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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第136話

各地を回って士官学院生達との合流や依頼の消化をしながら、精霊窟の”試練”を受けてゼムリアストーンを次々と回収して行ったリィン達は最後の精霊窟の”試練”を受けてゼムリアストーンを回収する為に最後の精霊窟の探索をし、ようやく終点に到着した。



~水霊窟・終点~



「終点に着いたか……!」

「あれが4つ目のゼムリアストーン……!」

「あとはこの場所の”試練”を乗り越えれば………!」

祭壇にあるゼムリアストーンを見たセレーネは明るい表情をし、ラウラが真剣な表情で呟いたその時リィン達の目の前に魔煌兵が現れた。



「魔煌兵……!」

魔煌兵の登場に表情を引き締めて武器を構えたリィン達だったが、ある気配に気付くとエマとセリーヌは血相を変えた。

「この気配は……!」

エマが声を上げたその時、魔煌兵の周囲に現れた無数の炎の魔剣が魔煌兵を襲い、それを受けた魔煌兵は消滅した。



「なっ……!?」

「魔煌兵が勝手に……」

「……魔煌兵を襲った魔剣……あれは確か……」

魔煌兵の消滅にリィンは驚き、エリスは呆け、シグルーンは厳しい表情で周囲の警戒をし

「いいえ、この霊力は―――!」

「ふふ―――ご名答。」

セリーヌが声を上げたその時聞き覚えのある妖艶な声が聞こえて来た。

「……上よ!」

上を見上げたサラ教官が声を上げたその時、グリアノスが上から降りて来てリィン達の目の前で滞空していた。



「あ……あの蒼い鳥は……」

「グリアノス……!」

「クロチルダさんか!」

グリアノスの登場にエリスは不安そうな表情をし、エマとリィンは真剣な表情で声を上げた。するとグリアノスから幻影のクロチルダが現れた。



「ふふっ……そんな怖い顔をしないで頂戴。せっかくあなたたちの手間を省いてあげたっていうのに。私と貴方達の仲でしょう?」

「……戯言を。」

「今更そんな冗談が通用するとでも……?ユミルでエリス達を攫った件、忘れてはいないぞ……!」

クロチルダに問いかけられたラウラとリィンはそれぞれ厳しい表情でクロチルダを睨んだ。



「ふう、ずいぶんと嫌われちゃったわね。お姫様は君が自分の手で取り返したし、妹の方に関してもメンフィルが救出して君に返して今も君の傍にいるのにまだ根に持っているなんて……」

「……ユミルのような油断はもう2度としませんし、貴女の言葉は信じません。」

苦笑するクロチルダの言葉を聞いたエリスは厳しい表情でクロチルダを睨み

「フフッ、心配しなくても今の彼女にそのような余裕はありませんわ。――――バルヘイム宮地下に封印されてある肝心の”紅の騎神テスタ=ロッサ”が未だ掘り出せていない上、これ以上メンフィルの逆鱗に触れるような真似をすれば、『幻焔計画』の失敗どころか自分の命すらも危ういのですから。」

「!!貴女……いえ、メンフィルは”どこまで”知っているのよ……!?」

微笑みながら答えたシグルーンの答えを聞いたクロチルダは血相を変えてシグルーンを睨み

「―――処刑される前のルーファス・アルバレアに自白剤を使って”色々と”話してもらいましたわ。ここまで言えばわかるでしょう?」

「!!……ッ…………!」

シグルーンの説明を聞くと悔しそうな表情で唇を噛みしめた。



「………姉さん―――どうしてここに?この地の事は私だって知らなかったのに……」

クロチルダの様子を複雑そうな表情で見つめていたエマは気を取り直して真剣な表情で尋ねた。

「私は正真正銘の”魔女”。だからこそ―――”私は何でも知っているのよ”。半人前のあなたと違ってね。」

「っ……!」

「フン……この場所についても知り尽くしているみたいね?」

クロチルダの答えを聞いたエマは息を呑み、セリーヌは鼻を鳴らして厳しい表情でクロチルダを見つめて問いかけた。



「フフ……あなたや”長”以上にね。そうね、エマ。折角だから教えてあげるわ。私達”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”に課せられた真の役目を―――」

セリーヌの問いかけに意味ありげな笑みを浮かべたクロチルダは突如片手から強烈な光を放ち始めた。

「な、なんだこれは!?」

「こ、これは……!」

「何かが流れ込んでくる―――!?」

クロチルダが放つ光を受けたリィン達の脳裏にゼムリアストーンの結晶を目の前にする謎の人物達の光景が映った。





これが古より伝わるという”霊石”の結晶―――何と神々しく、美しい輝きか。





求めしものは試練の先に―――魔女殿の告げた通りでしたね。これで――かの”災厄”を押さえることも叶いましょう。





ああ―――決戦は近い。”巨いなる騎士”―――その一端に関わった時から運命に導かれていたのだろう。……君も共に来てくれるか?





フフ……言わずもがなです、殿下。女神の下に召されし瞬間(とき)まで貴方と共に―――







「い、今見えたのは……以前にも精霊窟で見た”記憶”……!?」

謎の光景が消えるとリィンは信じられない表情で声を上げた。

「今回は私にも見えたが……あの金髪の娘は、やはり―――」

「わ、私達にまで……姉さん、一体何をしたの!?」

「フフ……ちょっとしたサービスみたいなものよ。本来、灰の起動者(ライザー)であるリィン君にしか見えないものを、無理矢理見せてあげたの。250年前の”獅子戦役”―――その裏に隠された真実の記憶をね。」

「え…………」

「獅子戦役の真実……!?じゃあ、やっぱり今の記憶は……」

クロチルダの説明を聞いたエリスは呆け、リィンは血相を変えた後不安そうな表情をした。



「ええ―――”獅子心皇帝”ドライケルス・ライゼ・アルノール。そして”槍の聖女”リアンヌ・サンドロット。彼らはあの獅子戦役を、”騎神”と共に駆け抜けた。そして、他の”巨いなる力”との争いに巻き込まれていったのよ。ちょうどリィン君とクロウがそうであるようにね。」

そしてクロチルダはリィン達にとって驚愕の事実にして信じられない事実を口にした!



「あの”獅子戦役”の裏で、騎神同士の戦いが……!?」

「馬鹿な……そんな話は聞いたことがない!」

「”裏”の真実ですから、当時を知る者達によって徹底的に隠蔽されたのでかもしれませんね……」

「……………………」

クロチルダの口から出た信じられない話にリィンとラウラは声をあげ、シグルーンは真剣な表情で推測し、ゲルドは静かな表情で黙ってクロチルダを見つめ続けていた。



「……おばあちゃん―――”長”に聞いたことがあります。…………まさか………」

「フフ、あなたにもやっとわかってきたみたいね?”巨いなる力”の欠片同士は運命に引き合わされ、争う宿命―――この帝国では激動の時代、幾度も同じ事が繰り返されてきたわ。そして、その真実はやがて人々の記憶から消え去る―――”そういう仕組みになっている”。」

血相を変えたエマの様子を見たクロチルダは意味ありげな笑みを浮かべて答えた。

「”仕組み”……だと……?」

「待ってくれ……!さすがに理解が追いつかない!」

「クスクス……ちょっと理解するのは難しいかもしれないわね。でも、仕方がないわ。この世界は”そういうふうに”できているのだから。」

「そ、”そういうふうに”……?」

戸惑っているラウラとリィンを可笑しそうに見ていたクロチルダの答えを聞いたエリスは不安そうな表情をし

「……まさか、ヴィータ。魔女の真の目的というのは―――」

ある事に気付いたセリーヌは真剣な表情でクロチルダを見つめた。



「そう―――その巨大な仕組みと流れの一端を担い、管理すること。それこそが私達”魔女”の本来の役目というわけ。フフ、新米魔女と使い魔には初耳でしょうけど。」

「…………っ………………!」

「エマ…………」

クロチルダの答えを聞いて息を呑んだ後辛そうな表情で顔を俯かせるエマをゲルドは心配そうな表情で見つめた。



「ふふ、婆様もあなたには負担をかけまいと、黙っていたんでしょうけど……使命の本質も知らないまま使命のために生きて来た、私の可愛い、可愛い妹。ふふ……なんて可哀想な子かしらね?」

「…………ぁ…………」

「姉妹のような間柄なのに、どうしてそこまで酷い事を言えるのですか……!?」

「フン、聞いていた以上のサドっぷりね……」

クロチルダの言葉を聞いた辛そうな表情で顔を俯かせるエマを見たセレーネはクロチルダを睨み、サラ教官は不愉快そうな表情でクロチルダを見つめていた。



「前を向くんだ―――委員長。真実から顔を背ける必要なんてない……!」

「………リィン、さん……?」

「あら……?」

リィンの言葉を聞いたエマは呆けた表情でリィンを見つめ、クロチルダは目を丸くした。



「俺も時々、自分の”真実”を知るのが怖いと思う時がある。それを知ったら、今まで通りの俺でいられない気がするから……―――でも、それでも絶対に信じられる事がある。”Ⅶ組”のみんななら、一緒に過ごした仲間なら―――どんな俺でも絶対に受け入れてくれるってことを!」

「あ…………」

「リィン…………」

「フフッ、わかってはいましたけど、やっぱりⅦ組の皆さんに嫉妬してしまいます……」

「……………」

リィンの言葉を聞いたエマは呆け、ゲルドとエリスは微笑み、シグルーンは静かな笑みを浮かべた。



「……ええ、そうですね。エマさんがエマさんである事に全く変わりはないと思いますわ。」

「……その通りだ。顔を上げるがよい、エマ!いかなる事があっても我らはそなたと共に在ろう!」

「リィンさん……みなさん…………」

「……………………」

リィン達に励まされて元気を取り戻して行くエマの様子をクロチルダは静かな表情で見守っていた。



「ヴィータ姉さん――――今、私はようやく自分の気持ちに気付けたわ。」

「え……?」

「士官学院に入ったのは、あくまで魔女としての使命を果たすためだった。導きに従い、幼い頃から使命のためだけに生きて来た……そう言っても過言じゃないわ。――――けど、今はそうじゃない。こうして巡り合えたみんなと共に、自分だけの道を歩いていきたい……そう、心の底から願っている……!」

「……!」

「エマ……」

エマの決意を知ったクロチルダとセリーヌはそれぞれ驚きの表情でエマを見つめた。



「ヒュウ♪いい啖呵じゃない。」

「それでこそ俺達Ⅶ組の委員長だ……!」

「わたくし達も同じ気持ちですわ!」

一方サラ教官は感心し、リィンやセレーネは明るいこと言った。



「……………ふふ……なるほどね。どうやら――――士官学院は思っていた以上にあなたを成長させていたみたいね。」

「姉さん………?」

「いいわー――久しぶりに稽古をつけてあげましょう。あなたが魔女としてどれだけ成長しているか……存分に見せてみなさい。」

クロチルダは真剣な表情でエマを見つめた後歌い始めた。

「踊れ 踊れ 可愛い小鳥―――(あるじ)の仇を (まなこ)にとらえ 爪を立てて 牙を剥け―――」

すると歌っていたクロチルダの幻影が消えると共にグリアノスに凄まじい力が纏い始めた。



「なんだ……!?」

「何かの”力”があの蒼い鳥に集まっている……?」

「グリアノス……!まずい、離れなさい!」

グリアノスの様子を見たリィンが眉を顰め、エリスが不安そうな表情をし、セリーヌが警告したその時グリアノスは巨大な鳥魔獣へと変化した!



「くっ……!」

「巨大化しただと!?」

「プリネ姫達がバルヘイム宮で戦った魔獣……!」

巨大化したグリアノスを見たリィンとラウラ、シグルーンは厳しい表情をした。

「使役する使い魔に膨大な霊力(マナ)を注ぎ込む”魔徒の円舞(サヴァント・ヴァルス)……!おそらく幻獣を上回るほどの力を与えられています!」

「クスクス……見せてみなさい、エマ。その意志に見合う力を、あなたが持っているかどうかを―――!」

「―――皆さん、どうか私に力を貸してください!―――ヴァレフォルさんもお願いします!」

「オッケー!」

「わかった……!」

「任せるがよい……!」

「”異界”の”魔女”として……エマの仲間として私も協力するわ……!」

「―――今こそ”ドラゴン”としての”力”、お見せしますわ!ハァァァァァァ………グオオオオオオオ―――――ッ!!」

クロチルダの言葉に応えるかのようにエマは号令をかけた後ヴァレフォルを召喚し、リィンやラウラ、ゲルドは決意の表情で頷き、セレーネは竜化して仲間達と共にクロチルダによって巨大魔獣化したグリアノス―――グリアノス・アウラとの戦闘を開始した! 
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