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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第11話

アルフィン皇女と共にパンダグリュエルから脱出したリィンはユミル方面に向かっていた。



~ヴァリマール~



「リィンさん、これからどうするんですか?」

「ユミルに戻ります。あそこにみんながいますから。」

「リィィィ―――――――ンッ!!」

ユミルに向かって飛行しているとアリサの声が聞こえて来た。



「この声は……アリサ!?一体どこに……―――――!あれは……”カレイジャス”!?」

「あ…………!」

自分達の視界に現れた”カレイジャス”に気付いたリィンは目を見開き、アルフィン皇女は明るい表情をした。

「リィン!リィンよね!?」

「聞こえていますか、お兄様!」

「ああっ!今そちらに向かう!」

そしてヴァリマールは”カレイジャス”に向かい、”カレイジャス”の甲板に着地し、リィンとアルフィン皇女がヴァリマールの中から現れると甲板にアリサ達に加え、オリヴァルト皇子達も駆け付けて来た。



~カレイジャス・甲板~



「リィン!」

「お兄様!無事でよかった!」

「アリサ……セレーネ……」

アリサとセレーネはリィンに抱き付き

「アルフィン……よかった……無事で……」

「お母様!?それにお父様とセドリックまでどうしてこちらに……!」

プリシラ皇妃はアルフィン皇女に抱き付いて涙を流した。



「僕達は兄上達に助けてもらったんだ。」

「フッ、とは言っても火事場泥棒同然のスマートじゃないやり方だけどね。」

「お兄様……グス……ふふ、相変わらずのご様子で何よりですわ。」

髪をかき上げていつもの調子で語るオリヴァルト皇子をアルフィン皇女は苦笑しながら見つめていた。



「…………リィン・シュバルツァー。アルフィンを救出してくれた事……心から感謝する。夏至祭の時といい、お主には世話になってばかりだな……」

「へ、陛下!?い、いえ!俺は士官学院生として当然の事をしたまでです!」

ユーゲント三世の感謝の言葉を聞いたリィンは謙遜した様子で答え

「フフッ、お父様の言う通りリィンさんには本当にお世話になってばかりです。先程もわたくしを連れ出してわたくし達を阻む貴族連合の協力者達をなぎ倒して、わたくしをパンダグリュエルから連れ出してくれたのですから。まるで小説のヒロインになった気分でしたわ♪」

「フッ、その様子だとどうやらリィン君との逃避行を満喫していたようだね?」

「はい♪とても貴重な体験でしたわ♪」

オリヴァルト皇子にウインクをされたアルフィン皇女は嬉しそうな表情で頷き、アルフィン皇女の答えを聞いたその場にいる全員は脱力した。



「ア、アルフィン……」

「フフッ、少し見ない内に成長しましたね。」

「ハハ、将来が楽しみですな。」

アルフィン皇女の答えにセドリック皇太子は呆れた表情をし、プリシラ皇妃とレーグニッツ知事は苦笑しながらアルフィン皇女を見つめていた。

「ふぅん。お楽しみだったみたいだね。」

「ふむ、そうなのか?」

「ま、まったく、人が心配していれば……」

「ふふ、リィンらしいな。」

一方フィーはジト目になり、ラウラは不思議そうな表情をし、マキアスは疲れた表情をし、ガイウスは苦笑した。



「いや、言葉の綾だから!」

「フン、アタシを放り出して何をやってたんだか。」

慌てている様子のリィンを見たセリーヌは呆れ

「フフ……何はともあれ、よくぞ殿下と共に帰還したな、リィン。」

「はは、久しぶりだね。」

「子爵閣下…………ジョルジュ先輩……それにトワ会長も……」

アルゼイド子爵とジョルジュに話しかけられたリィンは明るい表情でアルゼイド子爵達を見回した。



「っ……!」

するとその時トワはリィンに駆け寄り、リィンの胸に寄り添った。

「か、会長……!?」

「ううっ……よかった、リィン君が無事で!せっかく生きているってわかったのに、貴族連合の船に連れ去られちゃうなんて……!ずっと……ずっと心配してたんだよっ!?」

「……すみません、会長。心配をおかけしました。でも……会長たちも無事でいてくれてよかったです。学院の正門で別れてからずっと気がかりでしたが……―――なんとか俺も”約束”を守ることができました。」

「あ………ふふっ……そうだね。”死なない”って……約束してくれたもんね。そんな約束を、リィン君が破るわけないよね……!」

リィンの言葉を聞いて校門でリィン達を見送る時に送った言葉を思い出したトワは笑顔を浮かべた。



「ハハ、信じた甲斐があったみたいだね。元気そうでよかった、リィン君。あの戦いを生き延びてくれていたなんて……今でも信じられないくらいだ。」

「ジョルジュ先輩も……ご無事で何よりでした。でも、どうして二人までこの”カレイジャス”に……?」

「ああ、それも含めてあらためて情報交換をしよう。」

「上のフロアに会議室がある。そちらに移動するとしようか。」

その後リィン達は会議室に移動し、アリサ達はリィンとアルフィン皇女に事情を説明した。



~ブリーフィングルーム~



「なっ!?殿下、その話は本当なのですか!?」

アリサ達からメンフィルによる様々な”報復行動”を聞いたリィンは血相を変えて尋ね

「ああ……メンフィル軍の”グロリアス”によってバルヘイム宮が爆撃されて瓦礫の山と化する所を私達も見た。」

「………離宮内はぶっちゃけ”地獄絵図”だったよ。近衛兵達は全員無残な死体になって血の海に倒れていて、離宮内が血で真っ赤に染まっていたくらい。」

「……しかも死体のほとんどは身体の一部がかけていたりとまともな状態ではなかったな……」

「ちょっ、止めてくれよ……!なるべく思い出さないようにしているのに……!」

「…………」

「そ、そんな…………」

オリヴァルト皇子とフィーの後に説明を続けたラウラの話を聞いたマキアスは顔色を悪くし、ユーシスは辛そうな表情をし、アルフィン皇女は表情を青褪めさせていた。



「更にバリアハートとオルディス、パンダグリュエルがメンフィルに制圧されて、ルーファスさんや貴族連合に加担した貴族の当主の方々が処刑されて……”貴族連合”の”裏の協力者”達のほとんどはリウイ陛下達によって討ち取られていたなんて……!」

「そ、そう言えば……脱出の時道を阻む貴族連合の”協力者”がやけに少なかったですわよね……?」

メンフィルが行った数々の報復行動を繰り返して呟いたリィンは唇を噛みしめて身体を震わせ、アルフィン皇女は不安そうな表情をしていた。

「それに……エリゼまで殺しを行ったっていうのは本当なのか……!?」

「はい……エリゼお姉様はリフィア殿下と共にノルド高原の時に現れたアルティナさんを討ち取りました……」

「殺し方も結構残酷な殺し方だったよ~。」

「ミリアムちゃん……!」

信じられない表情をしているリィンにセレーネは辛そうな表情で答え、呑気な様子で答えたミリアムの言葉を聞いたエマは声を上げた。



「残酷って……どんな殺し方をしたんだ!?」

「――――リフィア殿下の魔術によって瀕死の状態になった彼女にエリゼ様は太刀の一振りで彼女の首を刈り取りました。」

「シャロンッ!」

静かな表情で遠回しな言い方をせずに答えたシャロンにアリサは声を上げて睨み

「……離宮の前にあった近衛兵達の死体もそうですが離宮内での近衛兵達の死体の中には”太刀”による斬撃と思われるものがありました。それらの件を考えると恐らくエリゼさんもリフィア殿下達と共に相当な数の近衛兵達を斬り殺したかと思われます。」

「そんな……俺に力が足りなかったばかりにエリゼの手を血で染めさせる事になるなんて……っ!」

「リィン君……………」

クレア大尉は重々しい様子を纏って答え、エリゼの所業を知り、悔しそうな表情で唇を噛みしめた身体を震わせるリィンをトワは心配そうな表情で見つめた。

「すまぬ……そうなってしまったのも全ては民達や貴族達を纏め切れなかった私の不徳によって起こってしまったもの。シュバルツァー家の者達を含めたエレボニアの内戦とは無関係であるメンフィルの人々には本当に申し訳ない事をしてしまった……謝って許される事ではない事は理解している。幾らでも私を罵って構わん。」

「陛下…………」

自分を見つめて頭を下げるユーゲント三世にリィンは辛そうな表情をし

「そんな………!陛下が罪悪感を持つ必要はございません……!こうなってしまったのも”貴族派”と和解の道を探らなかった我々”革新派”が一番の原因です!」

「父さん……」

必死にユーゲント三世を擁護しようとしているレーグニッツ知事をマキアスは辛そうな表情で見つめていた。



「お父様達のせいではありませんわ!全てはメンフィル帝国領であるユミルに避難し、そのまま何の対策もせずに留まっていたわたくしに一番の責任があります!もしエリスをユミルに送り届けた後、ユミルから去っていればメンフィルとの関係がここまで悪化する事はありませんでした……!」

「アルフィン…………」

「……………」

「殿下達の責任ではございません!全ては”アルバレア公爵家”です……!」

「ユーシス……」

アルフィン皇女の言葉を聞いたセドリック皇太子とプリシラ皇妃はそれぞれ辛そうな表情をし、アルフィン皇女を擁護しようとしているユーシスをガイウスは心配そうな表情で見つめ

「いや……この場合ユミルに避難させて、そのまま留まらせた俺に一番落ち度があったと思うぜ。あの時点だったらエレボニアとメンフィルは敵対関係じゃなかったから、男爵閣下を通じてメンフィルにアルフィン殿下の保護を頼めば、もっと警備が固い領地での滞在を受け入れてくれたかもしれねぇしな。実際ケルディックに潜伏していた”Ⅶ組”は陰ながらメンフィルに協力してもらっていたらしいしな。」

「あれはケルディックの領主をしているプリネ達がいたお蔭だと思いますけど…………」

「……その事について前々から気になっていわ。わかっていたのなら、何でそうしなかったのよ?」

疲れた表情で語ったトヴァルの言葉を聞いたエリオットは複雑そうな表情で答え、サラ教官は真剣な表情でトヴァルを見つめて尋ねた。



「エレボニアの皇族であるアルフィン殿下を保護した事でメンフィルに対する”借り”をエレボニアが作るのは、後々のメンフィルとの外交関係を考えたらちと不味いと思って、判断に迷っていたんだが……その結果が戦争状態にまで陥るという最悪の結果だ。こんな事ならユミルに着いた直後に男爵閣下に”英雄王”に取り次いでアルフィン殿下を保護してもらうか、そのままアルフィン殿下を連れてユミルから去るべきだったぜ……」

「ああもう……今は自分達の不手際を嘆くより、これから”どうするべき”かを考えるんでしょう?嘆く暇があったら内戦の終結やメンフィルとの和解の方法を考えるべきじゃないの?確か”殲滅天使”がエレボニアがメンフィルとの和解をする条件を提示しにアンタ達に接触するって話なんでしょう?」

「そう言えば、そんな話もあったね。」

「”殲滅天使”が来る時点で、絶対まともな内容じゃないと思うね。”四大名門”にも平気で脅迫するくらいだし。」

「フィー、さすがにそれは言い過ぎだぞ。」

それぞれ重苦しい空気を纏っている中呆れた表情で声を上げたセリーヌの言葉に我に返ったジョルジュはある事を思い出し、ジト目で呟いたフィーにラウラは複雑そうな表情で指摘した。



「フム……レン君が来るまでに聞こうと思っていたのだが、いまだ戦の”焔”が燃え広がり、混迷を極めるこの帝国の地で―――君達”Ⅶ組”や、士官学院はこれからどうするつもりだい?」

「あ……」

「まさにその話をしている最中でしたが……」

「…………それは…………」

オリヴァルト皇子の問いかけに対し、リィン達は互いの顔を見合わせ、答えに詰まったがやがてリィンが代表して答えた。



「―――この内戦は、帝国全体の問題……当然、学生の身である自分達に解決することなど叶いません。でも……俺達は実習を通じてこの国のままならない”現状”に何度もぶつかってきました。そんな俺達―――”Ⅶ組”なら。”現状”を少しでも良くする手伝いができるのではないか……そんな風に思えて来ました。」

「リィン君……」

「ふむ……」

「……………………」

リィンの言葉にトワは明るい表情をし、アルゼイド子爵とオリヴァルト皇子はリィンの目をジッと見つめた。



「クロウと決着をつけることも含めて……自分達にはそれぞれ、集まった”理由”があります。それらを成し遂げるためにも―――この”現状”を良くしていきたい。たとえ内戦の状況がどんなに厳しくなったとしても……今、自分達に手伝えることは最大限の努力をもって成し遂げたい。それが自分の―――自分達”Ⅶ組”の総意です。」

「うん……そうだね!」

「私達も同じ気持ちです。」

「それぞれ身分や立場の違いはありますけど……」

「いや、だからこそ僕達にしかできないことがあるはずだ。」

「何より、この帝国に存在する”大切なもの”を護るためにも。」

「そして、この内戦に自分なりの”答え”を見出すためにもな。」

「うん、己の道を信じて進んでゆくのみだろう。」

「わたくし達はずっとそうでしたし、これからも変わりませんわ。」

「ま、結構大変っぽいけど。」

「ボクたちみんな揃ってれば怖いモノなんてないよね!」

「アンタたち……」

「皆さん……」

「ふふ、それでこそⅦ組の皆様ですわ♪」

「フフ、さすがはオリヴァルト殿下が立ち上げたクラスですね。」

「これも今までの学院生活や”特別実習”によって培われたものなのでしょうね。」

「……………」

Ⅶ組の決意を知ったサラ教官とセドリック皇太子は驚き、シャロンとプリシラ皇妃は微笑み、レーグニッツ知事とユーゲント三世は静かな笑みを浮かべた。



「―――”Ⅶ組”だけでなくわたしたちも同じです。何と言ってもトールズの士官学院生の座右の銘は……”世の礎たれ”ですから。」

「あ。」

「入学式の時の……」

「獅子心皇帝の言葉か。」

「フフ、考えてみればそうであったな。」

「はは、君達が凄いのは自分達でその結論に辿り着いたことだと思うよ?」

「うん、誇っていいと思う。―――そして現在、かなりの数の学院生が帝国各地並びにメンフィル帝国領内に散っていますが………気持ちは皆、同じだと思います。」

リィンに微笑んだトワはオリヴァルト皇子を見つめた。



「そうか―――……殿下。」

「ああ、まさかここまでの答えが聞けるとは思わなかった。これで決まりだろう。父上、先程軽く説明したように、よろしいでしょうか?」

アルゼイド子爵の視線に頷いたオリヴァルト皇子はユーゲント三世に視線を向け

「うむ。―――これよりお主達にこの艦を預けよう。”紅き翼”―――飛行巡洋艦”カレイジャス”を。」

ユーゲント三世はリィン達を見回して驚愕の言葉を口にした。



「え……」

「――――ええええええっ!?」

「か、艦を預けるとは……?」

「フフ、そのままの意味だ。カレイジャスの運用は今後、そなたたちに一任する。”現状”を良くするためには足掛かりは必要であろう?」

「そ、それは確かにそうですが……」

「学生のわたくしたちには不相応だと思うのですが……」

アルゼイド子爵の指摘を聞いたラウラは戸惑い、セレーネは不安そうな表情をした。



「で、ですが……子爵閣下や陛下達はどうされるのですか?」

「我々は艦を降りた上で帝国西部へ向かうつもりさ。その上で、第七機甲師団や他の中立勢力と連携して活動しつつ、メンフィルと和解に向けての交渉をしようと思っている。これ以上、罪なき民草を戦火に巻き込まない為……そして内戦に巻き込んだメンフィル帝国に対する”罪”を償っていくためにもね。」

「それを遂行するにあたってこの艦はいささか目立つのでな。そなたたちに預けた上で―――帝国東部を任せたいのだよ。」

「あ…………」

「………………」

「……なるほど。この上なく合理的ですね。」

「これで東部と西部の双方に”第三の風”を吹かせられる………」

「ハハ、なんつーかギルド顔負けの発想ですね。」

オリヴァルト皇子とアルゼイド子爵の話を聞いたリィン達が黙り込んでいる中、クレア大尉は頷き、サラ教官は静かな笑みを浮かべ、トヴァルは苦笑した。



「フッ、君も含めて葡陶を受けているからね。――そして、セドリック、アルフィン。」

「「は、はいっ!」」

「できたら君達にはこの艦に残ってもらいたい。”カレイジャス”の所有者は父上であり、アルノール皇家。皇族の後ろ盾があれば彼らも動きやすいだろうからね。」

「「あ…………」」

オリヴァルト皇子の話を聞いたアルフィン皇女とセドリック皇太子は考え込んだ後やがて互いの顔を見つめて頷き、答えた。



「ふふっ……わかりましたわ。今後、皆さんの活動の正当性はわたくし達が保証してみせます。エレボニア帝国皇女―――アルフィン・ライゼ・アルノールの名にかけて……!」

「内戦の終結で僕で協力できる事があれば何でもするつもりです。今までお世話になった皆さんに恩を返す為にもエレボニア帝国皇太子――――セドリック・ライゼ・アルノールの名の元に皆さんの活動の正当性をアルフィンと共に証明してみせます!」

「殿下……」

「はわわっ……」

「……勿体ないお言葉。」

「フッ、これはもう肚を括るしかあるまい。」

「ああ……そうだな。」

そしてリィン達は互いの顔を見合わせて頷いた後トワが代表して言った。



「飛行巡洋艦”カレイジャス”―――謹んでお預かりします……!」

「帝国東部のこと……自分達にお任せ下さい!」

「ああ―――よろしく頼む。」

「フッ、期待させてもらうよ。」

トワとリィンの言葉にアルゼイド子爵とオリヴァルト皇子が頷いたその時

「うふふ、”そっち”のお話は纏まった事だし、次はみんながお待ちかねのレン達のお話を聞いてもらうわよ?」

何とレンがシグルーンと共に会議室に入って来た! 
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