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おぢばにおかえり

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第二十九話 お墓地でその三

「読んでいて頑張って欲しいなって思ったり」
「その方々へのお参りよ」
「ええ。じゃあ喜んで」
 笑顔で私の言葉を受けての言葉でした。
「行きますか」
「そうしましょう」
 こうして教祖の御家族のお墓もお参りして今度は。一旦降りて砂利道を二人並んで進みます。左手の下にお墓地が沢山見えます。そこには奥華の大教会長さん達のお墓もあります。
「何か本で出て来た御名前が多いですね」
「皆さんここに御身体があるのよ」
 また阿波野君に説明しました。
「このお墓地にね」
「それで御霊は祖霊殿になんですね」
「そういうことよ。わかったかしら」
「ええ」
 私の言葉に頷いてくれながら歩いています。
「そういうことなんですか」
「そうよ」
「ところでですね」
 そしてまた私に言ってきました。
「今度は何処に行くんですか?」
「歴代の真柱様のお墓よ」
「へえ、そういうのもあるんですね」
「ここから上に行ったらね」
 丁度目の前に階段が見えてきました。石の階段でそこを登ればです。下に行く階段もあってそこからは下りることができます。
「真柱様に奥様、あとは」
「どなたのお墓があるんですか?」
「本席様よ」
 話していてこの方のことはまだ知らないだろうな、と思いました。
「本席様のお墓もあるのよ」
「飯降伊蔵先生ですよね」
「知ってたの」
「ちょっと本で読みました」
 何時の間に、と聞いていて思いました。確かに天理教のことを勉強していたら絶対にお話に出て来る人ですけれど。それでももうだなんて。
「あの道友社に入ってそれで」
「あの本屋さんね」
「はい、そこです」
 おぢばの商店街、神殿からの入り口を少し行ったらそこにあります。天理教の本がそれこそ楽器の本まであるかなり充実した本屋さんです。
「そこでちらりと。漫画を」
「ああ、あの漫画ね」
 何の漫画かはすぐにわかりました。
「大工の伊蔵ね」
「ええ、その漫画ですけれど」
「成程ね。あの漫画だったらね」
 私もその漫画は読んだことがあるのでよくわかりました。
「わかり易いわね。読み易いし」
「そうなんですよ。思わず買おうかなって思ったり」
「買ったらいいわよ」
 階段を二人で登りながら言いました。
「あと教祖物語もね」
「やっぱりそれもですか」
「かなりしっかりした作品になってるし」
「そうですよね。ところでですね」
「今度はどうしたの?」
「いえ、何か凄い場所ですよね」
 階段を登り終えたところで私に言ってきました。
「ここって」
「そう?」
「そうですよ、何か神々しい場所ですね」
「神々しい?」
「だってほら」
 首を傾げる私に対してまた言ってきました。
「ここ。周りが木ですし」
「ええ」
「その木が凄い雰囲気出してるじゃないですか」
 阿波野君の言葉だとそうなります。 
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