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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  なのは ~悩んで決めて、戦うの~



戦いの夜が明けて


高町家道場内、現蒔風の寝床


朝早く起きたなのはは、昨日のことをもう一度よく考えようと心を落ち着かせるために、ここに来ていた。

しかし・・・・


「なんて恰好で寝てるの・・・・」


道場の隅は蒔風の寝床になっている。

どうしてか蒔風は壁に背をつけた状態の、肩倒立の恰好で寝ている。
そしてなぜか傍らには「愉快だ」と書かれたメモがあった。

それを見ないように正座をして、考える。


(昨日の衝突で、レイジングハートは傷ついちゃったし・・・・フェイトちゃんとしっかりとお話しできなかったな・・・・)



「あれ?なのは?」

「お姉ちゃん・・・・」

そこになのはの姉、美由希がきた。
彼女は毎朝稽古のために、走りこみの後道場に来て練習してるのだ。

「お父さんとお兄ちゃんは?」

「もうちょっと遠くまで走りこむってさ」

「そう・・・ねぇ、あれ・・・」

なのはが蒔風の方に向いて聞く。


「ん?ああ、あれね。もう気になんなくなっちゃったよ」

「あ、あはは・・・・ねぇ、お姉ちゃんの稽古、見ててもいい?」

「いいよ。あんまりおもしろいものじゃないと思うけど」


そして美由紀が稽古を始める。
それを眺めながめていると、ユーノから念話が入る。

『なのは?どうしたの?こんな朝早くから』

『ちょっと、眼がさめちゃったから・・・・それでね、私、考えたんだけど・・』

『ん?』

『やっぱり、私フェイトちゃんのこと気になるの』

『気になる?』

『凄く強くて、冷たい感じもするのに、綺麗で優しい目をしてて。でも、すごく悲しそうなの・・・』

『んで、どうしたいんだ?』

『舜君?』

なのはは 蒔風の方に目を向ける。
いつの間に戻ったのか、頭まで布団にくるまっている状態だ。


『起きてたの?』

『まね。な、一番重要なアドバイス、アリサ・バニングスからもらったろ?』

『でもあの子・・・聞いてくれるかどうか・・・・』

「・・・・おはようございます。美由希さん」

「ん?おはよう!舜君」

蒔風が起き上がり、今起きたように立ち上がる。


「オレも・・・ちょっとだけいいですか?」

「え?いいけど・・・・」


蒔風が道場の、美由希から少し離れたところで立つ。

そして動き始めた。
美由希との組み手でなく、ひとりで動くようだ。


その動きは派手ではなく、むしろ軽やかなもの。
日の光にあてられて、まるでスポットライトにあてられてるようだ。

しかし、一瞬で動きが軽やかなものから重い一撃一撃の動きに変わる。
その眼前には本当に敵がいるかのようで、その一撃はあらゆるものを粉砕する意思が感じられた。

そして再び軽やかに
今まで攻撃した相手をいたわるかのような動きだ。

そして最後に一礼して、蒔風は止まった。


なのはも美由希も、その動きについ目がいってしまっていた。


「すっご~~い!!さすが兄さんに勝っただけあるねぇ」

「いや・・・寝起きでまだちょっと本調子じゃないんですけどね・・・・『どうだった?』」

『え?』

『本気の動きってのがさ、どういうもんか。今のはまだ本気とは言えないけど、それでも、オレがどう思って動いたか、何となくわかったかい?』

『えっと・・・最初にゆっくりと・・・あいさつみたい?それから思いっきり戦って・・・・』

『ま、そんなもんだ。わかるもんでしょ?それと同じさ』

『同じ?』

『本気で動けば・・・本気で相手とぶつかれば、その想いは、相手に響く』

『そう、かな?』

『そうさ。現にフェイトはなのはに本気でぶつかってきて、それでなのははフェイトがどんな想いなのか、断片的にわかってるんだろ?』

『・・・なんとなくね』

『だから、お前も悩まずに、ぶつかるんだ。いや、悩んでもいい。でも、ぶつかるときだけは、お前の伝えたいことを本気でだ。その時は、悩んじゃいけない』

『・・・・うん!!!』


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数日後


なのはたちはジュエルシード封印のために、公園に結界を張って、戦っていた。
今回取り込んでしまったのは、公園の木だ。

レイジングハートを向け、対峙するなのは。


攻撃を仕掛けようとするが、それよりも早く後方から無数の魔法弾が飛来し、樹獣に向かっていった。
その攻撃はバリアを展開され、樹木モンスターには当たらない。



振り返ってみると、魔法弾の来た方向には、フェイトとアルフがいた。

「生意気にバリアなんか張ってるよ」

「今までのより、強い」


樹獣が敵の数か増えたことを確認すると、その根を地面から引っこ抜き、鞭のようにしならせなのはに向けて叩きつけてくる。


《Flier fin》

なのははそれを上空に飛ぶことで逃れ、蒔風は動かなかった。

「レイジングハート!!もっと・・・・もっと高く!!!」




離れた所からは

「アークセイバー・・・・いくよ、バルディッシュ」

《Arc saber》

バルディッシュの魔力刃が回転しながら飛び、根を裂き、本体に当たる。
しかし、バリアに阻まれ本体までダメージが通らない。




バァンッッ!!

そこで、蒔風を押しつぶして大地に伏せていた根が、爆発のように吹き飛んだ。

「まったく・・・面倒な相手だ」

その欠片がバラバラと落ちてくるなか、蒔風が立っていた。
その体にちょうどいい大きさに縮んだ風林火山を構え、ぼやく。




上空で根の追撃のなくなったなのはが、レイジングハートを樹獣に向け

《Shooting mode》

「撃ち抜いて!!!ディバイン!!」

《Buster!!》

なのはのディバインバスターが樹獣の斜め上から命中するが、やはりバリアに阻まれる。


「貫け、轟雷!!」

《Thunder smasher》


ドゥッ!!!

さらにフェイトのサンダースマッシャーが真正面からあたる。
だが、これもバリアに阻まれる。

何をしても、このバリアがネックなのである。


だが


「さて、お兄さんもやりますか」

今はこの少年がいる。

「派手に行くぜ?吹き飛べ!!獄・・・・炎・・・・」


ズギュゥアァァァァァァァ・・・・・!!!!


蒔風がとんでもないエネルギーを集める。
そしてそれが一気に凝縮され

「だぁぁぁぁん!!!!!!」

蒔風が投げつけ、樹獣に命中する。


ボスン、と、当然それもバリアに阻まれる。
しかもその攻撃も大した大きさの球体ではない。

しかし

「BON、だ!!!」

ギュオッ!!

一気に膨れ上がった火球が、樹獣を飲み込む。
そして爆発が起きた。


蒔風がとっさに「林」でバリアを張り、爆風からなのはたちを守る。


爆発の後には、衝撃と爆風が抑えられたために、どこまで続くかもわからないような大穴があいていた。
普通ならおそらく、公園から少し離れたところまでがクレーターになっていただろう。


そして、そこには宙に浮く活動の止まったジュエルシードが

《Sealing mode, set up》
《Sealing form, set up》


二人のデバイスが同時に姿を変える。



「ジュエルシード、シリアルVII!!」

「封印!!」


そして、ジュエルシードを中心に、光が広がり、二人とも一瞬目をそらす。
が、すぐにデバイスを構える。

二人はちょうど、ジュエルシードを挟んで立つ。



「ジュエルシードにはあまり大きな衝撃を与えない方がいいみたい」

「そうだね・・・こないだみたいになったら、私のレイジングハートも、フェイトちゃんのバルディッシュも、かわいそうだもんね」

「だけど・・・譲れないから」

《Device form》

フェイトがバルディッシュを基本形態に戻し、構える。


「私はフェイトちゃんと話したいだけなんだけど・・・・」

《Device mode》


なのはも、レイジングハートを基本形態に戻す。

なのはの眼には、迷いはない。
そこには、たった一つの想いがあった。



「私が勝ったら、お話、聞いてくれる?」


なのはの問いに、フェイトは答えない。
答えは、言葉ではなく、行動で


二人が同時に飛びだし、ぶつかり合う。



衝突した場が光り、それが晴れると・・・・






「ストップだ!!!」

新たに現れた少年が、そのデバイスでバルディッシュを抑え、もう一方の手でレイジングハートを掴んでいた。

「ここでの戦闘は危険すぎる!!・・・時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!!詳しい事情を聞かせてもらおうか」



「くっ」

「時空管理局・・・」

「なんだそりゃ?」

地上ではアルフ、ユーノ、蒔風が各々声を上げていた。



クロノと名乗る少年が、二人とともに地上に降りてくる。
そこに蒔風が近づいて訪ねた。

「なあなあ、時空管理局って何なん?」

「知らないのか?まぁ、それは後。まずは二人とも武器を引くんだ。このまま戦闘行為を続けるなら、ッッ!?」

バォウ!!

クロノが言葉を切る。
言い終わらないうちに、アルフからの砲撃が飛んできたのだ。


「フェイト!!撤退するよ!!!離れて!!」

フェイトが離れ、砲撃が飛ぶ。
その砲撃を離れてかわす三人。

フェイトは爆煙の中、ジュエルシードに手を伸ばすが・・・・


ドシュシュシュシュ!!!


クロノの放った光弾で撃ち落とされる。
アルフが落ちていくフェイトをその背に拾い、地上に降りる。

そこにさらにクロノが追撃をかけようとする。


「ダメぇ!!!」

「やめろ!!少年!!」

なのはがその間に立ち、蒔風がクロノを掴み背負い投げの要領で地面に投げつける。
クロノは一回転して着地し、そのすきにアルフはフェイトを連れて逃走した。


「君!!公務執行ぼ「今何で撃った」は?」

「今何で撃ったと聞いている」

「なんでって・・・あのままではジュエルシードが奪われていた。だからそれを」

「止めるために、か。しかしバインドという拘束魔法があるだろう。なぜそうしなかった」

「煙で相手が見えなかったんだ。仕方ないだろう!!」

「そうか・・・じゃあしょうがない。それが君の最善、だからな」

「・・・・・」

「オレが言いたいのはそれだけだ」

「・・・・・・くっ」

クロノがジュエルシードを回収する。
と、モニターが現れ、そこに一人の女性が映っていた。


『お疲れ様、クロノ』

「すみません。片方、逃がしてしまいました」

「ま、大丈夫よ」

「あの、一つ聞いていいですか?」

『なにかしら?』

蒔風が艦長と呼ばれた女性に問いかける。


「時空管理局って・・・なに?」

『うーーん、それを含めてちょっとお話聞きたいから・・・クロノ、その子たちをアースラに案内してくれるかしら』

「了解です。すぐに戻ります」


そうして、なのは、蒔風、ユーノは、アースラへと連れて行かれた。




ここからである。



時空管理局。



新たなファクターを迎え入れ、物語は加速する。




to be continued
 
 

 
後書き


アリス
「次回、今度は時空管理局に説明だ!!」


ではまた次回








想いつかなーーーーーい!!!! 
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