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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~幻焔計画・始動~

~ヘイムダル~





「……呆気ないもんだな。これで一区切り……あとは最後の仕上げか―――」

オズボーン宰相が暗殺された事に市民や兵士達がパニックになっている中、その様子をCは静かな様子を纏って見つめていた。

「手を上げなさい!」

するとその時女性の声が背後から聞こえ、Cが振り向くとCの仮面に銃弾が命中し、仮面が割れるとCは素顔――――クロウの素顔を見せた!



「………………」

クロウは導力銃を自分に向けてゆっくりと近づいて来るクレア大尉を見つめていた。

「やはり貴方でしたか……帝国解放戦線リーダー、”C”―――いいえ、旧”ジュライ市国”出身、クロウ・アームブラスト!」

「―――やれやれ、出身は完璧に偽装できたつもりだったんだが。クク、アランドールあたりに嗅ぎ付けられちまったか?」

クレア大尉に睨まれたクロウは不敵な笑みを浮かべて両手を上げた。



「……特定できたのは先程です。偽装で攪乱されなければもっと早く特定できたのに……よくも―――よくも閣下を!」

無念そうな表情で語ったクレア大尉は怒りの表情でクロウを睨みつけた。

「ま、8年前にジュライが帝国に併合された時と同じさ。気を抜いたほうが負け……コイツはそういうゲームだろう?アンタの親玉が好き”だった”な。」

「くっ……とにかく腹這いになりなさい!これだけの仕込み……必ずや背景を喋ってもらいます!」

「ああ、それは無理だな。」

「え―――!?」

クロウの発言に呆けたクレア大尉だったが、上空から聞こえてくる駆動音に気付いて空を見上げた。



~1年Ⅶ組~



「な、何という事でしょう!たった今、オズボーン宰相が狙撃されました!銃弾が命中した際に起こった爆発の衝撃によってオズボーン宰相の首がオズボーン宰相の身体とわかれてしまいました!これは間違いなく死んでいます!」

「な、なんだあれは!?」

「ち、近づいてくるわ………!?」

「おっと、何でしょうあれは!?南の空に銀色の”影”が見えます!……といっても音だけだとロクにわからないでしょうね。なら―――士官学院の皆さんには学院祭で愉しませてくれた”お礼”をしちゃおうかしら?うふふ、勿論士官学院の皆さんに教えていた貴方にも見せてあげないと不公平よね?レオン―――いえ、レーヴェ。」

「な、何を言っているんだ……?」

「こ、これ……僕達に語りかけてきてるの!?」

「しかもレーヴェさんの事まで名指しされていますね……」

ラジオから聞こえてくるミスティの声を聞いたマキアスとエリオット、セレーネが戸惑ったその時



響け 響け とこしえに―――夜のしじまを破り全てのものを 美しき世界へ―――



ラジオから歌声が聞こえた後、リィン達の目の前にヘイムダルの様子が写った!

「あ―――」

「て、帝都の広場……」

「”蒼の深淵”の秘術―――『幻想の(ファンタズマゴリア)』!」

それを見たリィン達が呆けている中、エマは厳しい表情で声を上げた!そして映像はクロチルダが写った後クロチルダの片手に止まっていた青色の鳥が飛びあがった。



~ヘイムダル~



一方その頃銀色の巨大な戦艦―――250アージュ級の空中飛行戦艦―――貴族連合軍・旗艦”パンダグリュエル”が帝都の上空に現れると格納庫から巨大な人形兵器が次々と降下された。そして駆け付けて来た帝国軍の戦車は銃撃したが、全く効かず人形兵器が持つ大型のライフルの銃撃によって撃破され、人形兵器達は足元についているローラーを回転させてヘイムダルの制圧を開始した!



帝都を守る為に帝都の守備隊である”アハツェン”で部隊を形成している第一機甲師団が帝都内に現れた。

「なんだ、あの人形は……」

「わからんが……”敵”には違いあるまい!宰相閣下の仇、取らせてもらうぞっ!」

そして第一機甲師団は自分達に近づいて来る人形兵器を見て砲撃したが、人形兵器は側面にそれて回避した!

「!?」

「ど、どこに―――」

砲撃が回避された事に戦車長や砲撃士が驚いて周囲を索敵していたその時、人形兵器が近づいて巨大な槍を構え

「な………っ!?」

「うおおおおおっ!?」

何と巨大な槍でアハツェンの装甲を貫き、アハツェンを撃破した!そして他の人形兵器もアハツェンを撃破した後市内に展開し始めた!



「あ、あの兵器はまさかレン姫の情報にあった……”機甲兵”!?」

その様子を見ていたクレア大尉は信じられない表情で声を上げ

「―――なるほどな。第五の連中が騒いでいたハッカーはあの嬢ちゃんだったのか。ならばもうわかると思うがあれは貴族連合に取り込まれた『ラインフォルト第五開発部』が完成させた人型有人兵器―――古の機体を元に、大量の鋼鉄から組み上げられた現代の騎士。通称”機甲兵(パンツァーゾルダ)”ってやつだ。」

「そ、そんなものを……」

クロウの話を聞いたクレア大尉が唇を噛みしめるとクロウはゆっくりと後退し始めた。

「動かないで―――!」

「そいつはできないな。バルフレイム宮は”西風”に任せるとして―――俺は俺のケジメを付ける必要があるんでね!」

そしてクロウはクレア大尉を見つめながら後ろへと跳躍し

「しまった……!あ―――」

その事に唇を噛みしめたクレア大尉がクロウが降りた先を見つめると信じられない光景があった。

「―――じゃあな、”氷の乙女(アイスメイデン)”殿。」

巨大な蒼い人形兵器に乗ったクロウはどこかへと飛び去った!一方その頃機甲兵の部隊は第一機甲師団を殲滅し終え、ドライケルス広場に陣取っていた。



「はー、呆気ないモンやな。コイツらが大した代物なんは認めるけど……帝国を守る機甲師団があないに弱くてええんか?」

機甲兵から降りて機甲兵の頭の部分に乗っている長身の青年は周囲の惨状を見て首を傾げ

「……これからが本番だろう。全土に展開する正規軍は多い。いずれ、対機甲兵の戦術も組み立ててくるはずだ。」

隣にいる機甲兵の頭に立っているドレッドの黒人は静かに呟いた。



「ハハ、確かにな。喰い下がってきそうなんは第三、四、七って所か。――――で、ウチのお姫様はどっちに付くんやろな?」

「全てはフィー次第……団長もそうお望みだろう。」

そして青年の疑問に黒人は静かに答えた。



一方その頃蒼い鳥は歌い続けているクロチルダ―――”身喰らう蛇”の”蛇の使徒”の”第二柱”―――”蒼の深淵”クロチルダの手に止まった。

「ご苦労様、”グリアノス”。あの子達やレーヴェにもちゃんと素敵な音を届けられたみたいね?」

クロチルダが蒼い鳥―――グリアノスを労っているといつの間にかブルブランがいた。



「さすがは使徒・第二柱―――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ殿。素晴らしく”美しい舞台”を見せていただいた。」

「フフ……目の肥えた君がそう言うなら上出来というものでしょう。しかしリベール、クロスベルに続いて今回までも……君、少しばかり食い意地が張りすぎてるんじゃないかしら?」

「これは汗顔の到り。して……この後は予定通りに?」

「フフ、そうね―――クロスベルの鐘は鳴らされ、こちらの準備も完了したわ。『オルフェウス最終計画』第二幕、『幻焔計画』―――”第二楽章”を始めましょうか。」

そしてブルブランの問いかけにクロチルダは妖しげな笑みを浮かべて頷いた!


 
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