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こころ

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2部分:第二章


第二章

「我が愛する敵達よ、今日はいいものを連れて来たぞ」
「げっ、天本博士じゃないか」
「また迷惑なのが来たな」
「プロ市民よりもさらに厄介だな」
「本当に何で来るんだよ」
 門番を勤めている自衛官達はその博士を見てだ。一斉に顔を顰めさせた。
 そうしてだ。博士に銃を構えながら言うのだった。
「帰ってくれないか?」
「あんたには発砲許可も下りてるしな」
「早く帰らないと撃つぞ」
「今戦車も装甲車も呼んだからな」
「ふん、それがどうしたのじゃ」
 銃を向けられても全く平気な博士だった。そしてだ。
 悠然と笑いながらだ。彼等に言うのであった。
「では今日のわしのロボットの攻撃を受けるのじゃ」
「おいおい、またロボットかよ」
「前は巨大怪獣で今度はそれか」
「本当に勘弁してくれよ」
「また特撮みたいになるな」
 彼等にとっては実に迷惑だ。自衛隊は特撮ものではやられ役だからだ。
 それでだ。彼等は今度はだった。
 先任下士官が電話でだ。司令部に連絡をするのだった。
「はい、大佐をお願いします」
「ハルトマン大佐か」
「また博士が来ました」
 また、と言うところが問題だった。
「すぐに来て頂ければ助かります」
「わかった。それではな」
 応対する当直士官が応えてだ。その彼が呼ばれた。すると瞬時になった。
 実際に第二次世界大戦の頃のドイツ軍の服を来たゲルマン系そのものの顔の男が出て来てだ。博士の前に立って言うのだった。
「天本博士、また来たのか」
「おお来たなハルトマン大佐よ」
「今日はロボットか」
 鋭い光を放つ青い目を向けての言葉だった。
「それで私に対するつもりか」
「そうじゃ。では楽しもうぞ」
 博士が楽しげに言うとだ。小田切君がだ。
 その博士に顔を向けてだ。こう尋ねたのである。
「で、どんなロボットですか?」
「おお、それか」
「はい。どういったロボットですか?」
「あれじゃ。これまでカイザージョーやガメオだのを造ってきたな」
「そうですね。傍迷惑な破壊用ロボットばかり」
「今回は趣向を変えてみた」
 その迷惑な破壊用ロボットの範疇でだというのだ。
 そしてだ。博士がリモコンのあるボタンを押すとだった。空にだ。
 巨大な戦艦が現れた。主翼がありそれで飛んでいる。四門の主砲がある砲塔が前に二つ、後ろに一つある。その左右にはミサイルランチャーや対空砲座が無数にある。
 その武骨なデザインの空中戦間を見上げつつだ。博士は言うのだった。
「空中戦艦じゃ」
「何かいつもと違うデザインですね」
「イギリスの戦艦をイメージしたのじゃ」
 その武骨なデザインの戦艦を見上げつつ言う博士だった。
「キングショージ五世級じゃ」
「あのプリンスオブウェールズのですか」
「左様、帝国海軍にあっさりと沈められたな」
 マレー沖海戦においてだ。空からの攻撃であえなく沈んだのである。
「あれを参考にしたのじゃよ」
「何か不吉な話ですね」
「それでもどうじゃ。よいデザインじゃろ」
「僕の好みじゃないですね」
 小田切君はその戦艦を見上げながら冷静に答えた。
「やっぱり帝国海軍の船がいいですね」
「そちらがよいか」
「日本人ですからね」
 尚博士は二百億歳だ。地球どころの話ではない。
「ですからやっぱり」
「これはこれでよいと思うのじゃがな」
「ロイヤルネービーの船より帝国海軍ですよ」
 またこう言う小田切君だった。
 
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