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八十稲羽影祓師

作者:zeron
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影祓いの依頼

 
前書き
完全説明回………
要は

主人公 七代 千馗(しちだい かずき)は日本OXASという組織に加入していてカミフダという魔法の力のある代物を回収する人
七代はカミフダの中でも危険な呪言花札という代物を収集した

七代は呪言花札の守護者である(まお)というのじゃロリと契約して呪言花札の正式な『執行者』になっている

七代の装備である籠手は手にした物の能力を最大限まで引き上げることができる

こんな感じですかね 

 
「すごい田舎ですね」
指先部分は穴の開いたタイプの黒い手袋を付けた青年が自動車の中から外の風景を見てそう呟いた

「そろそろガソリンがまずいな、七代、ガソリンスタンドとか周囲にないのか?」

七代と呼ばれた青年は手袋を付けたまま地図をめくるが現在地周辺には何の建物も載っていないようだ

「ないみたいです、伊佐地さん」

伊佐地と呼ばれた自動車を運転している男はぼやくように

「やれやれ、なんで俺達がシャドウとやらの調査に来ないといけないんだ」

「伊佐地さんは俺を届けるだけですしまだいいじゃないですか、俺なんてこの田舎に1年…それも年齢を偽って滞在しないとダメなんですから」

そもそもことの始まりは数日前















東京の喫茶店にて

「来たか、七代」

七代千馗は上司である伊佐地に呼び出され喫茶店を訪れた

「お久しぶりです伊佐地さん」


2人とも日本OXASに所属している封札師だ

日本OXAS…………正式名称、国立国会図書館収集部特務課はカミフダと呼ばれる代物を収集することが仕事で七代千馗はカミフダの中でも特に危険な『呪言花札』という物をすべて収集した男だ

「お前の次の仕事なんだが……実は桐条のシャドウワーカーというグループからある要請が来ていてな」

桐条のシャドウワーカー

確か日本OXASとは目的や戦う対象こそ違うが『異形』と戦う存在だと聞いている

「はぁ、シャドウワーカーの戦っている『シャドウ』と日本OXASの戦っている『隠人』は違う存在だと聞いていますが」

「いや、まぁ、そうなんだが俺達の力でもシャドウとの戦闘は可能だとは聞いている」

「そうですか、じゃあ俺はそのシャドウと戦う手伝いをしたらいいんですね?」

「あー、それがだな…すまん」

いきなり謝る伊佐地

「何かトラブルですか」

「お前にはシャドウ事案危険地区だかなんだか知らんがシャドウが出る可能性のあるとされる地区、八十稲羽へ調査に行ってもらうことになった」

「調査…ってことは丸投げですか?」

シャドウについては謎が多い

シャドウワーカーのメンバーの一部はペルソナというシャドウと似て非なる物を使い戦闘するらしいがその発現方法も個人差があるという

「俺もバカバカしいと思うが上は依頼を受けてしまってな、日本OXASに回されたんだが俺達も人手不足だ、なるべく人員を割きたくはないが行動しないわけにはいかなくてな」

「それじゃあ行くのは俺と同期の2人のどっちかって感じですかね?」

「いや、あの2人は片一方はまだ未熟だしもう一方は少し厄介なことを頼んでいてな、七代…お前1人に頼みたい」

「またですか」

前回…というか初任務もそのような形ではあったが正規のカミフダを追うというものだったので問題…なかったと言えば嘘になるが無事解決できたが
今回のシャドウに関することはさすがに七代も心配のようだ
そもそも目的さえ曖昧なのだから

「お前なら1人でも十分に桐条に顔向けできる実力者だ、滞在期間は1年、何もなかったらそのまま帰ってこい」

「了解です」































「まさか滞在するためにまた高校生をやることになるなんて思いませんでしたよ」

七代は苦笑いしながらそう言った

「あまりにも田舎すぎて日本OXASでも顔が利く人間がほとんどいなくてな、ボロボロの辰姫神社ってとこにある家を滞在場所にするのが精いっぱいだったんだ、それに学生は噂に敏感だ、情報収集に役立つだろう……お前にまた高校生それも2年生になってもらうことについては心苦しく思っている」

七代は去年高校卒業する年齢だ

「神社…ですか神使さんは居るんですか?」

「…わからん」

神社には神使が居ることがあり場合によっては協力してもらえることもあるのだが…あまりにもボロボロな辰姫神社の様子を見ると……


「まぁ、行ってからのお楽しみですね」

「それより……本当にそいつも連れていくのか?」

「そいつとはなんじゃ」

突然自動車の中から少女の声が聞こえる


「私が主様と共にいるのが何か変かのぅ?」

自動車の中に少女の姿は見えない
声は七代の鞄から聞こえるようだ

(まお)が居ないと呪言花札を使うのが難しくなりますから」

(まお)……カミフダの一種である呪言花札の番人で今は白札の姿をしているが白い鴉や少女の姿へ変身することがある
七代はある手違いで白と契約することになったのだが…それは今の物語には関係ないだろう


「くれぐれも厄介ごとを起こすなよ、一応白はお前の妹という形で一時的に戸籍を作っているが学校は行かせれない…ボロを出すなよ」


「白についてはうまくやりますよ、呪言花札もそこまで数持ってきてませんし大事を起こすことはないと思います」

48枚+αあった呪言花札だったが今七代が所持しているのは番人である白札の白を含めて8枚だけだ

本来ならすべて七代が所持しているべきだがそれをすると組織内のパワーバランスが大きく崩れるので制限されている

「それから武器に関してだが法に触れるような火器刀剣の使用は推奨しない…お前ならその籠手があれば十分だろう」

封札師に支給されている籠手は封札師というか秘法眼という能力を持っていればなんであれ手に持った物の能力を最大限まで引き上げる力が備わっている

おもちゃや文房具でさえ封札師にとっては十分武器になる

「でもシャドウワーカーって重火器ぶっ放してるんじゃないでしたっけ?」

七代の疑問に対して伊佐地は

「……どうしても火器刀剣の類いが必要になればだいだらぼっちという店に行くといい、その店は一応日本OXASの協力の話を通している…武器屋だ」

と言った

「武器屋!?」

七代は驚く
当然だ、アメリカならともかく日本で武器屋なんて明らかに違法だ

「一応骨董品屋という形にしていたっけな…まぁ、深く気にしないでくれ」

「はぁ」

自動車はその間もどんどん進みようやく目的の建物が見えてきた

「あ、そこにガソリンスタンドがあるみたいです」

「ようやくか!」

「……あ」

「……」

「止まったようじゃな」

残念ながらガソリンスタンドの看板が見えたところで自動車は停止してしまった

「俺がガソリン買ってきますよ、伊佐地さんは自動車のことお願いします」

「悪いな、頼んだ」































「君、高校生?」

「え、あー…はい、転校することになったんですよ」

少し歳をとったの店員にガソリン携行缶を持ってきてもらっている間に若い男の店員に七代は話しかけられた

「君もか!さっきも1人そういう子がいたんだよ!」

「それは珍しいですね」

七代も驚いた、まさかこんな田舎に同時に2人も転校生が来ることになるなんて滅多にないことだろう

「あ、そういえばうちバイト募集してるんだけどどうかな?」

「あ、えっと」

「都会からくると何にもなくてびっくりするでしょ、実際退屈すると思うよ、バイトでもしないと」

「あぁ」

「っま考えといてよ」

と言うと若い店員は手を差し出してくる

「はい」

その手をとり握手をすると別の店員がガソリン携行缶を持ってきてくれたようだ

「おっと、仕事しないと…じゃ!」

あわてて若い店員は去って行った



































「お待たせしました…」

「おう、悪いな」

給油をして再び自動車は動き出す

「どうした主様よ、体調が悪そうだぞ?」

ガソリンスタンドから戻ってきてから体調の悪そうな七代を白が心配したように声をかける

「さすがに疲れたかな…」




自動車は八十稲羽商店街を通り辰姫神社へ着いた

伊佐地に案内され家へ着く

「ここの家だ…家事とかは自力でできるな?」

「家事はなんとかします、それよりこの家に元住んでいた人は?」

まさかこんな田舎に1つの家をキープするような手間はしないだろうと七代が質問をする

「あぁ、神主が住んでたが亡くなってな、その後神主の奥さんが1人暮らししていたが今回ちょうどいい機会だし都会へ引っ越すそうだ」

「なるほど」

扉の鍵を伊佐地から受け取りドアを開けると中にはテレビや冷蔵庫等の家具が一通りそろっているのが見えた

「大体必要な物は手配しておいた……俺は正直シャドウ事案なんて本当に起こるかどうかも怪しいと思っている、1年したら帰ってこいみんな待ってるぞ」

「了解です」

それじゃあ頑張れと言うと伊佐地は去って行った


















「さて、もういいよ白」

鞄の中から七代は白札を取り出すとそう声をかけた

「ようやくか…さすがに退屈じゃったぞ」

白札は突如古めかしい衣服を着込んだ少女へと姿を変える

「お疲れ様、ご飯にしようか何か食べたいものある?」

七代がやさしい口調で聞くと白はこう言った

「ふむ、ぽてちが食べたい」

「お菓子は…ご飯にならないよ」

「そもそも主様の料理は…まずくはないが色々とおかしいぞ?」

魚介類と饅頭を捏ねていたらたい焼きができあがったりのぅと言われる七代

「あれは……封札師公認の立派な調合術です、お菓子以外で何がいい?」

「はんばーがー」

白はジャンクフードが好物なのだ

「ハンバーガーか…マクドナルド何て近くにないよなぁ」

七代が困っていると白が広告を持ってきた

「一応近くにじゅねすというすーぱーがあるらしいと聞いたぞ」

「ジュネス…こんな田舎にも進出してるのか」

ジュネスのテーマ曲を携帯のメール受信の音楽に設定して友人に笑われたことを思い出しながら七代はそう呟いた

「よし、じゃあ今日はジュネスでハンバーガー食べにいこっか…白の服装は~……」

着物を着た少女がハンバーガーを食べている姿はあまりにも不自然だ
こんな田舎だ、すぐに話題になる
「童は着替えるつもりなどないぞ」

「だよなぁ、買ってくるよ」

財布だけ持って七代は家を出ると街並みを見る

「1年か……」

東京のような何かが集まるようなおぞましさはないが田舎特有の封鎖的な雰囲気がどこか不気味に感じた
 
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