| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第122話

~アクシスピラー第四層・外~



「みんな、行くわよ!」

戦闘を開始した際、エステルは掛け声をかけて全員の闘志を高め

「戦意よ!我等に真の祝福を!アルテミスの祝福!!」

ペテレーネは魔術を放って、味方全員の身体能力を高め

「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!!」

ジンはクラフト――真・龍神功を使って、さらに自分の能力を高めた!

「幻惑の鈴よ見せておやりなさい…………奥義・火炎地獄。」

一方ルシオラはエステル達にSクラフトを放とうとしている所を

「出でよ、烈輝の陣!!」

ペテレーネは魔術の詠唱を開始していた!

「さあ燃え尽きなさい。」

そして巨大化したルシオラは炎を放った!

「レイ=ルーン!!」

対するペテレーネは魔術を放った!神格者であり魔力も高いペテレーネが放った魔術はルシオラが放った炎を消滅させて、ルシオラを襲った!

「っ!?」

ペテレーネの魔術が命中したルシオラは呻いた!

「す、凄っ!!魔術でルシオラさんの奥義を破るなんて………さすが聖女様!」

「フフ、ありがとうございます。」

エステルの賞賛にペテレーネは微笑んで答えた。

「クッ………なら!闇に呑まれなさい!ティルワンの闇界!!」

一方ルシオラは魔術を放ったが

「大いなる闇よ……ティルワンの死磔!!」

ペテレーネも魔術を放った!ルシオラが放った魔術は上位に数えられていたが、対するペテレーネはルシオラが放った魔術の強化版であり、さらに魔力も桁違いに違うため、ペテレーネが放った魔術はルシオラが放った魔術を呑み込み、ルシオラを襲った!

「ひぅっ!?」

ペテレーネの魔術を受けたルシオラはさらに呻いた!

「ティアラル!………やはり大魔術師とも言われる貴女に魔術で攻撃を仕掛けるのは愚策だったようね………なら、しばらく眠っていなさい…………」

アーツで自分の傷を回復したルシオラはクラフト――幻術・夢見の鈴音を放ったが

「――無駄です。」

ペテレーネは結界をドーム型に展開して、自分を含めた全員をルシオラの幻術から守った!

「結界は精神的な攻撃も防げるんですか……」

「結界が防ぐのは何も目に見える攻撃だけではありません。精神的な攻撃も勿論防げます。」

それを見たヨシュアは驚いた表情に尋ね、ペテレーネは静かに答えた後、結界の展開を止めた。

「式神達も来るぞ!」

そして他の敵達の行動に気付いたジンは警告をした。そしてエステル達は3手に分かれて、それぞれが相手をする敵に向かって行った!



「……………」

敵は手らしき部分でジンを攻撃したが

「たぁっ!!」

ジンも攻撃をして相殺し

「蓬妖舞!!」

ヨシュアは側面から敵にクラフトを放って、ダメージを与えた!

「!?」

ヨシュアの攻撃を受けた敵は怯んだ後、ヨシュアに身体を向けて攻撃しようとしたが

「もらったぁ!はぁっ!でやあぁぁぁ!はぁっ!でやっ!たぁっ!!」

その隙を狙って、ジンがSクラフト――真・龍閃脚を放って、大ダメージを与えた!

「…………………」

大ダメージを受けた敵は反撃をする為に何かを溜める動作をし始めたが

「いくよ!ふん!はっ…………はっ………せぃやっ!」

ヨシュアがSクラフト――真・断骨剣を放って、止めを刺した!



「さあ、行くわよ!まだまだまだまだまだまだぁっ!とどめっ!」」

一方ペテレーネと共に敵を相手しているエステルは神剣を抜いてクラフト――剣技・八葉滅殺を放った!

「…………………」

しかし敵は全く効いている様子はなく、手でエステルを攻撃した

「きゃっ!?」

敵の攻撃にエステルは呻いたが

「癒しの力を……闇の息吹!!」

ペテレーネがエステルに治癒魔術を放って、回復した。

「ありがとう、聖女様!……物理攻撃は効かないみたいね。………だったら!」

ペテレーネにお礼を言ったエステルはオーブメントを駆動させ始めた。

「……………」

そして敵は手でエステルを攻撃したが

「ハッ!」

エステルは回避し

「そこです!」

ペテレーネは魔術――連続闇弾を放った!魔力の高いペテレーネの魔術を受けた敵は下位魔術でありながら、かなりのダメージを受け

「ダークマター!!」

続くようにエステルはアーツを放ち

「止めよ!聖槍!!」

魔術を放って止めを刺した!



「はっ!!」

エステル達が戦っている一方シェラザードはルシオラに攻撃を仕掛けたが

「ふふ………」

ルシオラは分身するクラフト――幻術・影分身を使って、シェラザードの攻撃を回避した!

「うっっ!」

ルシオラの分身を攻撃してしまったシェラザードは何故か、ダメージを受けた!

「………ティアラ!!さすが姉さんね………幻術であたし自身を攻撃させるなんて………」

シェラザードは自分に治癒アーツをかけて回復した。

「ふふ、これぐらいの術、大した術ではないわ。えいっ!!」

シェラザードの言葉に妖しい笑みを浮かべたルシオラは鉄扇を投げた!

「やっ!!」

しかしシェラザードは鞭を振るって、鉄扇を撃ち落とした!

「ふふふっ!」

そしてルシオラは幻術による炎で敵を攻撃するクラフト――風魔火炎を放ったが

「そこっ!!」

シェラザードはクラフト――シルフェンウィップⅡを放つことによってできた真空で相殺した!



「フフ………予想以上にやるわね、シェラザード。なら、これはどうかしら?」

シェラザードの強さに妖しい笑みを浮かべたルシオラは鉄扇を両手に持って、舞い始めた!

「花は散ってこそ花…………」

「!!嵐の力よ!我が鞭に宿れ!フフ………」

その行動を見たシェラザードはオーブメントを駆動させた後、身体全体に魔力を纏って鞭を持った状態でその場を踊り子が踊るように、華麗に舞った!するとシェラザードを囲むように雷が鳴り響く竜巻が発生した!そして2人は同時にSクラフトを放った!

「旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!!」

「奥義!ハリケーンスラッシュ!!……クロックアップ改!!」

2人が放ったSクラフトはぶつかり合った!

「…………行くわよ………!」

そしてシェラザードは2つの竜巻がぶつかり合っている隙を狙って、Sクラフトを放った時にほぼ同時に自分にかけたアーツの効果による身体能力の向上によって、鞭を構えてルシオラに迫った!

「!!」

迫ってくるシェラザードにルシオラは防御の構えをしたが

「先生と師匠との修行の成果………見せてあげる!嵐の力………思い知りなさい!」

そしてシェラザードは鞭だけに魔力を集中して纏わせ、すざましい嵐の力を宿らせ

「はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!!!」

「キャアアアッ!?迂闊ね…………」

シェラザードが放ったサンダビュートの強化型であるSクラフト――ハリケーンビュートの威力はすざましく、防御が崩されたルシオラは悲鳴を上げて、地面に跪き、戦闘不能になった!

「フフ……なるほど。これならば……上に進む資格があるかもしれないわね。」

戦闘不能になり、地面に跪いたルシオラは立ち上って、口元に笑みを浮かべて言った。

「……姉さん。ひとつだけ訂正させて。あたしは姉さんを恨むことなんてできないわ。あたしの元を去ったことも、座長を殺めてしまったことも。ただ……どうしようもなく哀しいだけよ。」

「シェラ姉……」

「シェラザードさん………」

シェラザードの答えを聞いたエステルとペテレーネは心配そうな表情で見つめた。

「………シェラザード……」

一方ルシオラもシェラザードを見つめた。

「それに、やっぱり信じられない。姉さんがそんな理由で座長を殺めてしまっただなんて……。あたしたちのことを思って辛い選択をした座長のことを……」

「………………………………。……ふふ……さすがに誤魔化せなかったか。」

シェラザードの話を聞いたルシオラは皮肉気に笑って言った。

「え……」

「さっきの話にはね……続きがあるの。あの人を説得しようとしてそれでも決意が固いと知った時……私は、ずっと秘めてきた想いをあの人に打ち明けてしまっていた。」

「!!!姉さんが……座長のことを……。……そう……だったんだ……」

ルシオラの話を聞いたシェラザードは信じられない表情をした後、頷いた。

「ふふ、親子ほども離れていたから想像できなかったでしょうね。そして……それはあの人にとっても同じだった。娘のように大切に思っているけど想いに応えることなど考えられない。一時の感情に流されず、相応しい相手を見つけるといい……。……そう、諭すように拒まれたわ。」

「………………………………」

「拒まれたこともショックだったけど、私はそれ以上に怖くなってしまった。私を惑わせないように……相応しい相手を見つけられるように。あの人が、本当の意味で私から離れていってしまう可能性が。」

「あ……」

「……そう悟った瞬間、私の奥底で何かが弾けていた。……離れていかないように……永遠に私のものにするために……。その囁きに従って……あの人をこの手にかけていた。」

「……ルシオラ……姉さん……」

ルシオラの真実を聞いたシェラザードは悲痛そうな表情でルシオラを見つめた。

「自分の中に潜んでいた闇に気付いたのはその時からよ。私は、その闇に導かれるように”身喰らう蛇”の誘いに応じて……いつの間にか……こんな所にまで流れてきてしまった。フフ、そろそろ潮時かもしれないわね。」

「え……」

ルシオラの言葉を聞いたシェラザードが驚いたその時、ルシオラはシェラザード達の方に身体を向けたまま、飛び降りた!



「姉さん、だめええっ!」

ルシオラが落ちる瞬間、シェラザードは鞭を振るって、ルシオラの片手に鞭を巻き付けた!

「くっ……」

しかし、重みに耐えられず、シェラザードも塔から落ちそうになった!

「ふふ……なかなか鞭さばきも上達したじゃない。最初の頃はあんなに不器用だったのにね。」

一方ルシオラは片手に鞭を巻き付けられた状態で感心していた。

「シェラ姉!」

そしてエステル達もシェラザードに急いで近寄った。

「エステル、ヨシュア……。少しの間でいいから……このままこの娘と話をさせて。」

「で、でも……!」

「ルシオラ……貴女は……」

「は、話なんかしてる場合じゃないでしょう!?引っ張り上げるから掴まってて!」

ルシオラの頼みにエステルは戸惑い、ヨシュアは静かに呟き、シェラザードは血相を変えて言った。

「ねえ、シェラザード……。あの人を手にかけた事は今でも後悔していないけれど……唯一、気がかりだったのが貴女の元を去ったことだった。貴女がどうしているか、それだけが私の心残りだった。でも、私がいなくても貴女はしっかりと成長してくれた。自分の道を自分で見つけていた。」

「姉さん……お願いだから……」

ルシオラの言葉にシェラザードは返さず、悲痛そうな表情をしていた。

「それが確かめられただけでもリベールに来た甲斐があったわ。本当は貴女に私のことを裁いてほしかったのだけど……。さすがにそれは……虫が良すぎる話だったわね……」

「……お願いだからちゃんと掴まっていてよおっ!」

自嘲気に笑っているルシオラにシェラザードは悲痛そうな表情で叫んだ。

「……”闇の聖女”。」

「………何でしょうか?」

「シェラザードに色々教えてくれて、ありがとう………これからもシェラザードのお世話………お願いね。」

「シェラザードさんは私にとっても大切な弟子。その願い………承りました。」

ルシオラの頼みにペテレーネは静かに答えた。

「フフ、それを聞いて安心したわ………良き師達に出会えてよかったわね………………さようなら……私のシェラザード。」

そしてルシオラは鉄扇を取り出して、シェラザードの鞭を切って、落下して行った!

「ルシオラ姉さあああんっ!」



リーン………



シェラザードが叫んだ時、鈴の音が寂しげに響いた。

「……………………………………」

そしてシェラザードはしばらくルシオラが落下した場所を見つめていた。

「シェ、シェラ姉……」

「シェラさん……」

「…………大丈夫………………。……あの姉さんが落ちたくらいで死ぬはずない。いつの日かきっと……きっと……また会えるわ。」

心配そうな表情で見つめているエステル達にシェラザードは静かに答えた。

「う、うん……きっとそうよ!だって、あんな凄い式神とか転位術とか使える人なんだもん!絶対に…………絶対に大丈夫だってば!」

「ふふ……そうね……。………………………………」

エステルの言葉にシェラザードは寂しげに笑った。

「シェラザード、無理はするな。一旦、アルセイユに戻った方がいいぞ。」

そしてジンは真剣な表情で言った。

「ううん……その必要はないわ。……ここでへこたれてたら姉さんに笑われてしまうから……。だから、今は先に進みましょう。」

「シェラ姉……。うん……分かった。」

「それじゃあ……端末を解除しましょう。」

そしてエステル達はゲートのロックを解除した後、一端態勢を整える為にアルセイユに戻って、エステル、ヨシュア、ティータ、レン、シェラのメンバーで先を進み、また同じようにゲートが先を阻んでいたので、外に出て端末を探すと今度はノバルティス博士がパテル=マテルと共に待ち構えていた。



~アクシスピラー第五層・外~



「ふむ、やはり来たか。」

「あ………!」

声が聞こえた方向に向かうとノバルティスとパテル=マテルが端末の前にいた。

「博士………貴方か。」

ヨシュアは武器を構えてノバルティスを睨んだ。

「ふむ、あの3人を退けて来るとは。フフ、パテル=マテルのいい”実験”になりそうだ!」

「ふんだ!今度こそ、その人形兵器をブッ壊して、あんたを捕まえてあげるわ!」

ノバルティスの言葉にエステルは鼻を鳴らし後、ノバルティスを睨んだ。

(……あれが、”パテル=マテル”ね。……ティータ、シェラ将軍さん、さっきの打ち合わせ通り……頼んだわよ。)

(ハッ。)

(う、うん………けど本当にやるの?自分の神経と”パテル=マテル”の神経を繋いで、制御するなんて……)

小声のレンの言葉にシェラは頷き、ティータは不安そうな表情でレンを見つめた。

「うふふ、ティータは心配性ね。心配してくれてありがと。でも、大丈夫よ。………それになんだか”パテル=マテル”はレンにとってなくてはならない存在に感じるのよね……」

「レンちゃん………うん、わかった!」

レンの言葉にティータは力強く頷いた。

「カファルー!」

「グオオオオオオ―――――ッ!!」

一方エステルはカファルーを召喚した!

「パテル=マテル!現段階で出せる最高の出力で敵対象を殲滅しろ!」

「…………………!」

それを見たノバルティスは何かの装置らしきものを操作して、パテル=マテルを起動させた!



そしてエステル達はパテル=マテルとの戦闘を開始した…………!





 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧