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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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第32話 プチ女子会

 
前書き
次回から第二章になります 

 
湾内さんが乱暴されそうになった事件解決から数時間が経過した。
サソリは、左腕を骨折と右足の大腿部に銃弾を受けたらしくそのまま病院で安静にしていなければならない。
医師の見解では、全治二週間とのこと
それ以外としては、身体が衰弱しているが命には別状ない。
未だに意識が戻らないサソリを見送り、各人は家路に向かう。

湾内さんは昼間の件から御坂達と一緒に寮に帰宅した。

「信じられませんわ......」
常盤台中学の学生寮に帰った湾内は、今日自分がしてしまった行動に自分でも不思議になってしまった。
男性とあまり接触せずに、常に抵抗感しかない自分がサソリの頬にキスをしてしまうという大胆な行動が今でも信じられない気持ちだ。

洗面台で真っ赤に上気している自分を見ながら、胸に手を当てて思い出す。

今日は色々あった。
サソリさんにお付き合いを断られてしまったが、その後に不良の方に乱暴にされそうになった所を助けてくれた。

断られた後は、ショックで何も考えられなかったが、助けてくれて自分を守ってくれたサソリには前とは比べ物にならないほどの憧れと好意が胸の奥から湧き出してくる。

それは、お気に入りのぬいぐるみに対するスキンシップにも似たようなものだった。
自分の為にケガをして、動けなくなったサソリの頭を膝枕をしながら、自分勝手な想いを抱いてしまった。

わたくしを助けるために......
探して、突き止めて、助けに入ってくれた。
サソリがしたであろう行動を想像する。
相手の攻撃を受けながらも、泣き事も言わずに向かって行く背中を頼もしいと感じてしまった。
ケガをさしてしまった罪悪感よりも嬉しい気持ちがずっと上だった。
その気持ちが我慢出来ずにサソリにキスをしてしまったのだろう。

「サソリさん......びっくりした顔をしていましたわ」
キスをした頬の感触
膝枕をした感触、赤くて少し硬い髪
サソリの体温が自分に伝わり、幸せの気分を思い起こさせる。

「湾内さん?」
泡浮が洗面台から中々戻らない湾内を心配して声を掛けた。
「ふわ!泡浮さん!ど、どうかしましたか?」
顔を紅潮させ、両手で胸を押さえている湾内に泡浮に何かを悟ったように泡浮はニコッと笑みを浮かべた。
湾内は泡浮に促されて、自分のベッドに座った。その隣に泡浮も座る。

「サソリさんって変わった方ですわね。御坂さん達が一緒に居るのも納得しますわ」
「どういう事ですの?」
「安心感があると言いますか、頼ってしまうような気持ちにさせてくれますわね」

泡浮は身体の後方に深く座り、両腕で身体を支えるポーズをした。
「湾内さんが居なくなってしまった時に、御坂さんが言ってくれたんですわ」


ど、どうしましょう御坂さん?!

大丈夫よ。サソリも一緒のはずだから

サソリさんですか?

そう、アイツが居ればなんとかなるわ
でも流石に病み上がりだから、助けに行かないとマズイかもね

サソリさんって一体?

手間の掛かる弟かな
でも、いざという時は頼れる兄みたいな存在かしらね


「あの御坂さんの一言でパニックにならずに、冷静に行動できましたわ」

頼れる兄

湾内はその言葉に共感した。
助けに来て、一目サソリの姿を見ただけで安心感が満たされたことを思い出す。

「サソリさんがお兄さん。ふふ、そう考えると楽しいですわ」
「そうですわね。わたくしには兄弟が居ませんから。居たとしたらあんな感じなのでしょうね」
「明日、会うのが楽しみですわ」

二人はいつも以上に幸せに感じた睡眠に身を委ねた。
明日、お見舞いに行けば会える。
そんな事を考え、夢を見ていた。

翌日、湾内と泡浮はサソリの病室へと向かい、お礼の料理を持って扉を開けようとするが。
「えっ!?ええー」
お見舞いに来た湾内がサソリの病室前で声を上げてしまった。
扉の前には『面会謝絶!』と明朝体で書かれた紙が一枚貼ってあった。
「そ、そんな......」
多少強引でも中に入りたい。
湾内は扉に手を掛けて入ろうとするが、鍵が掛かっているらしくビクともしない。

この先にサソリさんがいるのは分かっているのに
それなのに入ることが出来ないなんて

「ひ、酷いですわ......」
「ま、まだ眠っているかもしれませんわ。日を改めて伺いましょう」
扉の前で項垂れる湾内に泡浮が少し元気を付けさせるように顔を覗きながら言った。
「うう、今日お会いできると思って来ましたのに」
それでも未練がましく、扉の前から動かない泡浮もどうして良いか分からずに、湾内が持ってきたお礼の料理が入った紙袋の中身を確認した。

サソリさんの大好物が入っていると言っていましたが、ほんのりチーズの香りがしますわ

「あれ!?湾内さん、泡浮さん?」
サソリの病室で二人で居る所に御坂が颯爽と歩いてきた。
「大丈夫だった?昨日あんなことがあったけど」
御坂が心配そうに訊くと、湾内は目から涙をポロポロ流し出した。

「大丈夫ではありませんわ......」
「えっ!?やっぱりあのバカな不良の事が頭から」
「サソリさんに......会えないんですわ」
顔を押さえている湾内に変わり泡浮が声を出した。
「その御坂さん、アレを」
「?」

御坂が湾内が指差した方角を見た。
一枚の紙に注意が向く。
「ん?!あちゃー、とうとう来たって感じね」
御坂が頭を掻きながら、困ったように苦笑いをした。
「どういうことですの?」
「んー、サソリってかれこれ三回くらい病院を抜け出していたからね。しょうがないかしら。いつ解除されるか訊いてくるわね」

「あ、はい!ありがとうございますわ」
御坂はナースステーションに向けて、駆け足で向かった。

ん!?
これって、あたしが全面的にあの鬼軍曹の説教を受けないといけないパターンかしら
......湾内さんの恋路の為
こうした犠牲の上に成り立つものなのよ

人は、恐怖を目の前にすると妙に客観的になるものである。

******

チャクラは、ほぼ空に近い状態だ。
サソリは自分の身体の感覚が遠くなっていくのを感じた。
生涯の経験では二回目だ。

あの時、ババアと殺し合った時
核を貫かれて、死を間近に感じた瞬間に酷似していた。

「?」
気が付けば、木々が生い茂る森の中に立っていた。
目の前には、川幅が少しだけ広い川が流れていた。
川を覗くと大量の平べったい石が積み重なっている。

「気持ち上に投げる感じ。コツとしては」
「!?」
サソリの背後から声が聴こえて振り返った。
おかっぱ頭をした子供の影が得意げに胸を張っていた。

子供は、足元に転がっている乾いた石を拾うと小川の先へ石を投げつける。
石は水面を四回跳ねて向こう岸に渡ると、一回小さく跳ねて多数の石ころに同化した。

子供は、ニコリと笑うとサソリに石を渡した。
「オレとお前は、この時点では水切りのライバルだ」
「何言ってんだお前?」
サソリは、興味無さげに渡された石を川へ放り投げると、子供の影から離れるように森の中へ行こうとするが。

「ご......ごめん......つまらないな.....,川に投げられるのを覚悟しようぞ......さあ、投げろ.......」
急激に落ち込みだした、子供が体育座りをしてブツブツとネガティヴな事を口に出す。
「......」
サソリは、背中を向けたままその場で歩みを止めた。

「あの石は......オレがやっとの思いで探し当てた大切な石なのに......やっぱり他人にはその価値が......お前は冷たい奴ぞ......」
ドンドン落ち込んでいく子供の影にサソリは、舌打ちしながら子供の方を見た。

「何だよ。投げた石を拾ってくれば良いんだろ!?分かったから黙ってろ」
サソリは川の中へと入り、積み重なった石ころの中から子供の影が言っている石を探す。

ったく、面倒なことになったな

こんなにたくさんの石がある中で、少ししか触っていない子供の石を探すのは、流石のサソリでも至難の技だった。
適当に拾って渡してしまうか......
見分けが付かないから、手が触れた石を拾って持ち上げた。

もうこれでいいや
さっさと渡してガキとおさらばだ

川から上がり、まだ落ち込んでいる子供に適当に選んだ石ころを目の前に置いた。
「......」
子供の影は、顔を下に向けて黙ったままだ。
「それだ。じゃあな」
「お前は、何から逃げるぞ」
森に行こうとしたサソリに、子供の影は声を掛けた。
「?」
サソリが要領を得ないまま振り返ると、子供の影はサソリに石を投げた。
即座にキャッチした石には真っ黒な字で【にげろ】と書かれていた。

「!?」

気がつけば、子供の影はいなくなり川の中で三人の大人が向かい合っていた。
片方は、仲間同士らしく赤い髪の男性と黒い髪の女性が白い髪の男性と対峙していた。

サソリを背にして二人は立っていた。
その後ろ姿やシルエットに見覚えがある。
親父?
おふくろ?

サソリがかつて欲しくてたまらなかった両親がまるで我が子のサソリを助けるように敵と向かいあっているように見えた。
写真でしか覚えていないようだが、何度も擦り込ませた感覚が高鳴る。
白い髪の男性が白光する短刀を手に持つと黒髪の女性へと投げ付けた。
「!?」

サソリは、咄嗟に移動して持っていた【にげろ】と書かれた石を投げ付けて短刀を弾き飛ばし、母を助けた。
二人の前にサソリは、移動して白い髪の男に戦いを挑む。

かつてから考えていた事だ。
幼く何も出来なかった子供だったが、今では忍として傀儡師として円熟している今ならば両親を守ることができる。

サソリの身体が本人の気がつかない所で人傀儡へと変わっていた。
「サソリ?」
「その身体は?」
サソリの両親が機械的な声で驚きの声を上げた。
その声に反応してサソリは自分の身体を見た。
「なぜ、人傀儡に」
人間の身体に戻ったはずだったが、独特の軋みや無風に近い生体感覚に若干の懐かしさを覚える。

一番見て欲しくない両親に見られたか

だが、サソリは忍の構えを解かない。
ここで引いて、両親を助けるチャンスを不意にしたくなかった。

「お前は知っているはずぞ」
川の脇に、またしてもおかっぱ頭の子供が立っていた。
「?」

知っている?
何を?

「......お前は、何故人傀儡になれた?」
「!?」
サソリは疑問に思っていなかった。
研究の末にたどり着いた自分だけの理だ。
「傀儡は、お前が生まれる遥か昔から存在していた。しかし、なぜ永遠の命が手に入る人傀儡に誰も手を出さなかったんだ?」

「それは......」
確かに奇妙な話だった。
サソリが生まれる遥か昔、伝説の六道仙人の時代から傀儡の原型はあったらしい。
そして忍術としての傀儡を確立した「モンザエモン」、傀儡部隊を率いていたサソリの祖母「チヨバア」等、後の世に影響を及ぼす程の天才的な傀儡師達は絶えず居たはずだ。
それなのに......

なぜ、オレだけが
他の忍から人傀儡を造り、その忍が使っていた術を扱えたのか?
自らを人傀儡にして、永遠の時間を手に入れることが出来たのか?
なぜ自分以外に人傀儡が造れなかったのか?

「それは、お前の中に流れている血が可能にしている。人傀儡を造るために必要なもの」
おかっぱ頭の子供の影が川を歩きだしてサソリに近づいた。

自身を傀儡にする
それには、並外れた生命力が必要だ。
そして、相手のチャクラを封じ込めて留める封印術に近い技術

「お前は知っているはずだ」

******

サソリが意識不明で病院に運ばれたが、まあ案の定、脱走したことがバレてしまい、三回目のペナルティを受けることになった。

完治するまで、外出禁止かつ面会謝絶!

流石に三回目ともなると容赦ない。
湾内さんが必死に担当看護師に説得してみるが
「サソリさんがいたお陰で助かりました!」
と言ったが看護師は悩みながらもサソリの身体を優先させたいという所は譲らなかった。
とりあえず、一週間は完全に治療を優先させることでまとまり、それからは体調の様子でお見舞いが出来るか判断するとのこと。

御坂と湾内、泡浮で翌日に退院を控えた佐天の病室に居た。
サソリのお見舞いがまさかの空振りに終わり、湾内は傍目から見てもかなり落ち込んでいる
「ううう......」
「大丈夫ですの湾内さん?」
病室にあったパイプ椅子の背もたれに寄りかかった湾内が悲痛な声を漏らした。
「一週間もサソリさんに会えないなんて......とても寂しいですわ」

「仕方ありませんわ。サソリさんの体調が良くなりましたら行きましょう」
隣にいる泡浮が慰めるように言った。

「それでも寂しいですわー!」
佐天のテーブルの上にあった退院に関する諸説明の紙がクシャクシャに握り潰されていき、やり場のない感情を噴出させる。

「ちょっと......あたしの退院の手続きが書いてあるから丁寧にしてくれます?」
「はっ!申し訳ありません。これをどうぞですわ」
握りしめていたシワくちゃの紙をテーブルに置くと湾内が佐天に紙袋を手渡した。
「何ですかこれ?」
渡された紙袋を興味津々とばかりに覗き込み佐天。
「チーズフォンデュですわ。サソリさんの為にお作りしましたの」

本当はサソリさんに渡す予定でしたのに、でも流石に一週間も保存できませんわ

チーズフォンデュ!
何でー!?

「サソリさんの好物みたいですわ」
泡浮がとりあえず補足した。
今日の朝から何か作っていると思いましたら。
「アイツってこんなハイカラなものが好きだったの?」
「はい!メールで訊きましたわ」
「変わってますね」

「あっ!」
一人だけ何かを察した御坂が声を漏らした。
あの大量のメールにサソリが面倒になって返信したのかしら

「どうかしました?御坂さん?」
「い、いやすっかり愛されているわねーってね」
両手をブンブン振って、作り笑顔で返事をした。

紙袋からタッパに入ったトロトロに溶けたチーズと一口大に切られたパンが入ったビニル袋を取り出す。

うぐぐ......
またしてもハイパーカロリーのお見舞いの品(サソリのお下がり)が来てしまった。
これを全部食べたら、あたしがヒロインの座から転落してしまいそう

「えっと......どうせならみんなで食べません?御坂さん達も良かったらどうぞ」
「良いの!?いやー、ちょっと小腹が空いてきた所だから丁度良いわ。湾内さんいい?」
「良いですわよ」
「では、わたくしは紅茶を淹れますわ」

佐天の病室でプチ女子会が催された。

「おいしー!湾内さん料理上手ですね」
チーズを乗せたパンを頬張りながら佐天は舌鼓を打つ。
「いえ、そんなことありませんわ」
「全くサソリには勿体無いくらいね。アイツって結構デリカシーないから」
「い、いえ」
顔を赤らめる湾内を御坂がからかうように言った。
「紅茶が入りましたわ」
レモンが仄かに香る紅茶を各自が手に取れるようにテーブルへと並べていく。

「うわあー、良い香りですね。熱っ!」
佐天が紅茶に口を付けると、淹れたての温度により佐天は舌を軽く火傷をしてしまった。

「大変ですわ。すぐに冷やすものを持ってきますわ」
「心配には、おひょびません」
舌を外に出しながら、佐天が指先に意識を集中すると小さな氷の結晶が出現した。
佐天は、その結晶を口の中に入れると飴でも舐めるように舌先を冷やす。

「佐天さん......力使えるようになったの?」
「はい!おかげさまで」
「これって氷使い(アイスマスター)ですわよ。あまり見ない能力ですわ」
「そうそう、サソリもそんな事言ってました。けっけけなんとかだって」

「けっけけ?なんかの妖怪?」
「いや、よく分かりませんでした。そうだ御坂さんに会ったら訊きたいことがありました」
佐天が勢い良く手を上げた。
「どうぞ」
「ズバリ、能力を使ったらダイエット効果はありますか?!」

「ダイエット?」
御坂が紅茶を手に取りながら、宙を見た。
そして、少しだけ考えると
「使い過ぎると身体が怠くなるから、あるかもね......はっ!」

御坂が何かに気づいたかのように項垂れた。
紅茶を置いて、パイプ椅子に腰掛けると真っ白に染まる。

ひょっとしてあたしのB(バスト)が成長して来ない理由はこれか!?
能力を使えば使うほど、本来であればバストに向かうはずだった脂肪が能力により燃焼されて......

「どうしました御坂さん!?」
「ゴメン、立ち直る時間をちょうだい」
「?」
湾内と泡浮が顔を見合わせて首を傾げた。

ダメージから回復した御坂は、人が変わったかのようにチーズフォンデュを平らげていく。
失ったカロリーを取り戻すべく。
まだ中学生
御坂はまだまだ頑張ります(←?)

「そういえばサソリってどうやって病室を抜け出したんですか?」
佐天がサソリの無断外出を踏まえた上で質問した。
割と厳重だった気がする。
「窓から抜け出したとか?」
「いや、黒子になって正面から堂々と出たわよ」
「し、白井さんにですの?」
「そうそう、そっくりだったわ」

「見た目だけですか?流石に声までは再現出来ませんよね?」

「声と口調もよ」
「!?」

イメージでサソリが白井さんに成りきり
「いきますわ!お姉様!」と元気よくポーズを決めた。
更に、顔を赤らめながら少女漫画チックに恥じらうサソリ
普段のクールで大人びたサソリからは想像出来ない姿だ。

「うわあああああああー!超見たいぃぃ!サソリのそんな姿超見たい!何で御坂さん呼んでくれなかったんですか?」
枕をポコポコ叩いて悔しさを全面的に表現した。
「だって佐天さん、診察中......」
「知ってたらサソリの女装を優先しますよ!誰が好き好んで自分の脳の輪切りを見ないといけないんですか!」

女装ではない

佐天は、折り畳まれた布団に頭を付けて、ブツブツと流行に乗り遅れてしまったかのような心境で身体を震わせている。
「サソリさんって女性になれますの?」
湾内が御坂に訊いた。
「そんなんじゃかった気がするわ。なんか能力を使ってかしらね」

「そういえばサソリさん、わたくしと会った時に泡浮さんの姿をしていましたわ」
「わ、わたくしですの?」
急に出て来た自分の名前に泡浮が自分で自分を指差した。
「確かにそっくりでしたわ。声も雰囲気も全て似ていましたわ」

佐天の耳がピクンと反応した。
あの上品な泡浮さんもサソリは完璧に女装したですと!?
見たい
見たい
見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい

今なら血の涙が流せるくらいに見ていなかった自分が許せない!

「何でそんな事を?」
御坂が眉間に皺を寄せて訊いた。
「わかりませんわ...... ただ、サソリさんの思い出の写真を消されてしまいましたわ」
グズグズと顔を下に向けて落ち込む湾内。

「な、何!サソリそんな酷い事したの?」
御坂が思わず立ち上がった。

「いえ、きっとサソリさんに取ってみれば不快な写真だったのではないかと」
「うわー、これはサソリに説教だわ。ちょっと待ってね」

御坂が置いてあった自分のカバンを持ってくると、開けてサソリの携帯電話を取り出した。
「何で御坂さんがサソリの携帯電話を持っているんですか?」
「預かっているだけよ。今、眠っているらしいから」
写真フォルダを操作して開くと、不機嫌そうな顔をしているサソリがベッドに横になっている写真を表示させた。
サソリにカメラの説明をする為に御坂が撮った写真だ。

御坂は、携帯電話を反対側に向けると湾内に見せた。
「代わりといっては何だけど、湾内さんいる?」
真正面からサソリ本人を捉えた写真に湾内は、キラキラとした目をしてしばし見つめている。
「サソリさん!御坂さん本当に貰って良いんですか?」
あの時の間接的な巡回ロボットの写真ではない、サソリ本人の写真に湾内は歓喜した。

「良いわよ。全くサソリにも困ったものね。じゃあ、湾内さんへ送信っと」
サソリの携帯電話に登録されている湾内のアドレスにサソリの写真を添付し送信した。
湾内の携帯電話にメールが届いた着信音が鳴り、湾内は嬉しそうに開いた。

「ふああー!サソリさん、カッコ良いですわ」
どちらかと言えば仏頂面でカメラを睨みつけている写真だが、愛というレンズを付けた湾内には美化されたサソリしか映らないみたいだ。

「これでサソリさんが居ない一週間をこれで乗り切りますわ」
湾内が力強く拳を胸の前に掲げる。
「あの、わたくしもサソリさんの携帯電話のアドレスを登録しても良いですか?」
泡浮が自分の携帯電話を開いて、御坂の隣に待機していた。

「良いわよ。たぶん、今後使うことになりそうだし」

本人居ないけど、勝手に連絡先を交換しても良いのだろうか?
まあ、良いかサソリだし......

御坂はサソリの携帯電話のアドレスを表示すると泡浮に手渡した。

佐天は真剣に頭を働かせていた。
「さて、どうやってサソリを女装させるべきか」
なんとかしてサソリの女性に化けた姿を一目見ようと必死にベッドの上で策を練っていた。
 
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