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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第22話

3度目となる”騎神”を操作した戦いは既に2回経験している事もあり、ヴァリマールは2対1という不利な状況でありながらも、2体の攻撃を捌いたり回避したりしながら1体を集中攻撃して怯ませた。



~ガレリア要塞跡~



「ひるんだわ―――!」

一体のドラッケンが地面に膝をついた様子を見たセリーヌはそのチャンスを逃さないかのように叫び

「今だ―――破甲拳!!」

リィンはヴァリマールを操作してドラッケンの手元に強烈な一撃を叩き込んだ。するとドラッケンの手元から剣が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた剣をヴァリマールは掴み取り、自分自身の武器とした!

「ふふ、やるじゃない!」

「ああ、うまくいってよかったよ。さあ―――ここからが本番だ!」

そしてヴァリマールは剣を構えて、闘志を高めた!



「さっすが、リィン!」

「ああ、見事なものだ。」

ヴァリマールの活躍に仲間達が喜んでいると突如Ⅶ組のメンバーのARCUSが青白く光った!

「なにこれ?」

「い、一体何が起こっているんですか……?」

「これは……ARCUSが共鳴しているのか……?」

突如起こった出来事にフィーとセレーネは戸惑い、何かに気付いたトヴァルは考え込んだ。そしてヴァリマールは戦闘を再開した!



「この……!」

「喰らえ……!」

ドラッケン達は持っている銃でヴァリマールを攻撃したが

「その程度……!ハアッ!」

ヴァリマールはダメージを気にせず一体のドラッケンに剣を振り下ろした!



「グッ!?」

ヴァリマールによる一撃をボディに受けたドラッケンは怯み

「そこだっ!!」

ヴァリマールはその隙を逃さず追撃し

「閃光斬!!」

更にクラフトを叩き込んだ!



「このっ!」

「グッ!?」

もう片方のドラッケンの攻撃にヴァリマールは呻いたが

「リィン、頑張って!」

その時ヴァリマールとARCUSで繋がっていたエリオットはクラフト―――エコーズビートをヴァリマールにかけた。

「ダメージが……!―――ありがとう、エリオット!ハアッ!!」

エコーズビートによる結界によってヴァリマールのダメージが回復し、反撃をした。



「フィー、変わって!」

「ん。行くよ、リィン……!」

エリオットと交代したフィーは自分のARCUSとヴァリマールをリンクさせて思念を送り

「ああ!―――ゲイルレイド!!」

「グウッ!?」

フィーの思念を受けたリィンは何とヴァリマールでアーツを発動し、ヴァリマールによるアーツをその身に受けたドラッケンは怯んだ。



「秘技―――百烈桜華斬!!」

「ガッ!?」

「グアッ!?」

そしてヴァリマールは闘気を纏わせた剣で薙ぎ払うクラフト―――百烈桜華斬で2体同時に攻撃し

「時の結界よ……砕け散れっ!!」

「そこだっ!!」

更にヴァリマールとリンクをしているマキアスの思念によってヴァリマールは自身のスピードを高めた後剣を持つドラッケンに追撃した。



「馬鹿な………!?」

すると度重なるダメージによって1体のドラッケンは地面に膝をつき

「ク、クソ……ッ!?喰らえっ!!」

「クッ……!?」

銃を持つドラッケンは溜めによる強烈な銃撃―――バーストショットをヴァリマールに放ってダメージを与えた。



「反撃ですわ、お兄様!」

「ああ……!」

その時ヴァリマールとリンクをしているセレーネの思念を受け取ったヴァリマールは剣に霊力(マナ)によって発生した雷撃を纏わせ

「サンダーストライク!!」

雷撃を纏わせた強烈な突きを勢いよくドラッケンに叩き込んだ!

「うおおおおおおっ!?ば、馬鹿な……!?機体が動かないだと……!?」

すると強烈な雷撃を受けた事によってドラッケンは一時的に麻痺状態になって動けなくなり

「そこだっ!ハァァァァァァ…………七の型――――無想――――覇斬!!」

ヴァリマールはその隙を逃さず必殺技――――無想覇斬をドラッケンに叩き込んだ!

「ク、クソッ……!?」

そしてヴァリマールの必殺技をその身に受けたドラッケンは地面に膝をついた!



「ば、馬鹿なッ……!?」

「灰色の騎士人形……ここまでとは……!」

戦闘不能になったドラッケン達からは操縦士達の信じられない様子の声が聞こえ

「さあ、どうする!?まだやり合うつもりなら相手になるぞ!」

「ぐうっ……!」

ヴァリマールの挑発に対し、隊長機であるシュピーゲルからは唸り声が聞こえて来た。



「やったぁ、リィン!」

「さすがだね。」

「ああ、相手の武器を利用するとは……!」

「それにあの様子ですとまだまだ余力はありそうですから、以前と比べると遥かに強くなっていますわ……!」

ヴァリマールの勝利にエリオット達はそれぞれ明るい表情になってヴァリマールを見つめた。一方ヴァリマールに剣を突きつけられた機甲兵達はジリジリと後退して行った。



「た、隊長……!」

「ええい、怯むな!数の利はこちらにある……包囲できさえすれば!

ドラッケンから聞こえてくる悲鳴を聞いたシュピーゲルからは悔しげな様子の声が聞こえて来た。



「―――そこまでだ!!」

「なっ……!」

「こ、この声は……!」

するとその時豪胆な声が聞こえてきた!するとクレイグ中将率いる”第四機甲師団”が現れ、”アハツェン”達は次々と砲撃して機甲兵に砲撃を命中させた!



「ぐわっ!?」

「うおおっ!?」

アハツェン達は怒涛の砲撃を放って何と機甲兵達を次々と地面に膝をつかせた!



「あ……」

「と、父さん……!」

第四機甲師団の登場にリィンは呆け、エリオットは驚いた。



「”第四機甲師団”……!」

「横断鉄道方面の部隊が引きつけていたはずでは!?」

「そちらは一機残らず退けた!貴様らも、木偶人形もろとも尻尾を巻いて立ち去るがいい!さもなくば第四機甲師団、主力部隊が相手になろう!」

自分達の登場に驚いている機甲兵達をクレイグ中将は睨んで警告した。



「くっ、おのれっ……!こうなったら後詰の部隊も全て投入して―――」

クレイグ中将の警告に対し、シュピーゲルは戦うつもりであったが、突如頭の部分が狙撃された!

「―――ぐおおおおっ!?」

「た、隊長……!?」

「狙撃……!?一体どこから!」

狙撃に驚いた機甲兵達やリィン達が狙撃がされた方向に視線を向けるとある人物がいた。



「あ、あれって……!」

「………あの人は……!?」

「確か”鉄道憲兵隊”のクレア大尉でしたわよね……!?」

ある人物―――クレア大尉はスナイパーライフルの銃口を機甲兵の部隊に向けて自分の傍に置いてある通信機に誰かに報告していた。

「―――敵隊長機センサー撃破。”西風”の様子は?」

「両名とも”双龍橋”方面に向かい、戻って来る気配はありません。」

「了解―――ひとまず捨て置いて構いません。そちらは街道方面の警戒にあたってください。」

「イエス・マム。」

クレア大尉は報告を聞きながらも銃口を微動だにせず機甲兵の部隊に向けていた。



「ぐううっ……!助っ人共は部隊にも加わらず何をしているのだ!?―――全軍撤退!”双龍橋”まで退却せよ!」

「イ、イエス・サー!」

そして機甲兵の部隊は撤退して行った!



「ふう……やったか。」

戦闘の終了を確認したリィンとセリーヌはヴァリマールから出て来た。

「よっ、お疲れさん。」

「お疲れ様です、お兄様。」

「はああ、一時はどうなることかと思ったが。」

「ま、何とかなったわね。」

仲間達がリィンを労っている中、エリオットは嬉しそうな表情でクレイグ中将に近づいた。



「―――父さん!よかった、無事で……!」

「エリオット……!」

エリオットの姿を見たクレイグ中将は安堵の表情で口元に笑みを浮かべ

(あれが”紅毛のクレイグ”……聞きしに勝る豪傑ぶりだな。)

(い、いや……)

(ま、そう見えるよね。)

(アハハ……そしてすぐにイメージが破壊されるんですけどね……)

クレイグ中将を感心している様子で見つめているトヴァルの小声を聞いたマキアス達はそれぞれ言葉を濁した。



「――――うおおおおお、エ~リオット~!!」

クレイグ中将は笑顔でエリオットに駆け寄ってエリオットを抱きしめようとしたが

「わわっ!?」

エリオットは間一髪その場でしゃがみ、クレイグ中将の両手は空を切った。



「な、なぜ逃げるのだ!?さあ、可愛いお前をこの手に抱きしめさせてくれい!」

「そ、そういうのはいいってば!本当に相変わらずなんだから……って、わあ!」

そしてクレイグ中将は再びエリオットを強く抱きしめた。

「せっかくの親子の再会、何を恥ずかしがることがある!うむ、少し痩せたようだが……変わりないようで安心したぞ。本当に、よくぞ無事だった……!」

「父さん……う、嬉しいけど、苦しい、苦しいってば……!」

クレイグ中将に強く抱きしめられてもがいているエリオットの様子を見たリィン達は冷や汗をかいた。



「……なんか随分イメージと違うんだが。」

「ハハ…………まあ、そうですよね。」

「わたくし達もアレを見た瞬間、クレイグ中将のイメージが壊されましたものね……」

トヴァルの指摘を聞いたマキアスとセレーネは苦笑しながら答え

「でも、エリオットも嬉しそう。」

「ああ……本当によかった。」

フィーの言葉にリィンは安堵の表情で頷いた。



「ふふっ……何とかなったみたいですね。」

その時クレア大尉がリィン達に近づいてきた。

「あ……!」

「やっぱり。」

「”鉄道憲兵隊”の……それじゃあ、アンタが。」

「クレア大尉……どうもお久しぶりです。」

「クレア大尉が無事で本当によかったですわ。」

「ええ……皆さんも無事で何よりです。―――帝国軍、鉄道憲兵隊所属、クレア・リーヴェルト大尉です。積もる話は多そうですがまずは場所を移しましょう。中将閣下共々、話を聞かせていただきます。」

その後リィン達は演習場に築かれてある第四機甲師団の臨時拠点に移動し、これまでの経緯を説明した。 
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