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奇奇怪怪

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3部分:第三章


第三章

「今日だけれど」
「暇っていったらどうなるの?」
「コンパ行かない?」
 今度の言葉はこれだった。
「新入生歓迎コンパにね」
「ああ、コンパ」
 それを聞いて内心来た、と思う夏希だった。大学のキャンバスライフといえばコンパである。それが遂に来たのだと思ったのである。
「コンパなのね」
「どうするの?参加する?」
「勿論」
 にこりと笑って答える夏希だった。
「宜しくね」
「ええ。じゃあ夏希」
 また彼女の名前を呼ぶ桃香だった。
「今夜ね」
「行かせてもらうわ」
 こうして彼女はコンパに参加した。コンパはある居酒屋を貸し切りだった。そのうえで彼女は多くの同級生の女の子と会うことになった。
「あっ、そうなの」
「それでなんだ」
 その彼女達と早速打ち解け合い友人になった。そして彼女達とは親しい友人になった。彼氏ではないが男友達もできていった。友人も多くできたのだった。
 また望みが適った。友達も大勢できた。そうしてである。
 彼女は今度はある雑誌を読んでいた。高校の時から読んでいるファッション雑誌でありその雑誌を電車の中で読んでいたのである。
 そしてふとこう思ったのだ。
「モデルになりたいな」
 何気なくこう思っただけであった。しかし数日後。渋谷を歩いているとだ。
 渋谷は東京の中でもとりわけ若者が多い場所である。所謂流行の最先端の場所であり行き交う若者達は流行の最先端の格好をしている。109のビルを中心に立派なビルも立ち並んでいる。彼女はその中をお気に入りのジーンズにシャツ、それと鞄といった格好で歩いていた。目的はショッピングだ。
 その彼女にだ。ふと声がかかったのである。
「あっ、君」
「はい?」
「こういう者だけれどね」
 見れば若い男だった。彼は言いながら名刺を出してきた。それを見るとだ。
 結構有名な芸能事務所の名前が書いてある。夏希も知っている名前であった。それを見て内心まさかと思い彼に問うのだった。
「スカウトですか?」
「うん、そうだよ」
 にこりと笑ってからの答えだった。
「それでよかったらね」
「私をモデルにですか」
「どうかな」
 にこにことしながらの言葉だった。
「そういうの興味ある?」
 夏希は背が高くすらりとしたスタイルをしている。茶色に染めた髪を肩が完全に隠れるまで伸ばしている。目は大きくはっきりとしている。少し吊りあがっていて勝ち気な印象を受ける。顔は小さく鼻は高く口元も綺麗だ。まさにモデルに相応しい外見である。
 その彼女に今声をかけてきているのだ。
「若し興味があったら」
「あります」
 夏希もにこやかに笑って答えた。
「それじゃあ」
「うん、じゃあね」
 こうして彼女はモデルにもなれた。上京できて友人も多くできてしかもモデルになれた。彼女にとってはいいこと尽くめであった。
 彼女は幸せの絶頂にあった。モデルとしても早速仕事に恵まれ友人とのキャンバスライフ共々楽しんでしていた。しかしその中でだ。
 ふとニュースを見てだ。こう思ったのである。
 丁度北朝鮮のニュースキャスターがテレビに出ていた。あのチマチョゴリを着ている女がである。夏希は彼女の名前を知らない。
「この人何ていうの?」
「さあ」
「何ていうんだろうね」
 叔父夫婦は家のリビングでテレビを見ている。そこに下宿の学生も何人かいて一緒にテレビを見ている。部屋にそれぞれテレビはあるのだがどうやらリビングの方が落ち着くらしくここで見ているのである。
「よく見るというかいつもテレビに出てるけれどね」
「下手な芸人よりもね」
「確かに出てるよね」
 夏希は冷蔵庫からアイスクリームを出しながら述べた。そこは家族用の冷蔵庫であり下宿の学生用のそれは他にあるのである。
 
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