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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第2話 出会いと迷子


放課後

俺は初めて学校をブラブラ散歩することにした

まぁ家に帰って参考書を開くって手もあるけど今日はなんとなくそんな気分にならなかった。
最初は屋上

前の学校は立ち入り禁止になっていた。だから音乃木坂の屋上が
自由に出入りできるのはかなり嬉しい。
幸いにも強い風は吹いておらず景色を眺めるには絶好だった

日が沈みかけ、辺りがオレンジ色に染まる

部活の掛け声や生徒の話し声がちらほら(ただし女子の声のみ)

今日仲良くなった穂乃果さんやことりさん、園田さんはもう帰ったのだろうか。結局お礼の一つもしてない

「すごい個性の強い3人だったな...」

誰もいない屋上で一人つぶやく。

「それってわたし達のことですか?」

が、1人ではなかったようだ。

振り向いたこさそこには例の大和撫子系女子、園田さん。

「...そうですよ、貴方達のことです。」

嘘をつく必要もないのでばっさり言い切る。

「部活...行かなくていいんですか?弓道部...ですよね」

驚いたような顔をして園田さんは俺を睨む

「なんでわかったんですか?」

「だって肩にかけてるそれ、見た感じ弓とか入ってそうだと思ったんです」

俺は指さし当たり前のように指摘する

「...まったく、それもそうですよね」

「で、なんのようですか?」

俺の中でこの子は人見知りなんだという予感はしてた。

僅かに震える声

泳ぐ視線

頬を染めながら名を告げる

今も初めて会った時と同じような挙動不審さで話しかけられると誰でもそう思ってしまうだろう...


「どうしてあなたは音乃木坂に来たんですか?廃校を阻止するために共学化の試験生が来るとは理事長が仰っていました。それがあなただった。」

.....なんとまぁどストレートな質問だこと

(んな聞き方するか?普通....)

苦笑しながら俺はそう思う

「....全部は言えないけど簡単に言うと理由は2つ」

「それは?」

ここまできて、ふと思った。

こんな大事なこと言っていいのだろうか...
1つは理事長が言ったこと。もう1つは個人的な目的
人に話したくないこと。だから


「ごめん、やっぱり言えない。」

「それは人に言えないことなんですか?ならすいません。ここで引き下がります」

そう言って頭を下げる

「園田さん、頭あげてください。大丈夫です、廃校は絶対阻止します。俺も今日ここに来て思ったんです。前の学校に無かったこの学校の素晴らしさを」

「そうなんですか」

「前の学校は進学校の名門、皆自分が上に行きたいという意志から
互いが互いを蹴落としあい這い上がる状態が続く毎日だった。
仲良くしていこうとそんな雰囲気は微塵も感じなかったんです」


園田さんはじっと俺の心の中を探るかのように見つめる。

「だから音乃木坂の雰囲気に興味を持ちました。こんな学校が廃校なんて勿体ないです。ここからでもよくわかりますよ」

園田さんに向けてた体を今度は夕焼けに染まるグラウンドを見て続ける

「人数が少なくたって、どんなに目立つものがなくたって、生徒は楽しそうに学校生活を送ってるんです。」


「.....笹倉くん」

「?」


「あなた.....何処かで私と会ったことありますか?」


「........いや、無いね」

「......そう、ですか」

静寂が訪れる。

先に口を開いたのは園田さん

「私はもう帰ります。すいません1人のところをお邪魔して」

「いやこちらこそ、つまらない話聞いてくれてありがとう園田さん」

一礼して荷物を取りにドアへ向かった
途中足を止めて一言

「海未ってよんでください、『大地』!」

背を向けてるので表情はわからないが彼女は俺のことを警戒はしなくなったんだろう。なら俺のすべきことは決まってる。

「また明日!海未!」


まさか海未から積極的に名前で呼ばれるとは思わなかった


〜☆〜



あれから少しして屋上から離れて校内を歩き回った

〜♪〜〜♪

「?」

音楽室からピアノの音が聞こえる。

ガラス越しに除くとそこには赤いショートヘアの少女が弾きながら歌っていた。しかも目をつむりながらピアノを弾いている様子から、かなりの腕の持ち主だと見受ける。

「あいしてるばんざ〜い♪ここでよかった〜♪」


「弾き歌いだと...あの子すごいな」

と、感心して静かに聴いていた。

ピアノの音が聞こえなくなったので俺はドアを開ける

「っ!?誰です!」

と、俺を睨む女子生徒


「あぁいや怪しいもんじゃないよ、俺は転入生の笹倉大地、2年生」

「......」
まだ警戒は解いてくれない。なんか俺警戒されてばっかだな
仕方ないといえば仕方ないけど

「1年の西木野真姫...です」


胸元のリボンが水色...1年生。2年生は赤、3年生は緑だったかな。

そんなことはどうでもいい。

「西木野さん、引き歌いするなんて凄いね!歌も美味かったよピアノも上手だった!」


「っ!!!」

その途端に西木野さんは顔を真っ赤にした。赤面症なのかな?


「また聞かせて欲しいな?」

「っ!!ナニソレ!イミワカンナイ!!」

そう言い残し音楽室から飛び出していった。


〜☆〜




すっかり暗くなってしまった

あの後も見て回ってみたけど至って普通なものが多かった
あ、でも講堂広かったな〜

そして学校を出て約1時間が経過しただろう

え?今何してるかって?

それはね...



「.....ここ、どこだよ」

絶賛迷子中である

だって今までと違う場所だし俺方向音痴だし?
とにかく朝来た道通りに来た筈なんだけど.....

なんせ薄暗いからどこに何があったのかわからないんですよ。


「どうしよう...」

母さんは仕事なので多分無理。今日仲良くなった3人の連絡先知らない
前の学校のクラスメートに聞いてもいいかもしれないが
おそらく頼れない


....詰んだ

とにかくもう少し歩き回ってみよう。




「....あれ?ここは...」

10分近く歩いたときふと感じた懐かしい光景。


俺、こんなところ来たことあるっけ?



「いやいや、そもそもここ来るの初めてだし」



でも建物とか道とか側にある公園とか何か....見たことある気がする
でもそれしかわからないのでとりあえず歩き回る


と、道の角に小さな和菓子屋さんを見つけた。



「穂むら....か」



穂むら.........
聞いたことある。懐かしい感じがする
また頭がキリキリと痛む

今日一日こんなんばっかだ。きっと疲れてるんだろう。
少し腹を膨らましていきますか。

そうして俺は穂むらののれんをくぐる

「いらっしゃいま....あ!大くん!!」

そこで店番をしていたのは穂乃果さんだった

「あ、どうも。穂乃果さんここでバイトしてるんですか?」

「あ、ええと...」
質問すると何故か口篭り暗い顔をして俯く

「まぁ、そんなところかな?」

そんな顔は一瞬だけ見せ、いつもの笑顔に戻る。

「穂乃果さんここのオススメはなんですか?」

「オススメは穂むら名物穂むら饅頭!略してほむまん!」

「じゃあそれを4つください」

穂乃果さんは手馴れた様子で饅頭を詰めていく。


「650円です」


お金を渡して出ていこうとする。
ふと思い出した。道を聞くのを忘れてた

「あ、そうだ。穂乃果さんここから駅までどう行けばいいですか?」

「え?あぁうん、それなら店を出てすぐ左に向かって突き当たりを右に曲がると駅だよ!」

「ありがとうございます!それではまた明日!」

「バイバ〜イ!」




(やっぱり何も覚えてないんだね.....大くん)




饅頭を咀嚼しながら言われたとおりの道を進む。

...上手いなほむまん

あの後無事に家に着いた。






〜☆〜

時は遡ること2時間前、穂乃果の家にて



「すみません、遅くなりました」

海未ちゃんは部活が終わってから穂乃果の家にやって来た。

「大丈夫だよ〜海未ちゃんはいお茶」

「ありがとうございます」

ことりちゃんがお茶を差し出して一息ついてから話題を出す

「それで話というのは、『彼』のことですね?」

「....うん」

「海未ちゃんが大地くんに話を聞いてみるって言ってたけどどうだった?」

「ことりの言う通り、アプローチはしてみました。大地さんは何か隠してます。」

やっぱりなにかあったのかな....

「大地さんがここに来た理由は2つあると言っていました」

2つ?

「1つは共学するための転入生だよね?お母さんが言ってたよ」

「はい、それは間違いなくあると思います、ですが残りのひとつは...」

「わからない..よね」









「とにかく!今はどうやって廃校を阻止するか考えよう!」

いけないいけない。暗くなっちゃダメだよ
こんな時こそ元気でいかなくちゃ!


そうだよね!大くん! 
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