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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第99話

~フェミリンス神殿~



「ハアッ!!」

ティファ―ナとの戦闘を開始したアイネスは斧槍を地面に振り下ろし、衝撃波を発生させるクラフト――――地裂斬を放ち

「そこ!!」

対するティファ―ナはクラフト―――玄武の地走りを放って攻撃を相殺し

「せいっ!!」

続けて大鎌を投擲するクラフト―――投げ鎌を放った!

「甘い!」

自分に襲い掛かる大鎌をアイネスは空高くへと跳躍して回避し

「そこだぁっ!!」

上空から斧槍で襲い掛かった!

「!!」

アイネスが放った空へと跳躍し、落下と共の攻撃するクラフト――――兜割りに気づいたティファ―ナは前に跳躍して回避すると共に戻って来た大鎌を再びその手に持ち

「迂闊な!玄武の鎌撃!!」

「グッ!?」

クラフト―――玄武の鎌撃を放って、着地したアイネスに傷を負わせ

「受けてみよ!我が鎌を!!」

一気にアイネスに詰め寄りクラフト―――双連撃、4段攻撃を次々と放った!

「ハァァァァァ………!」

ティファ―ナの連撃に対し、アイネスは斧槍を巧みに操って次々と攻撃を防いだ!

「せいっ!!」

「ハアッ!!」

そして双鎌による同時攻撃をアイネスは斧槍で受け止めた!

「やるな………!」

「貴様もな………!この私に一人で傷をつけるとは………だが……”剛毅”のアイネス……その程度で怯まん!」

鍔迫り合いの状態になった2人は互いに不敵な笑みを浮かべた後、同時に一端後ろに下がって距離を取り

「ハアッ!!」

「そこ!!」

同時に衝撃波を放つクラフトを放って互いの攻撃を相殺した!そして衝撃波がぶつかった際に発生した煙が晴れると……!



「何!?」

目の前にいたアイネスは姿を消しており、そのことに気づいたティファ―ナは驚いたが

「!!上か!フッ!」

真上から襲い掛かって来たアイネスに気づき、側面に跳んで攻撃を回避し

「チッ!」

攻撃を回避されたアイネスは舌打ちをし

「そこだ!!」

「グッ!?ガアアアアアアアアアア―――――ッ!?」

ティファ―ナが再び放ったクラフト―――投げ鎌によって片腕が斬りおとされ、悲鳴を上げたが

「ハア、ハア………まだだっ……!」

なんと片腕で身の丈ほどある斧槍を再び構え直し

「例え腕がなくなろうと、命ある限り戦うのみ!”剛毅”の底力………思い知るがいい!ハァァァァァァ………!」

片腕で斧槍を振り上げ、闘気を斧槍に溜めた!

「片腕を失ってなお失わぬ意志………なるほど。”剛毅”と名乗るだけはあるな。………いいだろう!そんなお前を評して私も誇り高きルクセンベールの真髄………見せてやろう!これで終わらせる!ハァァァァァァ………!」

アイネスの様子を見たティファ―ナは静かに呟いた後、全身と双鎌に膨大な闘気を溜めた!すると双鎌には膨大な闘気が宿り、ティファ―ナの背後に一瞬雄たけびを上げる竜の姿が現れた!

「セェェェェイッ!!」

そしてアイネスはティファ―ナに突進しながら強烈な一撃により敵を粉砕するクラフト――――地雷撃を放ち

「ドラゴンクロス!!」

ティファ―ナは敵に突進しながら竜気を纏った双鎌を振るって敵を十字に斬るSクラフト――――ドラゴンクロスを放った!そして2人はすれ違う瞬間、それぞれの技を放って、互いに背中合わせの状態に静止したその時!

「”剛毅”のアイネス………その名、我が魂の底まで刻み込んでおこう。」

双鎌を仕舞ったティファ―ナが静かに呟くとアイネスの手から斧槍が宙を舞っており

「フ、フ………”想念”で創られた………存在………とはいえ………全力を持って………相手した事………感謝する………!………」

不敵な笑みを浮かべたアイネスが胴体の全身から大量の血を噴出し、地面に倒れて絶命し、宙を舞っていた斧槍はアイネスの傍の地面に刺さると同時に真っ二つに割れた!そして絶命したアイネスと真っ二つになった斧槍は光と共に消滅した。



「フフ………まさかこんな形で貴方と相対する事になるとは思いませんでしたわ、”剣帝”。」

「………………」

レーヴェと対峙したデュバリィは不敵な笑みを浮かべて呟き、レーヴェは何も答えず黙っていた。

「ちょうどいいですわ。我が神速の剣は”剣帝”に迫ると言われていましたが………今ここで、”剣帝”を超える剣である事を証明してあげますわ!女になびいて”結社”を抜けた今の貴方等、敵ではありませんわ!」

「…………フッ。前から思っていたが”鉄機隊”の中ではお前が一番感情をさらけ出しているな。よくそれで”鉄機隊”の筆頭でいられるものだ………無駄口を叩かずにさっさとかかってきたらどうだ?」

そしてデュバリィの言葉を黙って聞いていたレーヴェは不敵な笑みを浮かべてデュバリィを見つめて言った。

「なっ!?何という屈辱………!――――どうやら死ぬ覚悟はできているようですわね!!」

レーヴェの言葉を聞いたデュバリィは驚いた後、怒りの表情でレーヴェを睨んで全身にすざましい闘気を纏い

「……………………」

対するレーヴェはデュバリィを静かな瞳で睨んで、全身に膨大な闘気を纏った!

「ハアッ!!」

そしてデュバリィは先制攻撃代わりに残像を残しながら敵に突撃するクラフト――――残影剣でレーヴェに攻撃し

「!疾風突!!」

攻撃に気づいたレーヴェは回避した後、反撃をした!

「甘いですわ!」

しかしデュバリィはレーヴェの神速の突撃を回避した後、数体の分け身をレーヴェの周囲に現させ

「斬!!」

分身と共に斬りかかるクラフト―――幻影剣を放った!

「せいっ!!」

しかしレーヴェは剣を振るって強烈な斬撃を放って襲い掛かって来た分け身を消滅させると共にデュバリィの剣を弾き

「空を絶つ!!」

「クッ!?」」

クラフト―――空破斬を放って、デュバリィにダメージを与え

「そこだっ!!」

続けてクラフト――――零ストームを放った!レーヴェが放った衝撃波の竜巻がデュバリィを襲ったその時!



「ハァァァァァ………豪炎剣!!」

デュバリィは業火を宿らせた剣で斬撃を放つクラフト―――豪炎剣で自分に襲い掛かって来た衝撃波の竜巻を切り裂き、切り裂いた火の粉を周囲に散らせた。

「まだだっ!!」

攻撃を相殺されたレーヴェは続けてクラフト―――ケイオスソードを放ち

「ハアッ!!」

デュバリィは再び剣を振るって自分に襲い掛かる衝撃波を切り裂いた。

「獅子………衝撃波!!」

「クッ!?」

さらに続けて突進して来たレーヴェの攻撃を盾で受け止め、そして片手に持つ剣に雷を込め

「豪雷剣!!」

豪雷を宿らせた剣で斬撃を放つクラフト―――豪雷剣を放った!

「!!」

デュバリィの攻撃に対し、レーヴェは紙一重で回避し

「そこですわ!!」

「せいっ!!」

続けて放ったデュバリィのクラフト―――残影剣を剣で受け流し

「受けるがいいですわ!………幻影剣!!」

「そこだっ!!」

「グッ!?」

数体の分け身から本物を一瞬で見極め、一斉に襲い掛かって来る瞬間を狙ってクラフト―――疾風突で回避すると共にデュバリィの脇腹を斬り、脇腹を斬られたデュバリィは脇腹から血を流しながら呻いた。

「…………」

「なっ!?」

その隙を逃さないかのようにレーヴェは一瞬でデュバリィとの距離を詰め

「我が剣は流れる剣………!!」

クラフト―――夢幻を放って、流れるように連続攻撃を放った!

「ハァァァァァ………!!」

レーヴェの連続攻撃に対しデュバリィは剣を振るって連続攻撃を全て見切って捌いていたが

「甘い!エクスヴェングス!!」

「なっ……速っ………ああっ!?」

夢幻から連携して放ったレーヴェの高速剣は見切れず、一瞬で腕や足、そして胴のさまざまな場所が斬られて血を噴出させ、悲鳴を上げた。

「グッ………し、信じられません………この私がアリアンロード様以外の者の攻撃を見切れないなんて………!それも”人”を捨て切れなかった半端者に………!」

「………今の俺をかつての俺と侮った事がお前の敗因だ、”神速”のデュバリィ。異世界には”鋼の聖女”以上の猛者達がいる。その者達の元で修練を続け、その結果俺はさらなる力を手に入れた。………世界は広いという証拠だ。」

「なっ!?武における究極にして至高の存在たるアリアンロード様以上の存在がいる訳ありませんわ!アリアンロード様を侮辱したその罪………絶対に許しません!!ハァァァァァ………!」

信じられない表情でいたデュバリィだったがレーヴェの言葉を聞き、表情を怒りに変え、今までの分け身を倍以上に現させ、分け身達と共に突きの構えで闘気を溜め

「…………………」

対するレーヴェはデュバリィ達を見回した後、膨大な闘気を溜めた剣を構えた。

「瞬迅剣!!」

そしてデュバリィは分け身達と共に突きの構えで突撃するクラフト――――瞬迅剣を放った!

「………見切った!風鎌の奥義……受けるがいい!ハートヴェイル!!」

対するレーヴェは突撃して来るデュバリィ達の中から一体のデュバリィにSクラフトを放つと共にデュバリィ達の攻撃を回避して、デゥバリィ達の背後に駆け抜けた!するとレーヴェが攻撃したデュバリィは全身から大量の血を噴出させると同時に分け身達は全て消滅した!

「そ……ん………な……!?申し訳………ございません………アリアンロード………様…………!…………」

全身から血を噴出させたデュバリィは信じられない表情で地面に倒れて、床を自らの血で染めて絶命し、光と共に消滅した!

「”鋼の聖女”が絶対の存在であると信じ続けた事が一番の敗因だ、”神速”のデュバリィ。」

デュバリィが消滅した後、剣についた血を一振りしてはらい、鞘に収めたレーヴェはデュバリィが消滅した場所を見つめて静かに呟いた。



「フフ………耐えられるかしら?」

エヴリーヌと対峙したエンネアは一撃で戦闘不能に陥らせる呪いの矢を連射して放つクラフト―――デビルズアローと石化の呪いを込めた矢を連射するクラフト―――メデュースアローを放ち

「とう!!」

エヴリーヌは上空から降り注ぐ矢の雨に対し、クラフト―――二連制圧射撃で相殺し

「ハァァァァ………滅!!」

攻撃を相殺され、地面に着地したエンネアは矢に闘気を溜めて威力を上げて放つクラフト―――パワーショットを放ち

「えいっ!!」

エンネアが放った強力な一撃に対し、エヴリーヌはクラフト―――精密射撃を放って相殺し

「そこよっ!!」

「無駄ぁっ!!」

エンネアが放った敵の機動力を奪う矢を放つクラフト―――ピアスアローに対し、矢を放って相殺した!

「フフ。さすがはこの私と同じ”魔弓”を冠する者ね。でも、今のは小手調べ………私の矢……どこまで見切れるかしら!?」

不敵な笑みを浮かべてエヴリーヌを見つめたエンネアは次々と矢を放ち始め

「ただの人間がたった一人で………しかもエヴリーヌと同じ武器で勝とうという事がどれだけ無謀な事か教えてあげる。キャハッ♪」

エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて次々と矢を放ち始めてエンネアの狙撃を次々と相殺した!そして2人はしばらくの間、途切れる事のない矢による狙撃の攻防を続けた。

「………どういうつもり、”魔弓将”?貴女は弓だけでなく魔術も使うと聞くわ。何故、魔術を使わないのかしら?」

しばらくの間、矢による攻防を続けたエンネアはある違和感を感じて矢を放つ事を止め、訝しげな様子でエヴリーヌを見つめて尋ね

「え?まだわかんないの?」

尋ねられたエヴリーヌは矢を放つ事を止めて意外そうな表情でエンネアを見つめた後

「ハンデだよ、ハンデ。お前なんか魔術を使わなくても遊びながら簡単に殺せる奴だし。くふっ♪」

無邪気な微笑みを浮かべて言った。

「なっ!?………ここまで侮辱されたのは初めてだわ!その傲慢………死を持って後悔させてあげるわ!ハァァァァァァ………!!」

エヴリーヌの言葉を聞き、怒ったエンネアが矢にすざましい闘気を込め始めて弓に番えたその時!

「とう!!」

「キャアッ!?なっ………弓の弦が………!?」

エヴリーヌは一瞬の動作でエンネアの弓の弦に矢を放って、弦を破壊した。



「さてと。遊びはそろそろ終わりにしよっか。キャハッ♪」

そしてエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた後転位してエンネアの前から姿を消した。

「転位………!クッ……一体どこに………!?」

姿を消したエヴリーヌに驚いたエンネアが周囲を警戒したその時、エンネアの背後から飛んできた無数の矢がエンネアの弓を持つ片腕を破壊した!

「え…………?」

自分の片腕がなくなった事に気づいたエンネアは一瞬呆けたが

「アアアアアアアアアア―――――ッ!?」

腕がなくなった場所から大量の血が噴出すると共に、身体から感じる強烈な痛みに悲鳴を上げた!

「まずは右腕っと。さ~て………次はどこをつぶそうかな?あ、でも頭は最後に残しておかないとね?キャハハハハハハハッ!!」

一方エンネアの正面に姿を現したエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて笑いながら転位した瞬間に神速の動作で無数の矢を放つ動作を何度も繰り返し、エンネアの全方向から矢を放って、エンネアをいたぶるかのように少しずつ体の一部を破壊し、エヴリーヌが矢を放つ事を止めるとエンネアの姿は全身矢が刺さり、鎧を自分の血によって真っ赤に染めた無残な姿となっていた!

「グッ…………!?馬鹿な………この私が手も………足も………出ないなんて………!さっきの………攻防は………言葉通り、遊んで………いたのね………!私が………貴女と互角で……ある事を錯覚して………錯覚した私を………見て楽しむ………為に………!この………外道が………!貴様等………武人の風上に………置けないわ………!」

全身血まみれで頭以外全て矢が刺さったエンネアは信じられない表情で呻いた後、怒りの表情でエヴリーヌを睨んだ。

「キャハッ♪やっと気づいたんだ。じゃ、死ね。」

そして睨まれたエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた後、番えた矢に膨大な魔力や闘気を溜めた!するとエヴリーヌの周囲の空気が震えた。

「グッ…………む、無念………申し訳ございません………アリアンロード様…………!」

両脚の腱も破壊され、動けないエンネアは悔しそうな表情でエヴリーヌを睨んだその時、エヴリーヌはSクラフト―――ゼロ・アンフィニを放ち、エンネアを塵も残さず破壊して絶命させると共に消滅させ、後に残ったのはエンネアを破壊した際に飛び散った大量の血が床にあるだけだった。



”魔弓将”に込められた真の意味――――エンネアがその事に気づいたのは自身が絶命する瞬間であった。

「行きますよ………貫け!!」

シルフィアと対峙したアリアンロードはクラフト―――シュトルムランツァーで突撃し

「!!ハアッ……!」

対するシルフィアは正面から武器で受け止めた。シルフィアがアリアンロードの攻撃を受け止めた際、衝撃波が起こった!

「ヤァァァァァァ………!!」

攻撃を受け止められたアリアンロードは続いて常人には決して見えない神速の突きを連続で放ち

「ハァァァァァァ………!!」

アリアンロードの連続攻撃に対し、シルフィアも常人には決して見えない神速の斬撃を連続で放って相殺し

「たあっ!!」

「やあっ!!」

お互いは連続攻撃の最後に強烈な一撃を放って、再び相殺した後、相殺した際に起こったすざましい衝撃によって同時に吹っ飛ばされて受け身を取り

「受けてみよ!!」

受け身を取ったシルフィアはクラフト―――突光剣を放った!

「効かぬ!………貫け!!」

対するアリアンロードは再びクラフト―――シュトルムランツァーでなんとシルフィアが放った光の衝撃波を貫きながら突撃した!

「!!」

突撃しながら攻撃したアリアンロードの攻撃をシルフィアはクラフト―――聖光円舞を放って受け流すと共に反撃を放った!

「させぬ!」

しかしアリアンロードはすぐに体制を変えてシルフィアの反撃を跳ね返した後

「ヤァァァァァァ………!!」

再び神速の連続突きを放ち始めた!

「ハァァァァァァ………!!」

そしてシルフィアも再び神速の連続斬撃を放ち

「そこっ!!」

「はぁぁあっ!!」

アリアンロードが連続攻撃の最後の強烈な一撃を放つとクラフト―――神極聖光剣の一撃目で相殺し

「まだだっ!!」

二撃目は袈裟斬りで攻撃した!

「!!」

シルフィアの攻撃に気づいたアリアンロードは咄嗟に身体を傾けて回避しようとしたが

「うっ!?」

シルフィアが放った斬撃はアリアンロードの鎧の僅かな隙間を斬り、アリアンロードに傷を与えた!

「ハァァァァ………滅!!」

しかしアリアンロードは怯む事なく反撃にクラフト―――アルティウムセイバーを放った!

「くっ!?」

アリアンロードの攻撃を回避しようとしたシルフィアだったが、アリアンロードの武器はリーチのある槍であった為回避はできず、アリアンロードの強烈な一撃により強固な全身鎧の一部が破壊され、傷を負った!

「「……………」」

そしてお互い何も語らず静かな笑みを浮かべて見つめた後、再び常人には決して見えなく、さらに周囲にすざましい衝撃波を起こす激しい攻防を続けた!



「う、嘘!?あのシルフィア様と互角に戦っているなんて………!まさか教授以外の”使徒”はあの人みたいにとんでもなく強いのかしら………?」

(………なんちゅう強さや………総長でようやく互角………いや、下手をすれば総長以上かもしれんな………)

シルフィアとアリアンロードのすざましい攻防を見守っていたエステルは信じられない表情をし、ケビンは真剣な表情で見つめ

「………まさかただの人間がたった一人でシルフィアと対等に戦うとはな………”結社”の”使徒”の力………侮れんな。」

「この目で見ていても正直、信じられない思いですね………」

「へ~………以前戦った”闘神”もよかったけど、あっちの方がもっと面白く戦えそうね♪」

「そうね………それにしてもまさか”結社”にあれほどの者がいるとは………フフ、”本物”と相対し、戦う時が楽しみだわ。」

リウイは真剣な表情で見つめ、イリーナは驚きの表情で見つめ、カーリアンとファーミシルスは好戦的な笑みを浮かべて見つめていた。

「うふふ。確かにあの鎧の人は強いようだけど………部下の人達は大した事なかったみたいよ?」

その時レンは不敵な笑みを浮かべて呟き、ある方向を見つめた。

「へ?それってどういうこ………なっ!?」

レンの言葉を聞いて首を傾げたエステルはレンの視線の先――――ティファ―ナ達によって次々と討ち取られて行く”鉄機隊”の戦乙女達を見て驚いた。

「フフ、さすがはティファ―ナね。」

「ええ。”飛竜”に乗っていなくても変わらない強さ………さすがですね。」

その様子を見ていたラピスとリンは微笑み

「レーヴェ………よかった。傷を負っていなくて………」

「………さすがはかつて”執行者”の中でもNo.2を評されるだけはありますね。無傷で滅するなんて………悔しいですけど、あれほどの力を持つ相手に無傷で勝利なんて、あたしには難しいです。」

プリネは傷を負っていない様子のレーヴェを見て安堵の溜息を吐き、ツーヤは真剣な表情で呟き

「やれやれ………完全にいたぶって遊んでいるな、あ奴は。いつでも滅せられるなら、すぐに滅してやる事が慈悲というのにあの血に飢えた戦闘凶は………自分にとって大切な妹のプリネやレンの教育に悪い事があ奴はわからんのか?」

エヴリーヌの残虐な行為を見ていたリフィアは呆れて溜息を吐いた。

「”想念”の存在とはいえ、殺すなんてさすがにやりすぎやと思うねんけどな………そういえばさっきオレ達の道を阻んだ連中の戦いの時から疑問に思っていたけど、エステルちゃん、”殺し”をやっている事に何も言わへんの?エステルちゃんやったら、絶対何か言うと思っとったねんけどな………」

そしてケビンは疲れた表情で溜息を吐いた後、ある事を思い出して真剣な表情でエステルに視線を向け

「………そりゃ、あたしだって本音としてはすっごく言いたい事はあるけど………ラピスやリンの”王族”としての”覚悟”――――民の為に時には非情にならなければいけない”覚悟”やケルヴァン達とは絶対に相容れる事はない事も知っているから、リウイ達を責める事はできないわ………」

「「…………」」

視線を向けられたエステルは複雑そうな表情で答え、ラピスとリンは黙ってエステルを見つめていた。一方その頃、シルフィアはアリアンロードとのすざましい攻防によってできた傷を負いながらも、決して手を緩める事無く激しい攻防を続けていた。



「喰らうがいい………滅!!」

「!!」

自分の武器の攻撃範囲外から放ってきたアリアンロードのクラフト――――アルティウムセイバーに気づいたシルフィアは大きく後ろに跳躍して回避し

「マーズテリアよ……裁きを!贖罪の光霞!!」

「うっ!?」

さらに魔術を放ってアリアンロードを怯ませ

「参る!………貫け!!」

アリアンロードの様子を見た後、クラフト―――シュトルムランツァーで突撃した!

「荒ぶる神の雷よ………いざ、戦場に来たれっ!!」

しかしその時すぐに攻撃動作に移ったアリアンロードはクラフト―――アングリアハンマーによって起きた落雷の衝撃波を放った!

「っ!?まだだ!ハアッ!!」

落雷の衝撃波を受けたシルフィアは身体に伝わる痛みを無視して、突撃した事により至近距離まで近づいたアリアンロードにシュトルムランツァーによる突撃をしながら闘気を溜め、連携して放ったクラフト―――アルティウムセイバーを放った!

「!?ぐっ………!」

落雷を呼び寄せる為に武器を天へと掲げていたアリアンロードはすぐに対処できず、シルフィアが放った剣技をその身に受け、鎧の一部が破壊されると共に大量の血を噴出させた!

「我が奥義………受けてみよっ!ハァァァァァ………!!」

そしてシルフィアは反撃を許さないかのようにSクラフト――――神極聖乱舞による激しい連撃を放った!

「ハァァァァァァ………!!」

対するアリアンロードも激しい連撃を放って対処していたが、血を多く失った事により動きが若干鈍くなり、全ては防ぎきれず、ダメージを受けると共にさらに血を噴出させたが

「止め!!」

「まだだっ!!」

シルフィアが連撃の最後に放った強烈な一撃に対し、すざましい闘気を込めた一撃を放って相殺すると共に、相殺した際に発生した衝撃波で自分もろともシルフィアを吹っ飛ばした!

「償いの道よ!今こそ顕れたまえ!」

そして吹っ飛ばされたシルフィアは剣に膨大な魔力や聖気を込め

「今こそ来たれ!裁きの雷よ!!」

アリアンロードは武器を天へと掲げ、武器の切っ先から発生している雷撃を溜めると共に頭上に戦場全体を轟かせるほどの雷が迸る雷雲を発生させ

「消え去れ!エクスピアシオン!!」

「空を断て!秘術!トールハンマー!!」

シルフィアがSクラフト―――エクスピアシオンによって発生した巨大な光の奔流を放つと同時にアリアンロードは空より裁きの雷を呼び寄せ、仇名す者を塵と化させる召雷術にしてSクラフト―――トールハンマーを放って、相殺した!相殺された技は戦場全体に轟音をたて、さらに地震を起こし、そして相殺された場所には巨大な穴が空いていた!

「「ハア、ハア………」」

互いの大技を相殺した2人は今までの戦闘による疲労で息を切らせていたが

(フフ………少し血を流しすぎましたね………次で全ての力を出し切り、終わらせる!)

アリアンロードは心の中で苦笑した後、決意の表情になってシルフィアを睨み

(マーズテリアよ………陛下達の道を切り開く力を私に………!)

シルフィアは一瞬目を閉じて祈った後、決意の表情になった後、アリアンロードと同時に武器を構え、そして―――



「さあ、耐えてみなさい!!ハァァァァ………!」

「さあ、行きますよ!!ハァァァァ………!」

2人同時に武器を天へと掲げ、自分の周囲に膨大な闘気や聖気が籠った竜巻を発生させた後解き放ち、解き放たれた竜巻はぶつかり相殺した!

「我は”鋼”!全てを断ち切る者!これで………終わりです!」

「陛下達の道は私が切り開く!これで………決める!」

そして2人は同時に武器に膨大な闘気や聖気を宿らせた後突撃の構えをし

「「聖技!」」

同時に突進し

「「グランドクロス!!」」

2人は同時にそれぞれの背後に駆け抜けた!するとその時、シルフィアの脇腹の部分の鎧が砕け散ると共に大量の血を噴出させ、アリアンロードには膨大な聖気や闘気が込められた十字架が刻まれ、全身から大量の血が噴出し、鎧を真っ赤に染め、そして

「くっ………」

シルフィアは呻きながらも剣を構え直し

「見事です………さあ………先へとお進みなさい………我が生涯に………悔いはなし………!」

アリアンロードは満足げな笑みを浮かべて地面に倒れて絶命し、そして光と共に消滅した!



「あ………」

「か、勝ったんか………?」

「………まさか”鋼の聖女”を一人で討ち取るとは………」

2人の一騎打ちの勝敗を見守っていたエステルとケビンは呆け、レーヴェは驚きの表情でシルフィアを見つめ

「――――ティナ!ペテレーネ!今すぐシルフィアに治療を!」

「「はいっ!!」

リウイは大声でティナとペテレーネに指示をし、指示をされた2人は頷いた後シルフィアに駆け寄って治癒魔術をかけ始め、リウイは仲間達と共にシルフィアに近づいた。

「………見事だ。あれほどの強敵をたった一人でよくぞ勝利した。」

「うむ!さすがは”メンフィルの守護神”と称えられるシルフィア様じゃ!」

「………お褒め頂き光栄です、陛下。それとリフィア。メンフィルの次代を継ぐ貴女の祖母として私の”誇り”を見せられてよかった……」

リウイとリフィアの賛辞を聞いたティナとペテレーネに治癒魔術をかけ続けられているシルフィアは2人に微笑んだ。

「それにしても先ほどの女性は何者だったのかしら………?”軍神”の加護が宿る鎧を砕くなんて………」

「………少なくとも、先ほどの女性は普通の”人間”ではないのでしょうね………」

一方エリザスレインとセラウィは真剣な表情でアリアンロードが消滅した場所を見つめて考え込み

「ねえ、レーヴェ。さっきの”蛇の使徒”――――アリアンロードを知っているようだったけど………何者なの?」

エステルは真剣な表情でレーヴェを見つめて尋ねた。

「――――”鋼の聖女”アリアンロード。”身喰らう(ウロボロス)”の第七柱にして、結社最強の人物と言われるほどの人物だ。………彼女が剣を持っての戦いで俺が全ての力を出してもようやく同等に戦えたほどの強さを持っている。」

「け、剣!?でもさっき、槍で戦っていたわよね!?」

「”剣帝”が本来の得物でない武器での戦いをする相手にようやく互角て………どんな化物やねん!?」

「……加えて先ほど俺達が戦った彼女が率いる独自の部隊―――”鉄機隊”の戦乙女達は一人一人”執行者(レギオン)”の力に値する。」

「う、嘘!?」

「はあ………勘弁してほしいわ………まさか”結社”にそれほどの戦力がいるなんて……」

レーヴェの情報を聞いたエステルは驚き、ケビンは信じられない表情で叫んだ後、疲れた表情で溜息を吐いた。

「……エステル・ブライト。”結社”に立ち向かい続けるのなら心しておけ。”結社”に立ち向かい続ければいずれ”鋼の聖女”達と剣を交える事になるだろう。」

そしてレーヴェは冷静な表情で目を細めてエステルを見つめて忠告し

「……うん。忠告、ありがとう。いつか戦う日が来てもいいようにヨシュアとミントと一緒にもっと強くなるわ!」

忠告されたエステルは真剣な表情で頷いた後、笑顔を見せた。

「ウィル。シルフィアの鎧の修復は可能か?」

一方エステルとレーヴェが会話している中、リウイはシルフィアが装着している所々破損した鎧を見た後、ウィルに視線を向けて尋ねた。

「その前に状態をよく調べないと………シルフィアさん。鎧を貸してもらっても構いませんか?」

「はい。お願いします。」

「ありがとうございます………うん、大丈夫。今持って来ている材料でなんとかなりそうだ。」

シルフィアに渡された鎧の状態と自分の手持ちを調べたウィルは頷いて言った。

「そうか………ならば今すぐに修復を頼んでもいいか?この”試練”で待ち受けている”守護者”との戦いに破損した鎧で戦わせるわけにもいかないしな。」

「お安い御用だよ。ちょっとだけ時間がかかるから、みんなはその間に休憩をしていて。」

そしてリウイの頼みに力強く頷いたウィルは鎧の修復をはじめ、リウイ達は休憩をした。その後修復を終えた鎧をシルフィアは再び装着し、リウイ達と共に探索を再開し、探索を続けると一人の亜人が誰かを待つように目を閉じて、立っていた。



「――――来たか、リウイ。」

リウイ達の気配を感じた亜人は閉じていた目を開けてリウイを見つめ

「え………ま、まさかあの人って………!」

「そ、そんな………貴方は!?」

「………………」

(馬鹿な!?まさか貴様まで現れるとは!)

亜人を見たエステルとラピスは信じられない表情をし、エヴリーヌは呆けた表情をし、リフィアの身体の中にいたディアーネは驚き

「う、嘘でしょう!?」

「………驚きましたわ。このような形で再び貴方と邂逅する事になるとは夢にも思いませんでしたわ………グラザ様。」

カーリアンは驚きの表情で叫び、ファーミシルスは驚いた後口元に笑みを浮かべて亜人――――リウイの父であり、エヴリーヌ、ディアーネ、カファルーと同じ”深凌の楔魔”第四位の魔神―――グラザに会釈をし

「え!」

「なんじゃと!?」

「あの方が………グラザ様………!」

グラザの名を聞いたイリーナ、リフィア、プリネは驚き

「リ、リウイ様………!」

ペテレーネはグラザを驚きの表情で見つめた後、リウイに視線を向け

「…………父上……………」

リウイは驚きの表情で目を見開いて呟き、グラザを見つめていたが

「………フッ。なるほど………”試練”を受ける俺にとって最も相応しい相手を出してきたか、”影の王”………!」

すぐに状況を思い出して、不敵な笑みを浮かべてグラザを見つめた後、グラザに近づき

「……………ずっと疑問に思っていた………ケルヴァンの謀があったとはいえ何故、貴方はガーランド如きに討ち取られたのか………と。その疑問がようやく解ける………父上。何故、貴方は本気を出さなかったのです?魔神である貴方が本気を出せばあのような者、容易に返り討ちにできたはず!」

静かな表情で呟いた後、真剣な表情でグラザを見つめて叫び

「………その答えを知りたければ、私に打ち勝つ事だ、リウイ。」

グラザは静かな表情で答えた後、異空間から剣を出して構え

「構えろ、リウイ。………あの泣き虫だった男の子が本当に成長したのか………父として……確かめさせてもらう。」

全身から膨大な魔力や闘気をさらけ出し、そして詠唱をした。するとリウイとグラザを中心にドーム型の結界が展開された!

「………いいでしょう。もう俺はあの頃の俺ではなく………”闇夜の眷属”を率いる”王”である事を貴方に知ってもらう!」

対するリウイは不敵な笑みを浮かべた後、全身から膨大な覇気や闘気、魔力をさらけ出し、鞘から細剣を抜いて決意の表情で細剣の切っ先をグラザに向けて叫んだ!

「全身全霊を持って挑まさせてもらう!父上っ!」

「来い、リウイ!」



こうしてリウイは”深凌の楔魔”第四位の魔神にして父―――グラザとの一騎打ちの戦闘を開始した………!










 
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