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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第204話

~エルベ離宮・紋章の間~



「言うまでもなく今回の内戦の件……エレボニア皇帝を始めとしたエレボニア皇族達の威光の効果が無く、また皇族としての”力”が足りなかった事が原因の一つだ。そして先程説明したように”公開処刑”や”公開鞭打ち”は罪の抑制力と共に権力者に対する忠誠心を維持もしくは高める為の有効な処罰方法だ。……俺の言いたい事がわかるか、オリヴァルト皇子。」

「……まさか実際にそれらを行う事で民達や貴族達にエレボニア皇族に対する畏怖の念を抱かせて我々エレボニア皇族に対する忠誠心を高め、エレボニア皇族の威光や”力”を回復させる為……なのでしょうか?」

リウイに答えを求められたオリヴァルト皇子は複雑そうな表情で自分の推測を口にした。

「そうだ。」

「そ、そんな……もっと他に方法はないのですか!?」

「幾ら何でもさすがにそれはやりすぎなのでは………公開処刑等を行って民や貴族達に恐怖心を植え付ける等遥か昔―――”暗黒時代”と呼ばれた時代で行われていたと言われている恐怖政治といってもおかしくありませんぞ。」

オリヴァルト皇子の推測を肯定したリウイの答えを聞いたクローディア姫とアルバート大公はそれぞれ反論したが

「内戦が勃発したのは貴族派、革新派共にエレボニア皇族をないがしろにする所か利用していた事も原因の一つ。すなわちユーゲント三世を始めとしたエレボニア皇族に対する忠誠心が低く、そして忠誠心が低い理由は皇族に対する畏怖の念を抱いていなかった事にもなる。実際カイエン公を始めとした貴族達は自らの野望の為にエレボニア皇族達を利用し、オズボーン宰相は本来はエレボニア皇族に忠誠を誓っているはずの正規軍を手駒のように扱い、ユーゲント三世を始めとしたエレボニア皇族達に許可も得ずに様々な暗躍をして自治州や小国を自国領としていっただろうが。」

「……わかりやすい例で言えば”通商会議”の件ですね。テロリスト達を利用した上ユーゲント三世達には内密で国際犯罪組織”赤い星座”を雇い、クロスベルの安全保障の欠点を作ろうとしたのですから。」

「まあ、身も蓋もない言い方をすれば今後エレボニア皇族達が民や貴族達に舐められない為にも心を鬼にする必要があるという事だな。」

「そ、それは…………」

「む、むう………」

「……………………」

リウイの正論やリウイの正論を捕捉したエルミナとヴァイスの話に二人とも黙り込み、アリシア女王は複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「お待ちください。恐れながら宰相閣下はユーゲント陛下達の為に……そしてエレボニアの未来を思ってそのような事をしていました。なので宰相閣下の陛下達に対する忠誠心が低いという訳ではありません。」

その時クレア大尉が反論をしたが

「ならば聞くが何故オズボーン宰相は”アルノール家の守護者”と名高い”ヴァンダール”家のゼクス・ヴァンダール中将率いる第三機甲師団をノルド高原へ左遷した?確か”第三機甲師団”が左遷された時期は”リベールの異変”が解決した1ヵ月後ぐらいだったと記憶しているが?」

「……っ……!」

反論ができない問いかけがリウイの口から出ると辛そうな表情で唇を噛みしめた。

「―――ゼクス中将が師団ごと左遷された理由は大方”リベールの異変”の際ハーケン門に集結させていた師団を独断で撤退させた事かもしくは自分の方針に従わない事がオズボーン宰相の気に障ったからだと思うのだが?」

「……………………」

「あ……………」

リウイの推測を聞いたクレア大尉が辛そうな表情で黙り込んでいる中、クローディア姫はかつての出来事を思い出して複雑そうな表情をした。

「―――そもそもエレボニアの未来の為と言っていたが国の未来を決めるのは”宰相”ではない。エレボニアの”皇”であるユーゲント三世自身だ。――――違うか?」

「……はい、リウイ陛下の仰る通りです…………」

(クレア大尉……)

リウイの正論を聞いて頭を項垂れさせたクレア大尉をリィンは辛そうな表情で見つめていた。



「話を戻すがオリヴァルト皇子並びにアルフィン皇女。メンフィルの皇族達にエレボニアの国王代理を務めてもらうのならば、国王代理を務めるメンフィル皇族の者が例え相手が”四大名門”のような大貴族の者であろうと先程口にしたような厳しい処罰方法を取る事もあるぞ。それでもいいのか?」

リウイに問いかけられた二人は互いの顔を見て決意の表情で頷いた後答えを口にした。

「………はい。覚悟の上です。」

「他にも条件があると仰っていましたが他の条件はどのような条件なのでしょうか?」

アルフィンが答えた後オリヴァルト皇子は続きを促した。



「二つ目は国王代理を務める者が国王代理を務めている間はその者を守護する為にある存在――――メンフィル帝国の親衛隊を含んだメンフィル軍をエレボニア王国内に駐留する事を認める事だ。なお駐留するメンフィル軍の維持費はメンフィルが全額負担する為その点に関しての心配は無用だ。」

「先に言っておくが他国の兵達に……それも戦争をした相手の兵達にメンフィル皇族の守護を任せられると思っているのか?」

「それは…………―――わかりました。他の条件は何でしょうか。」

リウイが口にした条件とリフィアの問いかけを聞き、他国の軍隊を自国内に駐留させる事にオリヴァルト皇子は言葉を一瞬濁したがすぐに決断して続きを促した。



「最後の条件はオリヴァルト皇子。お前自身が”宰相”を務める事だ。」

(ええっ!?オ、オリビエさんが!?)

(リウイの奴、何を考えているのかしら?あんなスチャラカ皇子が宰相を務めたらエレボニアが滅茶苦茶になる気がするんだけど。)

(いや……リウイ陛下の言う事も一理あるよ。)

(ええ。皇族自身を宰相にすれば国王代理に対する反発を抑えられますし、何より将来国王となるセドリック皇太子にとって信頼できる相手でもあるのですから、衰退したエレボニアの王となるセドリック皇太子にとっても心強い話ですわ。)

リウイの答えを聞いたミントは驚き、エステルはリウイをジト目で見つめ、ヨシュアとフェミリンスは納得した様子でエステルとミントに説明した。



「…………………」

「お、お兄様が…………」

一方リウイの答えを聞いたオリヴァルト皇子は呆け、アルフィンは驚きの表情でオリヴァルト皇子を見つめ

「ええっ!?オ、オリヴァルト殿下が”宰相”に!?」

「フム……オズボーン宰相は暗殺されたのですから当然”宰相”の座も空位になった為、空位となった”宰相”の座に着く者が必要なのは事実ですが……」

(そんなに驚くような事ですかね?オリヴァルト皇子が宰相を務めればエレボニアにとって様々な意味で安心できる要因になると思いますのに。)

(フッ、言われてみればそうだな。)

クローディア姫は驚き、アルバート大公が考え込んでいる中、首を傾げているエイドスの疑問を聞いたセルナート総長は口元に笑みを浮かべた。



「リウイ陛下。何故オリヴァルト殿下を宰相にする必要があるのか、理由を尋ねてもよろしいですか?」

その時アリシア女王がその場にいる多くの者達が疑問に思っている事を口にしてリウイに尋ねた。

「エレボニア皇族であり内戦終結にも大きく貢献していたオリヴァルト皇子がエレボニア政府を率いる立場である”宰相”の座に着けばエレボニアの民達に安堵感が産まれ、更に貴族達の反発も抑えられる要因になるからだ。”庶子”とは言えオリヴァルト皇子は”皇族”。オズボーン宰相は元は”平民”だった為貴族達の反発が多かったと聞くが、皇族が宰相を務めれば貴族達も納得すると思われるが?」

「加えて将来エレボニア国王になるセドリック皇太子にとってオリヴァルト皇子は信頼できる相手なのですから、いずれ即位するセドリック皇太子の為にもなると思われます。」

「それに確かアリシア女王陛下にとって甥にあたるデュナン公爵もリベール王国政府の重要な役職に着いていると聞く。それを考えれば皇族が”宰相”の座に着く事はそんなに驚くような事でもないと思うがの。」

「それは…………」

「フム、言われてみれば現状を考えると空位になった”宰相”の座に着く者はオリヴァルト皇子が一番相応しい方だと思われますし、将来エレボニア国王となるセドリック皇太子にとっても心強く、安心できる話ですな。」

リウイとイリーナ、リフィアの説明を聞いたクローディア姫は複雑そうな表情で黙り込み、アルバート大公は納得した様子で頷いた。



「…………―――わかりました。未熟な身の私でよければ空位となった”宰相”の座に着かせて頂きます。」

「…………」

少しの間考えた後決意の表情で答えたオリヴァルト皇子の答えを聞いたクレア大尉は複雑そうな表情で黙り込み

「―――決まりだな。ならばこちらもそちらの要求通り、エレボニア国王代理を務める者をメンフィル皇族の中から選別してそちらに派遣する。――――アリシア女王、エレボニアは情状酌量を認められた事によって国として存続できるという結果になったのだから今回の会議はこれで終わりでいいと思うのだが?」

リウイはアリシア女王に会議の行方を尋ねた。



「……そうですね。今回の会議の本題はエレボニアの存亡についてでしたし、会議の予定終了時刻までまだ1時間程ありますが会議は終了で構わないと思います。レミフェリアと七耀教会は何か意見はありますか?」

「いや、特にありませぬ。」

「私の方も特にありません。エイドス様は何かありますか?」

アリシア女王の確認にアルバート大公と共に答えたセルナート総長はエイドスに尋ね

「私もありませんが……エレボニア―――いえ、リィンさん自身が他にもまだ言いたい事があるような顔をしていますよ?」

「え………………」

エイドスの答えを聞いたエリゼは呆けた表情でリィンを見つめ、エリゼに続くようにその場にいる全員はリィンに注目した。



「―――はい。アリシア女王陛下、今回の会議の本題とは少々外れる形になりますが恐れながらメンフィル帝国に対して意見―――いえ、嘆願をさせて頂いてもよろしいのでしょうか?」

「何?」

「嘆願じゃと?」

「………………まだ会議の時間も残っていますし、構いません。それでその嘆願とは一体どういう内容のものなのですか?」

リィンの口から出た予想外の言葉にリウイとリフィアが眉を顰めている中、目を伏せて考え込んでいたアリシア女王は目を見開き、リィンに続きを促し

「俺がメンフィル帝国に対しての嘆願……――――それはメンフィル帝国に拘束された”帝国解放戦線”リーダー―――クロウ・アームブラストと”身喰らう蛇”の”蛇の使徒”―――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの減刑の嘆願です。」

リィンは立ち上がった決意の表情で答えた。 
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