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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第182話



旧校舎に入ったリィン達はエレベーターに表示された”第六層”を探索し終えた際には無かった”第七層”を見て驚いた後、エレベーターで”第七層”まで降り、機械仕掛けの謎の巨大な扉を見つけて近づいた。



~旧校舎・第七層~



「……………………」

「な、なんだこれは……」

「光る歯車……?」

「い、今までの階層もかなり非常識な感じだったけど……」

「……んー…………」

リィン達はそれぞれ扉を見つめて考え込み

「グランセル城の地下とちょっと似ているようだけど……」

「もしかしたら、この旧校舎自体が遺跡かもしれないな……」

「うーん……という事はやっぱり古代からの魔獣や人形がいそうだよね~。」

エステルとヨシュア、ミントは考え込んでいた。



『第六拘束』マデノ解除ヲ確認―――『起動者』候補ノ来訪ヲ感知―――



するとその時謎の声が聞こえて来た!

「な、何なの今の声!?」

「あの扉から聞こえてきたが……」

「もしかしたらこの遺跡の”主”かもしれぬな。」

声を聞いたエオリアは驚き、セリカとレシェンテは考え込んでいた。



――刻ハ至レリ―――コレヨリ『第二ノ試シ』ヲ執行スル―――



そして扉が開き、謎の空間が姿を現した!

「地下第四層……あの赤い扉と同じってか。」

「……思わせぶりな仕掛けとは思ったけど。」

「『第六拘束』……それに『第二の試し』……拘束というのはこれまでの階層のことか……?」

「となると”試し”はかつてエリス・シュバルツァーが危機に陥った時のように何者かが俺達の道を阻むかもしれんな。」

「……かもしれません。何者かは知りませんが、”試し”によってエリスを傷つけようとした事……絶対に許せません。」

(これはどう考えても、”連中”の専門分野ね……)

レーヴェの推測を聞いたエリゼは頷いた後厳しい表情で空間を睨み、サラ教官は真剣な表情で空間を見つめ

「”起動者”候補ってボクたちのこと?」

「わからぬが……これだけは確かのようだな。今宵、我らが導かれるべくしてここに導かれたのだと。」

「……ああ……」

ラウラの言葉にリィンが頷くとドクンと左胸のアザが疼いた。



「……っ……」

「リィン……?」

「兄様!?」

「胸が痛むのですか!?」

「だ、大丈夫なの?」

左胸を抑えたリィンに気付いたエリオット、エリゼとセレーネ、アリサはリィンを心配し

(状況から考えて、リィン・シュバルツァーが『起動者』とやらかもしれないな……)

(ええ……問題はその『起動者』が何を顕すか、ですね。)

リウイとイリーナはリィンを見つめて小声で会話し

(ペテレーネ様、気付いていらっしゃいますか?)

(ええ、あの眼鏡の女性の傍に控えている黒猫ですね?)

(うむ、意思を持ってここまで来た事と良い、どう考えてもあ奴の使い魔の類じゃろうな。)

エクリア、ペテレーネ、リフィアはセリーヌを見つめて小声で会話していた。



「……リィンさん、胸のアザが疼くんですね?」

「ああ……そうだけど。でも、どうして……?」

「……………………ちょっとしたお呪いです。」

戸惑いの表情をしているリィンの問いかけに答えたエマはリィン達の正面に来た。



「―――ですが、どうやらこの先は尋常ではない場所のようです。リィンさんも含めて……皆さん、覚悟はできていますか?」

「エマさん……」

「その問いかけは一体どういう意味ですか?」

(まあ、間違いなくこの”異変”が何なのか知っていそうねぇ?)

真剣な表情で自分達を見回すエマの問いかけにプリネは驚き、ツーヤは真剣な表情で尋ね、レンは小悪魔な笑みを浮かべてエマを見つめ

「フン、どうやら何かを知っていそうな口ぶりだが……」

「愚問だね。さっさと行って片付けてくればいいだけだよ。」

ユーシスは鼻を鳴らしてエマを見つめ、エヴリーヌは静かな表情で呟き

「セリーヌも……いつの間にかついてきてるし。」

「ニャア。」

マキアスは戸惑いの表情でセリーヌを見つめた。



「俺は―――俺達はみんな、Ⅶ組があるからここまで来られた。お互いがお互いを認めて成長し、それぞれの道を目指せるような……そんな強さを少しは手に入れられたんじゃないかと思う。」

「リィンさん……」

「フフッ、言うようになったじゃない。」

「………………」

リィンの言葉にエマは驚き、サラ教官は感心し、レーヴェは静かな笑みを浮かべた。



「そうね。」

「まさか入学した当初、皆とここまでの絆を育めるとは思ってもいなかったが……」

「ラウラ、直球過ぎ。」

「フン、そこの男を認めた覚えはないんだがな?」

「そ、それは僕の台詞だ!」

「あはは……」

「お願いですから、もう仲違いはしないで下さいよ……」

「フフ、ツーヤが一番苦労していたものね……」

「こういうやり取りも含めて俺達”Ⅶ組”という事だろう。」

「んー、いいなァ。」

「わたくし達も、もっと早くⅦ組に来たかったですわ。」

「エヴリーヌも、もうちょっと早く来たらプリネ達ともっと一緒に学院生活を送れたんだけどな。」

「やれやれ、スレたお兄さんには眩しすぎるくらいだぜ。」

(フフッ、”Ⅶ組”か……クロウが羨ましいよ。)

そしてリィンの言葉をきっかけにⅦ組の面々はそれぞれの顔を見合わせて軽口を叩きあい、その様子をアンゼリカは微笑ましそうに見守っていた。



「ミリアムも、クロウも、エヴリーヌさんとセレーネも同じさ。それに委員長も……これだけは自信を持って言えるんじゃないか?―――俺達Ⅶ組が”最高のクラス”だって。」

「………………ふふ、確かに。およそクラス分けには縁がなかった私ですが……Ⅶ組が最高であるのは自信を持って言えると思います。」

「だったら行こう―――この先に。俺達のクラスが最高だと。俺達自身を証明するために。この異変を食い止めて”明日”を引き寄せるために。」

「……リィンさん……わかりました。もうとやかく言いません。行きましょう……私達の明日を掴むために!」

「ああ……!」

そしてリィン達は謎の空間の中へと足を踏み入れた。そして空間の中を通った先にリィン達が見たのは宙に巨大な迷宮が浮いているという信じられない光景だった!


~巨イナル影ノ領域~



「な、なあああああっ!?」

「ええええええっ!?一体どうなっているの~!?」

「これは……!」

「……”裏”の”四輪の塔”の状況と似ているが……」

異様な空間を見たエステルとミントは声を上げて驚き、ヨシュアとレーヴェは真剣な表情になり

「セリカさん達と一緒に行動するようになってから、非常識の連続ね……」

「まあ、セリカ自身が非常識の塊じゃからな。」

「おい……それはお前にも言える事だろうが。」

疲れた表情で呟いたエオリアの言葉に指摘したレシェンテの言葉を聞いたセリカはレシェンテを睨み

「というか”使徒”になったエオリアさんもゼムリア大陸の人々にとっては十分非常識な存在なのだけどね……」

「ア、アハハ……まあ、エオリアさんの気持ち、私もわかりますよ。」

呆れた表情でエオリアを見つめるエクリアの言葉を聞いたペテレーネは苦笑した。



「まさか士官学院の旧校舎にこんな空間があったなんて……!」

「うむ!まさに最終決戦地と相応しい場所じゃな!」

「うふふ、”太陽の砦”に乗り込んだ時より楽しめそうね。」

エリゼは目を見開いて周囲を見回し、リフィアとレンは不敵な笑みを浮かべ

「―――”獅子心皇帝”はこの事も知っていたのでしょうか……?」

「さてな。もし、知っていて放置したのなら何か”理由”があるはずだ。」

不安そうな表情をしているイリーナの言葉を聞いたリウイは考え込んだ。



「……………………」

「……すっごいねー。」

「めんどくさそうな迷宮だね。」

一方エマは真剣な表情で周囲を見回し、ミリアムとエヴリーヌは静かに呟き

「か、覚悟はしていたがここまでとは……」

「しょ、正直この目で見ても信じられないですわ……」

マキアスとセレーネは信じられない表情をした。



「だが……肚を括るしかあるまい。」

「ええ……もちろん。―――リィン、折角だからいつものをやってくれない?」

「いつものって……あれか。」

アリサに促されたリィンは苦笑し

「それはいいな。」

「作戦開始の号令は大事。」

「そうだね、これも僕達の特別実習みたいなもんだし。」

「ええ。それにこういう時こそリーダーの号令が必要ですし。」

「フフ、そうね。」

ガイウス、フィー、エリオット、ツーヤ、プリネはアリサの提案に賛成の意を示し

「よっ、我らがリーダー!」

「フッ、噛むんじゃないぞ。」

「フフッ、期待しているよ。」

クロウとユーシス、アンゼリカはそれぞれリィンを見つめて言った。



「まったく……プレッシャーをかけないでくれ。というか教官達に加えて理事のリウイ陛下もいらっしゃるのですから、教官達が号令をかけるべきなんじゃ……」

リィンは疲れた表情で溜息を吐いた後サラ教官達を見回し

「な~に、言ってるの!どう考えてもこの場の主役は貴方達―――”Ⅶ組”の生徒達でしょう?」

サラ教官は笑顔でリィンを見つめ

「俺達はあくまでお前達をサポートする立場だ。ならば、答えは決まっているだろう?」

「そうね!リウイの言う通り、あたし達はリィン君達を手伝う為に一緒についてきたんだから!」

「いい加減、覚悟を決めろ、シュバルツァー。」

「皆様がここまで仰っているのですから、覚悟を決めるべきですよ、兄様。」

リウイの言葉にエステルは頷き、レーヴェとエリゼは静かな笑みを浮かべてリィンを見つめた。



「フウ…………余計にプレッシャーをかけないでくださいよ……」

サラ教官達の答えを聞いて溜息を吐いたリィンは全員の前に移動した。

「トールズ士官学院、Ⅶ組総員並びに協力者一同――――旧校舎の異変を食い止めるべくこれより第七層の探索を開始する。各自、全力を尽くしてくれ!」

「おおっ!!」

そしてリィンの号令に仲間達は力強く頷いた!



その後探索を開始したリィン達は何度も探索メンバーと待機メンバーに分け、何度も交代しながら先へと進んで行き、リィン、アリサ、エマ、プリネ、エリゼ、エステル、リウイ、エクリアのメンバーに編成した探索チームは最奥の手前の部屋に到着すると謎の声が聞こえて来た。



~最奥~



サア、示スガヨイ



汝ノ―――汝等ノ魂ノ色ヲ



「……っ。」

「い、今のは……」

「今の声は一体……」

声を聞いたリィンは驚き、アリサとプリネは目を丸くし

「頭の中に直接聞こえてきましたが……」

「まさか念話の類かしら?」

「―――恐らくそうだろうな。そしてその発信している者は恐らく……」

「―――この旧校舎の異変を発生させたと思われる”何者か”、ですね。」

不思議そうな表情をしているエリゼの言葉に続くようにエステルは首を傾げ、リウイとエクリアは奥を真剣な表情で見つめた。



「みんなも聞こえたのか……」

「ARCUSを通じた繋がりが高まっているみたいですね。そして恐らく―――この先が”終点”でしょう。」

「そうか……」

エマの推測を聞いたリィンは振り向いて奥へと続く通路を見つめた、



(この先に全ての謎が……今回の異変の”原因”がある……覚悟を決めよう―――俺達の”明日”を掴むために。)」

そしてリィン達は奥へと向かった。



~旧校舎・最下層・終点~



リィン達が終点に到着すると巨大な赤い球体がはめ込まれてある扉らしきものがあった。

「……………………」

「………ニャア……」

エマとセリーヌは扉をジッと見つめ

「この扉は……」

「宝玉……いえ、宝珠(オーブ)なのかしら?」

扉を見たエリゼは目を丸くし、アリサは考え込み

「う~ん、仕掛けか何かかしら?」

「―――油断するな。あの宝珠(オーブ)から尋常ならざる気配を感じる。」

「ええ……魔力や神気とも異なるこの”力”は一体……?」

首を傾げているエステルにリウイは忠告し、エクリアは真剣な表情で扉の部分についている球体を見つめた。



(そうか、ローエングリン城であの化物を実体化させた―――)

そして扉を見つめてある出来事をリィンが思い出したその時、球体は妖しく輝いた!



”起動者”候補ニ告ゲル―――



コレナルハ ”巨イナルチカラ”ノ欠片―――



手ニスル資格ガ汝ニアリシカ『最後ノ試シ』ヲ執行スル―――



「巨いなる力……?手にする資格って……いったいどういうことだ!?」

「ちょっとー!誰か知らないけどいい加減、隠れてないで出て来なさいよ!?」

扉から聞こえて来た声を聞いたリィンとエステルは扉を睨んで声を上げ

「フシャアア……!」

ある気配に気付いたセレーネはリィン達に警告するかのように鳴いた。



「!この異質な気配は……!」

「世界の”歪み”か……!」

「気を付けて……!取り込まれます……!」

そして何かに気付いたリウイとエクリア、エマが声を上げたその時その場の空間が歪み、リィン達は謎の空間―――周囲が灰色の荒野で、様々な巨大な武器が刺さっている空間に転移した!



「あ―――」

周囲を見回したリィンは呆けた声を出した。

「な、な、な……何なのここ!?」

エステルは口をパクパクした後声を上げ

「私達……夢でも見てるの……?」

「無数の剣、そして槍……あれらは一体何を意味するのでしょう……?」

アリサとプリネは不安そうな表情をし

「戦場か……?」

「恐らく先程の”声”の”主”が私達をこの場に取り込んだのでしょうけど……」

「何でしょう……何故こんなに……」

リウイとエクリアは周囲を警戒し、エリゼは不安そうな表情をしていた。



「ニャア!」

「気を確かに!……来ます……!」

そしてエマが警告するとリィン達の目の前に地面から巨大な漆黒の”影”――――灰色ノチカラ”ロア・エレボニウス”が現れ、リィン達はそれぞれの武器を構えた!



「こんなのに私達勝てるの……!?」

「何て威圧……!」

敵がさらけ出す威圧に呑みこまれたアリサは不安そうな表情をし、エリゼは驚き

「ったく、どこまで非常識な旧校舎よ……――――カファルー!!」

「私達ならきっと勝てます!―――パラスケヴァス!!」

エステルはジト目で敵を見つめた後プリネと共の大型の異種族を召喚し

「フッ、確かに強敵だが俺達がいる事は奴にとっての最大の不運だな。」

「ええ……―――あの”影”に見せて差し上げましょう、私達の―――”女神(フェミリンス)”の”力”を。」

不敵な笑みを浮かべて言ったリウイの言葉に頷いたエクリアは静かな表情で敵を見つめた。



「これが”最後の試し”だ……俺達の全力を持ってあの巨大な”影”を撃破する!」

「おおっ!!」

そしてリィン達は戦闘を開始した!







 
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