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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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外伝~姫神の新たなる道~(9章終了)

~フェミリンス神殿・最奥~



「ハア、ハア………よ、ようやく終わったか………この”影の国”に来て、色んな”ありえない奴等”と戦って来たけど………まさか神とも戦う羽目になるとはな………」

「………今でも信じられない………人の身でありながら………神に勝つなんて…………!」

戦闘が終了し、一部の仲間達と共に疲労で地面に膝をついたケビンは信じられない表情でいるリースと共に息を切らせ

「どう!?これが貴女が気づかなかった人々が持つ”絆”の力よ!」

「”絆”は種族問わず誰もが結ぶ事ができる………今の戦いでわかっただろう?」

エステルとウィルは地面に倒れた後、跪いた状態で起き上がったフェミリンスに近づいて言った。

「……ええ………身を持って知りました………人間達が……種族問わずに共に……力を合わせられる事を……………私はどこで………間違ったのでしょう………………うっ!?」

地面に跪いているフェミリンスは肩を落として呟いたが、少しすると呻いた。

「?ちょっと、どうしたのよ。」

フェミリンスの様子に首を傾げたエステルがフェミリンスに近づいたその時

「来ては………いけま………せん………!私が………”私”でいる内に……私を……殺し……なさい………!」

フェミリンスは何かに耐えるように身体を震わせながらエステルを見つめて言った。

「!いけません!下がって下さい、お二人方とも!”殺戮の魔女”の呪いです!」

そしてフェミリンスの様子を見て何かを察したエクリアは真剣な表情でエステルとウィルに警告した。

「なっ!?どうにかならないの!?ようやくまともに話を聞いてくれそうなったのに!」

警告を聞いたエステルは驚いた後、リウイ達を見つめて叫んだ。

「不可能だ。解呪の道具もないうえ、解呪方法は………」

「あなた………」

エステルの叫びを聞いたリウイは重々しく答え、イリーナは心配そうな表情でリウイを見つめた。

「お願い…………です…………早く………殺しなさい………!」

そしてフェミリンスは懇願するかのような表情でエステルを見つめた。

「あたしは絶対諦めない!あたしは貴女にも教えてあげたいんだから!”人”は皆、一緒である事を!」

「ああ!皆がいれば、きっと何らかの方法で助けられる!」

「…………………」

エステルとウィルの言葉を聞いたフェミリンスが驚きの表情で2人を見つめていたその時

「えっと………ミントならなんとかできると思うよ?」

ミントが申し出た。

「へ!?」

「え………」

「何?」

「ミントちゃん?」

ミントの申し出を聞いたエステルは驚き、エクリアは呆け、リウイは眉を顰めて首を傾げたツーヤと共にミントを見つめた。

「フェミリンスさんは呪いにかかっているんだよね?要はその呪いにかかる前の状態にすればいいんだよね?」

「そ、それはそうですが一体何をするつもりなのですか………?」

ミントの話を聞いたエクリアは戸惑った表情でミントを見つめて尋ねた。

「えへへ、だったら簡単だよ。今治すから待っててね…………………えいっ!」

尋ねられたミントは無邪気な笑みを浮かべた後片手をフェミリンスに向かって出した。すると出した片手が光を放ち、フェミリンスを包み込み、そして光は消えた。



「………?なっ………あ、ありえない………呪いが………なくなって………いる………!」

光に包まれたフェミリンスは何かの違和感を感じた後、信じられない表情をして呟いた。

「何!?」

「え!?」

「馬鹿な!?ブレアードかかけた”殺戮の魔女”の呪いを解除しただと!?」

「ミ、ミ、ミント!?一体何をしたの!?」

そしてフェミリンスの言葉を聞いたリウイとエクリアは目を見開いて驚き、ディアーネは驚きの表情で叫び、エステルは信じられない表情でミントに視線を向けて叫んだ。

「えっとね。フェミリンスさんが呪いにかかる前の状態に”戻した”んだ。」

「も、”戻す”………?」

ミントの説明を聞いたエステルは理解できず首を傾げ

「………まさか。対象者の”時の流れ”を戻したのですか………?」

ミントの言葉から何かを察したセラウィは信じられない表情でミントを見つめて尋ね

「うん、そうだよ。」

尋ねられたミントは微笑みながら頷いた。



「………………………」



ミントの答えを聞いたその場にいる全員は黙り込み、静寂が訪れたが

「ええええええええ~~~~~~~っ!?」

全員が驚きの表情で叫び、神殿内を響き渡らせた。

「ちょ、ちょ、ちょっと待て!いくらなんでもそれはありえへんとちゃうか!?生物が時を自由自在に操るなんて、そんなの神でもできるかどうかわからん”奇蹟”やで!?」

そしてケビンは混乱した様子でミントを見つめて叫んだ。

「む~……だったら今、信じさせてあげる。……えいっ!」

ケビンの言葉を聞いたミントは頬を膨らませた後、片手に光を纏わせ、自分に光を当てた。するとミントは光に包まれ

「えへへ。ママ達にとってこの姿は久しぶりだね!」

光が消えるとなんとそこには幼い姿のミントがいた!

「………………」

「自分の身体を若返らせるなんて………!」

幼いミントを見たエステルは言葉を無くして口をパクパクさせ、ヨシュアは信じられない表情でミントを見つめた。

「……信じられない。まさか本当に”時”を”操る”なんて………」

「対象者の時空のみを操るなんてむ、無茶苦茶や………”幻の至宝”でもできるかどうかわからん”奇蹟”やんか………」

リースは信じられない表情でミントを見つめ、ケビンは口をパクパクさせてミントを見つめた。

「ミ、ミントちゃん。元の姿―――大人に戻れるの?」

「うん、できるよー。」

そしてティータは恐る恐るミントに尋ね、尋ねられたミントは呑気に答えた後再び光を自分に当て、元の姿―――成長した時の姿に戻った。

「ミ、ミ、ミント!いつ、そんなとんでもない事ができるようになったのよ!?」

元の姿に戻ったミントにエステルは混乱しながらミントに近づいて叫んだ。そしてミントは自分を指定していた”扉”で全ての記憶と自分の正体を見て、思い出し、そして時空を操る事ができるようになった事を説明した。

「ミントちゃんがそんなとてつもない存在だったなんて…………」

「”刻”を司り、時空を操る事ができる竜―――”真竜”……まさかそのような竜が存在しているとはな………」

説明を聞いたクローゼは信じられない表情でミントを見つめ、アスモデウスは驚きの表情でミントを見つめ

「アスモデウスでも知らないのかい?」

アスモデウスの様子に気づいたウィルはアスモデウスに視線を向けて尋ね

「うむ。まあ、もしそのような存在がいれば間違いなく時空を操る女神―――エリュアの眷属として歴史に名を残すはずだ。もしくは………その竜自身がエリュアかもしれんな。」

「アハハ。ミントはみんなとは異なる世界だから違うよ~。」

(ケビン、どうするの?”竜”とはいえ時空を操るなんて所業………どう考えても”神”や”至宝”だけが起こせる”奇蹟”としかいいようがないけど。)

(どうするも何もこんなとんでもない事、報告できるかいな!?生物でありながら時空を操るなんて存在………万が一外部に漏れたらどえらい事が起こるっちゅうに!)

尋ねられたアスモデウスは重々しく頷いて答えた後興味深そうな様子でミントを見つめ、見つめられたミントは苦笑し、リースは小声でケビンに尋ね、尋ねられたケビンは頭を抱え、疲れた表情で溜息を吐いて答えた。



「ミント!そんな素晴らしい事ができるんだったらあたしの身体も今より若くして!」

「わらわの身体を元の大人の姿に戻してくれ!頼む!」

「せ、先輩~。若返った状態で元の世界に戻った時、どうするんですか?」

「はあ………神の癖に何をやってんのよ、あんたは………」

そしてシェラザードとレシェンテはミントに詰め寄って真剣な表情で叫び、アネラスは苦笑し、マリーニャは呆れて溜息を吐き

「ミ、ミントちゃん。ちょっとの間でいいから私を大人の姿にしてもらってもいいかな?」

「……私も少しだけ自分の未来の姿に興味があります。お願いしてもいいですか?」

ティータは興味深そうな表情で真剣な表情のティオと共にミントに近づき

「はあ………おい、ティータ。そんなズルすんじゃねえ。何年か待てば勝手に大人になるだろうが。」

「うむ。それが自然な形だ。」

アガットは溜息を吐いた後ラグタスと共にティータ達に近づいて諌めていた。

「み、みんな落ち着いて~!」

そして仲間達に詰め寄られたミントは混乱した様子で叫んだ。

「ア、アハハ………今でも混乱しているけど結果オーライね。よかったわね、フェミリンス。呪いが解けて。」

ミント達の様子を見たエステルは苦笑した後、口元に笑みを浮かべてフェミリンスを見つめた。

「…………………………まさか私の呪いを他種族が解くなんて…………」

エステルに見つめられたフェミリンスは信じられない表情で自分の身体を見つめて考え込んだ後立ち上がり

「…………ヴィリナの裁定の真の意味がようやくわかった気がします……………」

静かに呟き、エステル達を見つめた。

「………貴女達が信じる人々の”絆”………私も信じたくなりました………」

「ホント!?」

「俺達の想いが伝わって、よかった………」

フェミリンスの言葉を聞いたエステルは明るい表情をし、ウィルは微笑み

「馬鹿なっ!?フェミリンスの考えを本当に改めさせるとは………!」

「…………………」

「あ、ありえん!あの人間共、何者だ!?」

「あの2人って本当に人間なの??」

フェミリンスの言葉を聞いたリウイは目を見開いてフェミリンスを見つめ、エクリアは絶句して信じられない表情で、驚きの表情のディアーネやエヴリーヌと共にエステルとウィルに視線を向けた。また、リウイの仲間達も驚きや信じられない表情でエステルとウィル、そしてフェミリンスを見つめていた。



「―――人の子達と我が呪いを解いた竜の子よ。名をなんと言うのです?」

そしてフェミリンスはエステルとウィルに視線を向けて尋ね

「あたしの名はエステル!エステル・ファラ・サウリン・ブライトよ!遊撃士をやっているわ!」

「ミントの名はミント・ルーハンス・ブライト!ママとパパの娘でママ達と一緒に遊撃士をやっているよ!」

「俺の名はウィルフレド・ディオン。全ての種族が共存しているユイドラの領主さ。」

「………エステルにミント、そしてウィルフレド………私の呪いを解く事を最後まで諦めず、そして解いた事、心より感謝します。………感謝の礼を差し上げたいのですが、何かないでしょうか?」

「う、う~ん………そう言われても特にないんだけどな………」

「そうだよね……」

「ただ、あたし達の考えをわかってくれるだけどよかったし……」

フェミリンスの申し出を聞いたウィル達が考え込んだその時

「………そうじゃ!フェミリンスよ、お主の力でウィルを”神格者”にする事は可能か!?」

リフィアがフェミリンスを見つめて叫び

「え!?」

「なっ!?」

「リ、リフィア?一体何を………?」

リフィアの言葉を聞いたセラウィとエリザスレインは驚き、ウィルは戸惑った表情でリフィアに視線を向けた。

「お主はユイドラや我等メンフィルにとってなくてはならない存在じゃ!人間の身で生を終えるのは余りにも惜しすぎる!……それにもし”神格者”になれば愛する妻達と永遠に暮らせるし、ユイドラを永遠に見守れるぞ!」

「………まあ、”神格者”なら”使徒”が作れるからセラウィ達を”使徒”にすれば可能だね。」

そしてリフィアはウィルの疑問に胸を張って答え、エヴリーヌは複雑そうな表情でフェミリンスとウィルを見比べて呟いた。

「い、いきなりそんな事を言われても………第一、貴女を信仰している訳でもないのだから、無理でしょう?」

リフィアの答えを聞いたウィルは溜息を吐いた後、戸惑った表情でフェミリンスに尋ねた。

「………貴方がそれを望むのなら、我が”神格位”を分け与えましょう………私は先程礼を差し上げると言ったのですから。」

「………………………」

「ウィル……………」

「………どうするつもり、ウィル。」

フェミリンスの答えを聞いたウィルは驚いた後考え込み、セラウィは懇願するような表情で真剣な表情のエリザスレインと共にウィルを見つめた。

「………まさかこんな形で俺達の夢をずっと一緒に叶えられる形になるとは夢にも思わなかったね、セラウィ。俺の”使徒”になって、永遠にユイドラをみんなが仲良く生きて行ける街にする事を手伝ってくれるかい?」

「ウィル…………!はい、喜んでっ……!」

そしてウィルは微笑みを浮かべてセラウィを見つめ、見つめられたセラウィは嬉しさの表情で涙を流しながら頷いた。

「……………よろしいのですね?」

ウィル達の様子を見たフェミリンスは静かに問いかけ

「はい、お願いします。」

問いかけられたウィルは力強く頷いた。

「わかりました………ウィルフレド・ディオン。………我が”神格位”を受け取りなさい。」

フェミリンスは両手を天へとかざし、ウィルの前に膨大な魔力や神気が籠った球体を発生させ、球体をウィルは自分の身体に押し込んで同化させ、そしてウィルは決して老いず永遠の命を持つ身体―――”神格者”になった!



「………これが”神格者”の力………凄い魔力だな………」

”神格者”になったウィルは自分の身体から伝わって来る膨大な魔力に驚き

「ウィルッ!」

セラウィはウィルに抱き付き、抱き付かれたウィルはセラウィを受け止めて抱きしめた。

「これからは”永遠にずっと一緒”だね、セラウィ…………」

「はい………!この事を知ればみんな喜ぶでしょうし、シャルティやメロディアーナもきっと貴方の”使徒”になることを申し出ると思います………でも、”第1使徒”は私にして下さいね………?」

「勿論、喜んで。エリザスレインはどうする?」

セラウィの言葉に頷いたウィルはエリザスレインに視線を向け

「……………仕方ないわね………”使徒”にはならないけど、”守護天使”になって貴方達が間違った道を進まないように見張ってあげるわ………」

視線を向けられたエリザスレインは溜息を吐いた後、苦笑しながら見つめて言った。

(フッ。まさかこのような形で”神格者”になるとはな………仙狐様もさぞ喜ばれるだろう………)

「うふふ。”神格者”にまで上り詰めるとはさすがは精霊王女たるこの私が愛する男ですわ!」

「―――――――!」

「ククク………どうやら我は永遠にウィルに従う身になってしまったな………だが、決して悪くない気分だ………」

そしてウィルのかつての戦友達がウィル達に近づき、それぞれ微笑みを浮かべていた。

「フッ。どうやらユイドラは永遠に安泰になったようだな……」

「ええ………」

ウィル達の様子をリウイは口元に笑みを浮かべて、優しい微笑みを浮かべているイリーナと共に見守っていた。



「さて……ウィルフレドへの礼は終わりました。貴女達はどうします?貴女達も彼のように望むのなら”神格位”を分け与えますが。」

「う、う~ん………別にあたしは永遠の命を欲しいとは思っていないから”神格位”はいらないわよ?」

「ミントも。………そうだ!ママ、いい事を思いついたよ♪」

「へ?それって何??」

「ちょっとこっちに来て。……………あのね………」

「…………?」

自分から少し離れて小声で会話しているエステルとミントの様子にフェミリンスは眉を顰めて見つめていた。

「!なるほど………それはいい考えね!オッケー、その2つにしましょう!」

「うん!」

そしてフェミリンスから離れていたエステルとミントは再びフェミリンスに近づいた。

「………その様子ですと礼を相談していたようですが決まったのですか?」

「うん。あたしとミントの礼を合わせて2つでいいでしょ?………で、一つはパズモ達――――あたしをずっと支えてくれた友達を貴女の力で今より強くして!ここまで戦ってこれたのはみんなのお蔭だし………そんなみんなにお礼ができるのはそれぐらいしか思いつかないし………」

「………わかりました。ただし”魔神”である”深凌の楔魔”の昇格は不可能ですから、そこは了承を………」

「できたとしても絶対にお前の力は受け取りたくないよ。」

「グオッ。」

エステルの言葉に頷いたフェミリンスはカファルーに視線を向け、エヴリーヌは嫌そうな表情で呟き、エヴリーヌの言葉に頷くかのようにカファルーも頷いた。そしてフェミリンスは膨大な魔力を込めた両手を天へとかざした。するとカファルーを除いたエステルの使い魔達は全員光に包まれ、光が消えるとそこには姿を変え新たなる力を手に入れた”昇格”したパズモ達が現れた!



「へえ………後一本で”仙狐”になれるじゃないか、永恒。」

(フッ………いつか必ず”仙狐”となった我を見せてやる。その日を楽しみにしているがいい………)

尾が8本になったサエラブを見たウィルは驚き、サエラブは口元に笑みを浮かべて答え

「フフ………”白水竜”になって立派になったわね……」

「クー♪」

水竜の上位種――――”白水竜”になり、サティアに微笑まれたクーは嬉しそうな様子で鳴き

「フフ……まさかこんな短期間で”主天使(ドミニオン)”になれるとは思わなかったわ♪………これからも貴女を守り続けるわ、エステル…………」

第四位の天使―――”主天使(ドミニオン)”に昇格し、一対の白き翼が二対の白き翼に増えたニルは微笑みながらエステルを見つめ

「パ、パズモ!?貴女がみんなの中で随分姿が変わったわね………あたし達と同じくらい大きくなるなんて………それにテトリも前と比べて、かなり大胆な衣装になったわね…………(それに胸も結構大きいし………パズモにまで負ける日が来るなんて………しかもテトリなんか前より大きくなっている気がするんですけど!?)」

エステルは昇格した仲間達を見回し、風の精霊の最上位種――――”ルファニー”種へと姿を変えたパズモを驚きの表情で見つめた後、ユイチリの最上位種―――”ニルユイチリ”へと姿を変えたテトリを苦笑しながら見つめた後、心の中で肩を落とした。

「そ、そんなじっくり見られると恥ずかしいです………でも、まさか私が”ニルユイチリ”に”昇格”するなんて夢にも思いませんでした………!」

エステルに見つめられたテトリは顔を赤らめた後、嬉しそうな表情で呟き

「フフ………まさかエステル達と直に話せる時が来るとは思わなかったわ………」

パズモはなんと念話ではなく、声を出してエステル達に微笑んだ。

「!!パズモ、念話を使わなくても話せるようになったの!?」

「これがパズモの声か…………」

「とっても綺麗な声だね!」

パズモの声を聞いたエステルとヨシュアは驚き、ミントは嬉しそうな表情で言った。

「ええ………これからはみんなと一緒に楽しくおしゃべりできるわね。」

「えへへ、そうね。ありがとう、フェミリンス!」

そしてパズモに微笑まれたエステルは嬉しそうな表情で頷いた後フェミリンスに視線を向けた。

「…………私は礼をしただけの事。それで最後の一つは何ですか?」

エステルに視線を向けられたフェミリンスは静かに答えた後、尋ねた。



「――――最後の一つはフェミリンス。あたしと契約して一緒に貴女の目で世界をあたし達と一緒に見て周りましょう!」

そして尋ねられたエステルはいつものような太陽のような微笑みを見せて、フェミリンスに手を差し伸べて言った。

「なっ!?エステル!自分が何を言っているのかわかっているのか!?」

「エ、エステルさん!?」

エステルの言葉を聞いたリウイとエクリアは驚いた表情で叫び

「………それは貴女の使い魔になれということですか………?」

フェミリンスは静かな表情でエステルを見つめて尋ねた。

「あ~の~ね~………皆は使い魔としてではなく、友達として力を貸してくれているって言ったじゃない!だから貴女も”友達”としてあたし達と一緒に世界を見て周ろう!」

フェミリンスの言葉を聞いたエステルは呆れた表情で大きなため息を吐いて答えた後、再び笑顔でフェミリンスを見つめて言った。

「…………………………」

そしてエステルの言葉を聞いたフェミリンスは呆けた表情をした後

「フフ………”友”………ですか………民達を導くこの私にそんな事を言う方は貴女が初めてです…………………………」

上品に笑ってエステルを見つめ続け

「…………………いいでしょう。姫神フェミリンス、貴女の”友”として力を貸しましょう……………」

エステルが差し出した手を握って微笑み

「えへへ、よろしくね!」

微笑まれたエステルも微笑みで返した。

「………ただ、人の身である貴女には”神”の私の力は受け止めきれないでしょう……何か、代わりになる物は…………その棒がちょうどいいですね……………」

そしてフェミリンスはエステルが装備している棒―――”鳳凰具”に視線を向けた後、棒に触れて光の球体となり、棒と一体化した!すると棒に膨大な魔力や神気が纏った!

「………これで貴女の魔力でも私を召喚できるでしょう………貴女の剣となり、見せてもらいますよ………貴女が結ぶ絆の力を………」

すると棒に宿ったフェミリンスはエステルの近くに現れて微笑んだ後、再び棒に戻った。

「えへへ、よろしくね!………それにしても棒から凄い力を感じるわ!」

フェミリンスの言葉に笑顔で頷いたエステルはフェミリンスと一体化した棒を一振りして口元に笑みを浮かべ

「フェミリンスが宿っているから前とは違う武器の名前の方がいいわね……………ねえ、ウィル。いい名前がないかな?」

そしてある事に気づいて考え込み、ウィルに尋ねた。

「お、俺!?………そうだな…………」

尋ねられたウィルは驚いた後考え込み

「――――”姫棍フェミリンス”。セリカが持つ魔神ハイシェラが宿る魔剣―――”ハイシェラソード”の名を参考にした名前だけど、どうかな?」

エステルが持つ棒に微笑み、エステルに視線を向けて尋ねた。

「”姫棍フェミリンス”………うん、いい名前だわ!安直に”ハイシェラソード”と呼ばれているセリカの剣の名前と比べて、断然いいしピッタリな名前よ!」

「ハハ………」

「何だと!?それはどういう意味じゃ、エステル嬢ちゃん!」

尋ねられたエステルは棒――――”姫棍フェミリンス”に視線を向けて頷き、エステルの言葉が聞こえたセリカは苦笑し、ハイシェラはエステルを睨んだ。

「ば、馬鹿な………フェミリンス自らがただの人間の小娘に降るだと………!?」

「……………………」

一方ディアーネは驚きの表情で絶句して信じられない表情のエヴリーヌと共にエステルを見つめ

「ほ、本当に神とも契約したわね、あの娘…………」

「フフ………さすがはエステルさん………と言った所ですね…………」

シェラザードは驚きの表情でエステルを見つめ、クローゼは微笑みながらエステルを見つめ

「………まさかあのフェミリンスの考えを変えただけでなく、契約までするとは…………」

「契約する瞬間を今ここで目にしていても正直、信じられない思いですね………」

リウイとエクリアはそれぞれ信じられない表情でエステルを見つめていた。



「さ~て。これでリウイ達の”試練”も終わりよね?一端庭園に戻ってから周遊道を調べない?」

そしてエステルはケビン達に振り向いて提案をし

「そやな。じゃあ、皆さん。一端庭園に戻りましょうか――――」

エステルの提案に頷いたその時!

「!この気配は………!」

何かの気配を感じたエクリアは真剣な表情で叫び

「「…………………!」」

セリカとリウイは同時にエステルに向かって走り出した!

「へ?」

エクリア達の様子にエステルが首を傾げたその時、エステルの背後から無数の触手がエステルを襲い掛かろうとし

「エクステンケニヒ!!」

「雷光!身妖舞!!」

襲い掛かろうとした触手達にリウイとセリカが同時に魔法剣技を放って滅した!

「なっ!?一体何が………!」

いきなりの出来事にエステルが驚いたその時

「貴様がいるのはわかっている!大人しく姿を見せるがいい!ブレアード!!」

リウイが空間を睨みつけて叫んだ!すると

「おのれ……………!我の邪魔ばかりしおって………!」

なんと空間が歪み、ブレアードが現れた!



「我が手に入れるはずであったフェミリンスの力を手に入れた娘!貴様をここで手に入れて、フェミリンスの力を手に入れてくれる!」

そしてブレアードはエステルを憎悪の籠った視線で睨みつけ、無数の触手達を異空間から召喚して放ったが

「燃え尽きろ!フレインバル!!」

「させるか!沙綾!紅燐剣!!」

リウイとセリカが再びクラフトを放って触手達を滅し

「グオオオオオオオオオオオオオオオ―――――――――――ッ!!」

「グアアアアアアアアア――――ッ!?」

カファルーは飛翔し、ブレアードの顔に灼熱の炎のブレスを放って苦しめ

「ハハハハハハッ!逃げたと聞いていたが、のこのこと自分から姿を現すとはな!ちょうどいい!貴様に受けた長年の恨み………思い知れっ!」

「キャハッ♪死ね死ね死ね死ね――――――ッ!!」

「ガアアアアアアアアアアアアアッ!?」

ディアーネとエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた後無数の魔槍と矢をブレアードの全身に叩き込んで悲鳴を上げさせ

「全く………ちょっとは空気を読みなさいよね!―――フェミリンス!一緒にぶっ飛ばすわよ!」

(ええ。あの男に受けた忌まわしき呪いの借り………ここで全て返しますわ!)

エステルはブレアードを睨んで叫んだ後棒を構えた!すると棒は膨大な魔力や神気をさらけ出してエステルの全身に纏わせた。するとエステルの髪と瞳はフェミリンスと同じ金色に代わり、さらに背中に光が集束し始め

「その身に刻みなさい!神技!」

「ガハッ!?」

エステルは神剣を鞘から抜いて一瞬でブレアードに近づいて何度も斬撃を放った後、離れた。するとブレアードの周囲の空間が歪み、膨大な聖気をさらけ出す槍が3本現れてブレアードを串刺しにした。そしてエステルは天高くへと跳躍し、跳躍したエステルの背中に集束していた光は白き翼となりエステルは翼を羽ばたかせ、さらに異空間から膨大な神気が籠った神槍を召喚し

「ニーベルン・ヴァレスティ―――――――ッ!!」

「ギャアアアアアアアアア――――ッ!?」

膨大な神気が宿った神槍を投擲した!すると神槍はブレアードを貫き、さらに光の大爆発を起こしてブレアードを苦しめ

「「神魔の剣嶺!!」」

「余達の完全勝利の雰囲気を台無しにした愚か者はとっとと消えるがいい!これが受け継がれし力!エクスピアシオンッ!!」

「母や私、そして代々の呪いを受け継ぐ先祖達を苦しめたお前だけは絶対に許さない!消え去れ、ブレアード!原罪の覚醒!!」

「アアアアアアアアアアア―――――ッ!?」

そしてリウイとセリカが協力剣技(コンビクラフト)を、リフィアがシルフィアより受け継いだ聖なる大魔術――――エクスピアシオンをエクリアの大魔術と共に放ってブレアードをボロボロにした。

「たくさんの人達を不幸にした貴方だけは許さない!ハァァァァァァ…………!」

一方ミントは怒りの表情でブレアードを睨んだ後竜化し

「時空よ!この世に生きる全ての生命に仇名す邪に裁きを!今こそ崩壊せよ!………時空大崩壊――――――ッ!!」

膨大な魔力を全身に纏って咆哮した!するとブレアードの全身が空間が歪むと共に消滅し始めた!

「ば、馬鹿な………か、身体が崩れる………!おのれ――――――――――ッ!!」

ミントが放った時空を操る事ができる真竜のみが扱える仇名す者達の時空を歪め、塵も残さず消滅させる恐るべき大魔術にして禁断の大魔術――――時空大崩壊をその身に受けたブレアードは断末魔を上げながら消滅した!



「フウ………これでようやく終りね!」

「………ああ。あの様子ならもう2度と復活して来ないだろう。」

「最後の最後までしぶとかった奴だな。」

ブレアードの消滅を確認し、元の姿に戻ったエステルとリウイ、セリカはそれぞれ武器を収めた。

「ヨ、ヨシュアお兄ちゃん……?今、エステルお姉ちゃんの背中に翼が生えていたよね……?」

一方ティータは表情を引き攣らせてヨシュアに尋ね

「………うん。最後の試練に行く前にエステル、教えてくれたんだ。”天使”の力で自分の背中に光の翼を宿らせられる事を。でも今のはさっき契約した神――――フェミリンスの力で翼を宿らせたんだと思うよ?」

「おいおい………そんなのありかよ………」

「もう完全に人外化しているじゃない、あの娘………」

尋ねられたヨシュアは苦笑しながら答え、ヨシュアの答えを聞いたアガットとシェラザードは疲れた表情で溜息を吐いた。

「予想外の事態もあったがこれで試練は全て終わった。」

「後の事はよろしくお願いします、ケビンさん。」

そしてリウイは静かに呟き、エクリアはケビンに視線を向け

「………はい。後の事は任せといてください。」

エクリアに視線を向けられたケビンは頷いて答えた。その後庭園に戻ったケビン達は休憩をした後、再びメンバーを編成し、ケビン、リース、リタ、クローゼのメンバーで結界が解かれ、霧に包まれている道を進み、ある場所に到着した。



~???~



「え………」

「………やっぱりか。」

霧の中を抜け、ある場所に到着したリースは目の前にある建物を見て驚き、ケビンは納得した表情で呟き

「ここは………どうやらエルベ離宮ではなさそうですね。」

見覚えのない景色にクローゼは真剣な表情で呟いた。

「ええ………」

そしてケビンは建物の扉に近づいて言った。

「あら?あの紋章ってお二人が身につけているロケットと同じ紋章…………」

「星杯の紋章………!?」

一方何かに気づいたリタは上を見上げ、扉の上についている紋章―――”星杯”の紋章に気づいて首を傾げ、クローゼは驚きの表情で呟いた。

「ケビン…………」

そしてリースは戸惑った表情でケビンを見つめ

「……………………………………」

ケビンは真剣な表情で黙り込んだ後、扉を開け

「――――ここは”紫苑の家”。オレとリース、そしてルフィナ姉さんが一緒に暮らしてきた場所ですわ。」

寂しげな笑みを浮かべて建物の説明をした。



こうしてケビン達は”紫苑の家”の敷地内に足を踏み入れた…………………


 
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