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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第201話

~エルベ離宮・紋章の間~



「え…………」

「で、殿下……?」

「……?」

アルフィンが口にした予想外の言葉を聞いたリィンは呆け、クレア大尉とオリヴァルト皇子は戸惑いの表情でアルフィンを見つめた。



「何?1度目のユミル襲撃が起きる前の時点で三国の皇族達とシュバルツァーとの婚約がされていた上、俺達もそれを認めていただと?」

「……アルフィン皇女。一体どういう事なのは詳細な説明をして頂いてもよろしいでしょうか?」

一方リウイは眉を顰めてアルフィンを見つめ、エルミナは真剣な表情で尋ねた。

「まずはメンフィルの姫君の一人であるセレーネさん。セレーネさんの親権を持っているルクセンベール卿はリィンさんとセレーネさんの婚約を早くから認めていたと聞いておりますし、セレーネさんのクラスメイトでもあったプリネ姫もお二人の婚約について特に口を出す事もせず、お二人の婚約を祝福していたと聞いております。以上の事からリィンさんとセレーネさんの関係はリウイ陛下を始めとしたメンフィル皇族の方達も把握している上セレーネさんの親権を持つルクセンベール卿がお二人の婚約を認めていた時点でお二人の婚約は既に成立していたと思っております。」

「!!」

「……確かにアルフィン皇女の仰る通りリィンさんとセレーネの婚約の件についてはリィンさん達がまだ学院に通っていた頃から私達も把握していましたね。」

「むう……じゃがメサイアの件についてはどう説明するのじゃ?」

アルフィンの説明を聞いたリウイは目を見開き、イリーナは静かな表情で呟き、唸り声を上げたリフィアはアルフィンに続きを促した。



「リィンさん。確か以前”特別模擬戦”という”特務支援課”というクロスベル警察の特別部署に所属している方達と模擬戦をし、その際にヴァイスハイト陛下とも顔合わせをした上、更にヴァイスハイト陛下とメサイアさんもその時に顔合わせをしたとの事ですよね?」

「え、ええ。」

「!!……まさかその時にリィンと主従契約を結んでいるメサイアについて何も言わなかった事からして俺がリィンとメサイアの婚約を認めていたと言うつもりか?」

アルフィンの問いかけにリィンが頷いている中、アルフィンが言いたい事を理解したヴァイスは真剣な表情で尋ねた。

「いえ。重要なのはメサイアさんがリィンさんの使い魔になった際の”方法”ですわ。その”方法”を知っていればお二人の関係が深い関係である事は既に察する事ができますわ。なお、その”方法”は異世界ディル=リフィーナ出身であるヴァイスハイト陛下は既に存じていると思われる方法―――いえ、”魔術”です。」

「?二人が深い関係である事を示す”魔術”…………?――――!!な、なななななっ!?ま、まさか…………!」

「え、えっと……」

「あー…………まさかとは思うが”性魔術”の事を言っているのか?確かにその方法でリィンとメサイアが契約した可能性が高い事はわかっていたが、やはりその方法で契約していたのか。」

アルフィンの答えを聞いてある事を察したエルミナは顔を真っ赤にし、ユーディットは頬を赤らめて苦笑し、ヴァイスは困った表情で答えを濁した後苦笑しながらアルフィンに尋ねた。



「はい。その口振りですとリィンさんとメサイア皇女の”契約方法”をご存知だったようですね、ヴァイスハイト陛下?」

「おっと……まさかこんな方法で俺の言質を取るとはやるじゃないか。」

「何をやっているんですか、貴方は……」

自分の問いかけに肯定した後言質を取ったアルフィンの言動にヴァイスは感心し、エルミナは呆れた表情でヴァイスを見つめ

(せ、”性魔術”!?そ、それって……!)

(せ、”性行為”による魔術だよね……!?)

(……性別が異なる場合の契約は”性魔術”が一般的な方法ですわ。勿論”性魔術”以外にも契約できる方法はありますが……)

(えっと……その説明だとリィンが契約している他の異種族の人達とも”性魔術”で契約した可能性があるという事になりますよね……?)

ある事を察したエステルとミントは顔を真っ赤にし、呆れた表情をしているフェミリンスの説明を聞き、ある推測をしてしまったヨシュアは表情を引き攣らせてリィンを見つめていた。



「ぬう……まさか”性魔術”を口実にしてくるとは予想すらしていなかったぞ。」

「……それ以前にこんな公の場で”性魔術”の存在を普通口にするか?」

「え、えっと……今回の場合は仕方ないと思いますよ。」

リフィアは疲れた表情で呟き、頭痛を抑えるかのように片手で頭を抱えて呆れた表情をしているリウイにイリーナは苦笑しながら答え

「……………………」

(うっ……!)

エリゼの絶対零度の視線に気付いたリィンは大量の冷や汗をかきはじめた。

(うふふ、何だか面白い事になってきたわね♪)

(ふふふ、こんな公の場で”性魔術”の存在を口にする彼女の度胸には驚きましたよ。)

(フフ、でもリィンとメサイアが愛し合っている関係を示すのに一番有効な証明の仕方ね。)

(各国のVIPがあの不埒すぎる魔術の存在を知ったら、混乱するかと思われるのですが。)

(ううっ、皆さんは他人事みたいに言っていますけど、当人の私からすれば凄く恥ずかしいですわよ……!穴があったら入りたいくらいですわ……!)

一方会議の様子を見守っているベルフェゴールとリザイラは興味ありげな表情をし、アイドスは苦笑し、アルティナはジト目になり、メサイアは顔を赤らめて疲れた表情をしていた。



「”性魔術”ですか?それは一体どういうものなのでしょうか。」

「リウイ陛下達もご存知のようですが……」

一方事情が理解できていないアリシア女王はヴァイスを見つめて尋ね、アルバート大公はリウイ達を見つめて呟き

「…………”性魔術”とは儀式魔術の一つでな。性交渉により強制・契約・精気吸収等複合的な効果な力を得る魔術だ。この魔術は種族問わず生殖能力を有する対象全てに有効な事で有名で、俺達の世界で一般的に知られている魔術だ。何せ生殖能力があれば天使や魔族も当然だが、神すらにも効果があるのだからな。………ここまで言えば”性魔術”の”内容”がどういうものなのか察する事ができるだろう?」

少しの間黙り込んでいたリウイは疲れた表情で説明した。



「ええっ!?そ、それって……!」

「む、むう…………」

「フッ、男からしたら夢のような魔術だね♪」

「で、殿下…………」

「ハア…………」

(フフ、会議の空気が一気に変わりましたね。)

(フッ、まさかこれも狙いかもしれないな。)

説明を聞き終えたクローディア姫は顔を真っ赤にし、答えに困ったアルバート大公は唸り声を上げ、静かな笑みを浮かべるオリヴァルト皇子の発言を聞いたリィンが表情を引き攣らせている中クレア大尉は疲れた表情で溜息を吐き、各国のVIPの様子を見回したエイドスの小声を聞いたセルナート総長は口元に笑みを浮かべた。



~待機室~



「……………………」

一方端末で会議の様子を見守っていたサラ教官は口を大きく開けて固まり

「あわわわわわっ!?せ、”性交渉による魔術”って事は……!」

「ま、まさかそんなうらやまけしからん魔術があるとは……じゃなくて!今の説明だとリィンと契約しているベルフェゴール達も……!」

「全員リィンと”性魔術”で契約した可能性が高いって事だよね~。」

エリオットは顔を真っ赤にして慌て、ある事に気付いて信じられない表情をしているマキアスの言葉にミリアムが続くように答えを口にした。



「………………」

「まあベルフェゴール達ともそんな関係である事は察していたけどね。」

「フフッ、リィンとベルフェゴール達の仲はいいからな。」

「阿呆が……節操がないにも程があるだろう。」

「全く持ってその通りね。」

ラウラが顔を真っ赤にして固まっている中、フィーはジト目で呟き、ガイウスは苦笑し、呆れた表情をしているユーシスの言葉にセリーヌは頷き

「アルフィン義姉様…………」

エリスは疲れた表情で頭を抱えた。



(その……アリサさん、セレーネさん。実際の所はどうなのですか?)

(……全員”性魔術”で契約しているわ。)

(そ、その。この際わたくし達と”同じ”エマさんが相手だから白状しますけどわたくし達、学院に通っていた頃と”カレイジャス”で活動し始めた頃から交代で毎晩お兄様と愛し合っていたんです。)

(そうですか……フウ。後で会長にも知らせて、リィンさんに説教をしなければなりませんね。)

アリサとセレーネから驚愕の事実を聞いたエマは疲れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情をし

(フフ、愛し合う事で力を得るなんて素敵な魔術ね……私もリィンとだったら……)

ゲルドは微笑みながら端末を見つめた後頬を赤らめた。



「……ねえ。今気付いたんだけどリィンがベルフェゴールと契約した方法って”性魔術”だったんじゃないの?確かプリネ達の話によるとベルフェゴールって男を誘惑して精気を吸い取る種族――――”睡魔族”の女王って話だよね?」

「そ、それは…………」

フィーの言葉を聞いたラウラは表情を引き攣らせ

「……そう言えば。リザイラの時もリザイラが”契約”の為と言って転移魔術でオレ達の目の前から消えたが……」

「状況的に考えて”性魔術”とやらで契約したのではないか?」

フィーのようにかつての出来事を思い出したガイウスの話に続くようにユーシスは呆れた表情で推測した。



「アハハ……そうなるとアイドスとアルティナも同じ”方法”で契約している気がするよ……」

「リィンって巨乳好きだもんね~、ニシシ♪」

(エリス達の話によると私の胸も大きい方だから、リィンも私の胸、好きなのかな……?)

「リィンと付き合っている女性のある身体的特徴の比率の高さを考えると本当にそう思えて来たぞ……」

エリオットは苦笑し、からかいの表情をしているミリアムの言葉を聞いたゲルドが自分の胸を見つめて考え込んでいる中マキアスは疲れた表情で呟いたが

「……マキアスさん?その話ですと胸の成長がまだ未熟な私や姉様達は低い比率の方になるという事ですよね??」

「ちょっ、僕はそこまで言っていないぞ!?」

膨大な威圧を纏ったエリスに微笑まれ、慌てた様子で言い訳をした。

「とりあえず……全部終わった後にリィンを問い詰める必要があるわね。……後、さすがのあたしもリィンのリア充っぷりには殺意が湧いてきたわ……!何で教え子はモテているのに担任のあたしには素敵なオジサマが言い寄って来ないのよ―――!」

サラ教官は疲れた表情で呟いた後顔に青筋を立てて端末に映っているリィンを睨んでいた。



「せ、”性行為による魔術”って…………!!ロイド、まさかとは思うけどルファディエルさんとの契約も……!」

同じ頃端末で会議の様子を見守っていたエリィはある事に気付くとロイドを睨み

「そんなとんでもない方法でしてないって!」

睨まれたロイドは慌てた様子で答えた。

「というかリィンさんにはメサイアさん以外にも後4人異種族の女性がいますから、その人達とも”性魔術”で契約した可能性があるって事ですよね……?」

「畜生―――――!リア充野郎が――――――ッ!!」

「アハハハハハハハッ!こんな史上初の面白すぎる国際会議にするなんて、さすがはロイドと色々似ているリィンが出席しているだけはあるね♪」

「なっ!?おい、ワジ!?それってどういう意味だよ!?」

ティオはジト目で端末に映っているリィンを見つめ、ランディは咆哮を上げて悔しそうな表情でリィンを睨み、腹を抱えて大声で笑っているワジにロイドは慌てた様子で反論した。



~紋章の間~



「コホン。”性魔術”の内容はともかく、ヴァイスハイト陛下。アルフィン皇女の仰る通りリィンさんとメサイア皇女の仲が深い関係である事をわかっていて追及しなかったという事はお二人の仲を認めていたのですか?」

「……ええ、さすがにクロスベル皇帝である私の跡継ぎならば考慮はしたと思いますがメサイアは跡継ぎではありませんし、私は基本子供の恋愛に口を出さない主義ですので。ましてや私自身も娘―――メサイアの人を見る目は信じています。」

(お父様……)

気を取り直したアリシア女王の問いかけに答えたヴァイスの答えを聞いたメサイアは嬉しそうな表情で微笑んだ。



「……しかしそうなるとアルフィン殿下がリィンさんと1度目のユミル襲撃の前の時点で婚約していたという事に疑問が残るのですが……」

「例の襲撃の前の時点でリィン・シュバルツァーとアルフィン皇女が婚約した所を証明できる人物か証拠はないのですか?」

その時ユーディットが戸惑いの表情でアルフィンを見つめて尋ね、エルミナも続くように尋ねた。

「証拠はありませんがわたくしとリィンさんが婚約した事を証明できる人物はいますわ。なおその人物とはエリスとリィンさんと契約している異種族の方々――――メンフィル帝国の客将の方々ですわ。」

「え…………その、アルフィン殿下。殿下が先程挙げた人物達は殿下とリィン様が婚約した事を証明できると仰いましたが、具体的にはどのような内容なのでしょうか?」

アルフィンの答えを聞いて目を丸くしたエリゼは戸惑いの表情でアルフィンに尋ねた。

「わたくしがリィンさんと婚約したという内容………………それはわたくしがリィンさんにわたくしの純潔を捧げた事ですわ!」

そして顔を真っ赤にしたアルフィンが驚愕の事実を声を上げて答え、アルフィンの口から出た驚愕の事実にその場は凍りついた! 
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