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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第173話

~鳳翼館・ロビー~



「フウ…………」

「あれ……あそこにいるのは……―――アンゼリカ先輩!?」

ロビーのソファーで一人で酒を飲んで月を見上げているアンゼリカに気付いたリィンは驚いた後アンゼリカに近づいた。



「やあ、君か。こんな時間まで夜更かしかい?」

「ハハ、アンゼリカ先輩こそ…………ロビーで何を?」

「なに、ひとっ風呂浴びたら夜景を眺めたくなってね……せっかくだから、君も一緒にどうだい?飲み物くらいは奢らせてもらうよ。」

「えっと……(先輩、何だかいつもと雰囲気が違うような……?)」

アンゼリカに誘われたリィンは戸惑いの表情でアンゼリカを見つめた。



「おや、どうしたんだい?」

「あ………いえ。それじゃあ、お言葉に甘えて。」

そしてリィンはソファーに座ってアンゼリカと向かい合った。

「そうこなくっちゃ。フフ、君とサシで話すのも久しぶりな気がするね……学院生活は楽しめているかい?」

「ハハ……半年も過ぎたのに、まだまだ忙しいままで……でも、学院祭も近づいて、凄く充実しているのは肌で感じています。」

アンゼリカの問いかけにリィンは苦笑した後口元に笑みを浮かべて答えた。



「それは何よりだ……色々あったが、実習結果も学業も頑張っているみたいだし、順風満帆って感じじゃないか?」

「まだまだですよ。気がかりなことも同じくらいありますしね……」

「君の……”力”の事かな?」

「え―――わ、わかるんですか!?」

アンゼリカに指摘されたリィンは驚きの表情で尋ねた。



「大まかな事情は聞いているからね。故郷に戻って改めて自分を見つめ直してみたら、更にドツボにはまってしまった……そんな顔をしているよ。」

「……先輩の言う通りです。自分が何なのか、進むべき”道”はどこにあるのか……ここに来て、またわからなくなってしまいました。」

「フフッ、焦る事はないさ。君はまだ1年生だ。時間はたっぷり残されているし、仲間達もいる。親しい仲間となら、どんな事でも乗り越えられる。君は……”Ⅶ組”で過ごしてきて、そんな気持ちになったことはないかい?」

「それは……あります。」

「フッ、なら大丈夫だ!その気持ちを是非とも大切にするといい。答えなんて、仲間と学院生活を過ごす内にいつの間にか見つかるものだよ。今しか手にできないかけがえのない物……それが”青春”ってものだからね~♪」

「?」

自分の答えを聞いた満足げな表情をしているアンゼリカをリィンは不思議そうな表情で見つめた。



「おや?さすがにクサかったかな?」

「あ……いえ。もしかしてですが……先輩こそ、何か抱えているんじゃありませんか?」

「フフッ、いつ言おうかと思っていたが……君からチャンスをもらうとはな……

リィンに問いかけられたアンゼリカは苦笑しながらリィンを見つめた後姿勢を正して口を開いた。

「―――リィン君、折り入って頼みたい事がある。」

「は、はい。」

「私の導力バイク……君が貰ってくれないか?」

「な……あ……っ!?」

アンゼリカの突然の頼みにリィンは信じられない表情をした。



「意味は……君ならわかるだろう?」

「もしかして……士官学院を辞めてしまうんですか!?」

アンゼリカに問いかけられたリィンはある事を察して血相を変えて尋ねた。

「……この旅行から帰り次第な。我が親父殿は昔から頭が固くてね……先月の鉄鉱山の件で私がでしゃばったことが大層気に喰わなかったらしい。」

「”四大名門”の一角……ゲルハルト・ログナー侯爵……」

「勝手に退学届けを出されてしまってね。どうやら……しばらく自宅謹慎に処されるつもりだったようだ。」

「そんな……!何とかならないんですか!?学院長達の力を借りれば……!」

アンゼリカの説明を聞いて信じられない表情をしたリィンは血相を変えてアンゼリカを見つめた。

「フフ、この話には続きがあってね。リィン君は鉄鉱山で領邦軍がレン君やあの巨大な人形兵器―――確か”パテル=マテル”だったか。それを攻撃した件は覚えているだろう?」

「え、ええ……後でログナー侯爵に抗議するような事を口にしていましたが……」

「そのレン君が領邦軍の凶行を黙る代わりに出した条件が私がレン君の下で6年間働くという条件で、親父殿は私を謹慎させるよりそっちの方が色々と”得”になると思って、レン君の提案を受け入れたんだよ。」

「ええっ!?レ、レン姫が!?い、一体どうして……」

アンゼリカの話を聞いたリィンは信じられない表情で尋ねた。



「さてね……彼女の真意は私もわからないが、可愛くて小悪魔な天才仔猫ちゃんの”気まぐれ”のお蔭で謹慎の身を免れたんだ。私を連れ出し、6年もの猶予を与えてくれた彼女には感謝しているよ。」

「そうですか…………」

「学院長の配慮で休学扱いにはなったが、実質退学同然だ。彼女なら事情を話せば導力バイクを私の手元に置いておくことも許可してくれるかもしれないが、あれはトワ達と一緒に作ったバイクだから、学院を離れる私の手元に置くのではなく、私達の意志を継ぐ学院の誰かに託したいと思っている。」

「先輩…………」

「私達の試験運用を元に立ち上げられた”Ⅶ組”……そのリーダーである君になら安心して任せられる。受け取ってくれないか?」

「…………すみません。少し……考えさせてもらってもいいですか?」

アンゼリカの頼みを聞いたリィンは考え込んだ後申し訳なさそうな表情で答えた。



「勿論さ。後、学院祭はレン君に頼んで何とか行くつもりだ。そちらも仲間とせいぜい頑張りたまえ。」

「はい……!」

「フフッ、話に付き合ってくれて感謝するよ。」

「いえ、こちらこそ。相談に乗って頂いたお蔭で、気が楽になりました。」

「それは何よりだ。それじゃあ、良い夢を。」

「おやすみなさい。――――ハア……ユン老師にアンゼリカ先輩……宿題、ちょっと多すぎだろ……」

アンゼリカを見送ったリィンは疲れた表情で溜息を吐いた後温泉に向かった。



~脱衣所~



(この時間は混浴だけど、さすがに誰も入っていないだろうから、考え事にはもってこいだし…………)

脱衣所で服や下着を脱いでタオルを付けたリィンは露天風呂に向かった。



~露天風呂~



「あら?他にも誰か来た―――――え”。」

「え――――なあああああああっ!?ア、アリサ!?」

露天風呂につかっているアリサと目が合ったリィンは驚き

(アハハハハハハハッ!温泉ならではのこの展開を待っていたわよ♪さすがご主人様♪期待を裏切らないわね♪)

(ふふふ、ですが対面した相手が既に身体を交えた相手だから、まだマシですね……)

(そ、そう言う問題でしょうか……?)

その様子を見守っていたベルフェゴールは腹を抱えて大声で笑い、静かな笑みを浮かべるリザイラの言葉にメサイアは冷や汗をかいた。



「キャアアアアアッ!?お、女風呂に入ってくるなんて、な、何のつもりよ!?」

「ま、待ってくれ!?こ、この時間は”混浴”なんだ!」

「へ?こ、混浴??」

そしてリィンはアリサに今の時間の露天風呂は混浴である事を説明した。



「そ、そうだったんだ……ごめん、リィン……確認もせずに悲鳴を上げちゃって……」

「いや、こっちこそ確認を怠っていたよ……そ、その俺はあがるからアリサはゆっくり入ってくれ。」

申し訳なさそうな表情をしているアリサの言葉に疲れた表情で答えたリィンはその場から去ろうとしたが

「べ、別にそこまでしなくていいわよ!それによく考えたらリィンには私の裸を何度も見せているどころか、身体も重ね合っている仲だから、不幸中の幸いだったわね。さっきまでラウラも一緒に入っていたんだから、その時にリィンが来たらタダじゃすまなかったと思うわよ?」

「そ、そうか……ハハ…………」

アリサの話を聞いて露天風呂でラウラと対面した時に起こるであろう出来事を想像したリィンは表情を青褪めさせながら苦笑した。



「そ、そうだ、リィン。悲鳴を上げたお詫びとルーレで私を元気付けてくれたお礼に身体を洗ってあげるから、ちょっとそこに座って。」

「へ?い、いいよ!というか身体ならさっき自分で洗ったし………」

「い、いいから座りなさい!でないとリィンのご両親にリィンが私だけじゃなく、エリゼ達やベルフェゴール達と肉体関係の間柄である事をバラすわよ!?」

「う”っ!?わ、わかった。座るからそれだけは勘弁してくれ……」

アリサの謎の脅迫に表情を引き攣らせたリィンはアリサの言う通り、身体を洗う場所に置いてある椅子に座り、アリサはリィンの背後に来た後何とバスタオルを外して生まれたままの姿になり、身体にシャンプーを塗って全身を泡だらけにし始めた。



「?(何で自分の身体を洗っているんだ……?)」

背後から感じるアリサの様子を気配で感じていたリィンは不思議そうな表情をし

(も、もしかしてアリサさん……)

(ふふふ、結界を張った方がよいのではないですか?)

(どうやらそのようね♪)

アリサの行動を見てある事を察したメサイアは表情を引き攣らせ、リザイラに言われたベルフェゴールは頷いた後結界を展開した。



「お待たせ。じゃあ、洗ってあげるわね……」

そして全身泡だらけにしたアリサはリィンに背後から抱きつき

「ちょっ、ア、アリサ!?な、ななななな、何を!?」

泡だらけになった裸のアリサに抱き付かれたリィンは背中から感じる柔らかな感触に混乱し始めた。

「フフ、たくさん奉仕をしてあげるわね、リィン………」

その後アリサに奉仕されたリィンはそのまま流れでアリサと何度も身体を交えた。



「もう、リィンったら、相変わらず絶倫すぎよ……何度出しても硬いままなんだから……もしかして話にあったリィンの奥底に秘められている”力”が関係しているのかしら?」

「い、いや、さすがにそれはないと思う…………ん?」

”事”を終えた後自分と一緒に肩を合わせて温泉に入っているアリサに見つめられたリィンはアリサから視線を逸らして答えた後何かが降ってきた事に気付いた。



「あら?花びら?…………これって…………雪!?」

「まさか……!まだ10月初め……幾ら何でも早すぎる!一体どうなっているんだ……!?」

降ってきたものが雪だと気付いたアリサは驚き、リィンは信じられない表情で声を上げた。



そして翌日…………


 
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