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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第88話

~狭間の宮殿~



神々の牢獄にして処刑場――――”狭間の宮殿”。そこは処刑された神々が遺した怨念によって生み出された強力な魔獣、不死者、霊体、創造体(ゴーレム)、そして先代文明より遺されている魔導人形―――現れる敵達はどの敵も強敵揃いで出会えば苦戦は必須の敵達であった為、セリカ達は協力して、戦っていた。

「雷光!紅燐剣!!」

「喰らえ!白露の鎌撃!!」

「行っくよ~!それっ!!」

「ふふーん……乱れ斬り!!」

「ハァァァァ……旋雷輪!!」

最前線ではセリカ、リタ、ペルル、マリーニャ、エステルが戦い

「道を切り開くわ!贖罪の光霞!!」

(罪を裁く雷よ……顕れよ!贖罪の雷!!)

「最高の位置!ユン=ステリナル!!」

「セリカ様……!御力を……!セナケリプの雷!!」

「消えるのじゃ!二つ回廊の轟雷!!」

「えーい!イオ=ルーン~!!」

「きらーん……滅びの暗礁壁………」

後方からはサティア、パズモ、エクリア、シュリ、レシェンテ、サリア、ナベリウスが次々と魔術を放って敵達を薙ぎ払って行き

「あぁぁぁ、美しい!二連制圧射撃!!」

「そらっ!まだまだあるで!!」

エクリア達が魔術を放ち終え、次に放つ魔術の詠唱を開始し始めると今度はアムドシアスが矢を雨のように降り注がせ、ケビンはボウガンから矢を次々と放って敵達を怯ませた。

「………!」

順調に敵達を倒していたセリカだったが、それでも敵の攻撃は激しく、傷を負ってしまい

「クッ……!?」

”霊体”であるリタも敵達の多種多様の攻撃を受けて、傷を負い

「いやー!?」

「あう!?」

マリーニャとエステルは敵の攻撃の激しさに耐えきれず、大ダメージを受けて吹っ飛ばされた。



「…………」

吹っ飛ばされたマリーニャ達に気づいた魔導人形達は止めを刺すかのように一斉に魔導エネルギーを放った!

「やばっ!?」

「クッ……!」

敵の一斉砲撃に気づいたマリーニャとエステルは回避行動に移ろうとしたが、まだ回復しきっていない身体はうまく動けず、焦ったその時!

「ハアッ!!」

セリカはマリーニャの前に飛び込んで膨大な魔力や闘気を込めた(ハイシェラソード)でエネルギーを切り裂き

「やらせない!」

サティアはエステルにドーム型の結界を貼って攻撃を防ぎ

「皆さん!今、回復します!大いなる癒しの風!!」

「我が美しき調べ……とくと聞くがいい!!」

「今、助けたる!そらっ!!」

シュリとアムドシアス、ケビンがそれぞれ治癒の魔術や技を放って、セリカ達の傷を回復した。シュリ達の行動を見た魔導人形達はシュリ達に目標を変えて、エネルギーを溜め始めたが

「させるか!レイ=ルーン!!」

「シュリお姉様達に酷い事をしないで下さい~!レイ=ルーン!!」

「隙は見逃しません!レイ=ルーン!!」

レシェンテ、サリア、エクリアが高出力の純粋魔術を次々と放って魔導人形達を破壊して行き

「セリカ達………攻撃した……ムカ………深淵の暗礁壁………!!」

ナベリウスはSクラフトを放ってセリカ達を攻撃した敵達を塵も残さず滅し

「ボクだってセリカ達を守るんだから!……それっ!!」

ペルルは魔術―――淫魔の魅惑を放って、敵達の一部を混乱させて同士討ちをさせ

(嵐よ!我等に加護を!嵐の聖域!!)

パズモは”嵐”の力によって自分達に魔法攻撃、魔法抵抗、身体能力を上昇させる魔術―――嵐の聖域で仲間達の能力を上昇させ

「お返しです。玄武の地走り!!」

「行けっ!圧縮溺水!!」

リタとエステルはそれぞれ遠距離攻撃を放って反撃を開始し、2人に反撃された敵達は2人に向かって攻撃行動を移ろうとしたが

「遅いっての!!」

マリーニャが神速で駆け抜けながら次々と敵の急所をついて、滅して行き

「消沈の竜巻!!……セリカ!」

サティアは竜巻を発生させて敵達を怯ませた後、セリカに呼びかけ

「雷光!身妖舞!!」

サティアの呼びかけに応えるかのようにセリカは敵達に飛び込んで攻撃し、滅した!敵達は全滅したかのように思われたが、再び魔法陣が次々と現れ、今度は霊体や不死者の軍団が現れた!



「あ~もう!倒しても倒してもキリがないじゃない!―――来て、ニル!!」

「しかも現れる奴等、みんな上級クラスやから倒すのも一苦労や言うのに……それらを苦も無く倒している人たちを見ていると、ホンマ見た目は同じでも完全に人外なんがつくづく感じるな……」

新手に気づいたエステルは溜息を吐いた後不死者や霊体に対して効果的な攻撃を多彩に持つニルを召喚し、ケビンは溜息を吐いた後セリカ達に視線を向け

「……どれだけの者達が道を阻もうと切り開く。……それだけだ。殲鋼!双肢乱!!……沙綾!紅燐剣!!……枢孔!紅燐剣!!」

セリカは次々と最高位の飛燕剣を放って、敵達を薙ぎ払い

「怯むな!どれだけ現れようとわらわやセリカがいる限り、敵はない!メル=ステリナル!!」

「忌まわしきこの力……セリカ様達の為に振るいます!ユン=ステリナル!!」

「美しき我が調べ……再びこの宮殿にて奏でよう!ケルト=ルーン!!」

(私の大好きな人達は……みんな守る!二つ回廊の轟雷!!)

「主は変われど、今でもニルは貴方の”守護天使”でもあるわ、セリカ!贖罪の聖炎!!」

レシェンテは叫んだ後最高位の炎の魔術を払って敵達を焼き払い、レシェンテに続くようにエクリア、アムドシアス、パズモ、ニルが次々と高位の魔術を放って敵達を薙ぎ払い

「例えどれほど険しい道のりでも進むだけ。……それが私とセリカの”試練”だから。………アルテミスの祝福!!」

「そしてそんなお二人を支え、お二人を再会させる切っ掛けを作って頂いた皆様を守るのがセリカ様の”使徒”である私達の役目!魔力付与拡大!!」

サティアは決意の表情で呟いた後魔術で仲間達の能力を上昇させ、シュリは激戦によって失われた仲間達の魔力を回復し

「勿論、”元”とはいえセリカの使い魔であったボク達も同じ気持ちだよ!超!ねこ、パ~ンチ!!」

「ええ!例え契約を解除しても貴方は私達にとって永遠の主です。………氷垢螺の絶対凍結!!」

「私達………セリカ………好き……だから………二つ回廊の轟雷………!!」

ペルルはクラフトを放って一際大きい霊体を一撃で滅し、リタは魔術で敵達を凍らせた後、ナベリウスが電撃の魔術を放って凍っている敵を砕き

「それが”神殺し”であるご主人様を支えると決めたあたし達の役目!それっ!!」

マリーニャは懐から短剣を数本出して、魔術の詠唱を始めた不死者達の喉元に狙って放ち、詠唱を妨害し

「サリアの大好きな人達に酷い事をするのは許しません~!出てきてくださ~い!」

サリアはシュヴェルトライテを召喚し

「フン……まさか我がこの宮殿に来る日が来るとはな……ハァァァァァァ!!」

召喚されたシュヴェルトライテはクラフト―――五連聖印突を放って大勢の敵達を滅した後

「……まさか”人”の手によって我が主神の”神槍”を再現するとはな……………”人”に無限の可能性があると聞いたことがあるが……我はそんなことはありえないと思っていたが……この”神槍”を見ると真実に思えてくるな………―――行くぞ。」

自分が手に持っているウィルによって強化され、”神槍”となった槍―――グングニルを静かに見つめて呟いた後神槍を構え

「貴様らに逃げ場はないぞ……!」

グングニルを投擲した!投擲されたグングニルはなんと3本に分身し、敵達の周りを飛び回りながら攻撃して、元の一本に戻ってシュヴェルトライテの手に戻り、さらにすざまし聖気が籠った巨大な槍が3本異空間から召喚され、敵達を貫き

「神技!」

そこにグングニルに膨大な神気を込めたシュヴェルトライテがグングニルを投擲した!

「スピリチュアルランサー!!」

すると投擲されたグングニルは超越した光の大爆発を起こし、敵達を塵も残さず消滅させ、さらに!

「その身に刻め!」

神槍で斬りや突きを混ぜた連続攻撃を行った後、最上級の霊体―――魂の狩人を空高くへと打ち上げ

「神技!ニーベルン・ヴァレスティ!!」

Sクラフト―――ニーベルン・ヴァレスティで滅し、さらに光の爆発によって起きた余波によって近くにいた不死者や霊体達をも滅した!



「ハ、ハハ……それにしてもまさか本物の”戦乙女”の力を何度もこの目にする時が来るとは思わんかったわ……何度見ても、なんちゅうか……すざましいとしかいいようがないな………」

「いいな~。翼がある人達は空を自由に飛べて。」

シュヴェルトライテが続けて放ったSクラフト―――スピリチュアルランサーとニーベルン・ヴァレスティの破壊力を見たケビンは表情を引き攣らせて乾いた声で笑い、エステルは自由に飛び回って戦っているシュヴェルトライテやニルを羨ましそうな様子で見つめていた。

「……お前ならできるぞ。」

「へ?それってどういう事??」

その時、セリカがエステルに近づいて来て静かに呟き、セリカの言葉を聞いたエステルは驚いてセリカに視線を向けて尋ねた。

「……天使と契約しているのなら、天使の力で光の翼を自分の背に宿らせ、飛ぶことは可能だ。」

「……それ、本当?」

そしてセリカの説明を聞いたエステルは目を輝かせて尋ね

(うむ。エステル嬢ちゃんが契約している天使―――ニルに頼めば、可能だの。ほれ、ちょうどサリアが手本を見せるようだの。)

「へ……?」

ハイシェラの念話を聞いたエステルはサリアに視線を向けた。すると

「シュヴェルトライテ~。貴女の光の翼の力を貸して下さいです~。」

「……いいだろう。」

サリアの呼びかけによってシュヴェルトライテはサリアの召喚石に戻った。すると

「本気で行きますです~!」

サリアの背に光の翼が現れ、そしてサリアは翼をはばたかせて天高くへと上昇し

「シャイニング・バインド~!!」

聖光の柱を雨のように降り注がせて、自分の周囲にいる敵達を薙ぎ払った!

(サリアが先ほど手本を見せたように、嬢ちゃんも同じ事をしてみるといいだの。)

「わかったわ!…………ニル!ちょっといい!?」

「?何、エステル。」

ハイシェラの念話を聞いたエステルはニルを呼び、呼ばれたニルは首を傾げてエステルに近づいた。

「貴女の力であたしに光の翼を宿らせることって可能なの?」

「ええ。………もしかして飛行したいの?」

「うん!」

「わかったわ。ちょっと待ってね。」

エステルに尋ねられたニルは頷いた後エステルの身体に戻り

(光よ……かの者に大空を翔る翼を!)

エステルに光の力を与えた!するとエステルの背から一対の輝く光の翼が現れた!



「んなっ!?」

エステルの背に現れた光の翼を見たケビンは驚き

「わあ……!よ~し!早速飛ぼうっと!!」

エステルは自分の背に宿った光の翼を見て輝かせた後

「集え!砕氷!………奥義!」

棒を仕舞って、神剣を鞘から抜いて近くにいた敵を何度も斬撃で攻撃した後打ち上げ、さらに片手から魔力によって創った氷の球体を打ち上げた敵に放った!すると氷の球体に命中した敵は空中で凍結し

「たあっ!!」

エステルは翼をはばたかせ、大空へと跳躍し

「ニーベルン・ヴァレスティ!!」

敵の頭上から強襲して氷漬けになった敵を真っ二つに斬った!すると凍結した敵は氷ごと砕かれ、バラバラになって滅された!

「エ、エステルちゃん………マジでただの人間か?もうここまで来たら、エステルちゃんは人間とは別の”何か”の存在にしか見えへんねんけど……」

「あはは………細かい事は気にしないで、ケビンさん!……けど、これで空中戦もできるようになったわね!よ~し!行くわよ~!」

シュヴェルトライテが放ったSクラフト―――ニーベルン・ヴァレスティを自己流に改良して放ったSクラフト―――ニーベルン・ヴァレスティを見たケビンは表情を引き攣らせ、ケビンの言葉を聞いたエステルは苦笑した後翼をはばたかせて、空へと舞いあがり上空から魔術や遠距離攻撃を放つクラフトを放ち、さらに縦横無尽に飛び回って敵に強襲し、反撃を受けにくい戦い方をした。その後セリカ達は協力して敵の軍勢を全滅させて一息ついた。

「えへへ……後でヨシュア達にも教えようっと!きっとびっくりするだろうな~。」

(ア、アハハ………”きっと”ではなく”絶対”驚きますよ………)

(フッ………)

戦闘が終了し、念話でニルに指示をし、光の翼を消したエステルは口元に笑みを浮かべて呟き、エステルの呟きを聞いたテトリは表情を引き攣らせて苦笑し、サエラブは静かな笑みを浮かべていた。その後ケビン達が探索をし続けると、全身をローブで纏ったやせ細った怪しげな老人がいた。



「ひ、ひぃぃぃぃ………やっと………み、見つけた………女神だ。私が探してた女神だぁぁあ!……戦場を舞い、唯一人、で、神々に立ち向かった神殺しよ……永遠の美しき女神よ……!」

老人は全身に禍々しい気を纏い、セリカを狂信的な目で見つめて、皺枯れた声で叫んだ。

「貴様は………!」

「そ、そんな!?お師範様……!」

(ペルル………)

老人を見たアムドシアスは老人を睨み、ペルルは驚きの表情で見つめ、パズモは辛そうな様子でペルルを見つめ

「……やはり貴様も蘇っていたか、アビルース。」

(フン。”想念”によって影響されるこの世界で貴様が蘇った所で驚きもせん。セリカよ、とっとと斬り捨ててしまえ!)

セリカは静かに呟き、ハイシェラは鼻を鳴らした後、セリカに指示をした。

「おお………!め、女神が2人いる………!全部、全部……私のものだぁぁあ………!」

「………………」

一方老人―――アビルースはセリカの隣にいるサティアに気づき、狂信的な目でサティアとセリカを見回して叫び、その様子をサティアは動じることなく静かに見つめていた。

「お師範様!ボク達が目指した”闇夜の眷属”達が平和に生きていける国は見つかったよ!だからもう、セリカ達の事を諦めて!」

するとその時ペルルは辛そうな表情でアビルースを見つめて叫んだが

「あぁぁっ、煩い!黙れ、鳥もどき!私は諦めない……神の身体を手に入れるまでは……腐海の大魔術師…………は、はははっ!」

アビルースはペルルを睨んで叫んだ後、狂信的な笑みを浮かべ続け

「く、狂っている………」

「やれやれ………まさかあの”教団”を超える狂信的な奴がいるとは思わんかったわ………」

その様子を見ていたエステルは信じられない表情で見つめ、ケビンは溜息を吐いた後目を細めてアビルースを睨み、セリカ達と共に武器を構えた!

「抵抗するか………抵抗するんですね!そうでなければ奪い甲斐がないというものですよ。貴女は、世界を覆す力を持った女神なのですから!何百年だろうと追い続け、この私のものになる者。は、ははは!いいですよ………力づくでその女神の身体、奪ってあげましょう!」

武器を構えたケビン達を見たアビルースは叫び腕を振るった。すると無数の異形の生物たちが現れた!

「違う!セリカや私にそんな力はないわ!私の力は………!」

アビルースの叫びに対し、サティアは叫び返したが

「やめておけ、サティア。奴には何を言っても無駄だ。それに奴は俺達の身体を狙う為に多くの人々の運命を弄んだ。……俺達の”約束”に奴は必ず障害となる存在。―――行くぞ。」

「セリカ……………うん。」

セリカの言葉を聞き、頷いた後



「――星芒より出でよ、”天秤の十字架(リブラクルース)”!!」



異空間から”天秤の十字架(リブラクルース)”を召喚し

「我が名は、正義の大女神アストライア!……堕ちた人よ………これより重ねた罪を我が天秤により裁きましょう。」

”天秤の十字架(リブラクルース)”を構えて静かに呟いた。

「……貴様との因縁も今度こそ終わりだ、アビルース………!」

そしてセリカは仲間達と共にアビルース達に向かって行き

「ひひぃぃっ、そう、貴方の相手は私です………さあ、私の元へ……その美しき身体を捧げるのです!」

向かって行くセリカをアビルースは凝視して叫んだ!



こうしてケビン達は”腐海の大魔術師”アビルース・カッサレ達との戦闘を開始した…………!


 
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