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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第117話

~”紅の方舟”グロリアス内~



エステル達がドルン達が捕えられている場所に急いでいると、突然、エネルギー障壁が起動して、エステル達の行く先を阻むかのように目の前に現れた。

「な……!?」

「ど、どうなってるの!?」

突然現れた障壁にエステルとジョゼットが驚いたその時

「クク……やっと捕まえたよ。」

なんとギルバートがエステル達の背後に現れた。

「ギ、ギルバード!?」

「あ~!元秘書さんだ~!」

「……この状況でよく生き残っていたな……」

ギルバートの登場にエステルとミント、ヨシュアは驚いた。

「まさか君達がこんな酷い事をするとは思わなかったよ……君達は鬼か悪魔か!?」

「ちょっと。あたし達は艦内の制圧には一切手を貸していないわよ。一緒にしないでくれる?というか学園を襲ったあんたにそんな事言われる筋合いはないわ!」

ギルバートの言葉を聞いたエステルは呆れた表情で指摘した。

「う、うるさい!こうなったら君達を人質にして、”アルセイユ”を手に入れてやる!」

エステルの言葉を聞いたギルバートは強がった様子で答えた。

「あれ……。……ねえコイツ、あんたたちの知り合いなの?」

一方事情を知らないジョゼットがエステル達に尋ねた。

「うん。汚職市長の元腰巾着であたしたちが捕まえたんだけど……」

「クーデターの時の混乱で脱走して”結社”に身を投じたらしい。」

「あはは、やっぱりそっか。ボクたちと同じく、レイストン要塞の地下に捕まっていた市長秘書だよね?『僕は無罪だ!』とか言って泣き喚いていたからよく覚えてるよ。」

エステルとヨシュアの説明を聞いたジョゼットは笑いながら答えた。

「なっ……!?」

「え、えーっと……。まあ、そんなに気にする必要ないと思うわよ?そういう情けない経験を糧にして人って成長するもんだと思うし……。……そんな格好をしてる時点で糧にはなっていないみたいだけど……」

「あ、あはは………」

ジョゼットの話を聞いたギルバートは驚き、笑いを堪えながら言ったエステルの言葉にミントは苦笑していた。

「……エステル。全然フォローになってないよ。」

そしてヨシュアが呆れた表情で指摘した。

「き、き、貴様ら、どこまで僕をコケに……。いいだろう……もう手加減などしてやるものか……。この新・ギルバードの力、思う存分見せつけてくれるわッ!」

エステル達の会話に怒ったギルバードが手を上げると、奥から獅子の形をした人形兵器が現れた。

「な、ななななっ!?」

「き、機械仕掛けの獅子!?」

「”十三工房”の新型か……!」

「ハハハ、獅子型人形兵器、”ライアットアームズ”だ!その驚異の性能に戦慄するがいいッ!」

そしてエステル達は戦闘を開始した。人形兵器は手強かったが、ギルバートは一瞬で倒した為、人形兵器を倒す事に専念できたお蔭で楽勝で倒した。



「ば、馬鹿な……。この僕が……新・ギルバードが……」

「あ、あの~、ちょっといい?確かに今までの人形兵器より段違いに強力だったけど……」

「でもそれって、あんた自身が強くなったわけじゃないんだよね?」

信じられない表情で地面に跪いて呟いているギルバートに首を傾げたエステルと呆れた表情のジョゼットが指摘した。

「え……」

「確かに、『新』というのは少し違うような……?秘書さん、前と一緒で弱かったもん。」

「ぐはっ!?」

さらにミントの言葉を聞いたギルバートは図星をつかれた表情をした。

「後、止めを刺すようで悪いけど……あんた出世がしたかったのよね?」

「当たり前だ!僕はエリートなんだぞ!?」

遠慮気味に尋ねたエステルの言葉にギルバートは答えた。

「えっと……自慢するみたいであまりいい気持ちじゃないけど、実はあたし、メンフィルの貴族になっちゃったのよね~♪」

「なっ!?」

「しかもママは”侯爵”っていう爵位をもらったんだよ!」

「パクパク……」

エステルとミントの言葉を聞きギルバートは驚いた後、口をパクパクさせた。

「そういうミントだって、メンフィルの貴族じゃない。」

「フフ……そうだったね。」

エステルの言葉を聞いたミントは微笑みながら答えた。

「ま、そういう訳だから真面目にやっていたらいつかは出世できるのよ。あたしとミントは元々平民だけど、実際貴族になれたんだから。特にミントはあんた達が燃やした孤児院の出身よ?」

「なっ!?」

エステルの言葉を聞いたギルバートは信じられない表情をした。

「いや、君達の場合、普通の人達と違って特殊過ぎるんだけど……」

一方エステルがギルバートに言った言葉を聞いたヨシュアが呆れた表情で指摘したその時



「……ぎゃふん。」

ギルバートはその場に崩れ落ちて、気絶した。

「「あ。」」

「え。」

それを見たエステルとミント、ジョゼットは呆けた声を出した。

「さ、さ~てと。障壁もなくなったようだし、牢屋に戻ろっか?」

「そ、そうだね……」

「うんうん。兄貴たちを出してあげないと。」

(さすがに可哀想かな……特にエステル達の事はショックだろうな……自分の生き方を全否定されたようなものだし。)

倒れたギルバートから目を背けて会話をしているエステル達を見たヨシュアは倒れたギルバートに視線を向けて哀れに思った。

「……けど、今の状況を思い出したけどこいつ、どうする?このままだとレン達やメンフィル兵達に殺されちゃうわよ?こんな奴でもさすがに殺されるのは可哀想に思うし。」

「……そうだね。拘束してアルセイユに連れて行った方がいいかもしれないね。もしかしたら僕達の知らない情報を持っているかもしれないし。」

エステルの疑問にヨシュアが答えたその時

「それは困っちゃうなあ。」

なんとカンパネルラがギルバートの背後に現れた!

「あ!」

「……まだ艦内にいたのか。」

カンパネルラの登場にエステルは驚き、ヨシュアは真剣な表情で呟いた。

「うふふ……………まさかここまで予想外の事をされると、さすがのこの僕でも笑えないよ。」

カンパネルラは口元は笑っていたが、目は笑っていなくエステル達を睨んだ。

「ミント達に報復をするつもりなの!?」

「……片腕を失った状態で僕達とやりあうつもりかい?しかも騒ぎに気付かれたら、艦内の”覇王”達やメンフィル兵達がこちらに来るかもしれない状況で?時間が経てば経つほど僕達が有利になり、逆に君は不利になるよ?第一、君の今の状態なら僕達でも制圧は容易に可能だ。」

「うふふ、こっちの図星をついてくるね♪」

カンパネルラの言葉を聞いたミントは身構え、ヨシュアも油断なく武器を構えた状態でカンパネルラを睨んで尋ねた。ヨシュアの言葉を聞いたカンパネルラは不敵に笑った。

「へ……?あ……!」

「う、腕がない……!」

ヨシュアの言葉を聞いたエステルはカンパネルラをよく見て、片腕がない事に気付いて驚き、ジョゼットは信じられない表情をした。



「そういえばレン達が片腕を破壊したって言ってたわね……」

「フフ………本当はやりあうつもりはなかったんだけどね。向こうが問答無用で襲い掛かって来て、逃がしてくれない様子だったから仕方なく相手したんだけど、全然敵わなくてね。やっと逃げれたと思ったら、ご覧のありさまさ。……彼女達はどちらかというと”こちら側”だから誘ってみたんだけど、迷う事もなく断って、理由を尋ねても一切答えずいきなり襲い掛かられた時はショックだったよ~。」

エステルが呟いた言葉を聞いたカンパネルラは不敵に笑った後、疲れた表情で答えた。

「あっそ。それはご愁傷様。(ま、レン達が裏切る訳ないわよ……レンはリウイ達の事を大切な”家族”として見ているし、後の2人はリウイにベタ惚れだから、あの3人がリウイを裏切るなんて天地がひっくり返ってもありえないわ~。)で?あたし達と戦う気?」

「まさか。前にも言ったけど僕は”見届け役”。君達と積極的に戦う気はないし、第一この状況だとまず生き残る事と脱出手段を確保する方が優先だしね。それにヨシュアの言う通り、片腕を失った状態で君達と戦っても勝ち目がないしね。………ギルバート君と共にここは失礼させてもらうよ。彼はいじりがいがあるし、この状況で生き残った事はある意味凄いしね♪」

そしてカンパネルラは指を鳴らした。すると、カンパネルラとギルバートは消えようとした。

「じゃあね♪せめて、真の最終幕を楽しみに見させてもらうよ♪」

カンパネルラは楽しそうな表情で言いながらギルバートと共に消えた。

「また、逃げられちゃったね………」

「う~ん……弱っていたし、拘束する絶好のチャンスだったんだけど、今は他にやるべきことがあるしね。」

カンパネルラ達が消えた後ミントは残念そうな表情で呟き、エステルは残念そうな表情をした後、気を取り直した。

「そうだね。牢屋に急ごう。」

エステルの言葉にヨシュアは頷いた。その後エステル達は急いで牢屋に向かった。



~監禁室~



「―――認証しました。ロックを解除したい障壁の番号を選んでください。」

ヨシュアが牢屋の傍にある端末にカードをあてると、端末から機械的な声が出て、そしてヨシュアはある番号を選択すると、ドルン達の目の前の障壁が消えた。

「おお……!」

「た、助かった……!」

「キール兄ぃ、ドルン兄ぃ!」

障壁が消え、牢屋から出て来たドルン達をジョゼットは嬉しそうな表情で駆け寄った。

「ジョゼット……」

「ヘヘッ……。お前らにも、でかい借りを作っちまったようだな。」

キールは優しそうな笑顔をジョゼットに向け、ドルンは笑いながら言った。

「いや、お互い様だよ。」

「そうそう、前に脱出した時にはこちらが助けてもらったんだし。」

ヨシュアとエステルが答えたその時

「ギャアアアアアアーッ!?」

耳をつんざくような悲鳴が聞こえた!

「な、なんだぁっ!?」

その声を聞いたドルンは焦った様子で周りを見回した。

「……どうやらまだ生き残っている猟兵がメンフィル兵達に討ち取られたみたいだね……」

「はあ?なんでこんな所にメンフィルがいるんだ??」

「っと、そうだ。早くここから脱出するわよ!」

ヨシュアが呟いた言葉を聞いたキールは訳がわからない様子で尋ね、一方エステルは状況を思い出し、ドルン達を促した。

「う、うん……!」

エステルの言葉にジョゼットは頷いた。

「よーし……いっちょ逃げるとするか!野郎ども、遅れるんじゃねえぞ!」

そしてドルンは部下達に号令をかけた。

「アイアイサー!」

その後エステル達はグロリアスから脱出し、地下道を通って居住区画まで戻ってきた。



~グロリアス内・聖堂~



エステル達が脱出したその頃、リウイはルースから報告を受けていた。

「リウイ様、艦内にいる猟兵及び人形兵器達の殲滅、完了しました!」

「……こちらの被害はどれぐらいだ?」

「軽傷の者などはいますが、重傷者、死傷者共に出ていません。我等の奇襲がよほど驚いたのか、満足な抵抗もしてこなく、むしろ我等に背を向けて逃亡する者が多かったそうです。それとレン様達が少なくとも艦内の敵戦力の凡そ半分を殲滅しましたので。」

「そうか。それで”グロリアス”は動かせそうか?」

ルースの報告に頷いたリウイは尋ねた。

「ハッ!シェラ殿率いる機工軍団の者達、そしてレン様によっていつでも動かせる状況です!」

「レンが?……いつの間にそんな技術を身に着けたのだ?」

「それが………シェラ殿達の操作を見ていたら、自分でもできると判断してシェラ殿達と共に操作を始めたら、見事できたのです。」

「そうか。(これも”教団”の例の”実験”の影響か?)後で褒めてやらないとな。……工作部隊に通達。猟兵達の死体から鎧をはぎ取って、同じ鎧を作成しろと。そしてそれをグロリアス内にいる我が軍の兵達に今の鎧とその作成した鎧を着ておくようにグロリアスを守る兵達全員に通達しておけ。」

「ハッ!……しかし、なぜそのような事を?」

リウイの指示に敬礼したルースは尋ねた。

「上手くいけば事情を知らない”執行者”達や”教授”を闇討ちできる可能性があるしな。」

「なるほど………承知しました!工作部隊の他にも、艦内にいる兵達にも鎧を作成するのを手伝わせ、迅速に命令を遂行させます!」

「ああ。それと本来ならシェラの役割だが、あいつはモルテニアの指揮に必要だから、グロリアス内の兵達の指揮はお前に任せるぞ、ルース。」

「ハッ!」

リウイの指示にルースは敬礼をして答えた。そしてリウイは仲間達と共にモルテニアに戻った。一方その頃、エステル達は空き家でドルン達と情報交換を始めた。



~居住区画・空き家~



「―――そんなわけで俺たちは”山猫号”の修理をとっとと始めちまうつもりだ。幸い、材料は調達してあるから何とかなるとは思うんだが……」

「機体はともかく問題は例の『導力停止現象』だ。要するに、無理して飛んだとしても都市から離れた途端に墜落するんだろ?」

ドルンは状況を説明し、キールは溜息を吐いて答えた後、真剣な表情で尋ねた。

「うーん……。『零力場発生器』の大型版がないとそうなっちゃうと思うわ。あるいはリウイ達みたいに”魔導”で動かすしかないし。」

「アルセイユのラッセル博士に応援を頼んでおこうか?」

2人の話を聞いたエステルは考え込み、ヨシュアは尋ねた。

「ま、都市の中なら導力通信も使えるみたいだから必要ならこちらから連絡するさ。それよりも、お前らの方はこのまま”輝く環”を探すのかよ?」

「うん、そのつもりだよ。」

「それがこの浮遊都市に来たあたしたちの本当の目的だし。」

「あ、そういえばそんな事も言ってたっけ……。宝探しとかじゃなかったんだ?」

「あのね……あんたたちと一緒にしないでよ。」

キールに尋ねられた答えたヨシュアとエステルの言葉を聞いて聞き返したジョゼットをエステルは呆れた表情で見た。

「……だったら、ジョゼット。お前、このままヨシュアたちと一緒に行動したらどうだ?」

「えっ……!?」

エステル達の話を聞いて考え込んでいたキールの提案にジョゼットは驚いた。

「”山猫号”の修理は俺たちだけでも充分だからな。お前にはどちらかっていうと情報収集をしてもらいてぇのよ。」

「あ、なるほど……」

「確かにこうなった以上、アルセイユとモルテニア、山猫号の間の連絡役も必要になりそうだし……。いいかもしれないね。」

「うん、あたしも同感。”結社”に対抗するためには味方は一人でも多い方がいいしね。ジョゼットだったらサポート役としても信頼できるし、来てくれたら助かっちゃうわ。」

ドルンの説明を聞いたジョゼットとヨシュア、エステルは納得した表情で頷いた。



「………………………………」

一方エステルの言葉を聞いたジョゼットは呆けた表情でエステルを見た。

「あれ、どうしたの?」

「いや、その、何て言うか……」

エステルに尋ねられたジョゼットは小声でヨシュアに尋ねた。

(……ねえヨシュア。これって本気で言ってるわけ?)

(はは……そういう子だからね。)

(アタマ痛くなってきた……)

「な、なによ。その微妙に呆れた顔は?」

ヨシュアの話を聞き呆れている表情をしているジョゼットに気づいたエステルは尋ねた。

「いや、微妙じゃなくて思いっきり呆れてるんだけど。」

「あ、あんですって~!?」

「ガッハッハッ。どうやら話はまとまったか。」

「それじゃあ俺たちは”山猫号”に戻るぜ。ジョゼット。くれぐれも気をつけろよ。」

「あ、うん……。兄貴たちも気を付けてよね。多分大丈夫だと思うけど、もしかしたら”結社”の”執行者”っていう連中が襲ってこないとも限らないし。」

「ガハハ、心配するなって!」

「ま、せいぜい気をつけるさ。」

ジョゼットの心配にドルンは豪快に笑い、キールは口元に笑みを浮かべて答えた。



その後エステル達はキールがたまたま猟兵達の会話で聞いたパスワードらしき言葉を聞き、その言葉を入力するとロックされた地下道が開いた。そしてエステル達は一端補給やメンバー編成の為にアルセイユに戻っていった………
 
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