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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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外伝~リィンの妻、アルフィン・シュバルツァー~(幕間2終了)

~温泉郷ユミル・礼拝堂~



「フフ、まさか本当に殿下がリィンと結ばれる日が来るとはな……」

「はい……エリゼ達ともする正式な結婚式はどのような華やかなものになるのでしょうね……」

アリサ達と共に拍手をしているシュバルツァー男爵は静かな笑みを浮かべ、ルシア夫人は微笑みながらリィンとアルフィン皇女――――アルフィンを見つめていた。



「フッ、おめでとう、アルフィン♪空の女神とその母親であるフィーナさんから直々に祝福されるなんて、これ以上ない贅沢な祝福だよ♪ここは是非とも一曲、二人の結婚を祝福する歌を歌うよ♪」

仲間達が二人に近づいてそれぞれ祝福の言葉を掛けている中、オリヴァルト皇子はリュートを取りだして歌い始め、それを見たその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせていた。

「フフ、もうお兄様ったら……こんな夜遅くに歌を歌ったりしたら、既に眠っている郷の方達が起きてしまいますわよ?」

アルフィンは苦笑しながらオリヴァルト皇子に指摘し

「あ、大丈夫よ♪私の結界で声や音が外に漏れないようにしてあげるから♪」

「ハハ…………そう言えばその手があったな。」

突如現れて結界を展開したベルフェゴールをリィンは苦笑しながら見つめていた。



「姫様……その、おめでとうございます。」

「エリス……抜け駆けをするみたいな形で、わたくしだけ先にリィンさんと結婚して本当にごめんなさい。」

エリスに祝福されたアルフィンは申し訳なさそうな表情で答えた。

「いえ、私は兄様と夫婦の関係になる事ができればそれだけで幸せなので、どうか私の事はお気になさらず。」

「エリス……あ、そう言えば今気付いたけど貴女がリィンさんと結婚するまではわたくしとエリスは義理の姉妹関係になったから、今からわたくしの事は姫様ではなくアルフィン義姉様(ねえさま)って呼んでね♪」

「そ、それは…………」

アルフィンの提案にエリスは表情を引き攣らせ

「皆さんもわたくしの事はどうか”アルフィン”と気軽に呼んで下さいね♪わたくしは正式な立場で言えばエレボニア皇女ではなく、シュバルツァー家の跡取りであるリィンさんの妻―――”ただの新妻”なのですから♪」

「ええっ!?」

「さすがにそれは恐れ多いですよ!?」

自分達を見回して言ったアルフィンの言葉にエリオットは驚き、マキアスは疲れた表情で答えた。

「む。”空の女神”である私の自己紹介の時に使う言葉を憶することなく真似する度胸があるとは、さすがはお父様達の仲間の親族ですね……」

「エ、エイドス……」

「一体何に感心しているんですか……」

「ハア……」

真剣な表情でアルフィンを見つめて感心しているエイドスを見たアドルやエレナは脱力し、フィーナは疲れた表情で溜息を吐いた。



「あ、確かに言われてみればそうだね~。改めてよろしくね、アルフィン♪」

「ん、よろしく、アルフィン。」

「ミ、ミリアムちゃん!」

「フィーちゃん!?」

「このガキ共は…………それで畏れ多くも殿下を娶ったお前は殿下の事をどうお呼びするつもりだ?」

すぐに順応し始めたミリアムとフィーにクレア大尉とエマが慌てている中、二人を睨んだユーシスは口元に笑みを浮かべてリィンに問いかけた。



「う”………そ、それは……」

「ジー…………」

「………………」

アルフィンに期待を込められた目で見つめられたリィンは冷や汗をかいて石化したかのように固まった。

「アルフィンさ―――」

そしてアルフィンに対する呼び方をリィンは言いかけたが

「………………」

「うっ……えっと……―――”アルフィン”。本当にこの呼び方でいいのか……?」

「ヒュウ♪よく言ったよ、リィン君♪」

一瞬で悲しそうな表情へと変えたアルフィンの表情を見て躊躇った後疲れた表情で尋ね、それを見たアンゼリカは感心した。



「はい♪皆さんもリィンさんのように、わたくしに対する接し方に早く慣れてくださいね♪特にわたくし同様リィンさんの妻になるアリサさん達はできるだけ早く慣れてください♪」

「ふええええええっ!?」

「え、えっと……」

「ううっ、セレーネはいいわよね。元々王族だからアルフィン殿下の事を気軽に呼ぶ事に抵抗を覚えないでしょうし。」

「ア、アハハ……プリネ様達と気軽に接する事ができていたのですから、アリサさん達もその内慣れますよ。」

アルフィンの言葉にトワは驚き、エマは困った表情で答えを濁し、疲れた表情で呟いたアリサの言葉を聞いたセレーネは苦笑しながら答えた。



(フフ……おめでとう、リィン、アルフィン…………)

「……ねえ、アンタに一つ聞きたいのだけど。こうなる事も”見えて”いたのかしら?」

リィン達がそれぞれ騒いでいる中リィン達の様子を微笑ましそうに見守っているゲルドに近づいたセリーヌが静かな表情で尋ねた。

「…………予知能力で見える”未来”はあくまで”可能性”。本当にそうなるかはその人達次第だよ。」

セリーヌの問いかけに対して優しげな微笑みを浮かべて答えたゲルドはリィン達の輪の中へと加わり

「…………………………(あくまで”可能性”、ね。確かにその通りだけど、アンタの場合、恐ろしいくらいに的中しているから、どうしてもそう見えてしまうわよ。)」

一人残されたセリーヌは静かな表情で黙り込んでゲルドの後ろ姿を見つめていた。



同日、25:30――――



~シュバルツァー男爵邸・リィンの私室~



「フウ…………(今日は本当に忙しい一日だったな……それにアルフィン殿下が俺の伴侶だなんて、今でも信じられないな……)」

仲間達と共に騒ぎ終え、久しぶりの自室で休もうとしていたリィンは苦笑しながらクロスベルでの”試練”やエイドスの”試練”、そしてアルフィンとの結婚を思い出していた。するとその時扉が開き、アルフィンが部屋に入って来た。

「こんばんは、あなた♪」

「へ―――――で、殿下……じゃなくてア、アルフィン。こんな夜遅くにどうしたんだ?」

アルフィンの登場に驚いたリィンは不思議そうな表情で尋ねた。



「あら、あなたったら、何をおかしなことを言っているんですか?わたくし達は今日夫婦になったのですから、”初夜”を過ごす為に決まっているでしょう♪後今日は元旦ですから”姫始め”にもなりますわね♪」

「え”。」

(うふふ、確かにその通りね♪っと、その前に結界っと♪)

(ふふふ、しかも今日は年が変わったばかりの元旦ですからあらゆる意味で”姫始め”になりますね。)

(ア、アハハ……)

(まあ、結婚する前からそれなりの頻度で一緒に夜を過ごしていたから厳密には違うと思うけどね……)

(………やっぱりこうなりましたか。)

アルフィンの言葉にリィンが表情を引き攣らせている中、リザイラと共に微笑ましそうに見守っているベルフェゴールは結界を展開し、メサイアとアイドスは苦笑し、アルティナは呆れた表情で呟いた。



「ベ、ベルフェゴール……」

「うふふ、いつも空気を読んでくださってありがとうございます♪さあ、あなた………女神様に祝福された大陸初の夫婦としてたくさん愛し合いましょう♪」

その後リィンとアルフィンは深く愛し合い、互いが繋がった状態で互いを抱きしめながら眠り始めた。

(ふふふ、結婚した日が危険日の期間だったとはこれも”女神の巡り合わせ”とやらかもしれませんね。)

(ア、アハハ……全てが終わったらエレボニア帝国は様々な意味で騒ぐ事になるでしょうね。)

(とりあえずアルフィン様の結婚はエレボニア帝国中が騒ぐ事になるのは確実でしょうね。………後は結婚と同時に判明する可能性が高い懐妊事実によって更に騒ぐ事になるでしょうね。)

(フフ、私もいつかリィンの赤ちゃん、産みたいわ……)

「うふふ、ご主人様の赤ちゃん、孕んでいるといいわね、アルフィン♪」

リィンの身体の中にいるリザイラ達がそれぞれ念話で話し合っている中、ベルフェゴールが外に出てリィン達が風邪を引かないように毛布と布団をかけ、アルフィンを見つめてウインクをしてリィンの身体の中へと戻って行った。



こうして……リィン達の長い一日はようやく終わりを告げた。



リィン達がエイドスの”試練”を乗り越えた事によりエイドスはリベールの『エルベ離宮』で行われるエレボニアの存亡をかけた会談に”空の女神”として正式に参加する事を表明し、また”空の女神”が参加する事で”空の女神”を崇めている七耀教会からも代表者を出す事になり、代表者はエイドス自身の希望によってセルナート総長が七耀教会の教皇の名代として参加する事になった。



アリシア女王並びにクローディア王太女が会議の安全を保障してもらう為に、エステル達を名指しに遊撃士協会にも参加を要請し、要請に応じた遊撃士協会は大陸全土で4人しかいない”Sランク”正遊撃士になる事が内定しているエステルとミント、エステルとミント同様リベール、メンフィル、クロスベル、エレボニアの四国のVIP達に信頼されているAランク正遊撃士ヨシュアとエステル達の”協力者”として数々の功績を挙げ続け、その結果特例措置としてAランク正遊撃士になる事が内定しているフェミリンスに依頼し、エステル達はその依頼を承諾し、直接会議場の護衛をする事となった。



また、リィン達はクロウとクロチルダの”減刑”をメンフィル帝国に認めて貰う為に会議が始まるまでの空いた期間”カレイジャス”を使ってノルティア州、サザーランド州の各地を回ってある行動をしていた。



そして年初めの1月7日。西ゼムリアの各国の代表者達がリベールの”エルベ離宮”に集結し、エレボニア帝国の存亡をかけた会議――――”エレボニア存亡会議”の日が来た…………! 
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