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Three Roses

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第二話 幼きよき日々その八

「しかし帝国の影響は大きい」
「それ故に」
「あの国とは衝突を避けるしだ」
「旧教ともですね」
「新教を信仰していてもな」
 それでもというのだ。
「弾圧はせずだ」
「新教を厚遇しようとも」
「ロートリンゲン家とも縁組を行う」
 旧教を守護するあの家と、というのだ。
「天秤は常に均衡にしていよう」
「さすれば」
「しかしだ」
「はい、ロートリンゲン家はです」
 大公は王に警戒する顔で述べた。
「不思議な家です」
「縁組をすればその相手の家はな」
「継承者が不思議と夭折します」
「そしてあの家の血を引く者が残り」
「王位なり爵位なりを受け継ぐ」
「そうなってきていますね」
「あの家は戦で大きくなった家ではない」
 王はこのことも断言した。
「婚姻で大きくなった家だ」
「その通りです」
「だから我が家もだ」
「狙っていますか」
「おそらくな」
「はい、しかし」
「そうだ、あちらの意図はわかっていてもだ」
 それでもというのだ。
「あの家とは手を結ぶ」
「旧教を害しないという意思表示にですね」
「あの家の力も借りたい」
「アントワープ家に対する為に」
「あの家は我がエヴァンズ家とロートリンゲン家双方の敵だ」
「どちらも長年に渡る」
「アントワープ家は唯一ロートリンゲン家に対抗している家だ」
 その家の勢力も治める国家の力もというのだ。
「そして我が家の敵であり続けている」
「あの家も旧教ですが」
「憎悪と対立は信仰を越えるな」
「その通りです」
「だからだな」
「両家は争い我が家ともです」
 そのアントワープ家はというのだ。
「争い続けていますね」
「アントワープ家が周辺の各国も煽っている」
 彼等の国を攻めよとだ。
「あの家は蜘蛛の糸だ」
「その様に謀略を使う」
「我が国を絡め取らんとだ」
「各国を煽り謀略を巡らし」
「攻めさせ自分達も攻める」
「そうした家ですね」
「左様、だからな」
 それ故にというのだ。
「あの家には何といってもな」
「最も警戒すべきですな」
「何百年も我が国、我が家の敵だ」
「それがあのアントワープ家であり」
「王国だ」
「だからこそ我等は」
「ロートリンゲン家と結ぶ」
 そしてこの家が治める帝国と、というのだ。
「法皇庁にも何かしてでもな」
「ではです」
 法皇庁についてはだ、大公はこう王に提案した。 
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