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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第61話

~オーロックス峡谷~



「……完全に気絶しているな。」

「去り方もIBCの時と同じだね。」

「全くよ。色々な意味で全然進歩していないわね。」

地面に倒れているセレスタンの状態を確認したアルゼイド子爵は静かな表情で呟き、その様子を見て呟いたエヴリーヌの言葉を聞いたレンは呆れた表情で頷いた。

「何とかこの場は凌げたけど、厄介な事になったわね……」

「ああ……貴族連合の残党がリベールに侵攻をすれば、例えどのような理由であれ、リベールからすればエレボニアによる侵略行為になるから、ユミルの時みたいに最悪はリベールと戦争状態に陥ってしまう……!それだけは何としても防がないと……!」

「せめて貴族連合の残党のリベール侵攻がエレボニアの総意ではない事をリベールが前もって知っていれば、戦争にまでは発展しないと思いますが……」

ヴァリマールから降りたセリーヌの言葉にリィンは真剣な表情で頷き、同じようにヴァイスリッターから降りたエリゼは真剣な表情で考え込んでいた。



「―――兄上!皆さん!」

「皆さん、ご無事ですか!?」

するとその時カレイジャスを近くに停泊させたセドリック皇太子がアルフィン皇女達と共にリィン達に近づいてきた。

「姫様!?」

「そ、それにトワ会長達やパント卿達も……!」

自分達に近づいてきたセドリック皇太子達を見たエリスとエリオットはそれぞれ驚いた。



「みんな、お疲れ様。」

「よかった……みんなが無事で……」

「フフッ、”Ⅶ組”のみんなもそうだけど、他のみんなも本当によく頑張ったよ。」

「私達の助力無しで貴族連合の残党を食い止める話を聞いた時は当初不安でしたが、杞憂に終わって何よりですわ。」

「ええ。さすがは”獅子心皇帝”の意思を継ぐ若き獅子達ですね。」

ジョルジュとトワ、アンゼリカはそれぞれリィン達を労い、シグルーンとルイーズは微笑んだ。

「デュバリィ達も彼らと共によくぞ耐え抜いてくれました。私の代わりに彼らと共に貴族連合の残党を喰い止めた事……本当にありがとうございました。貴女方は私の”誇り”です。」

「マ、マスター……!私達も私達の”主”がマスターである事が誇りですわ!」

「マスターにそう言って頂けるとは、光栄です!」

「フフ、それに私達はマスターにお仕える身として当然の事をしたまでです。」

リアンヌに労われたデュバリィは感激し、アイネスとエンネアはそれぞれ明るい表情で答えた。



「厳しい戦いに勝利してお疲れ様……と言いたい所だが、その様子では何かあったようだね?」

「え…………あ……エリス、一体何があったの?」

それぞれ重苦しい空気を纏っている事を指摘したパントの言葉に呆けたアルフィン皇女は不安そうな表情をした後エリスに尋ねた。

「そ、その……姫様、セドリック殿下。お二人ともお気を確かにして聞いて下さい――――」

そしてエリスはリィン達と共に事情を説明した。



「そ、そんな……ようやく内戦が終結し、メンフィル・クロスベル連合の侵攻を中止する事ができたのに、今度はリベール王国と戦争になるかもしれないなんて……」

「リベールのアリシア女王陛下は”不戦条約”を提唱した事からして恐らく他国との外交問題が発展した際”戦争”をできる限り避け、話し合いで外交問題を解決する傾向だと思われる為、幾ら貴族連合の残党がリベールに侵攻したとしてもすぐにはリベールと戦争状態に陥らないと思うのですが……」

「で、でも……”百日戦役”の件があるし、幾ら女王陛下が戦争に反対していても、周りの人達の反応を考えればわからないよ……?」

「”百日戦役”でエレボニアはリベールに多くの被害をもたらしたからね……」

事情を聞き終えた後悲痛そうな表情をしているアルフィン皇女にアンゼリカは自身の推測を答え、トワとジョルジュはそれぞれ不安そうな表情で考え込み

「―――例えリベールと戦争にならなかったとしても、謝罪は当然として賠償もする必要があるだろうね。」

「ただでさえメンフィルへの賠償やエレボニアの復興の為にエレボニアから多くの財産が失われる事になるんだから、これ以上の賠償は防がないと幾ら”救済条約”で多額の金を受け取っても、将来的に考えればエレボニアの財政は不味い事になるんじゃねぇのか?」

「それにリベールに賠償することになったとしても金銭だけで済めばまだいい方よね……」

「そうですね……ただでさえエレボニアは”百日戦役”の賠償もしていませんから、恐らく金銭だけで済ます事は難しいでしょうね。」

「……最悪はメンフィルの時のように半分以上も削り取られたエレボニアの領地の一部をリベールに贈与する事になるかもしれんな。」

「パント卿。何かいい案はないでしょうか……?」

オリヴァルト皇子とトヴァル、プリネとツーヤ、そしてユーシスのそれぞれの推測を聞いて辛そうな表情をしていたセドリック皇太子は懇願するかのような表情でパントを見つめた。



「………………まず一つは貴族連合の残党がリベールに侵攻する前にエレボニア皇族がアリシア女王陛下、あるいはクローディア王太女殿下に事情の説明をする必要があります。貴族連合の残党がリベールに侵攻する前に事情をリベールが知っていれば、少なくても戦争に発展する可能性を大きく減らせます。ただしヨアヒム・ギュンターの発言を考えれば今から約3時間以内に実行する必要がある上、リベールの王族の方達だけでなくリベール王国政府も納得させる為にもアリシア女王陛下やクローディア王太女殿下と個人的に親交のあるオリヴァルト殿下だけでなく、現エレボニア皇帝であるユーゲント陛下か皇位継承権を持つセドリック殿下やアルフィン殿下の説明も必要になるかと思われます。」

「という事は兄上だけでなく僕達か父上もリベールに向かう必要があるという事ですね。父上達はメンフィルに対する保証の為に現状バリアハートから動けない状況ですから、僕達が行くべきですね。」

「当然わたくしもエレボニアとリベールが戦争にならない為にもお父様達の代わりにリベールに向かいますわ!」

「問題は3時間以内に殿下達をリベールに送り届ける”手段”だが……」

「―――カレイジャスでリベールに向かうべきかと思いますわ。カレイジャスが出せる最高速度でしたら、3時間以内でリベール王国の王都グランセルの到着は容易に可能ですわ。」

「そうね……トリスタからルーレまで1時間くらいで行けるカレイジャスならリベールまでもすぐに行けるわね……!」

パントの説明を聞いたセドリック皇太子とアルフィン皇女がそれぞれ決意の表情で答えるとアルゼイド子爵は真剣な表情でカレイジャスを見つめ、アルゼイド子爵に続くように答えたシャロンの話を聞いたアリサは真剣な表情で呟き

「フム……他は何をすればいいのかな?」

オリヴァルト皇子は納得した様子で頷いた後続きを促した。



「二つ目はパルムに駐屯している正規軍に連絡して彼らをハーケン門方面に進軍させ、リベールに侵攻しようとする貴族連合の残党を貴族連合の残党を操る術者であるヨアヒムを討伐するまで喰い止める事です。勿論ハーケン門に駐屯しているリベール軍にも前もって連絡や説明をする必要はありますが。」

「……問題はパルムに駐屯している部隊だけで貴族連合の残党を喰い止められるかどうかですね。」

「それに肝心のヨアヒムを討たない限り、貴族連合の残党は例えどれだけ傷つこうとも戦闘を続けるでしょうね。」

パントの話を聞いたシグルーンとサラ教官はそれぞれ厳しい表情で考え込み

「ねぇねぇ、クレア~。ヨアヒムの居場所はまだ判明していないの~?」

ミリアムは真剣な表情でクレア大尉に尋ねた。



「―――いえ、ヨアヒム・ギュンターが潜伏していると思われる居場所は既に判明しています。」

「ほ、本当ですか!?」

「―――まさか僅か一日でかつては西ゼムリア大陸の国家が血眼になって探した”D∴G教団”の居場所を探り当てるなんて、さすがは”鉄血宰相”直属の”情報局”ね。」

「それでヨアヒムはどこにいるの?」

クレア大尉の口から語られた驚愕の事実にマキアスは驚き、クロチルダは情報局の手際に感心し、フィーは真剣な表情で尋ねた。

「―――ジュライ特区郊外にあるかつての”D∴G教団”の”ロッジ”――――”ジュライロッジ”の付近の森にカイエン公の専用艇が乗り捨てられてあった事や更に”ジュライロッジ”に大人数の人間達が入った痕跡を情報局が確認しました。以上のことからして恐らくヨアヒム・ギュンターは”ジュライロッジ”に潜伏していると思われます。ただ入口は巨大な門で堅く閉じられている為、潜入調査は断念したとの事ですが……」

「”ジュライ特区”という事は……!」

「……クロウの故郷か。」

「クロウ…………」

「………………」

「そ、それにカイエン公の専用艇も停泊していたという事はパトリックさん達もその”ジュライロッジ”という所にいる可能性は高いですわよね?」

「ええ……そして恐らくパトリックさん達同様幽閉の身になったカイエン公もそこにいるのでしょうね……」

クレア大尉の話を聞いたラウラは目を見開き、ガイウスとリィン、クロチルダは複雑そうな表情をし、セレーネとエマはそれぞれ不安そうな表情をしていた。



「―――リーヴェルト大尉。ジュライ特区の郊外にヨアヒムが潜伏していると言っていたが、ジュライ特区内に異常はないのか?」

「それが……現在のジュライ特区内は貴族連合の残党どころか、悪魔や魔獣達も徘徊しているとの事です。そのお蔭で早期にヨアヒムの居場所を判明できたとの事ですが……」

そしてレーヴェの質問に対し、クレア大尉は重々しい様子を纏って凶報をその場にいる全員に伝えた。


「そ、そんな……!?」

「外道が……!何の罪もない市民達まで人質に取ってまで、その”御子”とやらをその手にしたいというのか!」

「故郷がそんな状況になっているのに、どうしてクロウは”D∴G教団”に力を貸しているんだ……?」

「……あくまで推測だけど”グノーシス”を使った影響で、正常な判断能力を失っているからかもしれないわね。」

「実際例のクロスベル襲撃事件の前に”ルバーチェ”の誘いで”グノーシス”に手を出した市民達は全員、性格が変貌して正常な判断能力を失っていたらしいからその可能性は十分に考えられるな。」

クレア大尉の話を聞いたトワは悲痛そうな表情をし、ユーシスは怒りの表情をし、不安そうな表情をしているジョルジュの疑問にサラ教官とトヴァルはそれぞれ答えた。



「クロチルダさん、クロウは”グノーシス”の危険性についてわかっていて”グノーシス”に手を出したのでしょうか……?」

「私自身は”D∴G教団”や”グノーシス”についてクロウに教えた事は無かったけど、例のクロスベル襲撃事件は世間にも公表されていて、その時に”グノーシス”の効能や危険性も公表されたわ。だから当然クロウも”グノーシス”の危険性については知っているはずよ。」

「……という事は危険性を知っていてなおその薬物に手を出してクロウがそんな事になったのはクロウの”自業自得”でもあるということか。」

「クロウ様は一体何を考えて”グノーシス”に手を出し、ヨアヒム・ギュンターと手を組まれたのでしょうね……?幾ら誘拐されたパトリック様達の為とは言え、リィン様達と違い、それ程親交のない学生の方達の為にそこまでの危険を犯す事には少々違和感を感じますわ。」

「……奴の真意は気にはなるが今は”D∴G教団”に占拠されたジュライ特区だ。ジュライ特区内の市民達はどうなっている!?」

リィンの質問に重々しい様子を纏って答えたクロチルダの説明を聞いたアンゼリカは複雑そうな表情で呟き、シャロンが呟いた事を静かな表情で答えたナイトハルト少佐は厳しい表情で尋ねた。



「情報局の調べによると市民達は家や建物に避難し、難を逃れているとの事です。幸いにも貴族連合の残党や悪魔達は建物には突入していないとの事ですから、恐らく市民の中からまだ被害は出ていないかと思われます。」

「最悪の事態に陥っていなくて何よりですね……」

「―――ですが、その状況がいつまで続くかわかりませんね。」

「ええ……世界各地から幼い子供を誘拐した挙句人体実験に使うという凶行を犯した狂信者達の一員なのですから、目的の為には手段を問わないでしょうね。」

「もしかしたらヨアヒムが言っていた『エレボニアは多くの犠牲を出す事』には貴族連合の残党や悪魔達によってジュライの市民達を蹂躙や虐殺するという意味も含まれているかもしれませんね。」

クレア大尉の話を聞いたエリスが安堵の表情をしている中、リアンヌやルイーズ、エリゼはそれぞれ厳しい表情で考え込んでいた。



「そ、そんな……それじゃあ最悪はジュライの人達が……!」

「カレイジャスならジュライにもすぐに到着できて、市民達の救助活動を行えると思うけど……」

「リベールとの戦争勃発を防ぐ為にも殿下達をカレイジャスでリベールまで送り届ける必要があるから少なくても殿下達をリベールに送り届けてからという事になるな……」

「―――ただ幾らカレイジャスと言えど今からリベールまで行ってその後にジュライまで行くとなるとさすがに3時間は厳しいと思うよ。」

リアンヌ達の推測を聞いたエリオットは表情を青褪めさせ、トワは複雑そうな表情でカレイジャスを見つめ、ラウラとアンゼリカはそれぞれ重々しい様子を纏って答えた。

「当然正規軍が3時間以内にジュライ特区に到着するなど不可能だ……貴族連合の旗艦であった”パンダグリュエル”のような大型の飛行艦ならば正規軍を丸ごと乗せてジュライに向かえば、移動時間を大きく減らせるが……」

「”パンダグリュエル”は以前のメンフィルによる大反撃でメンフィルに奪われ、メンフィル帝国の所属艦になったのですからメンフィル帝国の協力がない限りその案は不可能ですわね。」

ナイトハルト少佐の言葉に続くようにシャロンは静かな表情で答えた。



「…………あの……レン姫。ここにいる正規軍をパンダグリュエルでジュライ特区まで運んで頂くだけで構いませんので、どうか御力を貸して頂けないでしょうか?勿論、状況が落ち着いた後に”代償”も支払うつもりです。お願いします……!」

「セドリック………レン姫、わたくしからもどうかお願いします……!」

「フフ、二人ともこの内戦で見違える程成長したね。レンく―――いや、レン姫。どうかジュライ特区の民達を救う為にパンダグリュエルで正規軍を運ぶ事を取り計らって頂きたい。どうか、この通りだ……!」

レンを見つめて頭を下げるセドリック皇太子とアルフィン皇女を静かな笑みを浮かべて見つめたオリヴァルト皇子は真剣な表情でレンを見つめて頭を下げた。

「エレボニア皇族の皆さん直々に頭を下げてもらったんだからさすがに応えない訳にはいかないわね……と言いたい所だけど、悪いけどレンに”パンダグリュエル”に指示できる権限はないから、レンでは”パンダグリュエル”に正規軍をジュライ特区まで運ぶような指示はできないわ。」

「当然私もそんな権限は持っていません。申し訳ございません……」

頭を下げられたレンは疲れた表情で答え、レンに続くようにプリネは申し訳なさそうな表情で答えた。



「そ、そうなの!?」

「プリネはまだわかるけど、”殲滅天使”にまで”パンダグリュエル”の指示権を持っていないなんておかしくない~?確か”殲滅天使”って現メンフィル皇帝の代理なんだよね?だったら、”パンダグリュエル”の指示権も当然持っていると思うんだけど~。」

「口を謹んで下さい、ミリアムちゃん!」

二人の答えを聞いたエリオットは驚き、不満げな表情でレンを見つめるミリアムにクレア大尉は声をあげて注意した。

「レンがシルヴァンお兄様の代理権を持っていたのはみんなの前で戦争回避条約とかを提示した時までよ。だから今のレンでは”パンダグリュエル”に指示できないわ。指示をできるとすればパパかシルヴァンお兄様、後はリフィアお姉様ね。」

「あ、あの……”パンダグリュエル”を使わなくてもエヴリーヌ様やベルフェゴール様達の転移魔術でリベールかジュライ、どちらかに送ってもらうというのはどうでしょう?」

「そうか……!その手があったな!」

「しかも”殲滅天使”も含めて転移魔術ができる人が複数いるから、両方とも可能だね。」

レンの後に答えたセレーネの提案を聞いたマキアスは声をあげ、フィーは真剣な表情でレン等転移魔術ができる者達を見回し

「へえ?まさかそこに気付くなんてね♪」

「レンさん……その口ぶりだと気付いていて、黙っていたんですね……」

「え~……何でエヴリーヌ達がそんなめんどくさい事を。第一エヴリーヌはその”ジュライ”って所に行った事がないから転移できないし、リベールに転移したいんだったらバリアハートにある転移門を使えばいいじゃん。」

感心している様子のレンを見たツーヤは呆れた表情をし、エヴリーヌはめんどくさそうな表情で呟いた。



「バ、バリアハートの転移門……ですか?」

「そんなものがある話等今まで聞いた事はないが……まさかバリアハートをメンフィルが占領して以降に設置したものなのか?」

エヴリーヌが呟いた言葉を聞いたエマは戸惑い、ユーシスはプリネを見つめて尋ねた。

「はい。ユミルやケルディック同様バリアハートにも転移門が設置されてあります。ちなみに転移先はユミルとリベールのロレント郊外にあるメンフィル大使館です。」

「えっ!?」

「ユ、ユミルとまで繋がっているのか!?」

プリネの答えを聞いたエリスとリィンはそれぞれ驚いた。



「以前にも説明しましたがエレボニアと戦争状態に陥った事でユミルが最重要防衛地点とされた為ユミルにも設置されたとの事ですわ。」

「まあ、いずれクロイツェン州の統括領主になるシュバルツァー家の実家があるユミルとの移動をしやすくする為でもあると思うがな。」

「それは…………」

「………………」

「――――二人とも、俺に気を使う必要はない。それより今はリベールとの件だ。」

「確か”戦争回避条約”の”妥協案”にサインした時にメンフィル帝国領にある転移門の使用も許可するって言っていたから、今も使わせてもらえるんだよね?」

シグルーンとレーヴェの説明を聞いたリィンとエリスは複雑そうな表情でユーシスを見つめ、ユーシスは動じる事無く答え、ミリアムはプリネ達を見つめながら尋ね

「そ、そう言えばそんな話もあったな……」

「カレイジャスを使って活動していたオレ達は使った事が無いから、正直忘れていたな……」

ミリアムが呟いた言葉を聞いたマキアスは冷や汗をかき、ガイウスは苦笑していた。



「……メンフィル大使館…………―――プリネ姫。以前リィンさんから教えてもらったのですが……メンフィル大使館への転移はメンフィル大使館側の許可が必要との事ですが。」

「ええ。少々お待ちください。今お父様に連絡を取ってパンダグリュエルの件も含めても許可を取りますので――――」

「―――その必要はない。」

クレア大尉に尋ねられたプリネが通信機を取りだしたその時、何とリウイがペテレーネを伴ってリィン達に近づいてきた。



「あら。」

「リウイお兄ちゃん♪」

「お父様!?それにお母様もどうしてこちらに……!」

リウイとペテレーネの登場にレンは目を丸くし、エヴリーヌは嬉しそうな表情をし、プリネは驚きの表情で二人を見つめた。

「―――いざという時の為に私が陛下に連絡したのですよ。それに陛下自ら理事を務めた学び舎の学生達の成長ぶりや陛下とイリーナ様にとって心強き味方になる我が愛弟子であるデュバリィ達の実力を見てもらう良い機会と思いましたので。」

「リアンヌさんがですか!?」

「マ、マスター…………!フ、フフフフフ……ッ!―――今のマスターの言葉を聞きましたか、アルゼイドの娘と”光の剣匠”!マスターに最も信頼される家臣という栄光ある立場は貴方達”アルゼイド”ではなく、私達―――はぐっ!?」

リアンヌの話を聞いたツーヤは驚いている中リアンヌの言葉に感動したデュバリィは勝ち誇った笑みでラウラとアルゼイド子爵を見つめて話しかけたがアイネスに頭を、エンネアには首筋に強烈な一撃を入れられて呻き

「……すまん、デュバリィ。お前を黙らせるにはこの方法しかなかったのだ。」

「これ以上”鉄機隊”の品位が疑われるような真似をすれば、私達”鉄機隊”どころかマスターにまで恥をかかせる事が何故わからないのよ……」

「きゅう…………」

デュバリィに一撃を入れた本人である二人がそれぞれ呆れている中、デュバリィは気絶して地面に倒れ、その様子を見守っていたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。 
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