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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第6話

その後異変を感じ取って露天風呂から上がって着替えたリィン達はシュバルツァー男爵たちの元に向かい、セリーヌが男爵たちに事情を説明した。



~温泉郷ユミル~



「では………確かなのかね?その”魔煌兵”とやらが郷に向かっているというのは。」

「ええ、霊気(マナ)の動きを感じる。まだ距離はあるけど確実に近づいてきているわ。奥手にある渓谷道の方向からね。」

シュバルツァー男爵に問いかけられたセリーヌは静かに頷いた。



「チッ、詰めが甘かったな……あんな谷底に落とした程度じゃ仕留め切れなかったってわけか。」

「いえ……あの場合は仕方なかったと思います。でも、どうしてこのユミルに向かっているんだ……?」

悔しそうに舌打ちをしたトヴァルの責任ではない事を指摘したリィンは考え込んだ。



「ひょっとしたら、アンタを狙っているのかもしれないわね。―――”灰の起動者(ライザー)”であるアンタを。」

「ええっ!?」

「リ、リィンさんを……?」

セリーヌの推測を聞いたセレーネは驚き、アルフィン皇女は戸惑い

「……どうやら”騎神”に関係のある話みたいだな。だったら―――やっぱり俺が何とかするしかなさそうだな。」

「兄様……」

リィンの決意を聞いたエリスは心配そうな表情でリィンを見つめた。



「大丈夫だ、エリス。この郷は必ず守ってみせる。そのくらいできなくちゃ、みんなと再会するなんて夢のまた夢だろう。」

「ふむ……どうやら肚を括ったようだな。気力も充実―――完全に調子を取り戻したか。わかった、行ってくるといい。」

「私達は郷の住民たちにいざという時の避難を呼びかけておきましょう。リィン……くれぐれも気を付けるのですよ。」

「はい……!」

「そういうことなら俺も助太刀させてもらうぜ。サラほど頼りにはならんだろうが、後方援護(バックアップ)くらいは務まるはずだ。」

「勿論わたくしもご一緒しますわ、お兄様!」

「トヴァルさん……いえ、心強いです。セレーネもありがとう。それじゃあ俺とセリーヌ、トヴァルさんとセレーネで渓谷に―――」

「……待ってください、兄様。どうか私も同行させて下さい。」

「な……!?」

「エリス……!?」

エリスの申し出を聞いたリィンとアルフィン皇女は驚いてエリスを見つめ

「……わかってると思うけど遊びじゃないわよ?」

セリーヌは真剣な表情でエリスを見つめて忠告した。



「もちろん、わかっています。武は帝国貴族……いえ、今はメンフィル貴族でしたね。シュバルツァー家に伝わる剣術の作法は心得ているつもりです。以前、兄様や姉様にも稽古をつけていただきましたよね。」

「い、いや、それは………」

「エリス……貴女も覚悟を決めたのですね?」

エリスの決意にリィンが戸惑っている中、ルシア夫人は真剣な表情で問いかけた。



「……はい、母様。兄様が道を定めた以上、その背中を護るのは妹の務め。シュバルツァー家の次女として、今この場にはいない姉様に代わり、本懐を果たして参ります。」

「ふふ……二人ともいつの間にか大きくなりましたね。」

「うむ……我が子達の成長、喜ぶべきだろう。―――リィン、連れて行ってやりなさい。その方がお前もそうそう無茶はできないだろう。」

「父様……」

「ふふっ、一理ありますわね。」

「と、父さんっ!?」

シュバルツァー男爵の言葉を聞いたエリスは目を丸くし、セレーネは微笑み、リィンは慌てた。



「なに、エリスお嬢さんならそこまで心配はいらないさ。剣もなかなかの腕前だし、ARCUSも使いこなせる上、魔術も扱える。帝都までの道中、俺と姫殿下も助けられたしな。さすがは聖魔皇女―――いや、若き”剣聖”の妹だな。」

「ふふっ、そうでした。それにリィンさんと一緒なら、エリスも普段以上の力を発揮できるでしょうし♪」

「トヴァルさんに殿下まで……って、どうしてエリスがARCUSを……?」

トヴァルとアルフィン皇女の指摘に困った表情をしたリィンだったが限られた者しか持っていないはずの戦術オーブメントをエリスが持っている事に気付いて首を傾げた。



「あー、実はオリヴァルト殿下から予備のARCUSを預かっててな。筋がいいから道中、二人にも指南しちまったんだ。」

「……………………」

「まあ…………と言う事はアルフィン皇女もARCUSが使えるのですか。」

トヴァルの説明を聞いたリィンは口をパクパクさせ、セレーネは目を丸くし

「ふふっ、アーツの腕前ならエリスにも負けませんわ♪」

アルフィン皇女は得意げに微笑んだ。



「どうでもいいけど、あんまり時間はないわよ?反対するだけ無駄なんだし、とっとと諦めなさいよね。」

「~~~っ~~~……!―――わかった!エリス、力を貸してもらう!ただい絶対に無茶はしないこと!約束できるか!?」

「はいっ……!」

「よし、それじゃあとっとと行くとするか。薬やら、一通り準備を整えたら裏手の渓谷道に向かうぞ。」

その後準備を整えたリィンはトヴァルとエリス、セレーネと共に渓谷道に向かい、かつてⅦ組の仲間達と共に向かった石碑がある広い場所に到着した。



~ユミル渓谷道~



「あれが2か月前の騒動の原因だったっていう石碑か?」

「はい……あの時は大変でした。」

石碑を見つめるトヴァルの質問にセレーネは静かに頷き

「……わずかに精霊の力を感じるわね。今は収まっているみたいだけど。」

セリーヌは集中して石碑の状態を確かめた。



「ああ、そうみたいだ。8年前の事件の原因でもある場所……俺にとって、どうしても因縁を感じる場所だな。」

「兄様…………」

エリスがリィンを心配そうに見つめているとその場に地鳴りがすると共に咆哮が聞こえて来た!



「近い……!」

「―――来たわね!」

敵の気配を感じたリィン達が振り向くと”魔煌兵”が一体リィン達と対峙していた!



「チッ……谷に落ちたダメージは無さそうだな!」

「自己修復能力……伝承にあった通りだわ!」

(……おかしいです。わたくしが戦った魔煌兵も谷底に落ちましたから、後一体いるはずなのですが……?)

トヴァルとセリーヌが警戒している中、違和感を感じたセレーネは眉を顰めた。

「なんとか足止めする!エリス、くれぐれも無理しないでくれ!」

「はい……!」

「よし、一丁やってやるか!」

「行きます……!」

そしてリィン達は”魔煌兵”との戦闘を開始した!

「―――――――」

リィン達との戦闘を開始した”魔煌兵”は剣を豪快に薙ぎ払ってリィン達に攻撃し

「散開しろ!」

「「はい!」」

「えいっ!」

敵の攻撃を見たトヴァルの警告を聞いたリィン達はそれぞれ散開して攻撃を回避した。



「燐の型―――弧武紅燐剣!!」

「行きます――――スワローテイル!!」

エリスは武器に魔法エネルギーをまとわせて狐月状の刃を飛ばすクラフト―――スワローテイルで別方向から高速剣による闘気の刃を解き放つリィンと共に遠距離攻撃をし

「ホーリー――――インパクト!!」

セレーネは聖剣に光の魔力を纏わせて強烈な一撃を敵の足に叩きつけた!



「――――――」

「クッ……!?」

ダメージを受けた敵だったが、怯まず近くにいるセレーネを排除する為に剣を振るい、セレーネは前方へ跳躍して敵の股ぬきをして敵の背後へと移動して回避した。

「アークス、駆動!エクス―――クルセイド!!」

その時高火力のアーツを短い駆動で終わらせたトヴァルが高位アーツを発動してダメージを与え

「ハァァァァ………滅!!」

トヴァルの高火力アーツで敵が怯んだ隙にリィンはクラフト―――業炎撃による強烈な一撃を叩きつけた!



「兄様!」

「下がってください!」

「!!」

エリスとセレーネの忠告を聞いたリィンは後ろへと跳躍して敵から距離を取り

「漆黒の闇よ……全てを飲みこめ!―――ティルワンの闇界!!」

「聖なる水よ……奔流となり、我が仇名す者達に裁きを!――――リ・カルナシオン!!」

リィンが敵から離れた瞬間、エリスとセレーネによる高火力の魔術がそれぞれ敵に命中し

「アークス、駆動!――――ラグナヴォルテクス!!」

オーブメントの駆動を終えたトヴァルが放った凄まじい雷が敵を襲った!



「――――――」

「グッ!?」

「「キャッ!?」」

「チッ!?」

リィン達の集中攻撃を受けた敵だったがクラフト―――グランドクラックでリィン達全員にダメージを与え

「―――――――」

エリスとセレーネに向かって剣を振り下ろした!



「「!!」」

敵の攻撃を二人は間一髪左右に散開して回避した。

「一の型―――閃光斬り!!」

「そらっ!!」

その時トヴァルは持っている武器―――スタンロッドで下から振り上げて攻撃するクラフト―――エクセルヒットで、リィンと共に敵の足をそれぞれ攻撃して敵の注意を自分達に惹きつけた。

「女神よ……お慈悲を……!」

リィン達が注意を惹きつけている間にエリスはその場で強く祈りを奉げて、慈悲の光を降り注がせるクラフト―――ホーリースコールでリィンや自分達の傷を回復し

「七色の光よ!矢となりて、我が敵を貫け!――――プリズミックミサイル!!」

「―――――!?」

エリスが祈りを奉げている間に魔術の詠唱を終わらせたセレーネは両手から7色の光の矢を放ち、連続で光の矢をその身に受けた敵は怯んだ。



「―――今だ!蒼き焔よ……我が剣に宿れ!ハァァァァァ……斬ッ!!」

敵が怯んだ隙にリィンはSクラフト―――蒼焔ノ太刀を叩きつけ、リィンが敵に強烈な一撃を叩きつけるとエリスとセレーネがそれぞれ敵の足元に詰め寄って武器を構え

「―――参ります、どうかお覚悟を!秘剣――――鳳仙花!!」

エリスは踊るように回転しながら剣を振るって敵の足を攻撃した後敵から距離を取り

「一瞬で決めます!剣閃よ、唸れ!疾風のように! ヴァーテクス・ローズ!!」

セレーネは疾風のような速さの連続突きを敵に叩きつけた後すれ違う瞬間蒼い薔薇を刻み込んだ!

「こいつで止めだ!」

二人がそれぞれSクラフトを放っている間に空中に展開させた5つの巨大な魔法球を1つにしたトヴァルは魔法球の所まで跳躍し

「リベリオンストーム!!」

「―――――――!!??」

そのまま両手を振り下ろして魔法球を敵目掛けて叩き落とした!敵に命中した魔法球は巨大な竜巻となって敵に大ダメージを与え、竜巻が消えると敵は地面に膝をついていた!



「はあっ、はあっ……!」

「わたくしたちの勝ちですわね……!」

「やったか……!?」

「―――いや、まだです!」

仲間達が勝利に安心している中、リィンが警告をすると敵の周囲に何かの”気”が纏った後敵は立ち上がり、なんと腕を増やすと共に腕に持つ武器を増やした!



「う、腕が……!?」

「おいおい……!そんなのアリかよ……!?」

「……どう、行けそう?」

「……ああ、少しの間だけなら動いてもらえそうだ。やるなら今しかない……!」

「お、お兄様……?」

敵の強化にエリスとトヴァルが驚いている中、リィンとセリーヌのやり取りに気付いたセレーネは戸惑った。



「―――エリス、トヴァルさん、セレーネ!離れていてください!」

「え……?」

「まさか……!」

「”彼”を呼ぶのですか……!?」

そしてリィンの警告にエリス達が驚いたその時

「来い―――”灰の騎神”ヴァリマール!」

リィンは自分の新たなる心強き仲間の名を呼んだ!



~アイゼンガルド連峰・峡谷地帯~



「応――――!」

一方その頃アイゼンガルド連峰で黙していたヴァリマールはリィンの呼びかけに応えるかのように声を出すと共に立ち上がり、跳躍してリィンの元へと飛び去って行った!



~ユミル渓谷道~



結界に包み込まれたリィンをエリス達が見守っている中、何かの駆動音が聞こえて来た!

「この音は……!」

「あの時と同じ音ですわ……!」

「おいおい、マジかよ……!」

聞こえて来た駆動音にエリス達がそれぞれ驚いている中、飛行していたヴァリマールはリィンの傍に着地し、ヴァリマールの登場に敵は咆哮を上げ、リィンはセリーヌと共に光に包まれてヴァリマールの中へと入って行き、操縦席の端末を操作した!



霊力(マナ)もある程度まで回復しているみたいね。フフン、今度はもっと上手くやりなさいよ。」

「ああ、わかってる……!―――ヴァリマール!改めてよろしく頼む!目標は前方―――”魔煌兵”!」

セリーヌの指摘に力強く頷いたリィンはヴァリマールに呼びかけ

「承知シタ―――タダシ、活動可能時間ハオヨソ300秒程度―――心シテカカルガイイ―――」

ヴァリマールはリィンの呼びかけに応えた後忠告した。



「こいつが”灰の騎神”……!トリスタでの防衛戦で活躍したっていう代物か!」

「はいっ!”機甲兵”すら、素手て倒しましたわ……!」

「ほ、本当に兄様が動かしているんですか……?」

トヴァルの言葉にセレーネが嬉しそうに頷いている中、エリスは戸惑いの表情でヴァリマールを見つめた。



「―――エリス、トヴァルさん、セレーネ。ここは俺が引き受けます!いったん下がって下さい!」

「ハハ、わかった……!」

「どうかご武運を、お兄様……!」

「―――お嬢さん、ここは危険だ!いったん離れるぞ!」

「は、はい!」

そしてエリス達はヴァリマール達から距離を取り、敵と対峙したヴァリマールは格闘技の構えをし

「八葉一刀流―――”無手の型”。さあ、行くぞ!」

戦闘を開始した!



「そこだっ!!」

「―――!?」

ヴァリマールが敵のボディに拳を叩きつけると敵は体制を崩し

「もう一撃!!」

「―――――!?」

その隙を逃さないかのようにヴァリマールは追撃した。



「――――――」

「グッ!?」

攻撃を受けた敵は4本の腕による同時攻撃をヴァリマールに叩きつけ

「―――――――」

何かを溜める動作で武器を構えた。



「大技か……―――受けて立つ!”無の型”―――残月!!」

対するヴァリマールは迎撃の構えをした。

「――――――!!」

力を溜め終えた敵は暗黒の力を纏った一撃―――アビスセイバーをヴァリマールに叩きつけたが

「甘い!」

なんとヴァリマールは身体を僅かに逸らして敵の攻撃を回避し

「ハアッ!!」

敵の攻撃を回避したヴァリマールは拳を敵のボディに叩きつけて敵の体制を崩した!



「今だ!ハァァァァァ…………!」

体制が崩れた敵の隙を逃さないヴァリマールは拳に霊力を溜め込み

「破甲拳――――――ッ!!」

溜め込んだ霊力の拳を敵に叩き込んだ!



「―――――――!!!??」

ヴァリマールの強烈な一撃を受けてしまった敵は咆哮を上げながら地面に膝をついた。すると腕が次々と取れ、最後には消滅した! 
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