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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第208話

同日、18:30――――



~エルベ離宮・紋章の間~



「今後について話し合う前に一つだけ言わせて頂きたい。―――――此の度は誠に申し訳なかった……!我が国の存亡をかけた会議を開催して頂いた上、各国の寛大なお心によってエレボニアが存続できたというのに元宰相とはいえ我が国の民があのような暴挙に出るとは夢にも思わなかった……!」

「申し訳ございませんでした……!オズボーン元宰相の双界に向けての宣戦布告はわたくし達――――エレボニアにも責任の一端があります!」

「殿下達の責任ではございません……!どうか処罰は私を始めとした”鉄血の子供達(アイアンブリード)”や元宰相閣下直属の”情報局”や”鉄道憲兵隊”に与えてください……!」

「殿下……アルフィン……クレア大尉………」

それぞれ頭を深く下げるオリヴァルト皇子やアルフィン、クレア大尉をリィンは辛そうな表情で見つめていた。



「……3人共頭を上げられよ。オズボーンは”死者”。さすがに元宰相とは言え”死者”が仕出かした事に責任を問うつもりはない。―――他の方々もそう思われないか?」

ヴァイスは静かな表情でオリヴァルト皇子達に頭を上げるように促した後各国のVIP達に答えを促し

「うむ。先程の宣戦布告の件についてはエレボニアの責任ではないという考えもメンフィルも同じじゃ。」

「当然レミフェリアも同じ考えです。」

「同じくリベールもです。それよりも……―――エイドス様。オズボーン元宰相の件で何か事情を知っているような事を仰っていましたが……どうか私達にも詳細な説明をして頂けないでしょうか?」

ヴァイスの問いかけにリフィアとアルバート大公が答えた後に二人に続くように答えたアリシア女王はエイドスを見つめた。



「確か……”ユリス”と仰っていましたよね?」

「一体何者なのですか、その”ユリス”とやらは。」

クローディア姫の質問に続くようにエルミナは真剣な表情でエイドスを見つめて問いかけた。

「…………―――”ユリス”。私が多くの仲間達やゼムリアに住む多くの人々の協力によってようやく封じ込める事ができた”大いなる魔”にして大地に破滅をもたらし、全てを”無”に帰す事を目的とする”万物の敵”にして”世界の災厄”。その正体とは”人”の”負の感情”―――例えば憎しみや恨みと言った他者を害したいという”感情”の集合体です。」

「”負の感情”の集合体…………」

「憎しみや恨みか。となるとオズボーンが俺達に感謝していると言っていたのはその事か。」

「二大国侵攻によって産まれた”負の感情”ですね……」

「………………」

「―――当然エレボニアの内戦でも多くの”負の感情”が産まれただろうね……」

エイドスの説明を聞いたエリゼは呆け、厳しい表情をしているヴァイスの言葉に続くように答えたユーディットの推測を聞いたイリーナは辛そうな表情で黙り込み、オリヴァルト皇子は重々しい口調で呟いた。



「……しかしその説明ならば遥か昔―――例えば”暗黒時代”あたりにそのユリスとやらの封印が解けてもおかしくないと思われるのですが。」

「恐らくその時代にはまだ私の封印の効果は十分に発揮していたのでしょう。あのオズボーンとやらがユリスを見つけたのは恐らく私の封印の効果が弱まった影響によってユリスの思念を受け取り、封印を解く為に何らかの行動をしていたのでしょうね。」

「先程メンフィルによって処刑されたルーファス・アルバレアに加えて無念の死を遂げた者達の魂と共にいると口にしていましたが……―――まさか。」

「戦争によって死亡した多くの人々の”怨霊”と化した魂を集めて、彼らの”負の感情”を使って封印を解いたのかもしれないな……」

セルナート総長の疑問に答えたエイドスの話を聞いてある事を推測できたフェミリンスは血相を変え、ヨシュアは複雑そうな表情で推測を口にした。



「あの……先程オズボーン元宰相閣下はユリスを”飲み込んだ”と仰っていましたが……」

「ありえないと思うのですがオズボーンとやらはユリスを取りこみ、自身の”力”にしたのかもしれませんね。――ただし、私の推測では彼の者は既に”ユリス”の影響を受けていると思います。人間だった頃の彼の者の事は知りませんが、世界を破壊するというユリスの”意思”の影響は受けているような発言をしていたのですから。」

クレア大尉の言葉に対し、エイドスは真剣な表情で自身の推測を口にした。



”零の御子”によって改変された忌々しきこの世界を一度破壊し、エレボニア帝国の名の元に再生する。勿論メンフィルを始めとした異世界もその中に入っている。



「あ…………」

「………………閣下…………」

エイドスの言葉を聞き、オズボーンの言葉を思い出したリィンは呆けた後複雑そうな表情をし、クレア大尉は悲しそうな表情で肩を落とした。

「ねえ、エイドス。何でそのユリスって奴を倒さず、封印したの?」

「エイドスさんは”女神”だし、更に凄く強い仲間の人達が一杯いたんだよね……?なのにどうして倒さなかったの?」

その時ある事を疑問に思っていたエステルとミントがそれぞれエイドスに尋ねた。



「……私や夫を始めとした”聖痕(スティグマ)”の使い手達や”眷属”達の全力を持ってしても実体は何とか滅する事ができたのですが、”意思”は消し切れなかった為”意思”のみを封印したのです。」

「そ、そんな……!?」

「女神様ですらも倒し切れない相手ですか…………」

エイドスの説明を聞いたクローディア姫は表情を青褪めさせ、アルバート大公は重々しい口調で呟いた。



「―――重要会議中の所、失礼する。」

するとその時リウイが会議場に戻ってきた。



「あなた……”ジュライ特区”はどんな状況ですか?」

会議場に戻ってきたリウイにイリーナは心配そうな表情で尋ねた。

「……民達に不安を抱かさせない為に”ジュライ特区”の郊外にメンフィル軍を駐屯させていた事が良かったのか、メンフィル軍の被害は軽微で済み、大地震が収まった後は既に”ジュライ特区”の民達の救援活動並びに避難誘導を始めている。」

「そうですか……ジュライの民達への救援活動並びに避難誘導をして頂き、心からお礼を申し上げます。――――本当にありがとうございます。」

リウイの話を聞いたアルフィンは僅かに安堵の表情をした後リウイを見つめて頭を下げ

「”ジュライ特区”に突如現れたオズボーン元宰相が口にした”真・煌魔城”とやらの様子はどうなっているのですか?」

ある事が気になっていたオリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。



「……兵達の報告によると”真・煌魔城”から無数の魔物達に加えて”Ⅶ組”に同行していたシグルーンの報告にあった”魔煌兵”と思われる巨大人形の軍団が現れ、破壊活動を始めているとの事だ。」

「!!」

「そ、そんな!?」

「しかも”魔煌兵”までいるなんて、一体どうなっているんだ!?」

リウイの話を聞いたオリヴァルト皇子は目を見開き、アルフィンは悲痛そうな表情をし、リィンは信じられない表情で声をあげ

「そこまで墜ちたのか、鉄血は!―――リウイ、救援や避難誘導はどうなっておるのじゃ!?」

怒りの表情で叫んだリフィアは真剣な表情でリウイを見つめて尋ねた。



「―――現在はメンフィル軍が迎撃しつつ、民達を戦艦に乗せて他の地方へと避難させ、民達の避難が完了次第撤退するように命じてある。”真・煌魔城”とやらの存在で何が起こるかわからなかったからな。」

「ジュライの民達の為に重ね重ね本当にありがとうございます……!」

リウイの話を聞いたアルフィンは頭を深く下げ

「生存者に関しては全力で救援活動と避難誘導を行わせているが先程の大地震の崩壊に巻き込まれて死亡した民達や魔物達によって既に殺害された民達の遺体の回収は悪いが今はできん。ジュライはもはや魔物達が跋扈する”魔都”。遺体を回収している暇はさすがにない。」

「……遺体の件についてはどうかお気になさらないで下さい。本来でしたら救援活動や避難誘導も含めて我々エレボニア軍がすべき事なのですから…………」

「………………」

(故郷がこんな事になった事を知ったクロウは何を思うんだろう……?)

リウイの説明を聞いたオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って答え、クレア大尉とリィンはそれぞれ辛そうな表情をしていた。

「それで……ジュライがあのような事になってしまった”原因”について何かわかったのか?」

「ええ。実は―――」

そしてアリシア女王達はリウイに”ユリス”の事について説明した。


「……”空の女神”が遥か昔に激闘の末に封じ込めた人々の”負の感情”の集合体で、それを”鉄血宰相”が取りこんだ可能性がある、か。―――とにかくそれぞれの世界を護る為には”ユリス”とやらを取りこんだ”鉄血宰相”を討伐か封印、どちらかの方法を取る必要があるという事だな。」

「はい。このような事になってしまったのも私の力不足も原因の一つ。本当はこの会議を最後に現在のゼムリア大陸の情勢に介入する事をやめるつもりでしたが、”ユリス”の件は別です。…………―――エステルさん、フェミリンスさん。”ユリス”を今度こそ滅する為にどうか私に力を貸して頂けないでしょうか?―――お願いします!」

リウイの言葉に頷いたエイドスはエステル達を見つめて頭を下げた。

「へっ!?そりゃあたし達も元々協力する気だったけど、何であたしとフェミリンスを名指ししたのかしら?」

「…………恐らくはエステルに秘められてあるサティアさんやフェミリンスさん自身の”力”が必要なんだと思う。」

戸惑っているエステルにヨシュアは自分の推測を口にした。



「あ…………」

「―――神々の力ですわね。一柱で滅する事が不可能ならば、複数の神々なら可能と考えたのですね。」

「それだったらセリカさん達やフィーナさん達にもお願いして一緒に来てもらおうよ!セリカさん達の力も絶対に必要だと思うよ?」

ヨシュアの推測を聞いたエステルは呆け、真剣な表情で呟いたフェミリンスの話に続くようにミントが提案した。



「勿論彼らやお母様達にも後でお願いするつもりです。アインさ―――いえ、”星杯騎士団総長アイン・セルナート”。”星杯騎士団”の”総長”である貴女に依頼があります。」

「……”ユリス”―――いやギリアス・オズボーン討伐に”星杯騎士団”にも協力して欲しいと仰るおつもりですか。」

エイドスに名指しされたセルナート総長は姿勢を正して真剣な表情でエイドスを見つめて問いかけた。

「はい。ただ無理にとは言いませんが…………」

「フッ、我々にとって真なる主である御身の依頼を断る等絶対にありえません。そして御身を崇めている七耀教会も全面的にオズボーン元宰相討伐に協力すると思われますし、もし拒んだ場合は我々”星杯騎士団”が総力を挙げて”力づく”でも協力するように”説得”するつもりですのでご安心下さい。」

申し訳なさそうな表情をしているエイドスにセルナート総長は口元に笑みを浮かべて答えた。

「――――ありがとうございます。貴女達の力も期待させて頂きますね。」

「御意。今こそ我ら”星杯騎士団”――――いえ、”七耀教会”の忠誠をお見せしましょう。」

「―――エイドス様、どうか私達エレボニアもオズボーン元宰相討伐の決戦に参戦させて頂きたい。」

セルナート総長がエイドスに会釈したその時、オリヴァルト皇子が真剣な表情で名乗り上げた。



「理由は……やはり貴国の元宰相が関わっているからですか?」

「はい。死者とは言え、オズボーン元宰相はエレボニア政府の代表者だった者。双界の破壊と言ったそのようなおぞましい事を企んだ者を宰相にした我々エレボニアにも責任の一端があります。せめてもの罪滅ぼしにエレボニアにもオズボーン元宰相討伐に協力させて頂きたいのです。」

エイドスに尋ねられたオリヴァルト皇子は真剣な表情で答えた。

「お兄様……――――女神様、どうかわたくし達エレボニアにもオズボーン元宰相討伐の戦いの参戦の許可をお願いします!」

「どうか私達に償いの機会をお与え下さい、エイドス様……!」

(クレア大尉……)

心から慕っていたオズボーンを討伐する決戦にアルフィンと共に頭を下げてエイドスに頼み込むクレア大尉をリィンは辛そうな表情で見つめていた。



「―――ありがたい申し出ありがとうございます。エレボニアの申し出もありがたく受けさせて頂きますね。」

「あ……ありがとうございます……!」

「エイドス様の寛大なお心に心から感謝致します。」

「―――”空の女神”。クロスベルもオズボーンとの決戦に全面的に協力する。我々クロスベルにも参戦の許可を頼む。」

「え………」

「……ギュランドロス様達にも相談もせず、独断で決めるのはさすがにどうかと思いますが。」

ヴァイスの突然の申し出にユーディットは呆け、エルミナは真剣な表情でヴァイスに指摘した。



「逆に聞くが双界の命運がかかった戦いにクロスベル……いや、”国家”が傍観を決め込む訳にはいかないだろうが。第一ギュランドロスが断ると思っているのか?」

「それは…………―――失言でした。クロスベルも全面的に協力致します。」

ヴァイスの説明を聞いて少しの間考え込み、すぐに答えを出したエルミナは目を伏せてヴァイスに謝罪した後エイドスを見つめて申し出た。

「メンフィルも全面的に協力する。双界の破壊は絶対に阻止する必要がある上、間接的とは言え”ユリス”とやらの復活には我々メンフィルやクロスベルも関わっていたのだからな。俺達にも責任の一端がある。」

「あなた……」

「うむ!余達メンフィルにかかれば、世界の災厄とやらをその手にした愚かなオズボーンすらも敵ではないわ!」

「もう……強敵相手に自信があるのは良い事だけど、過信は身を滅ぼすわよ?」

エルミナに続くように申し出たリウイの申し出にイリーナは微笑み、勝ち誇った笑みを浮かべるリフィアにエリゼは呆れた表情で指摘した。



「フフ、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いしますね。リベールとレミフェリアはどうされますか?」

「勿論レミフェリアも全面的に協力します。今こそ共に手を取り合い、世界を守る時でしょう。」

「ええ、アルバート大公閣下の仰る通りです。リベールも全面的に協力します。―――そこで皆様に提案があるのですが、よろしいでしょうか?」

「お、お祖母(ばあ)様……?」

アルバート大公と共に参戦を申し出た後のアリシア女王の突然の申し出にクローディア姫は戸惑いの表情で各国のVIP達を自分に注目させたアリシア女王を見つめていた。



「提案、ですか?」

「して、どのような提案を?」

「私達は世界の災厄を防ぐ為に立ち上がり、今こそ共に協力していくべきです。そして2度と世界の災厄―――”ユリス”が現れない為にも……大陸全土の恒久的な平和の為にも私はここに、市民及び大陸諸国に対し、『西ゼムリア同盟』を提唱します!」

ユーディットとアルバート大公が質問するとアリシア女王は決意の表情で自身の提案を口にした!



こうして『エレボニア存亡会議』はエレボニアが存続できるという結果になり、終わった。



アリシア女王が提唱した『西ゼムリア同盟』の発言に最初は驚いた各国のVIP達だったが、アリシア女王の説明によってそれぞれ納得し、後日リベール、エレボニア、メンフィル、レミフェリア、クロスベル、アルテリアによる『西ゼムリア同盟軍』が結成され、同盟軍の”盟主”は様々な事情によりエイドス自身が務める事になり、同盟軍はオズボーンとの決戦に備えてそれぞれ準備を始めた。



そして――――各国がオズボーンとの決戦に向けて準備をしている中、ディル=リフィーナのアヴァタール地方に位置する大国―――”レウィニア神権国”にある目的で一時的に帰還したセリカはレウィニアの象徴にして守護神である”水の巫女”と対面していた。 
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