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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第181話

~旧校舎~



「………………」

リィン達が旧校舎に到着するよりも早くトマス教官、トワ、ジョルジュと共に旧校舎に到着していたヴァンダイク学院長は真剣な表情で結界に包まれた旧校舎を見つめ

「こ、これって一体……」

「”結界”……何らかの力場みたいなものか?」

トワは不安そうな表情をし、ジョルジュは考え込み

「いや~……これはまた尋常じゃない雰囲気ですねぇ。大帝ゆかりの士官学校……旧校舎だけはそれ以前からこの地にあったという話ですが。」

トマス教官は戸惑いの表情で考え込んでいた。



「学院長、先輩たちも!」

「リィン君たち……!?」

「おお、サラ教官にレオンハルト教官も~。」

「……来たか。」

その時リィン達が駆け付けて来た。



「―――状況は?」

「先程、鐘が鳴り始めた直後、すぐこの状況になったそうじゃ。複数の学生が証言してる。」

「クロスベルの”僧院”の時と状況が似ているわね……」

「ああ……―――となると”奴等”の”専門”かもしれんな。」

ヴァンダイク学院長の話を聞いたプリネとレーヴェは真剣な表情で考え込みながら呟いた。



「な、何だか透明な壁に包まれているみたいで……」

「工具のハンマーで叩いても衝撃が吸収される感じですね。」

「それは……」

「物理的な衝撃を相殺するような力場(フィールド)……?」

トワとジョルジュの説明を聞いたリィンとアリサは考え込み

「恐らくこれも結界の一種なんでしょうけど……」

「攻撃を吸収する結界は初めて聞きますね……」

「んー……となると吸収できない程の凄い”力”―――例えば”神”クラスの”力”は必要かもしれないね。」

セレーネとツーヤ、エヴリーヌもそれぞれ考え込みながら結界を見つめた。



「不可解な場所とは思ったがここまでだったとは……」

「………………」

「んー、とりあえずガーちゃんでブチかましてもらう?」

「……やめておけ。古城の時と同じオチだろう。」

「ああ、青白く不可解な力で封じられた障壁……」

ミリアムの提案を聞いて呆れた表情で指摘したユーシスの言葉に頷いたガイウスは考え込み

「……ふむ…………」

今まで経験のない出来事にサラ教官は困った表情で打開策を考え込んでいた。



「―――全教官を招集。これより緊急会議を開く。最悪の事態を想定して備える必要があるじゃろう。」

「……はい。」

「了解した。」

「うーん………そうなっちゃいますか~。」

ヴァンダイク学院長の指示にサラ教官とレーヴェは答え、トマス教官は複雑そうな表情をし

「トワ君、明日の学院祭だが中止の方向で進めておきなさい。ジョルジュ君は、この場所の監視機器を備えてもらいたい。」

「……は、はい……」

「了解しました。」

そしてヴァンダイク学院長の話を聞いたトワは悲しそうな表情で頷き、ジョルジュは重々しい様子を纏って頷いた。



「ま、待ってください!」

「まさか……学院祭を中止にするつもりですか!?」

「そんな!学院の皆さん、そして外部からのお客様がみんなずっと楽しみにしていたのに……!」

一方仲間達と共に血相を変えたマキアスとガイウス、セレーネは反論した。



「仕方ないわ、この状況じゃ。こんな異常事態……夜が明けても続いたりしたらとても来場客は入れられない。」

「周囲にどんな被害があるかもわからない状況だし……学院……ううん、トリスタにも避難指示を出す必要があるかも……」

「そ、そんな……」

「チッ……そうなっちまうか。」

「エヴリーヌ達があんなに頑張ったのに……!」

「エヴリーヌさん……悔しいのはみんな、同じ気持ちですよ……」

「……………………」

サラ教官とトワの説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、クロウとエヴリーヌは悔しそうな表情をし、ツーヤはエヴリーヌを諭し、プリネは悲しそうな表情で黙り込み

「……危機管理の観点からすれば当然かもしれませんが……」

アリサは何とか思いとどまるように説得しようとしていた。



「……………………」

その時学院祭に向けて練習した日々や学院祭の為にそれぞれ熱心に練習や準備をしていた他のクラスの面々の顔を思い浮かべたリィンは顔を上げてヴァンダイク学院長達を見つめて口を開いた。

「この一ヶ月―――俺達、それに他のクラスも学院祭に全てを賭けてきました。単なる意地の張り合いだったり、身内への見栄もあるかもしれません。皆で一緒に何かを成し遂げるのが単純に楽しかったのもあります。」

「リィンさん……」

「……リィン……」

リィンの話を聞いたエマとアリサは仲間達と共に静かな表情でリィンを見つめた。



「だけど―――それだけじゃない。俺達がここにいるのは”証”……それが残せるかどうかなんです。勝ってもいい、負けてもいい。大成功でも、大失敗でもいい。これまで教官や先輩たちに導かれお互い切磋琢磨してきた、”全て”を込めるためにも……どうか俺達に”明日”を掴ませてもらえませんか!?」

「あ――――」

「………………」

決意の表情で拳を握りしめて叫んだリィンの主張にトワは呆け、ヴァンダイク学院長は真剣な表情でリィンを見つめ

「ぼ、僕からもお願いします!」

「……自分からもお願いする。」

「わたくしもお願いします!」

「……あたしもエリオットさん達と同じ気持ちです。」

「私もです。―――Ⅶ組………―――いえ、この学院の誰もが同じ気持ちだと思います。」

「フッ、できる悪あがきなど知れてはいるだろうが……」

「それでも、可能性がゼロでない限り最後まで諦めたくありません。」

「同感。いっぱい練習したし。」

「そだね。それが”無かったこと”にされるなんて、滅茶苦茶腹立つし。」

「ボクもボクも!これで終わりはやだよー!」

「元より、この建物の調査は我らの役目でもありましたゆえ。」

「今回の異常事態についても私達が調べるのが筋でしょう。」

「……………………」

リィンの言葉をきっかけにⅦ組の面々はそれぞれ決意の表情でヴァンダイク学院長を見つめた。



「あんた達……」

「フッ……」

リィン達の主張にサラ教官は驚き、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「ふう……本気みたいだね。」

「やれやれ、聞いてるこっちが気恥ずかしくなってくるぜ。」

ジョルジュは溜息を吐き、クロウは呆れた表情で溜息を吐いた。



「ふーむ、意気込みはともかくこの障壁をどうするかですが……」

そしてトマス教官が結界を見つめて呟いたその時

「―――それに関しては心配無用だ。」

なんとリウイ達が近づいてきた!

「貴方達は……!」

「ええっ!?」

リウイ達を見たヴァンダイク学院長は目を見開き、トワは驚き

「エ、エリゼ!?」

「お父様!それにお母様も……!」

「イリーナさんとリフィア殿下、エクリアさんまで……!一体皆さんが何故ここに……」

「リウイお兄ちゃん♪」

リィン、プリネ、ツーヤは驚き、エヴリーヌは嬉しそうな表情をした。



「―――先程学院の方から妙な気配を感じると思っていたが、まさかこんな事になっていたとはな……」

「ええ……話には聞いていましたが、この校舎には”何か”がいるのでしょうね。」

「古代から存在している魔物か……もしくは古代兵器かもしれませんね……」

「どちらにせよ、学院の皆が楽しみにしていた学院祭を中止にしようとする等万死に値する!」

「ええ……!皆さん、楽しみにしていたのですから……!」

「……プリネ達が一生懸命頑張ったのに……許せません……!」

リウイとイリーナは結界に包まれている旧校舎を見つめ、エクリアは考え込み、怒りの表情で旧校舎を睨みつけるリフィアの言葉にエリゼは厳しい表情で頷いてペテレーネと共に旧校舎を睨んだ。



「―――リウイ陛下、先程この結界をどうにかすると仰っていましたが、何か策はあるのですか?」

「ああ。――――念の為にレンに連絡してケルディックからの応援を頼んでおいて正解だったな。」

レーヴェに尋ねられたリウイは静かな表情で答え

「へっ!?ケ、ケルディックからの応援って―――」

リウイの答えを聞いたリィンが呆けたその時!



「うふふ、皆さん、こんばんは♪」

「やあ。予定よりも早く到着してしまったよ。」

レンがアンゼリカと共にリィン達に近づき

「あ……っ!―――アンちゃん!」

「アン……絶対に来ると信じていたよ。」

「へっ、まさかこんなタイミングで来るとはな。」

アンゼリカの姿を見たトワとジョルジュ、クロウは明るい表情をした。



「アンゼリカ君、どうやらその様子だと元気でやっているようじゃな。」

「ええ、お蔭様で。私を魔王の元から連れ出してくれた可憐なる騎士(ナイト)のお蔭で中々面白い毎日を送らせてもらっていますよ。」

ヴァンダイク学院長に話しかけられたアンゼリカは口元に笑みを浮かべてレンに視線を向け

「ま、”魔王”ですか……」

「えっと……ログナー侯爵の事ですよね?」

「ア、アハハ……」

アンゼリカの言葉を聞いたセレーネは表情を引き攣らせ、ツーヤとプリネは苦笑し

「クスクス、騎士(ナイト)を務めたレンなら”白き花のマドリガル”の主役のユリウスかオスカーを務められるかもしれないわね♪」

レンは小悪魔な笑みを浮かべて言った。



「あのね……あんたみたいな悪戯っ娘があたしやクローゼと同じ役を務められるわけがないでしょう?」

するとその時聞き覚えのある女性の声が聞こえ

「えっ!?こ、この声って……!」

「ま、まさか……!」

声を聞いたエマとマキアスが驚いて後ろへと振り向くとエステル達とセリカ達が近づいてきた!



「エステル!?それにヨシュアとミントまで!?しかもあんた達は……!」

「フッ、勢揃いだな。」

エステル達を見た後セリカとエオリアの姿を確認したサラ教官は驚き、レーヴェは静かな笑みを浮かべた。



「Ⅶ組のみんな、久しぶりだね。見た所初めての人達もいるようだけど……今は時間もないようだし、自己紹介は省かせてもらうよ。」

「えへへ、ツーヤちゃん、久しぶりだね♪後で手紙にあったツーヤちゃんの妹を紹介してね♪」

「うん、いいよ。」

リィン達に近づいてきたヨシュアはリィン達を見回し、ミントは嬉しそうな表情でツーヤを見つめ、見つめられたツーヤは嬉しそうな表情で頷き

「やれやれ、相変わらず行く先々でトラブルに巻き込まれるているな、セリカは。」

「おい……今回は俺はレンに呼ばれただけだろうが。」

「……………………」

旧校舎を見つめたレシェンテは呆れた表情で溜息を吐き、セリカはレシェンテを睨み、エオリアは冷や汗を滝のように流しながら必死にジト目で見つめるサラ教官から視線を逸らし

「エ~オ~リ~ア~?何で行方不明のはずのアンタがよりにもよって”祖国に帰ったはず”の”嵐の剣神”達と一緒にいるのかしら~~~?」

「ア、アハハ……これには深い事情がありまして……いたたっ!?サラさん!強く掴みすぎですよ!?」

「エオリア!何で行方を眩ました事とか”嵐の剣神”と一緒にいる理由とか含めて後で全部話してもらうわよ!?」

「ま、まあまあ。今はそれより優先すべき事があるでしょう?」

そして威圧を纏ったサラ教官に微笑まれて肩をポンと置かれたエオリアは冷や汗を滝のように流しながら苦笑して答えを誤魔化したがサラ教官の握力によって肩を握りしめられて痛がり、エオリアを責めるサラ教官を見たヨシュアは苦笑しながらサラ教官を諌めた。



「全くエオリアさんを”使徒”にするなんて、相変わらず油断も隙もないわね!」

「ア、アハハ……最初に聞いた時は本当に驚いたよね……」

「フウ……その話を聞いた時は私も驚きましたよ……」

「わらわは正直、”使徒”になる”方法”を知って逃げ出すと期待したのじゃがな。」

エステルはジト目でセリカを睨み、ミントは苦笑し、エクリアとレシェンテは疲れた表情で呟いた。

「へっ!?し、”使徒”って……!」

「シュリ殿と同じ存在……という事か。」

一方エステルの言葉を聞いたリィンは驚き、ある人物を思い浮かべたラウラはエオリアを見つめ

「あれー?でもその人、クロスベルの遊撃士だよ?しかも現在行方不明のはずなんだけど。」

「何だとっ!?」

「何やら深い事情がありそうだな……」

首を傾げて呟いたミリアムの言葉を聞いたユーシスは驚き、ガイウスは考え込みながらエオリアを見つめ

「!!!か、可愛いっ!そこの青髪の娘と銀髪の娘、後でいっぱい可愛がってあげるわね♪」

「ふえええええ~っ!?」

「わたし達を見る目が怪しすぎ。」

興味ありげな表情をしたエオリアに見つめられたミリアムは驚き、フィーはジト目で呟き

「ハア……この様子だと”使徒”としての教育をする時、かなり骨が折れそうね……」

「フフッ、頑張ってくださいね、エクリア姉様。」

「お主だけが頼りなのじゃ!頼むからこの性格を何とかしてくれ……!」

疲れた表情で溜息を吐いたエクリアをイリーナは微笑ましそうに見守り、レシェンテは必死の表情でエクリアを見つめた。



「フフッ……――――それで状況は一体どうなっているんだい?何やら尋常ではない出来事が起こっているようだけど。」

「実は――――」

アンゼリカに尋ねられたリィンは仲間達や学院長達と共にリウイ達に事情を説明した。



「なるほど……まずはこの結界とやらをどうにかする必要がある事か。」

「中に入る事ができれば何とかできるかもしれないのに、歯がゆいですね……」

事情を聞き終えたアンゼリカは真剣な表情で悔しそうな表情をしているエリゼと共に旧校舎を見つめ

「………今までに見た事のないタイプの結界です、リウイ様。解除には少々時間がかかりそうです。」

「ならば、余の魔術で粉々に破壊してくれる!」

ペテレーネの報告を聞いたリフィアは魔術を放とうとしたが

「止めて置け。結界を破壊した際旧校舎まで破壊してしまうだろうが。―――エステル、頼めるか?」

リウイはリフィアの行動を制止した後エステルに視線を向けた。



「ええ、あたしに任せて!」

するとエステルは結界の前に近づいて棒を構え

「え~と……話を聞いていましたか?攻撃は全て吸収されてしまうんですよ?」

エステルの行動を見たトマス教官は苦笑しながら言ったが

「ハハ……まあ、見てればわかりますよ。」

「ハ、ハア……?」

苦笑するヨシュアの言葉に首を傾げた。



「―――サティアさん、フェミリンス、力を貸して!ハアッ!!」

そしてエステルは内に秘めたる膨大な神気、棒に込められているフェミリンスの加護を受けて”神”の力を解放した状態になり

「こ、これは……!」

「ふえええええ~っ!?」

「何て威圧だ……!」

エステルの状態を見たヴァンダイク学院長は目を見開き、トワとジョルジュは驚き、エステルの事情を知らない者達も全員驚くか信じられない表情でエステルを見つめた。



「ハァァァァァ………剛震撃!!」

力を溜め込んだエステルが強烈な一撃を結界に叩きつけるとその場に地震が起こると共に結界に小さな罅が入った!

「へっ!?」

「嘘っ!?」

「ええっ!?」

「……………」

それを見たリィンとアリサ、エマは驚き、エマの傍にいたセリーヌは口を大きく開けて固まり

「うーん、今のじゃ効き目はあんまりないみたいね。だったら一点集中攻撃よ!――――流れるは水!咲き始めるは桜!」

エステルは首を傾げた後罅が入った場所に凄まじい連携攻撃で集中攻撃し

「咲き上がれ!聖炎の華!奥義――――蒼流桜花聖炎華撃―――――ッ!!」

最後に”聖炎”を宿した渾身の一撃を結界に叩きつけた!するとエステルの連携攻撃によって罅だらけになっていた結界は音を立てて粉々に砕け散った!


「なんと……!」

「ええっ!?」

「あ、ありえない……!どんな攻撃も効かなかった結界をこうも易々と破壊するなんて……」

「見た所リィン君達と大して変わらない年齢なのに凄いですねー。」

「ハハ、これがかの”ブレイサーロード”の”力”か。いやはや、御見逸れしたよ。」

(ああもう!よりにもよって”最後の試し”の時に”イレギュラー”が起こるなんて!?これだと、肝心の”最後の試し”が滅茶苦茶にされるじゃない!)

結界が破壊される様子を見守っていたヴァンダイク学院長は目を見開き、トワとジョルジュは信じられない表情をし、トマス教官は呆けた表情をし、アンゼリカは苦笑しながらエステルを見つめ、セリーヌは疲れた表情でエステル達を見回していた。



「「…………………………」」

「攻撃を通さなかった結界を力づくで破壊するなんて……」

「これが”女神”の加護を受けた者の”力”か……」

一方リィンとサラ教官は口をパクパクさせ、エリオットは信じられない表情をし、ガイウスは呆けた表情でエステルを見つめ

「あ、相変わらず非常識の塊だな、エステルさんは……」

「お前達ブライト親娘はどこまで非常識になれば気がすむんだ!?」

「あの栗色の髪の娘、あの細腕にどんだけのパワーが秘められているんだよ!?」

マキアスは表情を引き攣らせ、ユーシスとクロウは疲れた表情で声を上げた。



「とても私達と同年代の女子とは思えないわよね……?」

「さすがはエステル殿だ。私もエステル殿に追いつく為にももっと精進せねばな。」

「幾ら何でも”アレ”に追いつくのは無理と思う。」

「ほえ~、まさに”化物”だね~。」

「ア、アハハ…………」

アリサは表情を引き攣らせてエステルを見つめ、感心した様子でエステルを見つめるラウラの言葉を聞いたフィーはジト目で指摘し、目をパチパチとさせているミリアムの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいて苦笑した。



「あ、あの、お姉様。エステルさんって本当に”人間”なのでしょうか?」

「う、う~ん……一応”人間”のはずなんだけど……」

「むしろ今でも”人間”なのが不思議なくらいよね……?」

「そだね。”神格者”と同等か、下手したらそれ以上の強さだし。」

「フッ、将来は確実に”剣聖”を超えるだろうな。」

セレーネに尋ねられたツーヤは冷や汗をかき、プリネが呟いた言葉を聞いたエヴリーヌは頷き、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「ま、当然の結果じゃな。」

「サティアに加えてフェミリンスの力まで付与されているのだから、むしろ壊せない方がおかしいな。」

「エステルの”本気”は初めて見たけど、とんでもなさすぎでしょ……ハア…………」

レシェンテとセリカは全く動じず、エオリアは疲れた表情で溜息を吐いた。



「ア、アハハ……皆さん、驚いていらっしゃいますね。」

「まあ、エステルさんの事情を知らない人達が見たらむしろ驚かない方がおかしいのですけどね。」

「フフッ、どんな時でも道を切り開くのがエステルさんらしいですね。」

ペテレーネとエクリアは苦笑し、イリーナは微笑み

「うむ!さすがはエステルじゃ!」

「この目で見ても正直、信じられない出来事だけど……でも、これで旧校舎の中に入れるようになったわね……!」

リフィアは自慢げに胸を張り、エリゼは明るい表情で旧校舎を見つめ

「うふふ、さすがパワー馬鹿のエステルね♪」

「あんですってー!?あたしのどこがパワー馬鹿なのよ!?」

小悪魔な笑みを浮かべて言ったレンの言葉を聞いたエステルはレンを睨み

「いや、今のを見たらそう言われてもおかしくないって。」

「アハハ……”力”で結界を壊したもんね~。」

ヨシュアは疲れた表情で指摘し、ミントは苦笑した。



「フッ…………エステル―――いや、”遊撃士協会”にトールズ士官学院の常任理事の一人として”依頼”する。これより旧校舎の異変を早急に解決する為に旧校舎の探索をする俺達やⅦ組の者達に同行し、協力してくれ。」

「オッケー!というか元々そのつもりだったし。」

「その依頼、謹んでお受けします。」

「はーい!ミント、ツーヤちゃん達の為に、一杯がんばるね!」

そしてリウイの依頼にエステル達は頷き

「………俺も力を貸す。アイドスも学院祭に参加するとの事だからな。」

「セリカが力を貸すなら”使徒”であるわらわ達も当然力を貸そう!」

「遊撃士は休業中だけど、私もセリカさんの”使徒”の一人として力を貸します。」

エステル達に続くようにセリカ達も協力を申し出た。



「ええっ!?」

「も、もしかしてリウイ陛下達やエステルさん達が僕達と一緒に旧校舎の探索をしてくれるんですか……!?」

一方その様子を見守っていたエリオットは驚き、マキアスは信じられない表情で尋ねた。

「ああ。俺達で解決しても、お前達は納得できないだろう?」

「あ、ありがとうございます……!」

「陛下の寛大なお心遣いに感謝致します。」

「やったね。戦力が超大幅にアップしたね。」

「ぶっちゃけ”チート”と言ってもおかしくないメンバーが勢揃いしすぎだろ……」

「フフ……リウイ陛下に加えてセリカ殿とも肩を並べる事ができる日が来るとはな……」

「何だかワクワクしてきたねー!」

リウイの答えを聞いたリィンは嬉しそうな表情をし、ユーシスは静かな笑みを浮かべて会釈し、フィーは明るい表情をし、クロウは疲れた表情で指摘し、ラウラは静かな笑みを浮かべ、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ

「フフッ、ザクセン鉄鉱山での恩をここで返させてもらうよ。」

「アンゼリカさん……」

「………ありがとうございます。」

アンゼリカの言葉にアリサは微笑み、ガイウスは会釈し

「―――勿論、私も微力ながら協力致します。皆さん、よろしくお願いします。」

「ああ、カシウス准将直伝の”八葉一刀流”……頼りにさせてもらうぞ、エリゼ……!」

エリゼの言葉にリィンは力強く頷き

「………………………」

(わ、私にリウイ陛下達を止められる訳がないでしょう!?無茶言わないで!)

リウイ達の同行を止めろと言わんばかりに自分を睨むセリーヌに気付いたエマは冷や汗をかいて心の中で指摘し、首を何度も横に振っていた。



「うふふ、”これ”を試す絶好の機会にもなったわね?」

「うーん、エニグマの時のクオーツが使えるとはいえ、ちょっと違和感を感じるわね……」

「まあでも、この”戦術リンク”というのは大いに役に立つわね。」

そしてリィン達にとって見覚えのある戦術オーブメントを取り出したレンの言葉を聞いたエステルは苦笑し、エオリアは静かな表情で自分の持つ新たな戦術オーブメントを見つめた。



「ARCUS……!」

「それによく見たら、リウイ陛下達もARCUSを身につけているわ……!」

「ええっ!?ど、どうしてリウイ陛下達がそれを持っているんですか!?」

リウイ達が身につけている戦術オーブメント―――ARCUSに気付いたリィンは驚き、アリサは信じられない表情をし、エリオットは目を丸くして尋ねた。



「うふふ、以前ルーレに行った時に”ラインフォルトグループ”の端末にハッキングした話はしたでしょう?その時に”ARCUS”の製造方法とかを含めた様々なデータをもらって、その改良版をティータ達と一緒に開発したのよ♪」

「ブッ!?」

レンの答えを聞いたリィンは吹き出し

「ハア……レン、貴女ね……」

「す、すみません、アリサさん……」

プリネは呆れた表情で溜息を吐き、ツーヤは申し訳なさそうな表情でアリサを見つめ

「き、気にしないで。レン姫にはザクセン鉄鉱山の時に助けてもらったし。というか改良版ってどういう事ですか?」

アリサは冷や汗をかいて答えた後不思議そうな表情で尋ねた。



「うむ!”戦術リンク”等の機能はお主達が持つARCUSと同じだが、余達が持つARCUSは現在一般的に使われている戦術オーブメント――――”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”のクオーツが使えるのじゃ!」

「嘘っ!?し、信じられない……!今まで開発されてきた新しい戦術オーブメントにつけるクオーツは互換性がなかったのに……!」

「どこまでチートなんだよ、この姫さんは……」

リフィアの説明を聞いたアリサは驚いた後信じられない表情をし、クロウは疲れた表情で呟き

「まあ、その代わりARCUSで使われているクオーツは使えないから、ARCUSで使えるアーツを使えないという欠点はあるけどね。」

レンは静かな笑みを浮かべてリフィアの説明を捕捉した。



「フフッ、博士達と共に可憐なるレン君と健気で可愛いティータ君が共に笑い合いながら開発する貴重なシーンに立ち会えた私は幸せ者だよ……!」

「アハハ……アンちゃん、レン姫と一緒に開発した技術者の人達ってそんなに凄い技術者なの?」

酔いしれた様子で呟いたアンゼリカの話を聞いたトワは苦笑しながら尋ね

「ああ。レン君はあのアルバート・ラッセル博士を含めた”ラッセル一家”と協力して私のARCUSを使って、たった2週間近くでARCUSの改良版を作り上げたんだ。」

「”アルバート・ラッセル”博士だって!?」

「”導力革命の父”と謳われているリベールの有名な技術者か……!」

「なるほどな。確かに”導力革命の父”ならばARCUSを分析し、改良版を開発できてもおかしくはないな。」

「う、う~ん……”ラインフォルトグループ”としては複雑ね……ラッセル博士がARCUSの解析をしたって言う事は”ZCF(ツァイス中央工房)”にもARCUSの情報が知れ渡っているって事だし。」

アンゼリカの話を聞いたジョルジュは驚いて声を上げ、マキアスは目を見開き、ユーシスは静かな表情で呟き、アリサは冷や汗をかいて苦笑した。



「全く、この悪戯仔猫は………相変わらず油断も隙もないわね!というか、ハッキングはクロスベルだったら違法なのよ!?」

「ハハ、ティータ達が目を輝かせて開発している姿が思い浮かんでしまうね……」

「アハハ……そうだね。まあ、おかげでミント達もレンちゃん達が開発したARCUSを貰えたけど。」

エステルはジト目でレンを見つめ、ヨシュアとミントは苦笑し

「うふふ、エレボニアでは”まだ”違法じゃないし、全く同じ物じゃないから問題ないわよ♪」

エステルの注意に対して小悪魔な笑みを浮かべて言ったレンの言葉にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいた。



「さてと。話は免れたが……”Ⅶ組”が旧校舎の探索に向かう事を常任理事の俺が許可しているのだから、文句はないな?ヴァンダイク学院長。」

「やれやれ、理事であるリウイ陛下の意向ならば仕方ありませんな。―――現在、19:45。Ⅶ組の面々は24:00までの探索を許可しよう。それ以上はさすがに”明日”に障りがあろうからな。サラ君、レオンハルト君。君達は陛下達に同行してⅦ組の生徒達を守ってやってくれ。」

「はい!」

「了解した。」

リウイに視線を向けられたヴァンダイク学院長は苦笑した後リィン達にウインクしてサラ教官とレーヴェに指示を出した。



「―――女神(エイドス)の加護を。幾ら英傑達も同行してくれるとはいえ、何があるかわかりませんからね。無理をせず退くというのも勇気のうちだと思いますよ~。」

「みんな……!くれぐれも気を付けて!わたしたちも出来る限りバックアップするから……!」

「技術棟も開けておくから整備が必要なら来るといい。それと、売店や食堂も閉めないように頼んでおくよ。」

トマス教官、トワ、ジョルジュはリィン達にそれぞれ応援の言葉を送った。



「トマス教官、会長、先輩、ありがとうございます……!」

「ヨロシク頼んだぜ!」

「それじゃあ行ってきます!」

そして多くの英傑達と共にリィン達は自分達の”明日を掴む為”に旧校舎の中へと入って行った………!






 
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