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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~”白の神機”ヴァイスリッター~

~オルキスタワー・屋上~



「な――――」

「!!」

「……ッ……!」

「エ、エリゼさん!?どうしてこんな事を……!?」

エリゼの突然の行動にダドリーは絶句し、ロイドは目を見開き、ティオは辛そうな表情で目を瞑り、エリィは信じられない表情でエリゼに問いかけた。



「驚かせてしまって申し訳ございません。実は私の任務は皆さんの協力だけでなく、可能であればクロスベルにいる結社の”蛇の使徒”を討伐せよとの命令も降っていた為、それを実行したのです。」

「なっ!?」

「何だと!?」

「ったく、メイドに暗殺者の真似事までさせるとか、何考えていやがるんだよ、”英雄王”達は。」

刃に付着したノバルティスの血を一振りで払い落とした後太刀を鞘に収めたエリゼの説明を聞いたロイドとダドリーは信じられない表情で声をあげ、ランディは厳しい表情で呟いた。



「ま、何にせよまずは奴の処刑が先だな。」

「フン、そうだな。」

するとその時ヴァイスとギュランドロスはそれぞれの鞘から剣を抜いてディーター大統領を睨み

「ま、まさか君達は本当にこの私を…………!き、君達は警察と警備隊だろうが!?そんな事をして許されると思っているのか!?」

二人の行動を見たディーター大統領は信じられない表情をした後怒鳴った。



「違うな。俺達は”王”だ。」

「”王”の裁きは合法だぜぇ?」

ヴァイスとギュランドロスはそれぞれ不敵な笑みを浮かべて答え

「!!局長!司令!」

「処刑するにしてもせめて逮捕して、処刑の判決を出してからにするべきです!」

「「……………っ………」」

「………………………」

「や、やめて下さい…………!おじさまもベル達に騙された被害者なんですよ!?」

その時ロイドとダドリーは声を上げ、キーアとティオは目を瞑って黙り込み、ランディは目を伏せ、エリィは悲痛そうな表情で叫んだ。



「例え騙されたとしても今回の件を実行したのはこの男の上”D∴G教団”の黒幕の一人でもある……………この男には被害を受けた者達の為にも責任を取らせる必要がある。―――――この男自身の命と引き換えにな。」

「テメェのくだらねぇ野望のせいで死んで行った警備隊員や市民達、”D∴G教団”の贄となったガキ共にあの世で詫びなあっ!!」

そしてヴァイスとギュランドロスはそれぞれディーター大統領に近づいて突きの構えをしたが

「!この気配は……!」

「二人とも下がって下さい!」

「「!!」」

何かに気付いたロカとルフィナの警告を聞いて後ろに跳躍して、ロイド達の元に戻った。すると二人がいた場所に暗黒の爆発が起こった!



「ええっ!?」

「魔術による攻撃を確認!し、しかし今の魔術の使い手は”彼”を除けばわたしとレンさんだけのはずですが……!?」

「オイオイオイ……!あの野郎は確かエレボニアにいるんじゃなかったのかよ!?」

突然の出来事にエリィは驚き、見覚えのある魔術にティオが困惑している中、ランディは信じられない表情をし

「―――あんたが亡霊と化してこの世に留まり続けているのはもうわかっている。大人しく出て来い、”D∴G教団”司祭―――ヨアヒム・ギュンター!!」

「ヨアヒム・ギュンターだと!?」

ロイドは周囲を見回して厳しい表情で声を上げ、ロイドの言葉を聞いたダドリーは信じられない表情で声を上げた。



フフ……せっかく驚かせようと思っていたのに、既に僕の事を知っていたとは逆に僕が驚かされたね。



するその時ヨアヒムがディーター大統領の背後に現れた!

「な――――」

「貴方がかの”教団”の……!」

「……………………」

ヨアヒムの登場にダドリーは絶句し、ルフィナは厳しい表情をし、キーアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「フフ、久しぶりだね、”特務支援課”の諸君。また会えて何よりだよ。」

「ハッ、こっちは2度とテメェの面なんざ見たくなかったぜ!」

「全くですね。成仏せずに亡霊になってまでこの世に留まり続けているとか、しつこすぎです。」

ヨアヒムの言葉を聞いたランディは鼻を鳴らしてヨアヒムを睨み、ランディの言葉にティオはジト目で頷いた。



「やれやれ、久しぶりの再会だというのに随分と冷たいものだ。それにしても……フフ、そちらのイーリュンの司祭殿は随分とキーア様に似ておられるが、まさかキーア様の母君か姉君なのかな?」

「……………」

「テメェ……!」

「キーアちゃんもその女性にも絶対に手を出させないわよ……!」

ヨアヒムに視線を向けられたキーアが真剣な表情で黙り込んでいる中、ランディとエリィはキーアを庇うかのようにキーアの前に出て武器を構え

(ヨアヒムはまだ”彼女”の正体に気付いていないみたいですね。”太陽の砦”の時のようにわたし達の記憶を読み取って”彼女”の正体が悟られる前に話を逸らせた方がいいと思います。)

「(ああ……!)―――ヨアヒム・ギュンター。亡霊になったあんたはエレボニアで貴族連合を手駒にする為に暗躍していると聞いていたが、何故今クロスベルにいる!?」

ティオの助言に頷いたロイドはヨアヒムを睨んで問いかけた。



「ああ、貴族連合なら先日僕の協力をカイエン公が受け入れたから、着々と僕の計画は進行中だよ?」

「何だと!?」

「まさか”ルバーチェ”の時のように”貴族連合”の兵士達に”グノーシス”を投与したのか!?」

ヨアヒムの説明を聞いたダドリーは驚き、ロイドは厳しい表情で問いかけた。

「フフ、貴族連合の敵対勢力―――”紅き翼”や正規軍の活躍、後はメンフィルの予想以上の迎撃態勢によって貴族連合はかなり追い詰められた状況でね……”グノーシス”の事をカイエン公に話したら、あっさり僕の協力を受け入れてくれたよ!貴族連合軍全体に”グノーシス”が投与されるのも時間の問題さ!」

「愚かな……カイエン公も貴様に頼った”ルバーチェ”の末路を知っているだろうに何故貴様の協力を受け入れたのか、理解に苦しむな。」

「フン、追い詰められた三下にとっては藁にも縋る思いだったんじゃねぇのか?」

「追い詰められたその者はもはやまともな判断力すらも失っているのかもしれないわね……」

(兄様……エリス……)

ヨアヒムの説明を聞いたヴァイスとギュランドロス、ロカはそれぞれ厳しい表情をし、エリゼは心配そうな表情をした。



「それで君達の前に現れた理由だけど、二つあってね。一つは君達への”宣戦布告”さ。」

「”宣戦布告”だと!?」

「……一体何の”宣戦布告”なんですか。」

ヨアヒムの話を聞いたランディは厳しい表情で声をあげ、ティオは真剣な表情でヨアヒムを睨んで問いかけた。

「フフ、決まっているじゃないか!―――キーア様を僕に返してもらう”宣戦布告”だよ!」

「!!」

「………………」

「チッ、結局はそれか……!」

「そんな事、絶対にさせないわよ!」

ヨアヒムの答えを聞いたロイドは目を見開き、キーアは複雑そうな表情で黙り込み、ランディとエリィは厳しい表情でヨアヒムを睨んだ。



「というかそのキーアは貴方達”教団”の”スポンサー”に誘拐されているのにわたし達に宣戦布告をするとか意味不明です。」

「フフ、どうせ君達の事だからキーア様を奪還するのだろう?僕はそれを信じて、宣戦布告をしたのだよ!」

「テメェ……!俺達がキー坊を取り戻した後、マリアベルお嬢さん達との戦いで疲弊している俺達の隙を狙ってキー坊を横から掠め取るつもりか!?」

ティオの疑問に答えたヨアヒムの話を聞いてある事を推測したランディはヨアヒムを睨み

「……一つ聞きたい。マリアベルさん達に協力する事は考えなかったのか?マリアベルさん―――”クロイス家”はあんた達”D∴G教団”にとって”スポンサー”だ。エリゼさん達の話では確かあんたはマリアベルさん達の協力者になる為に貴族連合を手駒にして暗躍していると聞いている。」

「ああ、最初はそのつもりだったけど、気が変わったんだよ。よくよく考えたら僕達を隠れ蓑にして、横から全てをかっさらった卑怯者達の下で働くなんて、まっぴらごめんだよ。ちなみに二つ目の理由だけど、その”スポンサー”に”お礼”をするつもりでこの場に現れたのさ。」

ロイドの問いかけに答えたヨアヒムは醜悪な笑みを浮かべてディーター大統領を見つめた。



「なっ!?私に何をするつもりだ……!?」

ヨアヒムに見つめられたディーター大統領は恐怖の表情でヨアヒムを見つめ

「フフ、怖がる必要はないよ?何せ僕は今まで僕達”D∴G教団”に出資してくれたお礼に命に危機に陥っている貴方に力を貸す為に現れたのだから。」

ヨアヒムは醜悪な笑みを浮かべながら赤紫色の液体が入った注射器を取りだした。

「赤紫色の液体が入った注射器……?”グノーシス”は確か青と赤だと聞いていますが……」

「!!まさか……新型の”グノーシス”か!?」

注射器を見たエリゼが不思議そうな表情をしている中、ある事に気付いたロイドは血相を変え

「新型の”グノーシス”だと!?」

「!いけない!大統領に投与するつもりよ!」

「おじさま――――!」

ロイドの推測を聞いたダドリーは厳しい表情で声をあげ、ある事に気付いたルフィナがボウガンを構え、エリィが悲鳴を上げたその時ヨアヒムはディーター大統領の首筋に注射した!



「うっ!?な、何だ……!?か、体が熱く…………!?」

「しまった……!」

「!―――気を付けてください!ディーターさんから凄まじい霊圧を感じます!」

注射器に刺されたディーター大統領が身体を震わせるとロイドは唇を噛みしめ、ある事に気付いたティオが警告をしたその時!

「う……ああぁぁぁぁぁぁあああ――――――ッ!?」

ディーター大統領は悲鳴を上げながら巨大化した魔人へと変わり果てた!

「な……!?」

「これが”グノーシス”による”魔人化(デモナイズ)”……!」

「そ、そんな……」

魔人化したディーター大統領を見たエリゼは驚き、ルフィナは厳しい表情をし、かつて戦ったヨアヒムが魔人化し、消滅した出来事を思い出したエリィは悲痛そうな表情をした。

「ハハハハハハハッ!念の為に言っておくけど、彼を助けようなんて思わない事だね!さっき投与した”グノーシス”は新たな調合によって創られた”グノーシス”だから、以前君達が使った”グノーシス”の解毒薬の効果はないよ!」

そしてヨアヒムは高笑いをしながら転移魔術でその場から消え

「引っ掻き回すだけ引っ掻き回してトンズラかよ……!」

「今はそれよりもディーターさんです……!」

ヨアヒムが消えた場所をランディが睨んでいる中、ティオは仲間達に忠告した。



「オオオォォォォオオオォォオオ――――――ッ!」

「―――全員、ディーターを殺す覚悟を決めろ!もはやああなってしまった奴を救う術はない!」

「こうなっちまったら、せめて俺達の手で楽にしてやるべきだぜ!」

魔人化したディーター大統領が咆哮を上げる中、武器を構えているヴァイスとギュランドロスはロイド達に警告をした。

「クッ……!何とか元に戻す方法は……―――そうだ!あの時アーネストさんが元の姿に戻れたのはケビン神父―――”星杯騎士団”の”法術”だ!」

「シスタールフィナ!教会の法術で大統領の魔人化を解いて頂けないだろうか!?」

ディーターを救う方法を考え込んだ際にある事を思い出したロイドは声をあげ、ダドリーはルフィナに視線を向けた。



「―――私で彼を救ってあげられるかわかりませんが、できる限りの事はします。」

「微力ながら私も手伝うわ。」

「キーアも手伝う!」

ダドリーの嘆願に答えたルフィナは星杯のロケットを取り出し、ロカやキーアと共に祈りを捧げ始めた。

「『天にいます我らが主よ。魔に引かれし哀れな迷い子を御身の光で呼び戻さんことを……女神(エイドス)よ、哀れなる迷い子の昏き瘴気を払い、迷い子の道を指し示したまえ―――』」

「『”軍神(マーズテリア)”よ、魔に誘われし哀れなる者に御身の光で正しき道を示したまえ――――』」

「『”癒しの女神(イーリュン)”よ、御身の愛にて哀れなる迷い子に救いを――――』」

「アアアアアァァァァァァアアアア―――――ッ!?」

「そんな!?アーネストの時は元の姿に戻ったのに……!」

ルフィナとロカ、キーアの祈りを受けても暴走をし続けるディーター大統領を見たロイドは信じられない表情をした。

「……やはり私の力だけでは彼を救う事は無理ね。”聖痕”の力が使える”守護騎士(ドミニオン)”――――ケビンやヘミスフィア卿で五分五分……エイドス様御自身ならほぼ確実に救えると思うけど……」

「それに元の姿に戻すにしてもある程度弱らせる必要があると思うわ。」

「という事はワジさん達かエイドスさんが来るまでの間ディーターさんを崩壊させないように気を付けて戦わないとダメという事ですか……」

「オイオイオイ……!あんな化物相手に手加減なんてしていたら、こっちがやられるぞ!?」

ルフィナとロカの説明を聞いたティオは複雑そうな表情をし、ランディは厳しい表情で声を上げ

「せめてあの機体が使えれば、時間稼ぎくらいでしたら何とかなったのかもしれませんが……」

エリゼは複雑そうな表情で白いアイオーンに視線を向けていた。





汝、我を求めるか?



「え――――」

するとその時何者かの声がエリゼの頭に響いてきた!



汝には我を”魔導”の力によって駆っていた者と違い、我が主になる”資格”がある。





我が力を求むのならば、我に名を―――――



「……………………まさか………………」

頭に響く声を聞いて何かを察したエリゼは信じられない表情でアイオーンを見つめ

「…………――――力を貸して―――――”白の神機”――――ヴァイスリッター!!」

目を閉じて考え込んだ後その場で祈りを捧げながら叫んだ!



「エ、エリゼさん……?一体何を……」

エリゼの行動を見たロイドが仲間達と共に不思議そうな表情をしていたその時!

(オウ)―――――!!」

何とアイオーンから音声が聞こえて来た!

「ええっ!?」

「”神機”から声が……」

アイオーンの機械音を聞いたエリィは驚き、ティオは呆然とした。するとエリゼは結界に包みこまれ、アイオーンの中へと吸い込まれて行った!



「なああああああっ!?」

「ディーター大統領と同じ現象を……!」

「まさか……今度は貴女が操縦できるようになったのかしら?」

その様子を見ていたロイドとダドリーは信じられない表情で声を上げ、ルフィナは驚きの表情でアイオーンを見つめて尋ね

「―――はい、どうやらそのようです。不思議な事に頭の中に操縦方法が入って来ているお蔭で、この子を――――”ヴァイスリッター”を自分の手足のように動かせます……!」

”白騎士”を意味する名前を真なる主となったエリゼに授けられたアイオーン―――”白の神機ヴァイスリッター”からはエリゼの声が聞こえた後、ヴァイスリッターは格闘技の構えをした。



「ハハ、相変わらずとんでもねぇお嬢ちゃんだぜ!ってか、その構え……まさか”八葉一刀流”の無手の際の構えか?」

「ええ……―――”無の型”です。それよりもこの機体を使えば、エイドス様達が駆け付けて来るまでの時間稼ぎも可能かもしれません……!」

ランディの言葉に答えたエリゼはロイド達に助言した。

「ほ、本当ですか……!?」

エリゼの助言を聞いたエリィは明るい表情をし

「でしたら是非お願いします!俺達も全力でサポートします!ルフィナさんはワジやケビン神父達に事情の説明をしてから、サポートに入って下さい!」

「わかったわ!連絡が終わり次第すぐに戻って来るから気を付けて……!」

ロイドの指示に頷いたルフィナは戦場から一時離脱をした。



「……ギュランドロス、もしディーターを救う事ができれば……わかっているな?」

「ああ……さすがにその後であの野郎をぶっ殺すなんて俺達の”器”が小さいように見られるなんて事をしたら俺達の名に傷が付く事はわかっている。しゃあねぇ、奴に関しては生かした状態で責任を取らせるか。」

それぞれが戦闘態勢に入っている中ヴァイスはギュランドロスに視線を向け、ヴァイスの意図を理解していたギュランドロスは溜息を吐いて魔人化したディーター大統領を見つめた。

「オォォォォォォオオォォォ――――!」

「みんな、行くぞっ!!」

「おおっ!!」

「すぐに助けますので、少しの間だけ耐えてください、おじさま……!」

「貴方の”力”、期待させてもらうわよ、ヴァイスリッター!」

「任セルガイイ―――――!」

そしてロイド達とヴァイスリッターは魔人化したディーター大統領―――魔人ディーターとの戦闘を開始した! 
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