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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第165話

その後、リィン達はARCUSでアンゼリカ達とツーヤ達と連絡を取り―――都市上層の外れにある整備室に集まるのだった。



~ルーレ市・整備室地下~



リィン達がエレベーターで地下に降りるとザクセン鉄鉱山へと通じる通路を見つけた。

「まさかルーレ市から鉄鉱山まで直通する連絡道があったとはね。さすがはグエンさん。深謀遠慮の賜物だな。」

通路を見たアンゼリカは感心した様子で呟いた。



「アンゼリカ先輩、グエンさんともお知り合いだったんですね。」

「お祖父様がルーレにいた時は結構気が合ってましたよね。」

「ああ、女性の口説き方やら盛り場の作法まで―――おっとっと。まあ、色々な嗜みの師匠だね。」

アリサに視線を向けられたアンゼリカは答えかけたがすぐにある事に気付いて言い直し、アンゼリカの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいた。



「まったくお祖父様ったら……」

「うーん、なかなか気が合いそうな爺さんだな。」

「まあ、その人がいたからこそアンも今以上に道を踏み外さなくて済んでいるのかもしれないね。」

「あはは、それは確かに。」

「笑い事じゃないでしょう……」

ジョルジュの指摘に笑顔で答えたアンゼリカの様子を見たマキアスは呆れた表情で指摘し

「うーん、つくづくスケールの大きい先輩たちというか……」

エリオットは苦笑しながらアンゼリカ達を見つめた。



「それで、どうだい?」

そしてアンゼリカに言われたジョルジュは予め用意していた折り畳み式の椅子に座って端末を操作し始め

「よし―――これで完了だ。」

ジョルジュが端末の操作を終えると近くに置いてあるアンテナがついている何かの装置から導力波が出始めた。



「これは……」

「導力波のアンテナ……?」

その様子を見守っていたリィンとフィーは不思議そうな表情をした。

「工科大学で研究中のものを何とか借りてきたんだ。指向性の導力波を飛ばすことで通信の範囲を広げるもので……ARCUSの通信機能が鉱山でも使えるようになるね。」

「それって……」

「本当ですか!?」

ジョルジュの説明を聞いたエリオットは目を丸くし、アリサは驚きの表情で声を上げた。



「ああ、トワの方でも各方面の状況を調べてくれてるからね。僕はここで、司令・中継役として様々な情報を送らせてもらうよ。―――危険な状況になったら撤退も指示をするから従うように。」

「……了解しました。」

「でも、バックアップの存在は正直助かる。」

「ま、コイツに任せておけば背後の方は問題ねぇだろ。」

ジョルジュの話にリィンとフィーは頷き、クロウは口元に笑みを浮かべた。



「よし、そろそろ行こうか。――――Ⅶ組の諸君、改めてよろしく頼むよ。ARCUSにも慣れているから足は引っ張らないつもりだ。」

「こ、こちらこそ……!」

「とても心強いです。」

「”泰斗”の妙技、改めて拝見させていただきます。」

そしてアンゼリカの言葉にリィン達がそれぞれ頷いたその時

「お兄様、皆さん!」

「―――お待たせしました!」

セレーネとツーヤがレンと共にリィン達に近づいてきた!



「ツーヤさん!それにセレーネも!中々来ないから何かあったのかと心配……なっ!?あ、貴女は!?」

「レ、レン姫!?」

「おおっ!?何と可憐な少女だ……!今すぐお持ち帰りしたいくらいだよ……!」

「少しは状況を考えて発言しろっつーの……」

「ハハ……この状況でもいつもの調子を見せるのがアンらしいね。」

ツーヤ達の後ろにいるレンに気付いたリィンはマキアスと共に驚き、レンを見て興奮しているアンゼリカを見たクロウは呆れ、ジョルジュは苦笑した。



「うふふ、また会えたわね、”Ⅶ組”の皆さん♪」

「何で”殲滅天使”まで一緒に来ているの?」

レンはリィン達に微笑み、フィーは不思議そうな表情で尋ねた。



「うふふ、それは勿論リィンお兄さん達に協力してあげるからに決まっているじゃない♪」

「ええっ!?レ、レン姫が僕達に!?」

「は、はい……レン姫が自分もついていくと仰ってわたくし達と一緒に来たのです……」

レンの答えを聞いて驚いているエリオットにセレーネは冷や汗をかいて説明した。



「い、一体どうしてレン姫自らが私達に力を貸してくれるのですか?」

「それに力を貸すって、具体的には何をしてくれるの?」

そしてアリサとフィーがレンに尋ねたその時

「ちょっと待ってね。………………………………」

レンは端末を取り出してその場に座り込んで高速の指使いで端末を操作し始めた!



「なっ!?」

「なんてスピードだ……!」

「え、えっとレンさん。一応聞いておきますけど、一体何をしているんですか……?」

レンの端末の操作の速さにリィンとマキアスは驚き、ある事を察したツーヤは冷や汗をかいて尋ねた。



「うふふ、ザクセン鉄鉱山の領邦軍の監視所にある監視カメラにハッキングをしている所よ。」

「ええっ!?」

「ハ、ハッキング!?」

レンの答えを聞いたエリオットとアリサが驚いたその時、レンの端末にどこかに閉じ込められていると思われる鉱員達が映った!



「嘘!?」

「よかった……見た所全員傷つけられてはいないみたいだね。」

「どうやらどっかに閉じ込められているようだが……」

端末に映った人物達を見たアリサは信じられない表情をし、アンゼリカは安堵の表情をし、クロウは考え込んだ。



「監視カメラの位置はここだから…………現在地からの最短ルートは………………―――――鉱山内の制御装置の機能も今、ハッキングで奪って操作したから鉱山内で封鎖されている障壁や橋も全て開通させたわ。」

「ええっ!?こ、こんな短時間で鉱山内の制御装置の機能まで奪ったんですか!?」

「め、滅茶苦茶だ……」

端末の操作を終えて荷物の中にしまったレンの話を聞いたアリサは驚き、マキアスは疲れた表情をした。



「―――それじゃあ、行きましょうか♪鉱山内や非常用の通路のマップもさっきイリーナ会長の端末にハッキングした時に全部覚えたから、レンが鉱員の人達が閉じ込められている場所までの最短ルートを案内してあげるわ♪」

「ブッ!?」

「か、母様の端末に!?そ、そんな……ありえないわ!母様の端末には強固なプロテクトがかけられているんですよ!?」

小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンのとんでもない話を聞いたリィンは吹き出し、アリサは信じられない表情で声を上げた。



「うふふ、疑うなら証拠を見せてあげましょうか?」

「へ?証拠って一体―――」

そしてレンの言葉にアリサが呆けたその時

「だから私は……もう目を逸らさずに言うわ。母様の娘として、家族として。何よりもラインフォルトを幼い頃から見続けた者として。母様―――貴女のやり方はやっぱり”間違ってる”って。」

「!!!!!???」

レンが端末を操作すると端末にイリーナ会長の前で啖呵を切ったアリサの画面が映り、画面を見たアリサは混乱した!



「クスクス、さすがはラインフォルトグループ会長の端末ね。カメラ機能までついているもの♪レン達はホテルでイリーナ会長に歯向かうアリサお姉さんの様子を見守らせてもらったわ♪」

「な、なななななななななっ!?」

「え、えっと……凄かったですよ、アリサさん……」

「す、すみません、アリサさん……」

レンは小悪魔な笑みを浮かべて顔を真っ赤にして混乱しているアリサを見つめ、その様子を見たセレーネは冷や汗をかいて苦笑し、ツーヤは疲れた表情で謝罪した。



「ほ、本当にイリーナ会長の端末にハッキングをするなんて……」

「レン姫が何でもこなせる”天才”である事はプリネ達の話で知っていたけど……」

「話に聞いていた以上にチートすぎだろ……」

「ハハ……世界は広いなぁ。まさかこんな年下の女の子がラインフォルトグループの会長の端末にハッキングできる程導力通信端末の技術に長けているなんて。」

「まさに”反則級”と言ってもおかしくないね。」

レンがイリーナ会長の端末にまでハッキングした事を証明されたエリオットとマキアスは表情を引き攣らせ、クロウは疲れた表情で呟き、ジョルジュは冷や汗をかいて苦笑し、フィーはジト目で呟き

「おお……っ!小悪魔に加えて天才属性まで付与されている仔猫ちゃんとか最高じゃないか!」

「いや、意味わかんないですから。―――それよりレン姫。先程鉱員達が閉じ込められている所までの最短ルートを案内すると仰いましたが……何故俺達に協力してくださるのですか?」

興奮している様子のアンゼリカに呆れた表情で指摘したリィンは気を取り直してレンに尋ねた。



「お兄さん達―――”Ⅶ組”には”通商会議”の時の”借り”があるからね。せっかくの機会だからその”借り”を返しておこうと思ってね。」

「”借り”……?」

レンの答えを聞いたリィンは首を傾げ

「―――――皆さんが列車砲を止めてくれたお蔭でレンさん達も無事でしたからね。そのお礼ですよ。」

「あ…………」

ツーヤの説明を聞いたアリサは呆けた声を出した。



「けど、わたし達と一緒についてきて後で問題にならないの?他国の皇女が勝手に動いたりしたら、後で問題になりそうだけど。」

「確かにそうだよな………」

フィーの疑問を聞いたマキアスは困った表情でレンを見つめたが

「うふふ、”カレイジャス”に乗せて貰ったオリヴァルト皇子への”お礼”としてテロリスト達によって捕えられた鉱山員達の救出並びにテロリスト達の討伐又は捕縛を行った所で、感謝はされても問題にはならないし、ログナー侯爵だって、表向きは貴族派もテロリスト達と敵対している事になっているのだから何も言えないわ♪それに昨日ハッキングでラインフォルトグループを調べていたついでに”ログナー侯爵家”の弱味も手に入れたから、何か言ってきてもそれを使って逆に脅迫できるわよ?」

小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンのとんでもない話にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ハア……やっぱりそんな事をしていたんですか……」

「ううっ、ハッキングでRFグループのデータがどれほど流出しているのか、心配になってきたわ……」

「フフ、父上が脅迫されている所か……その瞬間を是非みてみたいね♪」

ツーヤとアリサは疲れた表情で溜息を吐き、アンゼリカは口元に笑みを浮かべた。



「それにレンがお兄さん達と一緒に行動する事はもし領邦軍に見つかった時もレンがお兄さん達の身を保証してあげるから、レンを連れて行った方が領邦軍との面倒事がなくなると思うけど?」

「そ、それは……」

「確かに彼女の言う通りだね。私が領邦軍を相手に君達の身を保証しても、ほとんど意味はないだろう。」

レンの話を聞いたマキアスは口ごもり、アンゼリカは静かな表情で答え

「―――わかりました。レン姫の身は必ずお守りしますので、よろしくお願いします。」

「うふふ、短い間だけどよろしくね♪」

リィンは小悪魔な笑みを浮かべるレンに真剣な表情で会釈した。



こうして……レンとアンゼリカを加えたリィン達は鉱員達の救出に動き始めた…………!




 
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