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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第50話

~ミストヴァルト・入口~



エステル達が目的地に到着するとそこにはメンフィル兵達が見張りとしてか、森の入口に立っていた。

「レンちゃんの言う通り、メンフィルの兵士さん達が入口にいるね………」

「……レンの話ではあたし達は通してくれるらしいから、大丈夫よ。だから、堂々と行きましょ!」

ミントの呟きに答えたエステルは仲間達と共にミストヴァルトの入口に向かった。

「止まれ!今、関係者以外は森に入らせるなと陛下のご指示だ!」

エステル達に気付いたメンフィル兵の1人は他の兵士達と共に道を塞いで、エステル達に警告した。

「………遊撃士協会の者よ。遊撃士協会の関係者は通してもらえるんでしょ?」

そこにシェラザードが進み出て、『支える籠手』の紋章をメンフィル兵に見せて尋ねた。

「遊撃士協会の方でしたか。………失礼しました。どうぞ。」

シェラザードの紋章を見てエステル達が遊撃士と悟ったメンフィル兵達は道を開けた。

「じゃ、行くか。」

アガットに促されたエステル達は森の中へと入って行った。



~ミストヴァルト~



「……ここも完全に霧に覆われちゃってるね。」

「ええ……。元々暗くて視界が悪いから歩きにくいことこの上ないわね。」

「気を抜いたらすぐに迷ってしまいそうです。」

「ちゃんとコンパスを確認した方が良さそうだな。」

森の中の周囲を見渡して呟いたエステルの言葉にシェラザードやクロ―ゼ、アガットは同意するように頷いた。

「ねえねえ。そう言えばメンフィルの兵士さん達、あんまりいないよね……?」

一方ミントは周囲を見渡して、松明や導力の照明を持って森の中を何かを捜すように歩いているメンフィル兵達の数を数えて呟いた。

「あたし達より前に森に入っているからね………多分、もっと奥で捜しているんでしょう。……急ぐわよ。」

「うん。」

そしてエステル達は視界が悪い中、時折現れる魔獣と戦いながら先に進んで行った。



チリーン……



エステル達がしばらく進むと鈴の音が鳴り響いた。それと同時に周囲ががいきなり白くなった!

「わわっ……」

「ふえっ……」

「むっ……」

「くっ……」

「これは……」

周囲が真っ白になった事にエステル達は戸惑った。そしてしばらくすると視界が戻った。

「な、なんなの今の……」

「いきなりミント達の目の前が真っ白になったよね……?何だったんだろう……」

「鈴が鳴った途端、濃い霧に包まれたけど……」

エステルの呟きに頷いたミントは首を傾げ、シェラザードは戸惑った表情で言いかけたその時、何かに気付いて周囲を見回した。

「こ、ここは………」

「へっ……?」

シェラザードの呟きに反応したエステルや仲間達は周囲を見渡した。

「!?こ、ここ……どこ!?」

「なんで!?ミント達、さっきまで森の中にいたのに……!」

「ケッ……いつのまにか景色が変わっていやがるな。」

森の中にいたはずなのに、平野になっている周囲を見てエステルやミントは戸惑い、アガットは舌打ちをした。

「シェラ姉……ど、どうしよう?」

「落ち着きなさい、エステル。これが敵の仕業なら………必ず抜ける方法はあるはず。まずはそれを探ってみるわよ。」

「う、うん………」

そしてエステル達は時折聞こえて来る鈴の音が少しづつ大きくなっている事に気付き、鈴の音が聞こえる場所を進んだ後、ひときわ大きい鈴の音が鳴り、エステル達は濃い霧に包まれた。

「またっ……」

「はっ……」

「……抜けたみたいね………」

霧が晴れると元の森の風景に戻っていた。



「も、戻った……」

「ここは……セルべの大樹の近くみたい。どうやら『結界』に取り込まれていたみたいね。」

「け、結界って……」

シェラザードの説明を聞いたエステルは信じられない表情をしていた。

「多分、この先にカラクリがあるはずだぜ。準備を整えた方が良いだろう。」

「………ツーヤちゃんの為にも頑張らないと!」

そしてエステル達は先を進んだ。先に進むと大樹があり、そこに『ゴスペル』が埋め込まれていた。



~ミストヴァルト・セルべの大樹~



「あっ!?」

「やはり『ゴスペル』……」

ゴスペルを見つけたエステルは驚き、シェラザードは真剣な表情で『ゴスペル』を見ていた。

「水面から沸き起こる霧……。ひょっとして、ここから霧が生まれているのかも……」

「だ、だったら早く『ゴスペル』を外さなきゃ!」

クロ―ゼの推測を聞いてエステルは慌てた様子で樹に近寄ろうとしたが

「エステル、待ちなさい!」

「え……」

シェラザードに制されて、エステルは止まったその時



チリーン………



なんと鈴の音が鳴り響き、そしてエステル達の目の前に霧がかかった後、今まで現れた霧の魔獣の倍はあるであろう大きさの魔獣達が現れた!

「わわっ……!?な、なにコイツら!?」

「農園で戦った連中とは格が違うみたいね……」

「………上等!!」

そしてエステル達は突如現れた魔獣達との戦闘を開始した!魔獣達は手強かったが、アガット以外のエステルを含めた仲間達が魔術で総攻撃をして一体を倒し、魔術が効かなかった敵もいたが、その敵はアガットによって一刀両断させ、消滅した!



「はあはあ……。と、とんでもなく強かったんですけど……」

「気を抜かないで!今のはただの使い魔よ!操っていた術者がどこかにいるはずだわ!」

「へっ……」

「ふえ……」

シェラザードの警告にエステルとミントが首を傾げたその時

「ふふ……なかなか頑張ったわね。それではみんなにご褒美をあげましょう。」

どこからともなく女性の声が聞こえて来た後、樹に嵌められてある『ゴスペル』が妖しく輝いた!

「!!!」

「な……!」

「しまった……!」



そしてエステル達は意識を失った……
 
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