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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第33話

12月26日、同日9:00―――





クロスベルに再び運命の日が訪れる日の朝……クロスベル領空内ではメルカバ玖号機と伍号機が合流して信号の合図をした後それぞれの行動を開始し、マインツ山道方面からはエルミナとミレイユ三尉率いる警備隊と警備隊に協力するマインツに住み着いている狼―――神狼の部隊に加えてヴァイス達の仲間である協力者達がクロスベル市に向かうと赤い星座の猟兵達が現れ、それぞれ戦闘を開始している中クロスベル領空では”メルカバ伍号機”がステルス機能を解除して姿を現した。するとオルキスタワー上空にいるクロスベル独立国の”切り札”であり、エレボニア帝国軍やカルバード共和国軍を撃退した人形兵器――――紫色の”神機(アイオーン)”がメルカバに向かって行き、攻撃を始めたがメルカバは結界に阻まれて攻撃を防ぎ、そしてアイオーンを引きつける為に去りはじめた!



~メルカバ伍号機・ブリッジ~



「………………………イースよ……………どうかこの船に守りの加護を……………!」

「ハハ……まさか空の女神(エイドス)御自らの加護を受けられるなんて、この船やオレ達にとっては生きていて2度と体験できないとんでもない光栄な出来事ですわ………総員!我らが主神、空の女神(エイドス)にオレ達の信仰の強さを知ってもらうでっ!!」

空いている席に座って全身から神気や聖気をさらけ出して祈りを捧げ続けてメルカバに結界を付与し続けているエイドスを艦長席に座って見ていたケビンは苦笑した後それぞれの席に座って操作をしているリース達に決意の表情で号令をかけ

「「「了解しました!!我等の大いなる女神、空の女神(エイドス)よ、今こそ我等の忠誠、そして信仰心をご覧あれっ!!」」」

ケビンの指示にリース達は頷いた後その場で強い祈りを捧げながら決意の表情で叫び

(姉さんまでこの時代に来ているんや……絶対に負けてたまるか……っ!そっちは任せたで、姉さん……!)

ケビンは決意の表情でスクリーンに映るアイオーンを見つめていた。



メルカバ伍号機がクロスベルから離れた場所にアイオーンを引きつけ、そこにアイオーンが再び銃撃を始めたその時!

「――――ハアッ!!」

なんと背に光の翼を顕させたフェミリンスがメルカバの前に出て光を纏った槍で銃撃によるエネルギーを薙ぎ払った!

「―――”姫神フェミリンス”の力、思い知りなさい!傀儡の分際で”神”を騙る愚物が………!」

そしてフェミリンスは不愉快そうな表情で叫んだ後、メルカバ伍号機と共にアイオーンとの空中戦を開始した!



~西クロスベル街道~



一方西クロスベル街道では現クロスベル政権の軍組織である元警備隊であった”国防軍”の兵士や”結社”の人形兵器達が待ち構えていた。

「………北口と東口では戦闘が始まったみたいだな。」

「なあ………ヤバくないか?これでギュランドロス司令の部隊がこっちに攻めてきたら………」

待ち構えている兵士達が表情を青褪めさせたその時!

「ガッハハハハハハッ!よくわかってるじゃねえか!とう!!」

なんと騎乗したギュランドロスが馬を跳躍させて兵士達の目の前に現れ

「え―――――」

「な――――」

「オラアッ!!」

「「ガッ!?」」

ギュランドロスの薙ぎ払い攻撃に吹っ飛ばされて気絶し

「フフ、さっさと降参した方が身の為……よ!!」

「クスクス♪しかも”赤い星座”の猟兵を置いていないなんて、ビックリ……よっ!!」

「ディーターも兵士の采配が本当に下手くそだね………っと!!」

「ぐあああああああっ!?」

「ぎゃあああああっ!?」

ギュランドロスに続くようにルイーネとレン、パティルナが次々と強襲して兵士達に重傷を負わせた!



「ヒッ!」

「き、来やがった……!」

「は、早く装甲車で討ち取れっ!!」

それを見た兵士達は悲鳴を上げ、装甲車はギュランドロス達に砲口を向けたその時、砲撃が放たれて装甲車は爆発し、炎上し始めた!



「ば、馬鹿なっ!?」

「砲撃だと!?最新型の装甲車ではこんな事、不可能だぞ!?」

装甲車が破壊される様子を見た兵士達が混乱し始めたその時、”クロスベル帝国”の紋章が刻み込まれてあるラインフォルト社の最新型の戦車―――”アハツェン”に加え、”貴族連合”の主力である”機甲兵”達までもが次々と姿を現し始めた!

「なっ……!?」

「あ、あれはまさか………ラインフォルト社の最新型の戦車!?」

「し、しかも何なんだあの巨大な人形兵器は!?」

「ま、まさか”神機”か!?」

「ど、どどどどどど、どうやってあんな物、手に入れたんだよ……!?」

”アハツェン”や”機甲兵”を見た兵士達は混乱し始めた。



「ま、まさか警備隊だった俺達が”コイツ”を使える時が来るなんて……!夢みたいだ……!」

「しかもそれどころかこんな兵器まで俺達が使えるなんて……!」

「クロスベルが”国”になるのも後少しだな……!」

一方戦車や機甲兵の操縦席にいる警備隊員達は明るい表情をし

「気を抜くな!司令達が国を建てたらすぐに”コイツ”と共に二大国に戦争を仕掛けるんだ!国防軍との戦いは”アハツェン”や”機甲兵”を使った最初にして最後の実戦演習だ!国防軍との戦いで予め練習していた”アハツェン”や”機甲兵”の実戦技術を必ず物にしろ!」

「「イエス・サー!!」

そして隊長機である”シュピーゲル”の中にいる隊員の号令に答えた。



「――――貴方も存分に暴れなさい、”パテル=マテル”!!」

更にレンが叫ぶと”パテル=マテル”が空から急降下着陸して腕を振るって人形兵器を数体纏めて破壊し

「ヒ、ヒィィィィィッ!?」

「あ、新手の”神機”だとっ!?」

”パテル=マテル”を見た国防軍の兵士達は混乱し始めた。



「全員、ここが気合いの入れ所だっ!」

「とっととこいつらを片付けるよっ!」

「クロスベル帝国軍、突撃開始っ!戦車及び機甲兵は人形兵器及び装甲車を優先的に狙いなさい!」

「”パテル=マテル”!これよりギュランドロス皇帝率いる”クロスベル帝国軍”の援護をする!なお、敵兵は戦闘不能程度にとどめ、人形兵器並びに装甲車は完全破壊しなさい!!」

そしてギュランドロス、パティルナ、ルイーネはそれぞれの武器を天へと掲げて号令をかけ、3人に続くようにレンは大鎌を天へと掲げて叫び



「イエス・サー(マム)!!」

「―――――――!!」

号令に答えた警備隊員達は他の警備隊員達が操縦する”アハツェン”の部隊や”パテル=マテル”と共に戦闘を開始した!



「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

するとその時上空から声が聞こえ

「!!パテル=マテル、パトリオットフィールド展開!!」

「――――!!」

「そらっ!!」

逸早く上空からの奇襲に気付いたレンの指示によってパテル=マテルが結界を展開した瞬間、上空から現れたオルディーネのダブルセイバーがパテル=マテルの結界に阻まれた。



「おお……っ!」

「”神機”が来たぞ………!これなら俺達にも勝ち目がある……!」

オルディーネの登場に国防軍は明るい表情をし

「あらあら、まさかまだクロスベルに残っているとは思わなかったわ♪」

ルイーネは微笑みながらオルディーネを見つめていた。



「馬鹿な……!新たな”神機”だと!?」

「クッ……!クロスベルは目の前だというのに……!」

「ビビるんじゃないよ!たかがデカブツ一体増えた所であたし達の勝利は揺るがない!あのデカブツはあたし達がぶっ壊してやるし、アンタ達はあの”赤い星座”を始めとした猟兵達相手に互角以上に戦った!協力すればアンタ達でも撃破は可能だ!安心して戦いなぁっ!!」

一方オルディーネの登場に狼狽えている警備隊にパティルナは檄を飛ばし

「パティルナ中尉……!」

「そうだ……俺達にはパティルナ中尉達がいるし、あの”赤い星座”にも勝ったんだ……!」

「今の俺達ならどんな強敵が来ても勝てる……!」

「オォォォォォォオオォォォ――――ッ!!」

パティルナの檄によって動揺していた警備隊は再び戦意を高めて国防軍を圧倒し始め

「―――ルイーネ、パティルナ。あのデカブツの破壊は頼んだぜ。」

「了解!」

「お任せを。”蒼の騎神”の破壊は私達に任せて、ギュランドロス様は予定通りヴァイスさんと共にロイド君達との合流を。」

ギュランドロスの指示にパティルナは元気よく答え、ルイーネは軽く会釈をした後パティルナと共にオルディーネへと向かった。



「うふふ、それにしても物好きよねぇ?もうすぐ負ける大統領側にまだ力を貸しているなんて。」

「チッ、俺にそんな事をさせている”元凶”の一人がそれを言うのかよ。相変わらず面の皮が厚い嬢ちゃんだぜ。夏至祭とザクセン鉄鉱山、そして内戦で受けた”借り”を纏めてここで返させてもらうぜ―――”殲滅天使”!!」

不敵な笑みを浮かべているレンをクロウは睨みながら声をあげた。

「フフッ、貴方が”帝国解放戦線”のリーダー―――”C”ね。初めまして。私の名はルイーネ・サーキュリー。”通商会議”の時にはクロスベルで随分とやんちゃな事を仕出かそうとしてくれたわね?」

するとその時ルイーネが膨大な威圧を纏って微笑みながらオルディーネに問いかけ

「ハッ、俺の計画を利用した”鉄血”の計画を更に利用して二大国を嵌めた癖によく言うぜ。」

ルイーネの言葉を聞いたクロウは鼻を鳴らしてルイーネを睨んだ。



「フフ、何の事を言っているのか全くわからないわね♪―――ああそうそう。せっかくはるばるエレボニアからクロスベルに来て私達の前に現れたのだし、良い事を教えてあげるわ♪」

「良い事だと?」

「”通商会議”で襲撃した貴方のお仲間さん――――”G(ギデオン)”は私達に追い詰められた事によって自爆して死亡したって話……―――あれは真っ赤な嘘よ♪」

「何だと!?どういう事だそれは!?」

ルイーネの口から語られた驚愕の事実に血相を変えたクロウはルイーネを睨んで問いかけ

「本当は私が彼を殺したのよ♪自殺しようとしていた”G”に生温い”死”を選ばせない為にこの剣で残った片腕を斬り落として心臓を貫いた後、止めは首を刈り取ってあげたわ♪ちなみに死に際に”無念”って言ってたわね♪」

「テッメェェェェェ――――――ッ!!」

ルイーネが仲間の仇と知ると怒り心頭の様子でオルディーネを操縦してルイーネに攻撃したが、ルイーネは軽やかに後ろに跳躍して回避した後戦場から離脱して線路へと向かい、オルディーネは他の敵には目もくれずルイーネを追って行った。



「クスクス、相変わらず沸点が低いお馬鹿さんねぇ?怒りのあまり周りも見ない上目的も忘れるなんて、所詮は”本当の戦場”を知らないお子様ね♪―――パテル=マテル、撃破目標を”蒼の騎神”オルディーネに変更!レン達も追うわよ!!」

「――――!!」

「自ら囮になってあんな大物をあたし達が戦い易い場所に誘導するなんてさっすがルイーネお姉様!さ~てと……ここ最近雑魚ばっかりで退屈していたんだ。久しぶりの大物との戦闘……たっぷりと楽しませてもらうよぉぉぉぉっ!!」

そしてレンとパテル=マテル、パティルナもルイーネとオルディーネを追うように戦場から離脱した。


~ウルスラ間道~



「つ、ついに西口でも戦闘が始まったそうだぞ……!」

「さ、さすがにこっちは大丈夫だよな……?」

一方ウルスラ間道では兵士達がそれぞれの顔を見合わせて表情を青褪めさせていたその時!

「カファルー!クーちゃん!」

「今こそ力を貸して――――”白水竜”クー!」

「グオオオオオオオオオ――――――――ッ!!」

「「ク――――――――――ッ!!」」

なんと国防軍が展開しているバリケードの目の前にカファルーと2体のクーが現れて咆哮を上げた!



「なななななななっ!?」

「ば、化物に竜が2体も……!?」

それを見た兵士達が混乱し始めたその時!

「朱雀!衝撃波!!」

「ぐあっ!?」

「ががっ!?」

エステルがクラフトを放って兵士達を怯ませた!そこに棒を装備したエステルの容姿に似た女性が飛び込み

「――――旋風輪!!」

「「ガッ!?」」

棒を回転させて兵士達を吹っ飛ばして気絶させた!そこに人形兵器達が二人に向かおうとしたが

「絶影!!」

「せーの!裂甲断!!」

ヨシュアとミントがそれぞれクラフトを放って人形兵器達にダメージを与えると共に怯ませ

「不浄なる者達に裁きを!天の裁き!!」

「来たれ、夏の嵐!ヘイルストーム!!」

そこにフィーナと雪のように真っ白な白い髪を持つ娘が放った魔術によって破壊された!



「な、なんなんだよ、奴等は……!?」

エステル達を見た兵士達が混乱したその時!

「ノイ、行くよ!」

「うん、任せて!」

「エレナ!」

「はい、アドルさん!」

「「アルス・ノヴァ!!」」

「「ブレイブラッシュ!!」」

「ギャアアアアアアアッ!?」

「グアアアアアアッ!?」

水色の髪を持つ少年剣士がお伽話に出てくる妖精のような姿をした小人と共に協力技を放ち、アドルはエレナと共に協力技を放って一瞬で多くの兵士達を戦闘不能にした!



「えへへ……まさかサティアさんがあたしと同じ棒術ができるなんてね♪」

一方エステルは自分の横で自分と同じ構えをしている自分の容姿と似た容姿である女性――――サティア・ブライト・シルフィルを見つめて嬉しそうな表情をした。

「フフ、だって私はお母さんが大好きだもの。大好きなお母さんにお母さんと同じ戦い方を習うのは当然でしょう?」

「う”………だからその呼び方は止めてって言ったでしょう!?アイドスさんといい、姉妹揃って前と比べると性格が色々とおかしくなってない!?」

「そんな事を言われても困るわよ。大体あの娘も前はあんな性格じゃなかったし。」

サティアに微笑まれた後表情を引き攣らせて怒鳴った後サティアと共に気を取り直し



「とっておきを見せてあげる!!とりゃあっ!」

「――――ブライト家直伝奥義!!ハアッ!」

エステルとサティアは全身に膨大な闘気を纏った後同時に回転しながら跳躍し

「「奥義!鳳凰烈波!!」」

「グアアアアアアアアアアアアアッ!?」

「ガアアアアアアアアアアッ!?」

2人同時に”鳳凰”の姿になって兵士達に突撃して闘気による爆発を起こして多くの兵士達を戦闘不能にし

「「……よし!」」

鳳凰の姿から戻った二人は互いの背中をあわせて棒を構え直した!



「わあ♪二人とも息ピッタリだね♪」

「ハハ、さすがは母娘だけあるね。」

それを見たミントは無邪気な笑顔を浮かべ、ヨシュアは苦笑した後戦闘を再開し

(エイドス)も頑張っているんだ………親の僕達も負けずに行くぞ、フィーナ、エレナ!」

「「はい、アドルさん!!」」

アドルの言葉に頷いたフィーナとエレナは戦闘を再開し

「――――私達の子孫が頑張っているんだから、先祖の私達も頑張らないとね、ナユタ。」

「うん………ノイ、手伝ってくれるかい?」

白い髪の娘―――クレハ・レム・オルディーンに微笑まれた少年剣士―――ナユタ・ハーシェルは頷いた後小人―――ノイ・ステラディアに視線を向け

「勿論!私はナユタの”永遠の相棒”でクレハ様にお仕えしているんだから当然、私だって頑張るの!」

視線を向けられたノイは嬉しそうな表情をして力強く頷いた。

「――――行こう、ノイ、クレハ!遥か未来の世界中の平和を守る為に!」

「うん!」

「ええ!」

そしてナユタの号令に二人は頷いた後戦闘を再開した!



「「ク――――――――ッ!!」」

「グオオオオオオオオオオオ――――――――ッ!!」

「うわああああああああっ!?」

一方2体のクーとカファルーは暴れまくって次々と装甲車や人形兵器を破壊し始め

「クッ……!化物共を優先的に狙えっ!!」

「イ、イエス、サー!!」

兵士は唇を噛みしめた後指示をして兵士達と共に銃撃をしようとしたが

「フフ、ニル達の存在を忘れて貰っては困りますわよ!爆裂光弾!!」

「雷弾よ、降り注げ!爆裂雷弾!!」

「大地よ、我が矢に力を!大地の制圧射撃!!」

「ががっ!?」

「ぐあっ!?」

ニルとパズモ、テトリが放った降り注ぐ魔力弾や魔力の矢を受けて怯み

(――――未熟者共が!―――空牙!!)

「ぐっ!?」

「があっ!?」

さらにサエラブの強襲攻撃によって次々と地面に倒れて気絶した!

「ま、魔獣と異種族との人間の混成軍……!?」

「い、一体何なんだよ、奴等は……!」

魔獣と異種族、そして人間という見た事のない混合軍であるエステル達を見た兵士達は混乱した。



「――――ブライト家の絆と力、とくと見せてあげるわ!」

「――――戦意の無い者は今すぐ武装を解除しなさい!そうすれば痛い目には合わせないわ!」

「”星護騎士”ナユタ・ハーシェル!行くよっ!!」

「”楽園の紡ぎ手”ノイ・ステラディア!頑張るのっ!!」

「”冒険家”アドル・クリスティン!参るっ!!」

「”白騎士”エレナ・クリスティン!行きますっ!!」

その時エステルとサティアは同時に闘気を纏って棒を構えて兵士達を睨み、二人に続くようにナユタとノイ、アドルとエレナもそれぞれ闘気や魔力を纏って兵士達に武器を向けたり睨んだりして叫び

「――――”空の女神(エイドス)”の母神、”自由の女神”フィーナ・クリスティン。」

「――――”空の女神(エイドス)”の先祖にして”ミトスの民”クレハ・レム・オルディーン。」

フィーナとクレハは静かな口調で名乗り上げ

「「――――大好きな人達の為に共に戦いますっ!!」」

兵士達を睨みながら決意の表情で叫んだ!



「――――音に聞こえし”ブレイサーロード”の”守護者”達――――”六異将”の恐ろしさ、とくと見せてさしあげますわ!!」

エステル達に続くようにニルが連接剣を構えて叫び

「ア、アハハ……ただしくは”七異将”ですけどね。」

(フッ、相変わらず細かい事を気にする奴だな。)

ニルの叫びを聞いたテトリは苦笑し、サエラブは口元に笑みを浮かべた。

「ヒッ………!」

一方エステル達に睨まれた兵士達は悲鳴を上げて怯み

「今のサティアさん……まさに母親(エステル)そっくりになっているね………」

「さすがは血が繋がっている娘だけあるね♪ミントもお姉さんとして負けていられないぞ~!」

「ううっ………争いがあれだけ嫌いだったサティアがあんなに勇ましくなっているなんて………………昔のサティアを知っている身としたら複雑だわ………」

ヨシュアは冷や汗をかいて苦笑し、ミントは無邪気な笑顔を浮かべた後自分に気合いを入れ、パズモは疲れた表情で溜息を吐いた。



「―――踊れ、魔剣よ!!」

するとその時女性の声が聞こえ、エステルとサティアの頭上に無数の剣が現れ

「!二人とも下がって!!」

「「!!」」

ヨシュアの警告を聞いた二人が後ろに跳躍した瞬間、二人がいた場所には無数の魔剣が降り注いだ!

「――――!」

「なっ!?」

更にその時ナユタの目の前に巨大な鳥型の魔獣が現れてナユタ目掛けてブレスを放ったが

「!危ない、ナユタ!ギアシールド!!」

「ありがとう、ノイ!」

ナユタの傍にいたノイが展開した結界に阻まれた。



「危なかった~……にしても一体誰の攻撃よ、今の。」

「…………さっき聞こえた声から推測すると恐らくケビンさん達の話にあったクロスベルに落ち延びた”蛇の使徒”によるものだと思う。」

「あ、あんですって~!?って事はエレボニアの内戦に関わっていたっていう”蛇の使徒”がここにいるの!?」

そして周囲を警戒するヨシュアの話を聞いたエステルが信じられない表情で声を上げたその時

「―――その通りよ。久しぶりね、”漆黒の牙”。それと初めまして、”剣聖”の娘―――いえ、”ブレイサーロード”。まさかこんな形で会う事になるとは思わなかったわ。」

クロチルダが転移魔術でエステル達の正面に現れた!



「やはり貴女か………!”蛇の使徒”の”第二柱”――――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ!!」

「ええっ!?あ、あの人が!?」

「……ヴィータ…………」

クロチルダを睨むヨシュアの言葉を聞いたミントは驚き、サティアは複雑そうな表情でクロチルダを見つめていた。

「あたし達の前に現れたって事はあたし達とやり合う気なのかしら!?だったら覚悟しなさい!エレボニアを滅茶苦茶にしたアンタをリィン君達やミュラーさん、後ついでにオリビエの代わりにボロボロのギッタンギッタンにとっちめてやるわ!」

「ボロボロのギッタンギッタンにとっちめるって……」

「ア、アハハ……オリビエさん、”ついで”扱いされた事を知ったら後でショックを受けるんじゃないかな~。」

クロチルダを睨んで棒を構えたエステルの言葉を聞いたヨシュアは呆れ、ミントは苦笑し

「フウ……まさかこんなはしたない子に”福音計画”が滅茶苦茶にされたなんてね。”盟主(マスター)”や他の”使徒”達が知ったら、ショックを受けるんじゃないかしら?というか今の貴女は貴族でもあるのだから、例え敵が相手でも少しは品がある所を見せてもいいのじゃないかしら?」

クロチルダは呆れた表情で溜息を吐いてエステルを見つめて指摘した。



「うっさいわね!公式の場でならともかく、敵相手にあんな堅苦しい事をする必要なんてないわよ!」

「貴女達の事情は”星杯騎士団”を通してある程度把握しています。今回の”計画”に貴女達がクロスベルにいる事自体がイレギュラーの上、例え僕達をここで釘付けにしたとしても大統領側の敗北は変わりません。なのに何故クロスベルから去らずに未だ大統領側に協力しているのですか?」

エステルがクロチルダを睨んでいる中、ヨシュアはクロチルダを警戒しながら問いかけ

「……こちらにも色々と複雑な事情があるのよ。”福音計画”を滅茶苦茶にして”盟主(マスター)”が手に入れるはずであった”輝く(オーリオール)”を破壊した罪……この場で償ってもらうわよ!」

クロチルダは静かな表情で答えた後自分の左右に大型の人形兵器を召喚した!



「拠点防衛用人形兵器、”バランシングクラウン”……!」

「使徒第二柱、”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ――――偉大なる”盟主(マスター)”が受けた屈辱を”盟主(マスター)”の代わりに返させてもらうわ……!」

「上等じゃない!返り討ちにしてあげるわ!―――行くわよ、ヨシュア、ミント、サティアさん!」

「了解!」

「うん!」

「ええ!」

「―――――」

「ノイ、僕達はあの巨大な魔獣の相手をするよ!」

「うん!」

「後方からの援護は私に任せて!」

そしてエステル、ヨシュア、ミント、サティアはクロチルダ達との戦闘を……ナユタとノイ、クレハはクロチルダの術によって幻獣と化したグリアノスとの戦闘を開始し、アドル達は国防軍との戦闘を再開した!



それぞれの方面で戦いが起きている中ロイド達はクロスベル市に潜入し、セリカ達はエステル達の加勢に向かった。そんな中ルイーネは線路までオルディーネを誘導し終えていた。



~西クロスベル街道~



「―――この辺りならいいわね。」

線路までオルディーネを誘導したルイーネは細剣を構え

「ハッ、ようやく諦めて戦う気になったようだな?決死の覚悟で挑んだ”G”の想いを無下にした所か、あの”鉄血”のように利用したテメェは絶対許さねぇ!覚悟しやがれ!!」

ルイーネの行動を見たクロウは鼻を鳴らした後怒りの表情で声を上げた。



「うふふ、覚悟するのはそっちの方よ♪」

「――――!」

「何!?ガッ!?」

突如背後から聞こえて来たレンの声を聞いたオルディーネが背後へと振り向くとパテル=マテルの攻撃を受けて怯み

「どぅりゃああぁぁぁっ!!!!」

「ガッ!?」

パテル=マテルとレンの背後から跳躍してオルディーネを横切ると同時に脚の関節部分を攻撃したパティルナの奇襲を受けてしまい、オルディーネはルイーネ達によって挟み撃ちの状況に陥ってしまった!



「挟まれちまったか……!だが、その人形を操る”殲滅天使”はともかく、生身のテメェらが”騎神”に勝てると思っているのか?」

「ええ、思っているわ♪」

「というかむしろあんな鉄屑、あたし達からしたら拘束具で本来の”力”を出せないから乗る必要なんてないのさ。」

オルディーネから聞こえるクロウの言葉に対してルイーネとパティルナはそれぞれ答えた。

「―――さてと。ギュランドロス様とヴァイスさんの”覇道”を阻むのなら、相手が誰であろうと”皇”の二人を支える臣下である私達はその障害を”排除”するだけ。覚悟はいいかしら?」

「”通商会議”の時にクロスベルで好き勝手した分も含めて、あたし達がいるクロスベルに手を出した事、心の底から後悔させてやるよ!」

「うふふ、上には上がいる事を教えてあげるわ♪――――”蒼の騎神”の破壊という結果でね?」

「ハッ、やれるものやってみやがれ!今まで受けた屈辱をここで纏めて返してやる――――!」

そしてルイーネ達はオルディーネとの決戦を開始した! 
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