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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第5話

~鳳翼館・露天風呂~



「ふぅ…………(やっぱりいいな、露天風呂は。溜まっていた疲れが芯から溶け出して行くみたいだ……自分では気付かなかったけど、本当に疲れていたんだな。)」

露天風呂で身体に溜まっていた疲れを癒していたリィンはこれからの事を思い出して黙り込んだ。

(―――俺は一体、これから一体どうすればいいんだろう。オズボーン宰相が狙撃され、帝都が占領されて……士官学院もトリスタも、貴族連合の手に落ちてしまった。俺は……あいつにこの上ないくらいに敗れた。よく知りもしない”騎神”の力を何とか借りたものの……それでもあいつには―――クロウには全く届かなかった。今ならわかる……クロウは完全に手を抜いていた。あの”奥の手”を使わなくたってこちらを完全に圧倒できたはずだ。それなのに一時の勝利に浮かれてただの一撃にやられるなんて。)

オルディーネとの戦いを思い出したリィンは自分の力の無さに様々な想いを抱えた。

(……俺に、もっと力さえあれば。あそこで踏み留まれていれば、きっと”何か”が変わっていたはずだ。なのに、みんなを残して自分だけが逃げ延びるなんて……”騎神”やセリーヌのせいなんかじゃない……すべては俺の力が足りなかったせいだ……全部―――いや、セレーネやベルフェゴール達を除いた全てを失くしてしまった。せっかく手に入れた居場所も、仲間も……自分が進むべき道すら……)

「――兄様。……失礼します。」

リィンが様々な事に後悔をしているとなんと湯着をつけたエリスが頬を赤らめて露天風呂に現れた。



「エリス……?ど、どうしてここに?」

(あら♪)

(ふふふ、少々意外な展開になりましたね。今の内に結界を展開した方がいいのではないですか?)

(え、えっと……さすがにこの時間でするとは思わないのですが……)

エリスの登場にリィンが戸惑っている中、ベルフェゴール達はそれぞれ興味ありげな様子でエリスを見つめ

「その、兄様がこちらへお入りになったと聞いて……せっかくですのでご一緒させて頂こうかと。」

「いや、小さい頃は一緒に入ったりもしたけど……5年以上も前だろう?いくらなんでもそれは……」

エリスの答えに冷や汗をかいたリィンは表情を引き攣らせてエリスを見つめた。



「か、家族なんですし、そ、それに将来は私が姉様達と一緒に兄様のつ、つ、妻になる事が決まっていますし、兄様と私は何度も肌を重ねた仲でもあるのですからこの程度は普通です!兄様も色々あってお疲れみたいですし……せめてお背中を流させていただきます!」

その後エリスの勢いに押されたリィンはそのままエリスと共に入浴する事にし、露天風呂に入ったエリスはリィンと背中合わせの状態で座り、恥ずかしそうな表情でリィンから視線を逸らしていた。

「い、いい湯加減ですね。わたしも露天風呂は久しぶりで……その、やっぱり風情がありますね。」

「あ、ああ……そうだな。紅葉の季節もいいけど冬の風情はまた格別だよな。さすがにユン老師みたいに雪見酒ってわけにはいかないけど。」

「ふふっ、とても酒豪でいらっしゃいましたからね。お父様まで付き合っていたのはどうかと思いましたけど……………えっと…………」

リィンの口から出た懐かしい思い出に微笑んでいたエリスだったが、未だ消沈しているリィンにかける言葉がなく、言葉を濁した。



「――すまない、エリス。お前にここまで気を遣わせてしまって………」

「に、兄様……そんな、わたしは別に―――」

「エリスだけじゃない。……誰に対してもそうだ。考えてみれば……俺はいつも”そう”だった。」

「え…………」

リィンが呟いた言葉の意味がわからなかったエリスは呆けた。



「12年前の吹雪の日……父さんが俺を拾ってくれた時も。8年前の雪の日………暴走してエリゼとエリスを怖がらせた時も。何年もの間、導いてくれた老師に修行を打ち切られた時も。様々な理由によって俺と”契約”したベルフェゴール達の時も。―――そして1ヵ月前……みんなが命懸けで逃がしてくれた時も。」

「………………ぁ……………………」

「思えば、恵まれ過ぎていたんだ。世話になりっぱなしで……ただ、優しさに甘えるばかりで。あまつさえ、疫病神のように災厄を呼び寄せて巻き込んで……」

「…………っ……………」

(フウ……完全にネガティブモードになっちゃてるわね。というか本物の”疫病神”が傍にいるからそっちのせいかもしれないって事がどうして気付かないのかしら♪)

(ふふふ、確かにその通りですね。)

(あ、あの~……本物の”疫病神”ってもしかして……)

リィンの独白を聞いていたエリスが唇を噛みしめて表情を厳しくしている中、ベルフェゴールとリザイラの念話を聞いたメサイアは冷や汗をかいてアイドスが宿る神剣が置かれてある脱衣所に視線を向けた。



「俺には……優しくされたり、気を遣われる資格なんてない。大切な人達を守ることも、恩すらも返せない俺なんかには……きっと……最初から間違っていたんだろう。こんなことなら―――……こんなことなら、士官学院に入らなければ―――」

「兄様。本気で仰ってるんですか?」

「え……」

エリスの問いかけにリィンが呆けたその時、真剣な表情をしたエリスがリィンを見つめて問いかけた。



「”資格”って、何ですか……?そんなもの……いったい誰が決めるっていうんですか?」

「………………」

「守って欲しいとか―――恩を返して欲しいんじゃありません!優しくしたり、気遣うことに、貸し借りなんてあるわけない……!ただ、兄様が”好き”だから―――大切だからに決まっています!!父様も母様や姉様も、ユン老師も、Ⅶ組や他の皆さんも、きっと…………私だって……………!」

「…………エリス…………」

エリスの言葉にリィンが呆けたその時、エリスはリィンを抱きしめた。



「………ぁ…………」

「”資格がない”なんて………そんなこと、言わないで下さい。そんなの、兄様が気付いていないだけです。兄様は大切な人達のことをそんなにも想っているのに……どうしてそれと同じくらい、兄様を想っている人達がいるとわからないんですか……?

「………!」

自分を抱きしめながら自分を見つめて言ったエリスの言葉にリィンは息を呑んだ。



「思い出してください、兄様。別れる時、Ⅶ組の皆さんがどんな顔をなさっていたのか」

「…………みんなの、顔………あ………………」

トリスタで仲間達との別れの際の仲間達の自分を信じる表情を思い出したリィンは呆然とした。



「……そうか…………みんな……信じてくれていたんだ。どんな困難があっても、必ず再会できることを……きっとまた、一緒に未来を掴んでいけることを。」

「……………………」

「どれだけ迷っても……焦ってもいいのか。俺はみんなを信じる……そして、みんなが信じてくれた俺自身も。絶対に諦めずに足掻いて、とにかく前へと突き進む―――そうしていくうちに、きっとみんなと道が交わるはずだ。俺達が”Ⅶ組”である限り……!」

「兄様…………」

リィンが元気を取り戻した嬉しさにエリスは一筋の涙を流した。



「……おかげで……ようやく肚を括れた気がする。ありがとう、エリス。」

「……いいえ、私は何も。きっとそれは、兄様が士官学院を過ごして手に入れたものでしょうから。ふふっ、少しだけ……Ⅶ組の皆さんが羨やましいですけど。」

「エリス…………」

自分を元気づけ、心から自分を慕う最愛の妹に愛おしさを感じたリィンは自らエリスに口付けをし

「あ…………(兄様…………)」

リィンの行動に呆けたエリスは幸せそうな表情で一筋の涙を流してリィンの口付けを受け入れていた。



「兄様…………」

「わ、悪い……!エリスが急に愛おしくなって、ついしてしまったけど……嫌だったよな?」

「いいえ、いいえ!兄様自ら私にキスをしてくれるなんて、天にも昇る思いです……!」

「エリス…………」

リィンと互いを抱きしめ合っていたエリスはある事に気付いた。

「あ……フフッ、兄様の…………硬くなっていますね……兄様、久しぶりに奉仕をしましょうか?」

「え、えっと……さすがにここでするのは不味いと思うんだが……」

エリスの誘惑に魅力を感じたリィンだったが、すぐに自分達がいる場所を思い出して断りかけようとしたが

(うふふ、これなら好きなだけ愛し合えるでしょう♪)

「こ、これはまさかベルフェゴールの……!?」

ベルフェゴールが展開した結界に気付いて表情を引き攣らせた。

「いつも私達に気を遣って頂きありがとうございます、ベルフェゴール様。それでは兄様、奉仕をして差し上げますので、あちらに行きましょう?」

(え?え?ふ、二人とも一体何を――――え……ええええええええええ――――――っ!?)

その後露天風呂から上がった二人はある人物が中湯がある部屋の扉の隙間から見ている事も気付かずに洗い場で愛し合った。


「ハア……ハア……兄様……いっぱい出してくれましたね……まだ硬いようですし、また私の中にだしますか…………?」

愛する兄との交じり合いを終えたエリスは嬉しそうな表情でリィンを見上げたが

「あ、ああ……それより……何だか聞き覚えのある声が聞こえてきたんだが……」

「え……?ですが、今この場はベルフェゴール様の結界によって誰も入れない状態ですが……」

戸惑いの表情で呟いたリィンの言葉を聞いて不思議そうな表情で首を傾げた。



「フフ、まさかエリスとリィンさんが既にそんな関係だなんて、驚きましたわ。」

「!?」

「え―――」

そして声を聞いたリィンが血相を変え、エリスが呆けたその中湯と露天風呂を結ぶ出入り口の扉が開かれ、なんと生まれたままの姿になっているアルフィン皇女が2人に近づいてきた。



「ひ、姫様っ!?」

「で、殿下!?な、ななななななな、何故ここに!?」

予想外の人物の登場にエリスは驚き、リィンは混乱し

「フフ、殿方に裸を見せるのは初めてですが……――リィンさん、どうですか、私の裸は?」

「あわわわわわわわわわ……っ!?」

頬を赤らめたアルフィン皇女に微笑まれたリィンはどうすればいいのかわからず、慌て出したが

「あっちを向いていてください、兄様っ!!」

「わ、わかった!」

エリスに指示されて慌てて明後日の方向を見つめた。



「何故ここに来たのですか、姫様っ!?兄様が露天風呂に入浴中である事を支配人のバギンスさんから聞いているでしょう!?」

エリスはアルフィン皇女を睨んで怒鳴ったが

「ふふっ、元々リィンさんと混浴するつもりでしたから何か問題はありますか?」

「ええっ!?」

「なっ!?」

アルフィン皇女の口から出た予想外の問いかけにリィンと共に驚いた。



「それより酷いですわ、エリス……わたくし達は親友同士でわたくしが貴女と共にリィンさんを愛している事を知っていながら、既に婚約どころか、男女の営みまですましている事をずっと黙っているなんて……」

「うっ……!―――友人同士とはいえ幾ら何でもそのような事は教えられません!万が一私と兄様の関係を知った姫様がアリサさんやセレーネのように、私や姉様がしたなら自分も……という展開になったら、とんでもない事態に陥るではないですか!?少しはお立場を考えてください!」

悲しそうな表情のアルフィン皇女に見つめられたエリスは一瞬怯んだがすぐに立ち直って真剣な表情でアルフィン皇女を見つめて言ったが

「あら?既にアリサさん達と婚約した話は聞いていましたが、アリサさん達もリィンさんと男女の営みをすませていらっしゃったんですか。という事はわたくしだけが皆さんと比べると圧倒的に出遅れていますわね……」

「エリス……!」

「!!」

残念そうな表情で呟いたアルフィン皇女の言葉を聞いたリィンに指摘され、失言してしまった事に気付いた。



「そ、その……俺はもうあがりますので、殿下はエリスと一緒にゆっくりと湯につかってください……」

そしてリィンはアルフィン皇女の姿を見ないように必死に視線を逸らしながらその場から退出しようとしたが

「あら?何を寝ぼけた事をおっしゃっているんですか、リィンさん。エレボニア皇女であるわたくしの裸を見てタダで帰られると思っているんですか♪」

「え”。」

「姫様っ!?」

(うふふ、ここで皇族の特権を使うなんてね♪)

(ふふふ、もはやこの後の展開はわかりきっていますね。)

(アハハ……で、でも……本当にいいのでしょうか……?)

からかいの表情で言ったアルフィン皇女の発言に表情を引き攣らせ、エリスは驚き、ベルフェゴールとリザイラは興味ありげな表情をし、メサイアは苦笑していた。



「エレボニア皇女であるわたくしの裸を見てしまったリィンさんは本来なら極刑ですが、特別に愛し合う時や二人っきりの時にわたくしの事を”アルフィン”と呼ぶ事と今この場でわたくしの純潔を奪う事で黙っておいてあげますわ♪」

「ええっ!?」

「なっ!?姫様、お考え直しください!!」

アルフィン皇女の命令を聞いたリィンは驚き、エリスは信じられない表情で声を上げた後アルフィン皇女に指摘したが

「ちなみにエリスはリィンさんとの関係を皇女であるわたくしに偽っていた罰として、リィンさんが喜ぶ奉仕の仕方をわたくしに今この場で教える事ですわ♪ちなみにこれはもう決定事項ですわ♪」

「………………ハア………………こうなったのも全部兄様のせいですからね…………」

聞く耳を持たない様子のアルフィン皇女を見て石化したかのように固まった後疲れた表情で溜息を吐き

「エリス!?」

アルフィン皇女を諌める事を諦めたエリスを見たリィンは驚いた。

「フフ、それじゃあまずは奉仕の仕方を教えてね、エリス♪」

「…………わかりました。まずは――――」

その後リィンはアルフィン皇女の純潔を奪った後、流されるかのようにエリスとアルフィン皇女との3人で愛し合った。



「とっても素敵な初体験でしたわ、リィンさん♪愛する殿方と結ばれて子種を受け止める事がこんなにも幸せである事とは思いませんでしたわ…………」

”行為”を終えた後湯着を付け直してリィン達と共に露天風呂に入っているアルフィン皇女は幸せそうな表情でお腹をさすりながらリィンを見つめ

「え、えっと………………」

「ハア……………」

見つめられたリィンは口ごもってアルフィン皇女から視線を逸らし、エリスは疲れた表情で溜息を吐いた。



「うふふ、わたくしの純潔を奪ったのですから当然、責任を取って将来わたくしを娶ってくれるのですよね♪リィンさん?」

「そ、それは…………」

「……―――姫様が兄様と結ばれる事が果てしなく厳しい事はご承知で、そのような発言をされているのですか?エレボニア貴族の方達が絶対に反対すると思うのですが。」

微笑みを浮かべるアルフィン皇女に見つめられたリィンは表情を引き攣らせて大量の冷や汗をかき、エリスは真剣な表情でアルフィン皇女を見つめて尋ねた。



「あら、リィンさんとわたくしが結婚する事はそんなに難しくはないと思うわよ?エリス。」

「へっ!?」

「え……な、何故ですか?」

アルフィン皇女の口から出た答えを聞いた二人は呆けた表情をした。

「エリスやリィンさんも知っての通り、リィンさんが婚約している方の一人―――エリゼさんはリフィア殿下との強い繋がりがある事に加えてセレーネさんの姉、ツーヤさんはメンフィル皇家と養子縁組をしているでしょう?次期皇帝であられるリフィア殿下に直接取り次ぐ事が出来る人物や遠縁とは言え、他国の皇族との繋がりができるのですから”政略結婚”としても成り立ちますわ♪」

「「……………………」」

そしてアルフィン皇女の説明を聞いたリィンは口をパクパクし、エリスは石化したかのように固まり

「に・い・さ・ま~~~~~!?」

「……………………」

我に返ったエリスは膨大な威圧を纏って微笑みを浮かべてリィンを見つめ、見つめられたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせていた。



「ア、アルフィン皇女!?エリスお姉様はまだわかりますが、アルフィン皇女まで一体どうしてお兄様と……」

するとその時セリーヌを腕に抱いたセレーネが露天風呂に現れた。

「セレーネ!?どうしてセレーネまでここに…………」

「トヴァルさんに聞いて様子を見に来たんです。お兄様を元気付けようかと思って来たのですが……どうやら既にお二人がお兄様を元気づけてくれたようですわね?」

自分の登場に驚いているリィンに説明したセレーネは優しげな微笑みを浮かべて答えた。



「セレーネ……今まで心配をかけてしまって悪かったな。」

「フフ、気にしないで下さい。ですがお兄様?エリスお姉様はいいとして、他国の皇女であられるアルフィン皇女との混浴はできるだけ避けるべきだと思いますわよ?万が一”間違い”が起こって、その事が判明したら大変な事態になると思いますし……」

「え、えっと…………」

「ふふっ♪」

「………………ハア……………」

セレーネの忠告を聞いたリィンはセレーネから視線を逸らし、アルフィン皇女は嬉しそうな表情になり、エリスは疲れた表情で溜息を吐き

「え”。ま、まさか………」

「……人の色恋沙汰に口を出すつもりはないけど、少しは手を出した後の事を考えてから手を出した方がいいと思うわよ?」

3人の反応を見て既に”間違いが起こった後である事”を察したセレーネは冷や汗を滝のように流して表情を引き攣らせ、セリーヌは呆れた表情でリィンを見つめた。その後3人が露天風呂につかりながら仲良く会話し、リィンがその様子を見守っている中セリーヌがリィンに近づいてきた。



「……悪かったわね。」

「へ……?」

セリーヌに突如謝られたリィンは何のことかわからず不思議そうな表情をした。

「その、これまでの色々よ。エマや魔王達にも言われてたけど……人間の気持ちとか機微なんてのは今ひとつわかんなくてね。……でもまあ、ちょっと無神経だったかもしれないわ。」

「セリーヌ………」

「っ……!?」

リィンに突如頭を撫でられたセリーヌは驚き

(リ、リィン様……またそうやって………)

(アハハハハハハッ!さすが種族問わず籠絡しているご主人様ね♪)

(ふふふ、まさに節操なしですね。)

その様子を見守っていたメサイアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ベルフェゴールは腹を抱えて笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべた。



「俺の方こそ、八つ当たりをして悪かった。……許してくれるか?」

「ゆ、許すとか許さないとかそんなんじゃないでしょ……ああもうっ、何なのよアンタは!」

セリーヌがリィンを睨んだその時、凄まじい咆哮が聞こえて来た!



「え…………」

「今のは……!?」

「どこかで聞き覚えがあるような……?」

「この咆哮………―――まさか、峡谷で現れた!?」

突如聞こえて来た咆哮にアルフィン皇女達が戸惑っている中、咆哮の正体がわかったリィンは血相を変え

「”魔煌兵”―――やっぱりまだ動いていたか。それに……マズいわね。この気配……少しずつ近づいてるわ――――」

セリーヌは重々しい様子を纏って咆哮が聞こえて来た方向を睨んでいた。 
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