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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第70話

~アルセイユ・ブリッジ~



「ねえ、どうなった!?」

エステル達はブリッジに駆け込み、状況を聞いた。

「聞いての通り、竜はマルガ鉱山上空に現れた。ディスプレイを見るがいい。」

そしてモルガンがディスプレイを操作し、現在の竜と哨戒機の場所が表示された。

「マルガ鉱山……ロレントに現れたんだ!」

「よく見つかったわね……」

竜がロレントが現れた事にエステルは驚き、シェラザードは竜を見つけた事に驚いていた。

「迎撃地点はどこに設定されますか?」

「そうだな……。湖に誘導するとはいえ、王都に近づけるわけにはいかん。―――迎撃地点はレナート川の河口付近に設定!哨戒艇は川沿いに竜を誘導!攻撃艇は直ちに発進せよ!」

ユリアに尋ねられたモルガンは少しの間考えた後、指示をした。

「アイサー!―――こちら『アルセイユ』。作戦行動中の全艦艇に告げる。迎撃地点はレナート川の河口付近。全哨戒艇はフォーメーションBで川沿いに竜を迎撃地点へ誘導。全攻撃艇は直ちに発進し、迎撃地点に急行せよ!」

モルガンの指示に敬礼して頷いたユリアは無線で指示をした。



~レイストン要塞~



その頃、カシウスは攻撃艇が発進するのを見送っていた。

「……まさか彼が奴等の手に落ちるとはな。いっそ俺の手でケリを……。……いかんいかん。ここで俺が動いたら同じことの繰り返しだ。フフ、俺も彼も同じ立場というわけか。女神達よ……混迷の大地に立つ我らをどうか導きたまえ。」



~アルセイユ・ブリッジ~



「全攻撃艇、発進しました。配置完了の予定は12:20です。」

「うむ……。『アルセイユ』発進。迎撃地点の南西へ急行せよ。」

「アイサー。各部への導力伝達を再開。『アルセイユ』発進。レナート川河口南西へ急行せよ。」

そして数分後、レイストン要塞から発進した攻撃艇とアルセイユが迎撃地点で合流した。

「全攻撃艇、所定の配置に付きました。麻酔弾の装填も完了。」

「よし、後は竜が現れるのを待つのみだ。全攻撃艇、撃ち方用意。号令と共に攻撃を開始せよ。」

ユリアの報告を聞いて頷いたモルガンは次の指示をした。

「アイサー!」

「ゴクッ……」

「いよいよですね……」

エステル達は緊張した様子で見守っていた。さらに数分後、アルセイユと攻撃艇の前に竜が現れた。



「撃てい(ファイアー)!!」

そしてモルガンの号令と共に攻撃艇から無数の麻酔弾が竜に浴びせられ、無数の麻酔弾を受けた竜はヴァレリア湖に身を落とした!

「うむ……!」

その様子を確認したモルガンは満足そうな表情で頷き

「や、やった!?」

「……見事だわ。」

「ふーむ、さしもの竜も手も足も出なかったか……」

「やれやれ……。スペクタクルだったねぇ。」

エステルは喜び、シェラザードやジン、オリビエは感心していた。

「―――ヴァレリア湖上に竜が撃墜したのを確認!このまま予定通りワイヤーで拘束しますか?」

「うむ……。安全が確認され次第、『アルセイユ』も降下せよ。着水して調査を行うぞ」

「アイサー!」

そしてしばらくすると、アルセイユはヴァレリア湖に着水した。



~ヴァレリア湖上~



「『アルセイユ』着水完了。竜の反応、未だありません。」

「よし……。この目で確かめるとするか。大尉、付いてくるがいい。」

「は!」

「あ、ちょっと……」

モルガンとユリアがブリッジから出ていくのを見たエステルが引き留めた。そしてユリアはエステル達に微笑んで言った。

「ふふ、君たちも来るといい。伝説の古代竜だ。滅多に見れる機会はないだろう。」

「う、うん。」

ユリアの言葉に頷いたエステル達も竜がよく見える艦首に向かった。



~アルセイユ・艦首~



エステル達が艦首に向かうと既にドロシーが竜の写真を撮影していた。

「ふわ~、おっきいですねぇ。でもこの子、ハンサムなのに眠ってたらもったいないかも~。早く目を覚まさないかな~」

「だ~から、目を覚ましたらヤバイんだっての。しかし……何ともたまげた生物だぜ。」

ドロシーの言葉に呆れたナイアルは竜を見て、エステル達も竜を見た。

「うわ~っ……」

「これは……凄いわね。」

「あ、エステルちゃん!」

「へへ、お前らも来たのか。」

エステル達に気づいたドロシーとナイアルはエステル達を見た。

「殿下……あぶのうございますぞ。どうか船内にお戻りください。」

「ふふ、大丈夫です。それにしても、間近で見ると本当に大きな生物ですね……」

「これって、本当に眠ってるの?」

「心音は確認されたから死んではいないはずさ。まあ、普通の魔獣なら千匹は眠らせられる量の麻酔が撃ち込まれているからね。簡単には目を覚まさないだろう。」

エステルの疑問にユリアは答えた。

「そっか……。あれ、そういえば……あのレーヴェって男はどうしちゃったのかしら?」

「ふむ、どこかに身を潜めている気配はなさそうだが……」

「『実験』の要となる『ゴスペル』はあのレーヴェ君が持っていたはずだね。それがここにないということは……『実験』を放棄したということかな?」

しかしエステル達はレーヴェがいない事に気が付き、首を傾げていた。

「竜を追っていた哨戒艇によると人の姿は確認できなかったそうだ。最初から乗っていなかった可能性は高いかもしれない。」

「ふふ、無理もない。おそらく我々の作戦を知って恐れをなして逃げたのだろう。」

「うーん、そんな殊勝な男とは思えないんですけど……」

モルガンの言葉を聞いたエステルは首を傾げていた。



「そうね……。油断はしない方がいいわ。ところで竜はこの後どこに運ばれるのかしら?」

「とりあえず、この状態のままレイストン要塞まで曳航(えいこう)させる。後の事は、陛下やカシウスと相談して決めるつもりだ。」

「なるほど。」

「あれ~……?」

エステル達がモルガンから説明を聞いている中、写真をとっていたドロシーは何かに気づいて声をあげた。

「なんだ、ドロシー?」

「また何か見つけたの?」

「うーん……気のせいかもしれないけど~。この子の額の部分、変な風に盛り上がってない~?」

「へ……」

ドロシーの言葉を聞いたエステル達は竜の額を見た。

「ホントだ……。丸く盛り上がっているわね。切れ目があるみたいだから、ひょっとして目だったりして―――」

エステルが苦笑して言ったその時、竜の額の切れ目から『ゴスペル』が現れた!

「!!!」

「まさか……!」

「そいつが本命か!」

エステル達が『ゴスペル』に気付いた時は既に遅く、『ゴスペル』から導力停止現象を引き起こす黒い光が放たれた!



「くっ……」

「ぬうっ……!?」

ゴスペルの黒い光にエステルとモルガンが警戒したその時、竜は目覚め、大空へと飛び去って行った。

「ああっ!?」

「おのれ……逃がすものか!『アルセイユ』、緊急発進だ!」

了解(ヤー)!」



~リベール上空~



そしてアルセイユが急発進し、竜に追いついた後、誘導弾を撃ったが全て竜は回避した。

「ダメです!誘導弾、ロックしません!熱源は探知しているのに!」

「何らかの妨害波を発しているということか……。ならば主砲に切り換えろ!」

部下の報告を聞き、ユリアが次の指示をしようとしたその時

「竜の速度、さらに上昇中……!時速2300セルジュ―――2400、2500、2600……」

別の部下が竜の速度が上昇をしている事を報告した。

「クッ、何という化物だ。警備艇の最高速度を軽く上回るとは……」

その報告を聞いたモルガンは信じられない表情をした。

「ですが、新型エンジンを搭載した『アルセイユ』なら追撃可能です!―――全クルーに告げる!これより『アルセイユ』は最大戦速(3200CE/h)まで加速を行う!各員、Gに備えよ!」

「え、え、どういうこと!?」

ユリアの言葉を聞いたエステルは慌てた。

「急加速のGがかかります!しゃがんで姿勢を低くしてください!」

「!分かった!」

クローゼの説明を聞いたエステル達はしゃがんで、姿勢を低くした。

「―――加速開始!絶対に竜を逃がすな!」

「アイマム!」

『アルセイユ』が加速すると、後ろに思い切り引っ張られるような力がエステル達を襲った。

「わわわっ……」

そしてアルセイユは竜に追いつこうとしたが、竜は雲の中に潜った。



「……竜、高度を下げました。このままではロストします。」

「ギリギリまで食らいつけ!……くっ。まだ雲は切れないのか!」

部下の報告を聞き指示をしたユリアだったが、未だに雲が切れないことに焦りを感じていた。

「待って!ここはどの辺り!?」

「!?」

シェラザードの言葉を聞き、何かに気づいたユリアはモニタにアルセイユの場所を示した。

「霧降り峡谷か……!」

「ひょっとしたらもう霧の中に入ってるんじゃ!?」

「うぬっ……」

エステルの推測を聞いたモルガンは厳しい表情で唸った。

「竜、高度1200アージュまで降下!1100.1000、900….………………………………ロストしました。」

「くっ……」

部下の報告を聞いたユリアは悔しさの思いを抱えて、唸った。

「ユリアさん……」

「み、見失っちゃったの?」

「……ああ。霧降り峡谷の北西部……霧の深い難所に逃げられた。」

「……例の空賊アジトにアルセイユを停められるか?」

「いえ……アルセイユの大きさでは不可能です。」

「そうか……。―――作戦終了。後続している哨戒艇に峡谷周辺を監視させろ。『アルセイユ』はいったんボースに戻せ。」

ユリアの報告を聞いたモルガンは重々しい表情で指示をした。



こうして『竜捕獲作戦』は惜しくも失敗に終わった…………………


 
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