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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第214話

~オーロックス峡谷~



「「秘技―――裏疾風!!」」

戦闘開始早々二人は同時に同じ剣技を放ってすれ違うと共に互いの斬撃で互いの攻撃を相殺し

「「斬!!」」

更に同時に斬撃波を放って再び攻撃を相殺した!

「二の型―――洸破斬!!」

「セイッ!!」

エリゼが神速の抜刀による衝撃波を放った瞬間リィンは跳躍して攻撃を回避し、エリゼの方へと落下しながら剣技を放った!



「燐の型―――沙綾紅燐剣!!」

リィンが上空から放った高速剣による衝撃波はエリゼに向かって雨のように降り注いでエリゼの逃げ場を無くし

「秘技―――百烈桜華斬!!」

回避が不可能と判断したエリゼは自身に襲い掛かる衝撃波だけを剣技で相殺した。

「四の型―――紅葉切り!!」

「キャッ!?」

しかし剣技を放った影響で僅かにできた隙を見逃さなかったリィンは地面に着地した瞬間エリゼの背後へと駆け抜けると共に斬撃を叩きこんでダメージを与えた。



「二の型―――大雪斬!!」

「!!」

リィンはすぐに反撃して来たエリゼの強襲攻撃を側面に跳躍して回避したが

「伍の型――――光輪斬!!」

「グッ!?」

地面に着地した瞬間、目にも止まらぬ速さで放ったエリゼの抜刀による刀気の輪を受けてしまい、ダメージを受けた。



「伍の型――――」

リィンにダメージを与えたエリゼは再び抜刀の構えをし

「(光輪斬……―――いや、違う!)……!」

「光鬼斬!!」

「させるか!」

一瞬で自分に詰め寄って来たエリゼの強力な一撃をリィンは回避した後反撃し

「!!」

クラフト――残月によるリィンの反撃に反応したエリゼも自身の太刀でリィンの攻撃を受け止めてリィンと鍔迫り合いの状態になった。



「以前手合せした時は”裏疾風”もそうですが、”飛燕剣”の上位技もまだ習得していませんでしたが……どうやら内戦や”試練”による経験を得て習得したみたいですね……!」

「ああ、お蔭様でな……!」

鍔迫り合いで短い会話を交わした二人は互いの剣を引くと共に後ろへと跳躍して距離を取った。



「斬の型―――殲鋼双肢乱!!」

「貫け、烈輝の陣!レイ=ルーン!!」

リィンが剣技を放った瞬間、エリゼは短い詠唱で発動した魔術で相殺し

「ヤァァァァ……秘技――――桜花爛漫!!」

魔術を放った後に太刀に溜め込んだ闘気を解き放ち、解き放たれた闘気は狼の姿をしてリィンに襲い掛かった!

「燃え盛れ……龍炎撃!!」

対するリィンは襲い掛かって来た狼を炎の龍を纏った一撃で真っ二つにした。



「魔力―――解放!アルカナの崩壊!!」

「!!」

エリゼが魔術を発動すると同時に直感で自分のいる場所に危険が訪れる事を感じたリィンは側面に跳躍した。するとリィンがいた場所に突如重力場が発生した後大爆発が起こった!

「十六夜――――」

エリゼの魔術を回避したリィンは抜刀の構えをし

「!」

周囲から漂う殺気に気付いたエリゼは跳躍し

「”斬”!!」

その瞬間、エリゼがいた場所に斬撃が発生し、周囲に生えていた木をなぎ倒した!



「全てを斬り裂け―――斬界剣!!」

跳躍したエリゼはリィンの方へと落下しながら太刀に凄まじい闘気を纏わせてリィン目掛けて振り下ろし

「斬の型―――紅燐舞華斬!!」

対するリィンは打撃重視の一閃技を放ってエリゼの一撃を受け止めた!二人の強烈な一撃がぶつかり合った瞬間、二人を中心に凄まじい衝撃波が発生すると共に小規模な揺れが起こり、リィンの足元を中心に地面に亀裂が入った!

「これも防ぎますか……!もはや”中伝”の域ではありませんね……!」

「”皆伝”のエリゼにそう言われたら、光栄だな……!」

エリゼの驚きも混じった称賛の言葉に口元に笑みを浮かべたリィンは体勢を立て直す為に剣を引くと同時に後ろに跳躍してエリゼから距離を取った。



「魔力よ、爆ぜよ!―――――アウエラの導き!!」

リィンが自分から距離を取るとエリゼは瞬時に片手に集束した魔法球をリィンへと解き放ち

「二の型――――大雪斬!!」

魔法球が襲い掛かる瞬間リィンは跳躍してエリゼへと強襲し、回避された魔法球はリィンがいた場所で大爆発を起こした。

「………………!」

上空から襲い掛かってくるリィンの攻撃をエリゼは受け止めたが

「朧!!」

「!?キャッ!?」

攻撃を受け止めた瞬間剣を引いて一瞬で自分の背後へと回って解き放った居合い斬りの対処に遅れてしまい、ダメージを受けた。



「舞の型―――――沙綾円舞剣!!」

「ヤッ!!」

「アークス、駆動―――――」

真空の刃と共に放ったリィンの薙ぎ払い攻撃をエリゼは跳躍で回避し、攻撃を回避されたリィンはオーブメントを駆動させた。

「裁きの雷よ、我が剣に集え!奥義――――真・雷光剣―――――ッ!!」

そしてエリゼはリィン目掛けて落下しながら聖なる雷の魔力を纏った太刀を振り下ろした!

「クッ……!うあああああああっ!?」

エリゼの攻撃を後ろへと跳躍して直撃を避けたリィンだったが、エリゼが太刀を地面に叩きつけると同時に発生した広範囲の電撃からは逃れられずダメージを受けた。



「ダークマター!!」

ダメージを受けたリィンだったがすぐに立ち直り、駆動を終えたオーブメントでアーツを発動し

「これは……!?クッ……!」

アーツによる重力場でエリゼはダメージを受けながら動きを封じ込められ

「七の型―――――無想覇斬!!」

「キャアアアアアッ!?」

その隙にリィンはSクラフトをエリゼに叩き込み、大ダメージを与えた!



「やりますね……!ですが、ここからが本番ですよ!スゥゥゥゥ………ハアッ!!」

ダメージから立ち直ったエリゼはクラフト―――麒麟功で身体能力を上昇させ

「望む所だ!紅き炎よ………俺に力を!オォォォォ……ハアッ!!」

リィンもクラフト――紅蓮覇気によって紅きオーラを身に纏うと共に自身の身体能力を上昇させた。



「風巻く光よ……私に大切な人達を守る力を!」

「風巻く光よ……我が剣に集え!」

二人は同時に同じ剣技の構えをし

「ハァァァァァ……!」

「うおぉぉぉぉ……!」

同時に地面を蹴って神速の抜刀によって発生した無数の斬撃で互いの攻撃を相殺し

「「奥義―――――風神烈波!!」」

最後に闘気によって発生した風を纏った強烈な一撃をぶつけ合い、再び鍔迫り合いの状態になった!二人の風を纏った強烈な一撃同士がぶつかり合った際、一際大きい衝撃波が二人の周囲から発生すると共に周囲に大地震を起こした!



「グッ……!まだまだっ!ハァァァァァ……!」

「ッ……!私もこの程度では倒れる訳にはいきませんっ!ヤァァァァ…………!」

それぞれの太刀から伝わる衝撃に呻いた二人だったが、すぐに立ち直って再び一進一退の激戦を繰り広げ始めた!


「ひゃあああああっ!?」

「ひえええええええっ!?」

「何と凄まじい”風”だ……!」

「あの”英雄王”と”劫炎”の対決を思い出させるくらいの凄まじい一騎打ちだね……!」

「これがリィンとエリゼの”真の実力”か……フフ、私もまだまだ精進が足りないな。」

二人の戦いを見守っていたトワとエリオットは二人が出す余波を肌を感じて悲鳴を上げ、ガイウスとフィーは驚きの表情で呟き、ラウラは二人の強さに感心し

「こ、これは本当に”人”同士による戦いなのですか……!?」

「エリゼ君もそうだが、リィンも滅茶苦茶だ……!」

「”人間”が生身で近代兵器でも出せない威力を出すなんて、非常識過ぎるわよ……!」

アルフィンやマキアス、アリサは信じられない表情で声を上げた。



「”剣聖”や”風の剣聖”といい、八葉の剣士は全員がこんな非常識の塊ばかりなのか!?」

「ハハ、まあそう感じてしまうのも無理ないね。」

「そうですよねぇ?それにしても”あの力”を使わないでここまで戦えるなんて……こりゃ、下手したらあたしでもヤバイかもしれないわね。」

「それを言ったら俺なんか、絶対敵わないレベルだぜ……」

ユーシスの叫びを聞き、苦笑しているオリヴァルト皇子の意見に同意したサラ教官はリィンの強さを見て表情を引き攣らせ、トヴァルは疲れた表情で呟いた。



「アハハ~、ユーシスの言っている事も案外当たっているかもしれないね~。ボク達が今まで出会ってきた”八葉一刀流”の人達って、みんな”人外”としか思えない強さだもんね~。」

「ミ、ミリアムちゃん……それはあくまで偶然ですよ……」

ミリアムの言葉にクレア大尉は冷や汗をかいて苦笑しながら指摘し

「……二人とも、そんなに驚くような強さなの?私が知っている人達の中にあのくらいの事はできる人もいたけど。」

「ゲ、ゲルドさん……?じょ、冗談ですよね……?」

「人間って、時々こうやって”魔王”や”竜”をも葬る程のとんでもない強さを手に入れるんだから、相変わらず人間に秘められてある”無限の可能性”は理解できないわ……」

首を傾げているゲルドの言葉にエマは表情を引き攣らせ、セリーヌは疲れた表情で溜息を吐いた。



「兄様……姉様…………女神様、こんな哀しい戦い、早く終わらせて下さい……!」

「頑張って下さい、お兄様!」

辛そうな表情で二人の戦いを見守っていたエリスは二人の戦いが早く終わるようにその場で強く祈り、セレーネはリィンに声援を送り

「ハハ……何だか”黒竜関”でのアンとログナー候の”親子喧嘩”を思い出すね。」

「フフ、さすがにあんなとんでもないレベルじゃないよ。」

ジョルジュの言葉を聞いたアンゼリカは静かな笑みを浮かべて答えた。



「お、驚いたわね……エリゼさんはわかっていたけど、まさかリィンさんがあそこまで強くなっているなんて……」

「というか何気に他の誰かが使っている技も使っているよね?」

「え、ええ……あたしの剣技まで使った事には驚きました……」

「しかも”飛燕剣”の上位技まで使っているぞ。」

「フッ、機会あれば俺も手合せ願いたいものだ。」

リィンの強さにプリネは目を丸くし、エヴリーヌの疑問にツーヤは驚きの表情で同意し、リフィアは信じられない表情をし、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「フフ、なるほど……確かにあの強さならアルフィン皇女を連れて”パンダグリュエル”から脱出できたのも納得できるわ。」

「いや、俺が戦った時はあんな”化物”じゃなかったし、”鬼”の力を使ってたぞ?ったく、たった3ヶ月ちょっとで完全に追い越されちまったのをこの目で見るとへこむぜ……」

苦笑するクロチルダの言葉に指摘したクロウは疲れた表情で溜息を吐いた。



「うふふ、”前哨戦”でこれだけ凄いんだから、”本番”である最終戦はどんな戦いを見せてくれるのでしょうね♪何せ条件は”様々な意味”でイーブン……いえ、下手したらエリゼお姉さんが上かもしれないわね♪」

「―――少なくても”武器”に関してはエリゼが上じゃろう。何せ”太刀”を作ったのはウィルじゃしな。」

小悪魔な笑みを浮かべるレンの意見にリフィアは静かな表情で答えた。

「―――どうやら間に合ったようですわね。」

「へ――――」

「!!」

聞き覚えのある声が聞こえたマキアスは呆け、サラ教官が血相を変えるとペガサスに騎乗したシグルーンがペガサスを地上へと着地させ、続くように馬に騎乗したゼルギウスも現れた。



「シ、シグルーン中将!?どうしてここに……」

「それに”聖魔皇女”の親衛隊の隊長もいるね。まさかとは思うけどエリゼの加勢に来たの?」

二人の登場にエリオットは驚き、フィーは警戒の表情で尋ねた。

「そのような無粋な真似はせん。我々にとって”仲間”であるエリゼにとって大切な戦いを見届けに来たのだ。」

「”仲間”…………」

「あ、あの。前から疑問に思っていたんですけど、どうしてお二人はそんなにもエリゼちゃんを特別視しているのでしょうか?」

ゼルギウスの答えを聞いたゲルドは呆け、トワは戸惑いの表情で尋ねた。



「そうですわね……エリゼは私やゼルギウスとは異なる形でリフィア殿下を支えている貴重な娘だというのが一番の理由ですわ。」

「……それは一体どういう意味でしょうか。」

シグルーンの答えの意味がわからなかったラウラは不思議そうな表情で尋ねた。

「―――私とシグルーンは一生殿下を支え続けるとそれぞれの剣に誓った。だが支えると言っても、私達が殿下にお仕えし、殿下を守護するという形でしか支える事ができない。対するエリゼは真の意味でリフィア殿下を支えている。」

「え……で、ですがエリゼさんはリフィア殿下の専属侍女長なのですから、”仕える”という意味で考えれば同じなのでは……」

ゼルギウスの話を聞いたアルフィンは戸惑いの表情で指摘した。



「確かにエリゼは余の専属侍女長じゃが、その前に一人の”友”じゃ。メンフィル皇女にしてメンフィル皇帝の跡継ぎである余と対等に付き合える貴重な存在じゃ。――――オリヴァルト皇子、ミュラー少佐がいるお主ならエリゼの重要性がわかるのではないか?」

「……なるほどね。”主”の間違いに気付いた際、”主”に逆らってでも”主”の間違いを正そうとする存在がリフィア殿下にとってエリゼ君なのだね。」

「あ………………」

リフィアに問いかけられたオリヴァルト皇子の答えを聞いたアルフィンはオリヴァルト皇子とミュラー少佐の主従関係を思い出していた。



「―――その通りですわ。そして私達は私達では決して支える事ができない部分を担っているエリゼの事を大切な”仲間”だと思っているのです。」

「そして此度の戦いはエリゼにとって一生の中で最も大切な戦い。その戦いをエリゼの仲間として見逃す訳にはいかなかったのだ。」

「その割には随分と遅れてきたのね?戦いも佳境に入っているわよ?」

「セ、セリーヌ。」

シグルーンの後に説明したゼルギウスの話を聞き、ある事が気になっていたセリーヌの疑問を聞いたエマは冷や汗をかいた。



「……私とシグルーンが見守りに来た戦いは今の戦いではない。”次”がエリゼにとって最も大切な戦いだ。」

「つ、”次がエリゼにとって最も大切な戦い”って……!」

「お、おいおい……あんな激戦を繰り広げておいて、まさか2連戦をするつもりなのか、あの嬢ちゃんは!?」

ゼルギウスの答えを聞いたアリサとトヴァルは信じられない表情をした。



「うふふ、良い事を教えてあげるわ。エリゼお姉さんはね、大好きなリィンお兄さんにとって大切な”C”との”約束”を状況を考えれば仕方ないとはいえ、自分が割り込んで滅茶苦茶にしてしまった事に罪悪感を抱いているみたいでね。その”償い”として、せめて自分が可能な限り、リィンお兄さんと”C”との”約束”を再現するつもりなのよ。その為に必要な”ゼムリアストーン製の太刀”もレン達が用意してあげたんだから♪」

「な―――――」

「何だと!?」

「ク、クロウ君とリィン君の”約束”って事は……!」

「しかも”ゼムリアストーン製の太刀”という事は……!」

「―――”騎神”同士による決着か。」

「まさか……エリゼも”騎神”を持っているって言うの!?」

レンの口から出た信じられない話にクロチルダは絶句し、クロウは驚き、トワは信じられない表情をし、驚きの表情をしているジョルジュの言葉に続くようにアンゼリカは重々しい様子を纏って呟いてエリゼを見つめ、サラ教官は真剣な表情でレンを見つめて問いかけたが

「”騎神”は持っていないわよ、”騎神”はね。」

レンは意味ありげな表情を浮かべて答えを誤魔化した。 
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