクレイグ中将は一歩前に出た後会釈をして用件を尋ねた。

「うむ。そちらも既に存じていると思うが、先程現在ハーケン街道で起こっている戦いについてオリヴァルト殿下達より今回の件はエレボニア帝国の意志でリベール王国に侵攻している訳ではなく、6年前多くの幼子達の命を奪った下衆共――――”D∴G教団”の生き残りの仕業によるものだという説明があった。そしてその話を聞いたアリシア女王陛下がオリヴァルト殿下達にある申し出をしたのだ。」

「も、”申し出”ですか……?」

モルガン将軍の説明を聞いた副官は戸惑いの表情をした。



「”リベール王国領を傀儡にされた貴族連合の残党から守る為……そしてエレボニア帝国の友好国として、今回の事件解決の為にリベール王国も協力する”との事だ。よって、これより我らリベール王国軍も加勢致そう。」

「なっ!?リ、リベール王国軍が加勢……!?」

「…………―――アリシア女王陛下と……そしてリベール王国からの心強い申し出、ありがたく受けさせて頂く。ちなみにリベール王国軍の主力は空軍なのですから、空からの援護を期待させて頂いてもよろしいですかな?」

リベール王国からの予想外の申し出に副官が驚いている中、放心していたクレイグ中将は敬礼をした後口元に笑みを浮かべて尋ね

「無論だ。かつて圧倒的戦力差であったにも関わらず見事エレボニアを撃退したリベールの底力を見せてやろう。」

対するモルガン将軍も口元に笑みを浮かべて答えた後通信を切って、モニターから姿を消した。

「……グロリアスの着陸地点は本当にハーケン門方面でよいのですか?」

一連の流れを見守っていたシェラ元帥はクレイグ中将に確認し

「いや――――パルム方面に着陸して頂きたい。作戦変更だ!リベール軍と連携を取って、貴族連合の残党の捕縛並びに悪魔達の殲滅に切り替える!」

「イエス・コマンダー!!」

着陸地点を変更する事をシェラ元帥に伝えたクレイグ中将は指示を出し、クレイグ中将の指示に副官は敬礼をして答えた。その後出撃準備を整えたクレイグ中将率いる”第四機甲師団”は格納庫に待機していた。



~格納庫~



目的地――――ハーケン街道・パルム方面に到着。これより着陸を開始する。各自、着陸に備えよ――――



シェラ元帥による放送が入ると、グロリアスは着陸を始め、クレイグ中将達は格納庫の障壁が開くのを今か今かと待ち構え―――



着陸を確認。格納庫の障壁を開放―――――



「―――これよりリベール軍と連携を取って、貴族連合の残党の捕縛並びに悪魔達の殲滅を開始する!まずは”機甲兵”を含めた兵器を全て無力化する事を最優先に行う!操縦者達の体力は無限でも兵器を壊せば奴等の戦力を大幅に下げられる!”第四機甲師団”、出撃!!」

「イエス・コマンダー!!」

やがてグロリアスが着陸し、格納庫の障壁が解放されて地上へ出られるようになると”第四機甲師団”は次々と地上に出て戦場に向かい、リベール軍と連携を取って戦闘を始めた!



~同時刻・ジュライ特区~



同じ頃”パンダグリュエル”によってジュライ特区まで移送されていたナイトハルト少佐率いる”第四機甲師団”の部隊もジュライ特区の郊外に着陸した”パンダグリュエル”の甲板から次々と地上に出た後ジュライ特区に向かった。

「皆、今までよく耐えてくれた!これより先は我らも加勢しよう!」

「ナイトハルト教官……!」

「それに正規軍も………!」

ナイトハルト少佐達の登場に戦っていた学院生達はそれぞれ明るい表情をした。

「フフッ、どうやらちょうどいいタイミングに到着できたようだね♪」

「ハハ、さすがはリベールの”希望”の象徴である”白き翼”と言った所ですかね。」

「ええっ!?あ、あの方は……!」

「オリヴァルト殿下……!それに遊撃士のトヴァル様も……!」

更にナイトハルト少佐達とは別方向から現れたオリヴァルト皇子とトヴァルに気付いたフェリスとサリファは驚きの表情で声をあげた。



「待たせたね、トールズの諸君!君達の為にとっておきの”助っ人”達も連れて来たよ!」

「”とっておきの助っ人”だと?一体誰を連れて来たのだ……?」

「一人は護衛として同行していた”光の剣匠”でしょうけど、”達”という事は複数いるという事よね?一体誰を……というか、どうやってこんな短時間でリベールからここまで来たのかしら?」

「フン、誰が来ようとこの”鉄機隊”の前には霞みますわ!」

オリヴァルト皇子の言葉が気になったアイネスとエンネアがそれぞれ考え込んでいる中、デュバリィは鼻を鳴らした後自慢気な様子で声をあげた。



「フフッ、殿下。私は”彼”と違ってそこまで称される程の功績は残していませんよ。」

「いやいや、内戦の最中単身エレボニア西部で活動していたオリヴァルト殿下の護衛を見事務めた子爵殿こそエレボニアにとって”とっておきの助っ人”と称されるべきだと思うがな。」

するとその時二人の男性の声が聞こえた後、それぞれオリヴァルト皇子の背後から現れると共に突撃して魔煌兵に攻撃を仕掛けた!

「アルゼイド流奥義――――洸刃乱舞!!」

「そら!そら!そら!―――百烈撃!!」

突撃した二人の男性―――アルゼイド子爵とカシウスの攻撃を受けた魔煌兵達はそれぞれ瞬殺された!



「ええっ!?あ、あの方は……!」

「”光の剣匠”―――アルゼイド子爵閣下……!それにあの男性は確か……!」

「リベールの”剣聖”――――カシウス・ブライト准将!?何故リベール王国軍の重鎮のカシウス准将までここに……!」

「おいおい、百人力過ぎんだろ!」

アルゼイド子爵とカシウスの登場にフェリスやサリファ、そしてフリーデルとロギンスはそれぞれ信じられない表情をし

「な、なななななななっ!?け、”剣聖”カシウス・ブライト!?何でリベール軍のトップが単独でジュライ特区に、しかもこのタイミングで現れたのですか!?」

「驚いたな……まさかかの”剣聖”まで駆け付けてくるとは。」

「一体何があって、彼までここに来たのかしら?」

デュバリィは狼狽え、アイネスとエンネアはそれぞれ驚きの表情でカシウスを見つめていた。



「……?―――!?ク、クレア大尉!上空を見てください!」

「え……―――!あれは……リベール王室巡洋艦”アルセイユ”!?何故”白き翼”がジュライ特区に……」

一方ふと空を見上げて何かを見つけた鉄道憲兵隊の話を聞いたクレア大尉は上空にいる存在――――アルセイユを確認すると目を見開いた。


「ふええええええ~っ!?あ、あの白い飛行船は……!」

「リベール王室巡洋艦―――”白き翼”アルセイユ号……!何故アルセイユがジュライ特区に…………」

一方モニターでアルセイユの姿を確認したトワとジョルジュは驚きの表情で声をあげた。するとその時通信の音が聞こえて来た。

「艦長!アルセイユから通信が来ています!どうしますか?」

「すぐに繋いで!」

トワの指示によってスクリーンがトワ達の目の前に現れるとスクリーンには何とユリア准佐が映った!



「―――初めましてになるな。トールズ士官学院の諸君。私の名はユリア・シュバルツ。リベール王室親衛隊所属にしてこの”アルセイユ”の艦長だ。」

「キャーッ!本物のユリア様じゃない!こうしてお会いできるなんて、夢みたい……ッ!是非私と握手をしてください!あ、後勿論サインも!」

「ヴィ、ヴィヴィ!今はそんな事を言っている場合じゃないでしょう!?そ、その……せめて状況が落ち着いてからサインや握手を頼みましょう。」

「…………」

「フフッ、参ったね……まさかツーヤ君と双璧をなすかの”リベールの白薔薇”が相手だと、私と仲がいい他の女の子達の心もみんな射止められてしまうじゃないか。最近トワがリィン君に射止められてしまって少々寂しい気分になっていたというのに、この絶妙なタイミングで更に追撃とはさすがはリベール。油断ならないね。」

「ア、アンちゃん!少しは状況を考えてから発言してよ!―――ハッ、す、すみません!お見苦しい所を見せてしまって……」

ユリア准佐を見た一部の士官学院生達がはしゃぎ始め、はしゃいでいる様子の士官学院生達の言葉が聞こえて来たユリア准佐は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、口元に笑みを浮かべて呟いたアンゼリカに疲れた表情で指摘したトワはすぐに我に返った後慌てた様子でユリア准佐に謝罪した。



「フフ、気にしないでくれ。」

「えっと……どうしてユリア准佐達―――リベール王国軍がジュライ特区に?」

「それについては君達もよくご存知のお二方が説明してくれる。―――どうぞ。」

ジョルジュの質問を聞いたユリア准佐が通信相手を変えた。するとモニターにはセドリック皇太子とアルフィン皇女が映った。

「皆さん、ご無事ですか……!」

「ええっ!?皇女殿下に皇太子殿下……!?どうしてリベールに向かったはずの殿下達がそちらにいらっしゃっているのでしょうか……?」

「詳しい事情は省きますが、アリシア女王陛下―――リベール王国は今回の件を知り、協力を申し出てくれたのです。」

「協力……ですか?一体どんな内容なのでしょうか?」

トワの疑問に答えたセドリック皇太子の答えが気になったジョルジュは不思議そうな表情で尋ねた。



「『かつて6年前の”D∴G教団”が引き起こしたあの痛ましい事件が再び起こる事を防ぐ為に、エレボニア帝国の友好国として”D∴G教団”によって占拠されたジュライ特区の市民達の救助を協力する』との事で、わたくし達を乗せたアルセイユがジュライ特区に急行して頂けたのです。」

「ええっ!?」

「フフッ、さすがは慈悲深い事で有名なアリシア女王陛下。エレボニアの人々は一生アリシア女王陛下に足を向けて寝る事はできないね。」

「ハハ……」

アルフィン皇女の説明を聞いたトワは驚き、アンゼリカの話を聞いたジョルジュは苦笑していた。そしてモニターに映っているセドリック皇太子達はユリア准佐に代わって貰った。



「―――そう言う訳で微力ながら我々もジュライ特区の市民達の救助活動に助力する。」

「あ、ありがとうございます……!名高きリベール王室親衛隊の方々にまでご協力して頂けるなんて、光栄です……!」

「フフッ、リベールの”白き翼”とエレボニアの”紅き翼”が協力して市民達を救助する……歴史に残ってもおかしくない出来事だろうね♪」

「ハハ、間違いなく歴史に残るよ。」

ユリア准佐の言葉を聞いたトワは頭を下げて感謝の言葉を述べ、口元に笑みを浮かべて呟いたアンゼリカにジョルジュは苦笑しながら指摘した。



~ジュライ特区~



「ジュライ特区の市民の方々とジュライの為に今も奮戦している方々に申し上げます!今この場に現れた白い飛行船―――リベール王室巡洋艦”アルセイユ”がジュライ特区に現れた理由は現在起こっているエレボニアの異変解決の為にリベールのアリシア女王陛下が異変解決の協力を申し出てくれたおかげなのです!」

「以上の事からしましてアルセイユはエレボニアの侵略の為に現れたのではなく、現在も危険が迫っているエレボニアの民達の救助の協力の為に現れたのです!これは現エレボニア皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノール三世の名代であるセドリック・ライゼ・アルノールとアルフィン・ライゼ・アルノールが保証します!」

「い、今の声は………アルフィン殿下とセドリック殿下!?」

「じゃ、じゃあ本当にリベールも援軍としてかけつけてくれたのね……!」

アルセイユから聞こえて来たアルフィン皇女とセドリック皇太子の放送を聞いた士官学院生達は驚いたり明るい表情をし

「それにしても本当に単身でこちらに来られてよかったのか、カシウス卿。」

「な~に。ハーケン街道方面にはモルガン将軍に加えてリシャールもいるし、いざという時の為にシードにも指示を出しておいた。今回の件は若い者達に不測の事態を経験させるいい機会だ。それにたまには身体を動かしておかないと、身体がなまってしまうのでな。」

「フフ、なるほど。多くの門下生達を持つ私も見習わなくてはな。」

アルゼイド子爵とカシウスはそれぞれ肩を並べてそれぞれの武器を構えて魔煌兵や機甲兵達と対峙していた。



「―――ならば、重畳。本来の得物である剣を捨てたにも関わらず、更に腕に磨きがかかっている”リベールの守護神”とも謳われているその実力、とくと見せて頂こう。」

「フッ、こちらこそ老師と引き分けた”光の剣匠”の力、とくと見せてもらおうか。」

互いに不敵な笑みを浮かべた二人は凄まじい勢いで次々と魔煌兵や機甲兵達を無力化し始めた!

「あ、圧倒的過ぎる……!」

「フフ、参ったわね……以前は”剣聖”達ともまともに渡り合えると思っていたけど、あんな圧倒的な戦いを見せられたら自信を無くしてしまうわね……」

二人の戦いを見ていたアイネスは目を見開き、エンネアは苦笑していたが

「ぐぬぬぬ……ッ!二人とも、何を弱気な事を言っているんですの!?私達は武の至高たる存在であるマスター―――”槍の聖女”から武術を直々に学び、現代の”鉄騎隊”と呼ばれている”鉄機隊”!あの二人にそれをわからせる為にも、あの二人より多くの戦功を立ててやりますわよ!」

「……確かにそうだな。」

「フフ、久しぶりに”筆頭”らしいまともな台詞が出て来たわね。」

悔しそうな表情をした後自分達を見つめて叱咤激励したデュバリィの言葉にそれぞれ同意した後武器を構え直し

「さあ――――行きますわよ!!」

「「おおっ!!」」

デュバリィの号令を合図に戦闘を再開した!



「状況報告!市民達のおよそ三分の一の避難が完了したとの事です!」

「わかりました。引き続き正規軍や士官学院の方達と連携して市民達の避難誘導を続けてください。」

「ハッ!」

「クレア大尉、少しいいかい?」

クレア大尉が部下に指示を終えるとオリヴァルト皇子がトヴァルと共に近づいてきた。



「オリヴァルト殿下。何かご用でしょうか?」

「実は君達には私と共に他にやってもらいたい事があってね。正規軍やリベールからの応援が到着した事で”鉄道憲兵隊”もそろそろ”ジュライロッジ”の方にも戦力を割けると思うのだが、どうだろうか?」

「え……”ジュライロッジ”にですか?一体何故……―――!”ジュライロッジ”に向かう部隊で人質達の救出とカイエン公を含めた”貴族連合”の残党の捕縛を行い、リィンさん達が人質達の事を気にせずヨアヒム・ギュンターの討伐に集中できるようにする為の部隊という事でよろしいでしょうか?」

「ハハ……まだ何も言っていないのに、すぐに分析して答えを出すなんてさすがは”氷の乙女(アイスメイデン)”だな。」

オリヴァルト皇子の問いかけを聞いたクレア大尉は呆けたが一瞬で答えを出して真剣な表情で問い返し、その様子を見ていたトヴァルは苦笑していた。

「フフ、こんな可憐で聡明な女性をもハーレム要員にするなんて、さすがは私の可愛い妹もハーレム要員にする私の未来の義弟(おとうと)だよ♪もしかしたら彼の女性を惹きつける所は宰相殿の人を惹きつける所の一部を受け継いでいるからかもしれないね♪」

「………………(強ち間違っていないように見えませんから、冗談になっていませんね……)――――了解しました。すぐに動かせる部隊を纏めます。」

トヴァルの言葉に続くように笑顔で答えたオリヴァルト皇子の推測を聞いて冷や汗をかいて黙り込んでいたクレア大尉だったがすぐに気を取り直し、オリヴァルト皇子に敬礼をした後その場から去った。



「……ん?おい、あれって、もしかしてあんたの”同僚”じゃないのか?」

「一体何の事でしょうか~……――――!」

一方別の場所で戦っていたマカロフ教官の言葉に呑気そうな様子で答えたトマス教官だったが、マカロフ教官が視線を向けている方向にいる存在――――二機の”メルカバ”に気付くと目を見開いた。そして二機のメルカバはジュライ特区の上空を通過してどこかへと去って行った。

「…………行っちまったな。一体何の為にこのタイミングでジュライ特区に現れたんだ?」

「さあ~、私にわかる訳がありませんよ~。というか今の飛行艇は見た事もない形をしていましたが、一体何だったのでしょうね~?(”伍号機”と”仇号機”という事は”千の護手”と”蒼の聖典”ですね。やれやれ……後で事情を聞く事は当然として、光学迷彩機能も使わずにこんな大っぴらな場所を通過した事についての説教と、後は始末書も書かせなければなければなりませんね。)」

マカロフ教官の質問に対してとぼけた答え方をしていたトマス教官は内心呆れた様子で溜息を吐いていた。 
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