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無慈悲

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3部分:第三章


第三章

「不埒者をそのまま抹殺も可能です」
「実際に殺したことはあるのか?」
「殺人犯は」
 あるというのだった。
「非公式にですが」
「そんな話は公にできるものではない」
 司令もこのことは言わずもがなだった。
「しかし。あるのだな」
「あくまで徹底的にです」
「やりそうしてか」
「はい、世の悪を成敗していきます」
 ハルトマンは機械的に、サイボーグらしい返答をした。
「これからも」
「それは軍人の責務か」
「私の場合はそうです」
「警察の権限もあるからだな」
「軍では一佐ですが」
 大佐だからだ。そうなる。
「警察では警視長になります」
「我が国の政府も思い切った人事をしたものだな」
「吉田首相からです」
 今はなきワンマン宰相だ。確かにかなり強引なところもあり口も悪かったがそれでもかなりの傑物だったことも確かなことだ。
 その彼がだ。ハルトマンをそう任命したというのだ。
「日本の軍備の新編成、そして警察力の確保の為にです」
「君に権限を与えたのか」
「軍と警察の顧問として」
 それが今の彼である。
「そうしてです」
「法律上はわかった」
 ハルトマンにだ。こう答える司令だった。しかしだった。
 彼は同時にだ。こんなことも言った。
「しかし納得はしていない」
「感情的にはですね」
「私は君はやり過ぎだと思う」
 またこう言う司令だった。
「それは正しいかも知れないがだ」
「そう思われることについて何も言うつもりはありません」
「それでいいというのか」
「はい、ただ私はです」
 ハルトマンはだ。どうかというのだ。
「己の信念を貫くだけです」
「そうするか」
「そうさせてもらいます」
 こう話してであった。彼は。
 そのままだ。悪を裁き続けていた。サイボーグとしてだ。
 そしてある日のことである。
 教育隊の基地にもだ。恐ろしい情報が届いてきた。
「えっ、あの国の工作員が!?」
「テレビ局を占拠したって!?」
「それでテレビ局のスタッフとキャスター連中も!?」
「奴等と結託して武装蜂起してたっていうのかよ」
「何だよそれ」
 自衛官達もだ。このことには驚きを隠せなかった。それぞれ驚愕の顔で驚愕の言葉を出す。
 しかしだ。ここでだった。
 彼等はそのテレビ局が何処か確めてからだ。
 あらためてだ。こう話すのだった。
「ああ、あそこか」
「あそこならな」
「最初から色々と噂あったしな」
「あの国べったりの報道ばかりしてたしな」
「しかも奴等に協力してる首謀者ってよ」
 見ればだ。そのテレビ局のスタッフ達は。
「武田清次かよ。アニメのプロデューサーの」
「あいつあの国の船に何回も乗ってるしな」
「関わるアニメにもやけに政治入れてたしな」
「もうまんまだよな」
「グルだったのかよ」
 まずはその武田について話される。そしてだ。
 他の結託している首謀者達はというと。
「振達一郎に鶏超駿太郎かよ」
「この連中拉致はしてないとか言ってたしな」
「この連中も最初から怪しいしな」
「じゃあ従ってるスタッフの連中も」
「最初からか」
「グルだったのかよ」
 顔触れだけでわかることだった。そしてだ。
 テレビからだ。盛んにこう報道していた。
 
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