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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第9話 誰にも負けない思い


西木野さんの家から出て数分。小泉さんはずっと考え込んでいた。
彼女にも思うことがあるのだろう。




辺りは薄暗くなり、電灯がちらほらと灯りはじめる。

「いろいろあるんだなぁ〜」
小泉さんはぽそっと呟いた。

「あぁ....」

それ以降会話がなかった。


「あの.....笹倉さんはどうしてアイドル部をやっているんですか?」

何かと思えば.....


「そうだな〜」

ふと、考える素振りをする。何故やっているかなんて理由は決まってる。でも恥ずかしくてそんなこと言えないじゃん?
『彼女たちに笑っていて欲しいから』って.....

「まぁ.......彼女たちが好きなんだよな。」

「え?」

「うん。彼女達が協力してそしてなにかを成し遂げようとする姿勢が俺にとってすごく羨ましいものに見えたから...かな」

「そ、そうなんですか.....」

「あぁ....あ、そうだ。実はすぐ近くに和菓子屋があるんだよ。寄っていかない?」

「え?和菓子屋....ですか....お餅....とかあります?」

「お餅...はよく覚えてないけど多分あるんじゃないのか?」

「....ふふ。じゃあ行きます」

小泉さんは大人しそうな声で話してはいるものの目がものすごくキラキラと輝いている。お餅好きなのだろうか





俺たちはは『穂むら』ののれんをくぐって「よっ!穂乃果」と声をかける

「え?穂乃果って....えぇっ!!」

後ろで大きな声で驚いている小泉さんはいつものごとくあたふたする。

「あ!大くん!....と、花陽ちゃんだ!どうしたの?」

「え、えっとあの....」

もじもじし始めたのでとりあえず俺は頭を撫でて大丈夫だよ、と安心させる。

「穂乃果、俺と小泉さんを部屋に上がってもいいか?」

ぷくっと頬を膨らました穂乃果は俺の事を見ながらも

「部屋に入っていいけどまずは大くん、花陽ちゃんの頭の上にある手をどけてから入ってよね。それともなに?ずっと頭の上に置いておくつもり?」

と、少しトーンを低めて案内する。

「な、なんだよ....そう怒るなよ」

「怒ってないよ!でも大くんが.....もにょもにょ...」

最後の方は地獄耳の俺でさえ聞き取れなかった

「は?なんて?」

「いいから!さっさと入って!他のお客の迷惑になるよ」

穂乃果は小泉さんの頭の上にある俺の手をひっペがして無理矢理背中を押し、そのまま店番へと戻る。

「なんであいつ怒ってんだ?」

と、一人愚痴ると

「笹倉さんって意外と鈍感なんですね」

と小泉さんに言われてしまった。

「ど、鈍感?いやいや俺はカンは鋭いほうだけど」

俺はすぐさま反論するも小泉さんに苦笑いされてしまった。

「で、穂乃果先輩の部屋ってどこですか?」

階段を昇りながら俺に聞いてくる。

「すぐそこだよ」

そして、俺はドアに手をかけ勢いよくあける。

考えれば女の子の部屋になんも抵抗なく入れたのって間違いなく穂乃果のおかげだよな。作戦会議とかで何度も入ったから警戒なしにドアを開けてしまった。















「ちゃ〜んちゃちゃ〜ちゃら♪ちゃららら〜ん♪みんなありがと〜♡」










海未が鏡に向かって笑顔で手を振っていた。しまいには投げキッスすらしていた。片手にはマイクをもち、これだけで海未は1人で何をしていたのかがわかる。








何も見ていない何も見ていない.........何もなかったんだ



そう思い込んで俺はドアをゆっくり静かにしめる。


「さ、笹倉さん....あ、あの...」

小泉さんはカタカタと震え出していた。

「小泉さん。今のは何もなかったんだよ、いい?俺たちは何も見ていなかった」

俺は極力優しい声でそう言い聞かせた


「で、でも....」


バンッ!!!!!!!!!!




後ろのドアがもの凄い勢いで開き、3D貞〇が現れた。
貞〇は映画で見た時よりも遥かに恐怖心をそそるような雰囲気を醸し出していた。きっと俺はこのまま貞〇にkillされるんだろうな.....

俺は静かに目を閉じ自分の命が絶つのを待った。


「......見ました?」








「.............俺は.........なにも.........見ていません。」











直後腹に衝撃が走ったかと思うと一瞬にして視界がフィードバックした

















「ご、ごめんなさい......」

あのあとすぐに穂乃果先輩がお茶と煎餅を持ってきてやってきました。
廊下で倒れた笹倉さんを海未先輩が引っ張って部屋に連れ込み
ようやく一息ついたところで私は謝りました。

なんで大くんが倒れているの?という穂乃果先輩の対し大地に私がポーズの練習してるところを見られ、さらには私のことを貞〇と思っていたので気絶させましたと、真っ赤にして答えた。

それよりも....どうして海未先輩は笹倉さんが貞〇と思っていたのを知っていたのでしょうか。

「いいよいいよ、こっちこそごめんね」


穂乃果先輩は苦笑いして海未先輩のほうを見る

「でも海未ちゃんがポーズの練習してたなんてね〜」

と、ニヤニヤしながら海未先輩を煽っている。

「え!そ、それは穂乃果が店番でいなくなるからですよ!!」

「あ、あの--「お邪魔しま〜す」

私の言葉を遮って入ってきたのはことり先輩。
あ、あう......

「あれ?」

「お、お邪魔してます」

私は軽くあたまをさげると、ことり先輩は目をキラキラして近寄る

「え!?もしかしてほんとにアイドルに?」

「たまたま店の前を大くんと店に寄ったからご馳走しようと思って。穂むら名物穂むら饅頭!略してほむまん!」

そう言って私の前にほむまんを差し出す。

「え?大地くんも来てるの?」

「来てるよ、ほら。」

穂乃果先輩は海未先輩の後ろでまだ伸びている笹倉さんを指さす。

「あれ?大地くんどうしたの?」

「眠たいから寝ているそうです。そんなことよりことり、パソコン持ってきましたか?」

『そんなこと』で、済ませちゃっていいの!?
私の中では笹倉さんはμ'sを手伝うヒーローみたいなイメージだったけど全然違ったみたい。なんていうか......下僕?奴隷?

「うん、持ってきたよ〜。」

「ごめんね〜、いっつも肝心な時にパソコン壊れちゃうんだよね」

ことり先輩がパソコンを取り出したので私は急いでテーブルの上の饅頭とか煎餅の入った皿を手に持ってどかす。


「あ、ごめん」

「い、いえ」

「それで、ありましたか?動画は」

ことり先輩の周りに2人は集まりパソコンを眺める。
『動画』って一体なんのことなのかな?

「まだ確かめてないけど......多分ここに〜」

ことり先輩はパソコンを操作しサイトにアクセスしているようです。

「あった!」

穂乃果先輩の声と共に海未先輩とことり先輩はすこし画面に近寄る。
私も気になったので端からこっそりと覗く。

ことり先輩が開いたのはアイドルに関する全国的有名なネットでそこには先日の先輩方のダンスの動画が再生されていた。

あの時のドキドキとワクワクが再び起こり真剣になって見入ってしまった。先輩方のダンスはA-RISEとか他のプロのダンスと比べるとかなり雑でぎこちない。でも、先輩方のダンスは私を魅了させ、先輩方の想い、楽しんで踊っていることが伝わってきた。

観客席は誰もいなかった。それでも先輩方はやり遂げ、そして....学校を背負ってこれからもスクールアイドルとして活動していくのだろう。


「あ〜ごめんね花陽ちゃん。そこじゃ見づらくない?」

穂乃果先輩が気にして声をかけてくれたけど真剣に動画を見てるため全然聞き取れなかった。

.....私にはそんなことはできない。恥ずかしがり屋で引っ込み思案で何も得意なものなんてない。でも....好きなんだ。アイドルが。
小学校の時からずっとずっと憧れていたアイドルが大好きなんだ
いつか私もみんなの前で歌って踊りたい。そんな夢はいつからか無理だ無理だと考え込み『私は応援してるだけで満足』と勝手に決めつけていた。

でも--「小泉さん」

「は、はい!」

海未先輩に呼ばれて自分の意識が現実に引き戻された。

「スクールアイドル、本気でやってみない?」

穂乃果先輩からも誘われているのにどうしても二つ返事で答えることができない。

「え?で、でも私....向いてないですから」

「私だって人前に出るのは苦手です。向いているとは思えません」

「私も歌を忘れちゃったりするし、運動も苦手なんだ」

「私はすごくおっちょこちょいだよ!」

海未先輩、ことり先輩、穂乃果先輩はそれぞれ自分の欠点を言って私をフォローしてくれる。
実際歌って踊ってる人にも欠点はあるんだな〜と実感した。

「プロのアイドルなら私達はすでに失格。でもスクールアイドルならやりたいという気持ちを持って自分たちの目標を持ってやってみることができる!!」

「....ことり..先輩」

「それがスクールアイドルなんだと思います」

「だからやりたいと思っているのなら、やってみようよ!」

「最も、練習は厳しいですが」

「む....海未ちゃん」

「あ、失礼」

「穂乃果先輩....海未先輩.....」

そっか......やりたいという気持ちがあるならやってみる....か
先輩方の話を聞いて少しやりたいと言う気持ちが強くなった。

3人が笑っているのをみて、私も気がつけば笑っていた。






















『プロのアイドルなら私達はすでに失格。でもスクールアイドルならやりたいという気持ちを持って自分たちの目標を持ってやってみることができる!!』



そうだよな......大事なのは、自分がやりたいって思うことだよな。
実はというと俺はすでに目を覚ましていた。でも起きるタイミングを見失ってしまい気絶した振りをして現在に至る。

ちらちらと横目で小泉さんの様子を伺うとさっきまでの不安な目は無く、希望とやる気に満ちた目をしていた。あとは俺が少し背中を押してあげればきっと.......




「大地!大地!起きてください」

俺は海未に揺さぶられわざとらしく目を擦りながら起き上がる


「んっ......ふぁ〜あ......んん......なんだい海未......」

「小泉さんが帰りますので一緒に帰ってあげてください」

「ん....もうそんな時間?てか、俺何してたんだっけ?」

「さ、さぁ...それよりも早く準備してください」

コイツはあくまでシラを切るつもりだな。言っておくが忘れちゃいねぇぞ。後でこの恨みは晴らさせてもらうからな。

「はいはい......んじゃあ帰るか小泉さん」

「は、はい.....先輩方、お邪魔しました」

「うん!またね花陽ちゃん。ゆっくり考えて答え聞かせてね。」

「私達はいつでも待ってるから」














「どうだった?今日あいつらと話せて」

帰りに小泉さんに改めて想いを聞いてみる



「え?....私は....スクールアイドル...やりたいです」

「ふっ......そうか」

「でも.....」

「ん?」

「....まだ不安です。先輩方と一緒にやってスクールアイドル上手くできるかどうか....不安.....です。自信もないです。」


最後の壁はそれか.....



「.....小泉......いや、『花陽』」

「ふぇっ!?え?あ、あの......」

「自信が無くても!やりたいって思うなら....やるべきだよ。俺はやりたくても.....やれなかった.....だからできない辛さは俺にもわかる。後悔するって気持ちもよくわかる」

「笹倉....さん」

「それに....不安だ、自信ないって言うなら....俺がついてる!」

「え?」

ぽかんと口をあけて黙らないでくれよ。俺だって恥ずかしいんだからさ

「あいつらと一緒で不安?なら俺が花陽のこと応援するよ。」

「笹倉....さん?」

「俺にできることなんて雑用とコーチ(仮)ぐらいしかできないとでも思ったのか?俺は.....あいつらだけじゃない君のことだって支えてあげるよ」

「.......」

「実はさっき言えなかったんだけどさ」

「な、何をですか?」

「何故、アイドル部にいるかって話。実はあの理由は本当のじゃないんだ」

「と、いうと本当の理由ってなんですか?」



「それはな.....あいつらの笑顔を守りたいと思ったからなんだ。それがあいつらと.....アイドル部にいる理由。だからもし花陽がアイドル部に......μ'sに入るってんなら....」








俺はひと呼吸おいて、花陽に告げる












「花陽の笑顔も............俺が守ってやる!」



















「ねぇ大く〜ん」

「なんだよ...てかなんで穂乃果は後ろから抱きついてくるんだよ。ほら見ろ、ことりとか海未の視線が痛いほど俺のガラスのハートに刺さるじゃねぇか」


「えへへ〜///なんとなくかな〜。そんなことより!花陽ちゃん入ってくれると思う?」

「そうですね....彼女は入ってくれるんじゃないかと思っているのですが....。大地、罰としてあなたの唐揚げいただきます」

「あ、こら!何の罰だよ!俺の好物奪ってんじゃねぇ!」

「じゃあ私は大地くんの2番目に好きなトマトもらっちゃお〜」

「あぁ!俺のトマトちゃんが〜っ!!てか!なんで俺がトマト2番目に好きなの知ってるんだよ!」

「それは私が教えました!」

後ろで抱きつきながらえっへんと威張る穂乃果。
なんでお前が知ってるんだよ.....


「ったく..俺の弁当勝手にあさるなよ〜。もぐもぐ....んくっ、大丈夫だ。花陽は絶対μ'sに入ってくれるよ」


「えっ!?ほんと!?」
穂乃果の包容から開放されたかと思うと今度は俺の手を握る
なんなの?今日の穂乃果は

「どうしてそんなことが言えるのですか?」

「だって....君たち昨日あんなに真剣に花陽のこと引き込もうとしてたじゃん。まるで獲物を逃がさないかのようにさ....もぐもぐ..」

「え?まさか大地くん...起きてたの?」

「まぁな...起きるタイミング失ったので狸寝入りしてた」

「そ、そうでしたか.....」





「ダ.....ダレカ.....ダレカタスケテェェェェェェェッッッ!!!」

と、聞いたことあるような声の悲鳴が中庭から聞こえた。

誰か......って....誰だよ......










(そういえば....大くん...花陽ちゃんのこと花陽って呼んでたよね?

(そうですね。昨日までは小泉さんと呼んでいたのを覚えています。彼はまたなにか粗相を起こしたのでしょうか.....)

(あとで大地くんはことりのおやつにしなきゃね!悪い子にはおしおきなんだから!)

(今度大くんと花陽ちゃんが会話するときの花陽ちゃんの表情を見ておこう)

((了解!))






「ん?どうしたの?3人でこそこそと」

「な、なんでもないよなんでも!!あははは」















今日は天気が良かったので屋上で練習をすることにした。といっても現時点でやれることは限られているので筋トレ、ストレッチの他に初ライブで踊った『START:DASH!!』の復習だけだけど。

それらが概ね終わったのは日が暮れた頃に彼女は....正確には星空さんと西木野さんに引っ張って花陽はやってきた。
なんていうか『宇宙人!現る!』みたいな大スクープされた感じで捕まってるな。

「つまり、メンバーになるってこと?」

「はい!かよちんはずっとずっと前からアイドルやりたいって思ってたんです!」

「そんなことはどうでもいいわ!彼女は結構歌唱力あるんです!」

「どうでもいいってどういうこと!」

「言葉通りの意味よ」

俺らを置いてけぼりに2人はヒートアップする。

「あ、あの。私はまだなんていうか...」

「もう!いつまでうじうじしてるの!絶対やった方がいいの!!」

「それには賛成!やりたいって思うならやってみた方がいいわ」

花陽のやつ.....穂乃果たちにあんなに言われ俺からもあれだけ言ったのにまだ決心してなかったのか。

「で、でも...私」

「さっきも言ったでしょ?声出すなんて簡単!あなたならできるわ!」

西木野さんは花陽の肩をがしっとつかみ言い聞かせる

「凛は知ってるよ!かよちんはずっとずっと前からアイドルになりたいって思ってたこと!」

凛は西木野さんから花陽を奪うようにまたがしっと肩を掴む
俺たちはそんな3人を微笑ましく見守っている。

「凛ちゃん......西木野さん......」

「大丈夫!凛はずっとかよちんのこと応援してるから!」

「言ったでしょ?私も少しくらいは応援してあげるって」

そう言って花陽を送り出す。

「え...えっと....私....小泉...」

まだ下をむいてもじもじしている花陽を、最後に2人はとんっと背中を押してあげる。その直後、花陽の目つきは変わった。


ついに.....決心したんだな

「.....っ!!!私!小泉花陽って言います。1年生で背が低くて声も小さくて人見知りで得意なものは何もないです.....でも、でも!!アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!!!!だから私を....μ'sのメンバーにしてください!!」

花陽...よくがんばったな。お前の想いは俺たちがちゃんとしっかり受け止めたぞ

その証拠にほら........俺たちはみんな嬉しそうだ


「こちらこそ」

穂乃果は花陽に手を差し伸べて歓迎する。そのあとに続くように俺たちは立ち上がる


「よろしく!!」

頭をあげた花陽の目には涙が溜まっていた。けれどその涙は....今までの花陽の涙よりずっと綺麗で、輝いていた。

花陽は穂乃果の手を握り、笑う。


その様子を後ろで見ていた2人は「よかったね〜かよちん」、「まったく...人騒がせね」、「あ!西木野さんが泣いてる!」、「な、泣いてなんかない!」と。涙を流して喜ぶ友達がいた。

よかったな...花陽。応援してくれる友達がいて.......

そんな2人にことりと海未は近づき、
「それで2人は?」

「「え?」」

「まだまだ部員は募集中ですよ!」

そう言って手を差し延べる。
星空さんと西木野さんは顔を見合わせ、星空さんは「じゃあ....凛もやる..」
とことりの手を握り返す。

一方西木野さんはというと...


「わ、私はやらない」

「えぇっ?なんでよ!西木野さんもやろうよ〜」

「私はやらないって言ってるの!アイドルなんて興味無いし!」

いつもツンツンが炸裂しそっぽを向いてしまった。

「ブラフッ!!!!」

「え?」

俺は叫んだ。またこいつ嘘つきやがったな
こいつはほんとに手間のかかる奴だな。

「なによ!ブラフって!!」

「嘘、ハッタリ、ブラフ」

「い、意味を聞いてるんじゃない!」

「......いつになったら自分に素直になるんだ?」

「え?」

μ'sのメンバーも目を丸くする。俺の声のトーンの低さに驚いているのだろう。


「昨日西木野さんは花陽にこう言ったよな?『やりたいなやればいいじゃない』って」

「そ、それがどうしたのよ」

「まだ、わからないのか?」

西木野さんは今までと違う反応を見せる。いつもだったら俺を睨んでそっぽを向くのに、今回は頬を少し赤く染めて俯く。それが一体なにを表しているのか、俺には理解できた。
彼女もやりたいんだよ、スクールアイドルを。

「それは自分自身にも言い聞かせた言葉なんじゃないのか?」

「.......」

「素直になれないから人に言い聞かせるようにして自分と当てはめる。それってほんとは好きだったり興味があったりとかするもんじゃない?そして今まで花陽に言ってきたことは全部自分に当てはめてる。」

「わ、私は......」

すると、花陽が西木野さんの近くにいって手を握る

「西木野さん。一緒にスクールアイドルやろ?」

「私が.....スクールアイドルに?」

「うん、大丈夫だよ。私も凛ちゃんもいるし先輩もいる。そしてなにより笹倉さん.....大地先輩がいるんだよ?」

花陽はニッコリと微笑みながら彼女の手を握る。
そのまま無理矢理ひっぱって海未の前に西木野さんを連れてくる。

「どうですか?西木野さん。アイドル.....やりませんか?」

海未は再度、彼女を勧誘する。

彼女は手を握り返そうか返さないか手が泳いでいた。自分のプライドが勝つか、それとも自分の想いが勝つか...
結果は

「わ、わかったわよ....やれば..いいんでしょ」

自分の想いが勝ち、西木野さんは海未の手を握り返す。
海未は笑顔を絶やさず西木野さんは海未に顔を合わせられずただ下を向いて....少しだけ微笑んでいた。







μ's.....9人の女神は6人に増え、彼女たちはまた一歩前へ進んでいく




あと3人は....だれなんだろうな......

















いくら新入部員だからといっても活動は次の日の早朝の練習から始まる

「ふわぁぁ......んんっ...朝練って毎日こんな時間から始めなきゃいけないの〜?凛まだ眠いよ〜」


「当然じゃない、しっかりしなさいよもう....」

階段の方から聞こえた声は星空さんと西木野さんだった。
星空さんはまだ眠たそうに欠伸をしながら目を擦り、西木野さんは腕を組みながら星空さんにあーだこーだと言っている。


そして俺のすぐ近くには先に来て準備体操をしている少女がいる

「あ、かよちん!おっはよ〜」

「凛ちゃん!西木野さん!おはよう!!」

振り向いた花陽を見て星空さんと西木野さんは少し驚いたような顔をして向かってくる

「あれ?かよちんメガネ外したの?」

「うん、コンタクトにしたの。ダメ...かな?」

「いいんじゃない?似合ってるわよ」

「えへへ...ありがとう西木野さん」

「や...その....メガネ外すついでに....その私の事も名前で呼んで」

どんなついでだよ!っと心の中でツッコんでしまった。

「ふふ...うん、真姫ちゃん!」

「ゔぇえっ!や...../////」

「むっふふ〜真姫ちゃ〜ん!真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!!」

いきなり星空さんは西木野さんの周りをはしゃいで名前を連呼する。
「ちょちょっと!そんなに呼ばないでよ〜!凛〜!!」

「真姫ちゃん真姫ちゃ〜ん!」

「あはははっ」

「....3人とも楽しそうだな」

「おはよう....ございます。え...と....大地....先輩」

「おっはよ〜にゃー!大地先輩!これからよろしくにゃっ!!」

3人の温度にかなり差があるけど..まぁこれからきっと頑張っていけるよ君たちなら。

「あぁ....おはよう。『真姫』、『凛』」
















(大地先輩......あなたがこの前言った言葉....私は忘れませんよ。すごく....嬉しかったんですよ?あんなこと....堂々と.....言われちゃいましたから...///)
















『花陽の笑顔も...........俺が守ってやる!』















(ふふっ...これからもよろしくおねがいします!大地先輩!)

 
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