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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第61話

~クローネ峠~



「……いましたね。報告通りの姿ですね。」

手配魔獣を探してクローネ峠を歩いていたプリネは街道の途中に陣取っている2体の魔獣を見て、真剣な表情で言った。

「よ~し……正遊撃士になるためにも、頑張らないと!それに久しぶりのツーヤちゃんとも一緒の戦闘だものね!」

「フフ……ミントちゃんと一緒に戦うのも本当に久しぶりだね。」

張り切っているミントを見て、ツーヤは微笑んだ。

「2人とも久しぶりの共闘で張り切りたい気持ちはわかるけどが、落ち着いて戦闘をしてね。………あら?」

「?どうしたのですか、マスター。」

「いえ………あの魔獣達、何だか様子がおかしくないかしら?」

ツーヤに尋ねられたプリネは手配魔獣達に目を向けた。そこでは手配魔獣達がせわしなく周囲を見ていた。

「何だか、ソワソワしているように見えるね………?けど、これならあっという間に倒せるね!早く倒そう!」

魔獣達の様子を見て、ミントは首を傾げたが、気にせず武器を構えた。

「ええ!闇に呑まれよっ!ティルワンの闇界!!」

ミントの言葉に答えたプリネはオーブメントを駆動させ始めると同時に先制攻撃で魔術を放った!

「大地に眠りし炎よ!我が仇名す者達を焼き尽くせ!グランドフレイム!!」

「十六夜………”突”!!」

さらに続くようにミントは魔力によって地面から炎を出す魔術――グランドフレイムとツーヤはクラフトを放って、魔獣達を攻撃した!プリネ達の攻撃を受けた魔獣達は驚いた後、プリネ達に気づき、プリネ達に突進して来た!

「続けて行きます!エアロストーム!!」

さらに駆動を始めていたプリネのオーブメントが駆動を終えたので、プリネはアーツを放った!アーツによって発生した嵐が魔獣達を呑み込み、空中へと魔獣達を舞い上がらせ、地面に叩き付けて深手を負わせた!

「ヤアッ!!インパルスドライブ!!」

「十六夜…………”破”!!」

そして深手を負わせた魔獣達にミントは雷を剣に纏わせて突進するクラフト――インパルスドライブ、ツーヤは強烈な一撃を放つ抜刀技――十六夜”破”を放って、止めを刺した!

「終わったね!………じゃあ、このまま次の依頼の対応をしよう!ミント、正遊撃士になるためにも他の依頼も片づけたいし!」

「うん。ミントちゃんの遊撃士としての活動、これを機会に見学させてね。」

「うん!」

ツーヤの言葉にミントは嬉しそうな表情で頷いた。

「フフ……それじゃあ、行きましょうか。」

そしてミント達は次の依頼の対応を始めるために、どこかに向かい、依頼を終えた後ギルドに戻った。



~琥珀の塔・頂上~



一方その頃、シェラザード達は『琥珀の塔』の頂上にいる手配魔獣達を見つけた。

「さて……と。さっさと終わらせるわよ。」

「は、はい!」

手配魔獣達を見つけたシェラザードは鞭を構え、全員に促し、ティータはおどおどしながらも落ち着いた動作で武器を構えた。

「フッ。これから共に戦う君の強さ……期待しているよ♪ゴーストガール?」

「フフ……こう見えても私、強いですよ?……さあ、一網打尽の時間です。」

オリビエに見られたリタは可愛らしく微笑んだ後、魔術の詠唱を開始した!

「えいっ!!」

ティータの攻撃によって、魔獣達はシェラザード達に気づいたが、何故か妖しい動きをして、自分で自分を攻撃していた。

「?なんで混乱しているのかしら?まあ、いいわ!落ちなさいっ!轟雷!!」

魔獣達の動きに首を傾げたシェラザードだったが、気を取り直して魔術を放った!

「そぉれっ!!」

さらにオリビエはクラフト――クイックドロウでさらにダメージを与えたところを

「魂をも凍らせてあげる………氷垢螺の絶対凍結!!」

リタが魔術を放ち、リタの魔術によって魔獣達の周囲に猛吹雪が吹き荒れ、魔獣達を凍らせた!

「ええいっ!アースランス!!」

「ハアッ!フレアアロー!!」

「出でよ、時の槍!シャドウスピア!!」

そこをティータ、シェラザード、オリビエがアーツを放って次々と止めを刺していき

「飛んで!死角の投槍!!」

リタは魔槍を操って、最後の一匹に止めを刺した!

「終わったわね……それにしても、リタと言ったわね?……貴女、強いわね。特に魔術の威力とか、リフィアさんや師匠と同じレベルじゃないかしら?」

「フフ……さすがにそれは褒めすぎですよ。”神格者”や”魔神”の力を持つ方達ほど、私の魔力は高くありませんし。さきほど放った魔術が冷却魔術の中でも最高位に値する魔術ですから、そう見えるだけですよ。」

シェラザードの感心した言葉にリタは苦笑しながら答えた。

「ハッハッハ!これは可愛らしく、心強い仲間が増えたね♪」

「はう~……リタちゃんって凄いな………まさか一瞬で凍りつかせるような吹雪を発生させるなんて……水属性の中でも最高レベルのアーツ、『コキュートス』でもあそこまでの威力はないんじゃないかな?」

「フフ……褒めてくれてありがとう。それより街に戻りませんか?他の方々も戻っているかもしれませんし。」

オリビエとティータの賞賛の言葉に可愛らしく微笑んだリタは提案した。

「そうね。じゃ、戻りましょうか。」

そしてシェラザード達はギルドに向かった。



~霜降り渓谷~



「いたぞ。とっとと終わらせるか。」

「ああ。」

「はい。」

シェラザード達がギルドに向かったその頃、エステル達は手配魔獣を見つけ、武器を構え始めていた。

「?おい、エステル。何で武器を構えないんだ?」

アガットは武器を構えていないエステルを見て、首を傾げて尋ねた。

「あ、うん。………何か、魔獣達の様子がおかしくないかな?」

「何……?」

エステルの言葉を聞いたジンが手配魔獣達を見ると、魔獣達はどこか様子がおかしく、同士討ちをしたり、自分で自分を攻撃していた。

「一体どうしたんでしょう……?ただ事ではないですね……」

「…………ま、俺たちにとっては都合がいい。混乱している間にとっとと決めちまうぞ。」

クローゼの言葉を聞き、少しの間考えていたアガットだったが、気を取り直して武器を構えなおした。

「あ、それなんだけど、ここはあたしに任せてくれないかな?」

「あん?何をする気だ?」

エステルの提案にアガットは尋ねた。そしてエステルは腕輪が装着されてある手を上げて、叫んだ!

「力を貸して…………カファルー!!」

すると腕輪が光り、腕輪から大きな光の球が出てきて、そして光の球はエステル達の目の前に来た後、光の球はカファルーになった!

「グオオオオオオオオオ―――――!!」

召喚されたカファルーは辺りを響き渡らすような雄たけびを上げた!魔獣達はカファルーに気づき、驚きのあまり固まった!

「なっ!?コイツはあの時の………!」

「獣の”魔神”か!」

カファルーを見たアガットとジンは驚いた!

「カファルー!あいつらをやっつけちゃって!!」

「……………」

エステルの指示に頷いたカファルーは翼の部分にすざましい炎を纏わせて飛び上がり、そして――

「グオオオッ!!」

翼をはばたかせ、すざましい炎の翼の形をした衝撃波――獄蓮の翼を放った!カファルーが放ったクラフト――獄蓮の翼を受けた魔獣達は焼き尽くされて消滅し、さらに魔獣達がいた場所はカファルーの攻撃のあまりにもすざましい破壊力によって音をたてて、崩れ落ちた!

「「「「………………………」」」」

カファルーの攻撃の威力を見たエステル達は信じられない表情で翼をはばたかせ、滞空しているカファルーを見ていた。そしてカファルーはエステルの目の前に降り立った。

「……………」

「え、えっと……ありがとう?とりあえず、今はもう、あたし達の敵はいないから休んでもらっていいわ。」

「……………」

戸惑いながら言うエステルの言葉に頷いたカファルーは光の球になって、腕輪の中に戻った。



「あ、あはは………予想以上に凄かったわね、カファルー。ちょっと、やりすぎたようだけど………」

カファルーが腕輪の中に戻った後、エステルは冷や汗を垂らして、苦笑していた。

「どこが”ちょっと”……だ!?やりすぎだ、バカ!!行き止まりだからよかったものの、途中の道とかだったら、後がかなり大変になるだろうが!」

苦笑しているエステルにアガットは怒鳴って注意した。

「さすがは”最強”の存在といった所か………一撃の威力がすざましいな……」

「え、ええ。少なくとも警備艇に搭載されている導力砲並みの威力はあるのではないでしょうか……?」

ジンは感心し、クローゼは冷や汗を垂らしながらカファルーの攻撃力を推測した。

「ま、まあ、とりあえず終わったからいいじゃない!(カファルーはいざという時の為の切り札にしたほうがよさそうね………でないと、周りの物を何でもかんでも破壊しそうだし………それに下手したら、火事に発展するかもしれないし…………)………それにしても、何だか様子が変じゃない?何か魔獣が怯えていたみたいだし。」

話を逸らしたエステルは先ほどの魔獣の様子の事を言った。

「エ、エステルさん………それは多分、エステルさんが先ほど召喚した方が原因なのでは………?」

エステルの言葉を聞いたクローゼは遠慮気味に尋ねた。

「う”。 そ、それはクローゼの気のせいよ、うん!カファルーを召喚する前から様子がおかしかったし。」

クローゼの言葉を聞いたエステルは言葉を詰まらせた後、慌てた様子で言った。

「そうだな。一匹だけでなく、どの魔獣も様子がおかしかったな。やたらとパニックに陥っていたようだが……」

「………………………………」

ジンの言葉を聞いたアガットは目を細めて黙って考えていた。

「?どうしたの?」

アガットの様子に気づいたエステルは尋ねた。

「いや……ひょっとしたら何かの前触れかもしれねえ。」

「前触れ……。ひょっとして『結社』の!?」

アガットの説明を聞いたエステルは血相を変えて尋ねた。

「それは判らねぇが……。前にも似たような事があった。いつになく魔獣どもが騒がしい日が続いてな……。そのすぐ後に……。………………………………」

「???」

急に黙ってしまったアガットを見たエステルは首を傾げた。

「ま、今はその話はいいだろう。とにかく、動物ってのは人よりもある種のカンには優れている。何が起こっても対処できるよう気を引き締める必要がありそうだ。」

「うん……分かった。それじゃあ……一旦ギルドに戻ろっか?」

「ああ、そうするか。」



そしてエステル達はギルドに戻って行った………………


 
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