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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第八話 チート同士の対面です。

 
前書き
 チート同士の対面です。片方のチートは天下を取った気分。でも、そのすぐ足元にはもう一人のハラ黒チートが。 

 
帝国暦478年12月1日
ノイエ・サンスーシー 皇女カロリーネ・フォン・ゴールデンバウム居室――
■ アレーナ・フォン・ランディール
「カロリーネ皇女殿下におかれましてはご機嫌麗しく、ランディール侯爵家の娘、アレーナ・フォン・ランディールと申します。よろしくお願いいたします」
「妾がカロリーネじゃ。よろしゅう頼むぞ」

 あ~転生者とは思えない皇女っぷり。まぁ、赤ん坊の時からこういう環境で育てられて生きているからそうなるのかな、まぁいいか。
 カロリーネ皇女殿下はすぐに次の少女に顔を向けたから、こちらはさりげなく観察する機会に恵まれた。
 ふうん、へぇ~。美人の皇女殿下じゃない。ほっそりした横顔、茶色の髪は後ろでシニョン風にして渦を巻いて左肩前に垂らしている。青いマリンブルーの瞳は綺麗だけれど、あれは相当な我の強い性格よ、きっと。いったい前世じゃあどんな人だったのかしらね。
 転生者かどうかなんてこうやってそれとなくみてもわからないわよね。事前に情報をもってなければ。あ!あれはサビーネじゃん。サビーネ・フォン・リッテンハイム。へぇ、彼女もいたんだ。隣はそうするとエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクかな。ちょっと冷たそうないかにもっていう貴族令嬢ね。でも、サビーネはとっても明るくて快活そう。こっちを見てきたから、ちょっと微笑んでみた。そうすると向こうも安心したらしかった。うん、いい子そうじゃないの。
 エリザベートのほうはガン無視だった。ちぇっ。それにしても、サビーネってどうして金髪なんだろう?両親は「決闘者」のOVAじゃ黒髪だったみたいだけれど、劣性遺伝ってやつなのかな。
 いずれリップシュタット戦役で滅ぼされちゃうことを考えてたらちょっと胸が一杯になっちゃった。この子たちは何も悪くないのに・・・・。なんだかサビーネ見てたら私の妹を思い出しちゃった。シアーナ、どうしてるかな・・・。おっとっと、感傷に浸っている場合じゃなかったわね。

 それにしてもふっふっふ。残念だったわね、カロリーネ皇女殿下。まさか自分以外に転生者が、それもラインハルトに全面協力する転生者がいるなんて夢にも思わないでしょうね。


 しかもそれが自分の目の前にいることなんてね。


 あ~私も性格悪いわ。そんなんだから前世は晩婚になっちゃったんだから。年増アラサー独身なんて言われ続けたんだから。気を付けよう。
 ここに来たからには、できるだけさりげなくカロリーネ皇女殿下の「ご改革」の足を引っ張り続けるのが、つまり邪魔立てするのが私の役目。そういうのは全部ラインハルトが引き受けるのよ、あなたにはまだ早いわ。実を言うとね、グリンメルスハウゼン子爵、マインホフ元帥、そして二人経由で皇帝陛下には、あまり派手にやると皇女殿下が暗殺されるので、皇女殿下をあまり外に出さないでくれと焚き付けてあるの。3人ともすぐに納得。ま、これまでの歴史がいい証拠だもの。私は平気よ、だって侯爵だって言っても貴族だもの。それにランディール侯爵家は代々変わり者が(つまりリベラルってことよ。)が出ることで有名で、ブラウンさんやリッテンさんももてあましている家なんだって。ま~放っておかれて当然だし、かえってその方が都合いいよね、だって誰も担ぎ上げようなんて思わないでしょ、こんな変わり種を。
 もちろんカロリーネ皇女殿下とグリンメルスハウゼン子爵自身との接触も速攻で絶たせたわ。
 さぁ、どう出るかしら?転生者の皇女殿下?


■ カロリーネ・フォン・ゴールデンバウム
 7人の学友かぁ。あ~でもその中にサビーネ・フォン・リッテンハイムとエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクがいたのはラッキーなことね。原作だと年齢なんかわからなかったけれど、サビーネはこの世界だと8歳、エリザベートは10歳かぁ。この二人を使って両方に接近してみることにしようっと。あと、気になったのはアレーナ・フォン・ランディールって子。ちょっと他の子よりも年齢高かったけれど、すごく美人で無邪気そうだった。でもこんな子原作にいたかなぁ・・・・。あ~でも、他の貴族の子もしらない名前の子ばかりだから、わからないよね。
 あとはね~。ヒルダ姉さんやマグダレーナ姉さんを本当は引き入れたかったんだけれど、それは駄目だったなぁ。ま~私があったこともない人のことを知ってたっていうの、説明難しそうだから何も言わなかったけれどね。ちぇっ。マグダレーナ姉さんこっちに引き入れとけば、アンネローゼさんにつくのを阻止できたのに。


■ サビーネ・フォン・リッテンハイム
 まさか私が皇女殿下の侍女になれるなんて思わなかったわ。皇女殿下って優しそうでとっても素敵!いいご学友になりたいな。でも、周りの人たちはちょっと緊張しているのかな、どことなく冷たそう・・・。ブラウンシュヴァイクのエリザベート、よく知ってるけれど、こっちを冷たい目でみたっきり顔も会わせないんだもの。いとこ同士なのに。前はよく遊んだけれど、最近は遊ばなくなっちゃったからそれを気にしてるのかな。
 後、あの長い青い髪の綺麗な人、ランディール侯爵様のところの方だけれど、あの人はとても優しそう。こっちを見てちょっと笑ってくれたわ。だから少し安心できた。お姉さんになってくれないかな。


帝国歴479年3月2日――
グリンメルスハウゼン子爵邸にて
■ ウルリッヒ・ケスラー
 憲兵隊に出向していた私が急きょ特命を受けて出向を外され、グリンメルスハウゼン子爵閣下の邸に参上したのは、春の訪れが感じられる3月だった。今日は寒く、珍しく雪がちらついている。まだ三寒四温の日々が続くが、もう間もなく春の陽気となるだろう。
 もともと私とグリンメルスハウゼン子爵閣下とは、私の父親の頃からの付き合いである。父親が軍人の一少佐であったころに、グリンメルスハウゼン子爵閣下の専属の副官として赴任した時期があった。それから少年時代の私もよく閣下の邸に出入りするようになり、時には閣下とチェスをしたり、閣下の奥方にお菓子をいただいたこともあった。ご子息が皆戦死なされたのは大変おいたわしいことだ。幸いご令孫が3人いらっしゃっているが、そのうちの一人がこの度女性士官学校に入校したそうで、私にそのエスコートをしてほしいとの仰せであった。

「急にすまんのう。孫めをどうしても士官学校に進ませたいと思っておってな。卿しか頼る者がおらなんだ。色々と思うところはあるかもしれんが、どうか老人の頼みを聞き入れてもらえんだろうか」

 パチパチと心地よさそうにはぜる暖炉のそばに、心地よさそうな肘掛椅子に収まり、毛布を膝にかけながら閣下はおっしゃった。

「小官は父の代から閣下の恩義を受けております。ご恩返しの一端と思し召し、どうか遠慮なさらぬようお申し付けいただければ」
「すまんのう」

 閣下はそう言ったかとおもうと、不意にこっくりこっくりと頭を前後させた。長い付き合いでこうしたことも日頃聡明の閣下の狸寝入りとわかっている。私にすら時折そうした演技を見せるところは、グリンメルスハウゼン子爵閣下の深慮の深さを示すものであろう。

「お気になさいますな。では、さっそく準備にかかります。閣下のご令孫におかれましては、いつ頃小官とお会いになりますでしょうか?」
「ちょうどいま我が邸にきておる。卿さえよければ、早速会うように取り計らうがいかがじゃ?」
「大丈夫でございます」
「む」

 閣下はそううなずくと、青い長い髪の少女・・・いや、年齢からすると女性と申し上げてもいいのかもしれないが、少女に目を向けた。そういえば、この少女は縁戚の方だろうか、グリンメルスハウゼン子爵閣下に寄り添うようにして暖炉のそばの椅子に座っておられる。

「グリンメルスハウゼンおじいさま、では、お呼びしてまいりますね」
「すまんのう」

 少女が部屋を出ていくと、閣下はこちらに視線を戻し、例の好々爺の顔つきになって笑い声をおたてになった。

「ほっほっほ。残念じゃがあれは孫ではないのじゃよ。ランディール侯爵家のご令嬢をお預かりしているのじゃ」
「ランディール侯爵家のご令嬢ですか?はて、ランディール侯爵家のご令嬢といえば、昨年宮中に上がられたと伺っておりますが?」
「ちと思うところがあっての、あれは時たまに抜け出してきてこうして儂とあっておるのじゃよ」

 おそれおおいことだが、一瞬閣下があたらしい愛人をおつくりになったのではないかと思ってしまった。

「違うの。ケスラーよ。儂は残念ながら、もうそのような放蕩を行える年齢ではないでな」
「失礼いたしました」

 思わず頬が赤くなってしまった。閣下にはかなわない。

「実を言うとな、此度の女性士官学校、あれの建校を進言したのは、あれなのでな」
「ランディール侯爵家のご令嬢が!?」

 まさかと信じられなかったが、このような時に冗談を言う閣下ではない。

「うむ。じゃが、あれも必要以上に出しゃばらぬ。出る杭は打たれるという考えをもっておるでな。それでいて儂と話すときにはの、今の帝国ではなく、5年、いや、10年先を見据えたような話しぶりじゃ。残念じゃの、この帝国の体勢がもう少し軽ければ、あれは宇宙をはばたき、自由に駆ける英雄となれたじゃろうに」

 グリンメルスハウゼン子爵閣下がそこまで激賞することなどめったに、いや、初めてと言っていいのかもしれない。

「儂の孫を士官学校に入れるのはの、いずれあれの手助けをさせるためなのじゃよ」
「ほう?」

 ご自分のかわいいご令孫をそこまでとは、先ほどの女性はよほどの器量の持ち主なのだろう。

「じゃが、あれはそれを断りおった。自分は上に立つべき器量はない、自分にはいずれお仕えするべき人がいるのだとくどいほど申しておる。それが誰かということはあれは教えなんだでな」

 閣下はゆっくりとテーブルわきのカップを取り上げると、お茶をすすった。

「ケスラーよ」
「はっ」
「荷が重かろうが、どうかあれも気にかけてやってほしい。そしてあれが持つ大望を成就できるよう手を授けてやってほしいのじゃ」
「それが、どのような願いでも、でしょうか?」

 私がこういったのは、ある意味危険なことだったのかもしれない。言葉には出さなかったが、それが忌まわしい野心の開放になるというのであれば、私はそれを断る気でいる。

「それは卿が見極めることじゃの」

 閣下のお答えは私には予想できたものだった。よろしい、ならば私はあの女性の力量を見極めることとしよう。



■ エステル・フォン・グリンメルスハウゼン
 アレーナお姉様がいらっしゃった。私をおじいさまがお呼びだとおっしゃっている。でも、お姉様、私とても不安なのです。私はお父様みたいに勇敢な軍人ではなく、ただの内気な女だというのに、そんな私に士官学校に入校せよとはいったいどういうお考えなのでしょう?

「不安なのね。それもそうよね。環境もガラッと変わるし、人も貴族じゃなくて色々な人が来ているし、人見知りのあなたには大変な環境だろうと思う」

 お姉様はまるで平民みたいな話し方をなさるけれど、でも、社交辞令で飾り立てている貴族の方々と違って、そのお言葉にはお気持ちがたくさんあふれていらっしゃった。

「ええ、不安なのです。私はそれほどできるほうではありませんわ。体力にだって自信はありません。そんなわたくしが士官学校に入校して、順応できるのかと不安で仕方ありません」

 私が小さいころから本当の姉妹の様にして接してくださっているお姉様は、そっと私のダークグレーの波打つ髪を梳いてくださった。私の気持ちが静まる一番の療法。

「エステル。あなたはまだ外の世界のことをあまり知らないでしょう?」
「いいえ、貴族の社交界には出させていただいていますし、パーティーにも出席していますわ」
「違うわよ。そうじゃなくて、あなたはこのオーディンのこと、平民たちがどんな暮らしをしているかということ、これまでの歴史、そしてこの宇宙が一体どういう風になっているのか、それを知っている?」
「それは・・・・」

 そう言われると、私は自分の知識がいかに狭いものかを思い知らされた気分になりました。

「ごめんね、こんな言い方をしてごめんね。でもね、私はあなたを『妹』として思っているわ。だからあなたには貴族令嬢としてではなく、何かあった時に自立していけるだけの知識と力量を身につけていってもらいたいのよ」


■ アレーナ・フォン・ランディール
 恥ずかしそうに俯いたエステルの白いうなじに血が上っている。深層のご令嬢、可憐な子だ。でもね、エステル。これからはそうした貴族令嬢が生きていける時代ではなくなるのよ。せめて私にできることは、あなたに自活する知識と力量を習得してもらえるチャンスを作ってあげることなの。
 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフになれなんて言わない。あなたはあなたのやり方で、これからの波乱に満ちた人生を生き抜いて。

 それが私のあなたへの願いなのだから。

 な~んて、ちょっと柄じゃなかったかな。
 
 

 
後書き
 アレーナの方はケスラーの顔を知っていますが、それは邸内でのすれ違いざまに目ざとく見つけたからなのです。ケスラー本人は残念ながらその時のことを覚えていなかったようで。
 ま、でも今回で顔合わせはできたわけなので、良かった良かったなのです。 
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