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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第137話

同日、20:50――――





~ジオフロントB区画~



(この曲は……)

部屋から流れて来る曲を聞いたロイドは驚いた後仲間達と共に部屋の前まで移動した。

(ヨナ君の部屋にかかっていた導力ステレオの曲……?)

(なんだ……?故障でもしてんのか。)

曲を聞いたエリィは考え込み、ランディは警戒し始めた。



(罠かもしれん……念のため慎重に踏み込むぞ。バニングス、オルランド。まずは3人がかりで突入する。他の3人は後ろからフォローしつつ入って来い。)

(了解です。)

(アイサー。)

(承知しました!)

ダドリーの指示にロイド、ランディ、ノエルは頷いた後、それぞれの配置につき、中を伺ったダドリーが勢いよく扉を開けて入るとロイドとランディが部屋の中に飛び込んだ。



「誰もいない……」

「隠れてる気配もねぇな……」

周囲には誰もいない事を確認したロイドは驚き、ランディは周囲への警戒を続け

「……逃げられたか。しかしここに来るまでの間、誰ともすれ違わなかったが……」

ダドリーは溜息を吐いた後考え込んだ。するとその時エリィ達が部屋に入って来た。



「に、逃げられたの?」

「ああ、どうやらそうらしい。この音楽は……そっちの装置みたいだな。」

「さすがにうるさいな……停止させられるか?」

「ああ……こいつがスイッチだな。」

ダドリーの言葉に頷いたランディはステレオのスイッチを押して、停止させた。



「何だか不気味ですね……」

「そ、そうね……音楽が鳴っていたのも不自然だし……」

ノエルが呟いた言葉を聞いたエリィは不安そうな表情をし

「フム、そこはかとなく悪意を感じるけど……とりあえず、奥のモニターに映っているのはなんだい?」

ワジは考え込んだ後端末のモニターに映っている画面を見て言った。



「図面……こ、これは……!」

画面に映っている図面を見たロイドは仲間達と共に端末に近づいて図面を見て何かを察すると驚き

「こ、これって……まさかオルキスタワーの!?」

エリィは信じられない表情で呟き

「タワー内部の構成図が記されたデータみたいですけど……」

「クッ、どうしてそんなものがこんな場所に―――」

ノエルは真剣な表情で図面を見つめ、ダドリーは唇を噛みしめた。すると部屋中に警告音が鳴った!



「!?」

「しまった……!」

警告音を聞いたロイド達が驚くと扉は勝手に閉まった!



「っ!」

「チッ、罠か!?」

そしてノエルとワジは走って扉に近づいて扉を調べ

「だ、駄目です!ビクとも開きません!」

「どうやら導力的な機関でロックされたみたいだね。」

扉を調べたノエルとワジが報告をしたその時!



「今のは……!」

「おい、誰だ……!?」

「ウフフ……初めまして、支援課の諸君。予想通り君達が遊びに来てくれたみたいだね。お近づきの印に置き土産を置いていくから愉しんでくれると嬉しいな♪」

「なっ……」

「クッ、端末から喋ってるのか?」

声を聞いたロイドとダドリーが驚いたその時、画面は変わった。



「こ、これは……」

「ロバーツ主任から渡された対戦パズルゲーム……!?」

画面を見たノエルとエリィが驚いたその時

「3本勝負で2本取ったら君達を解放してあげるよ。ただし、負けちゃった場合は丸焦げになってもらおうかな?」

「なに……!?」

声が聞こえ、声を聞いたロイドが表情を厳しくしたその時、周囲から炎が上がりはじめた!



「な……!」

「馬鹿な……!仕掛けの気配は無かったぞ!?」

「ウフフ、それじゃあ始めるとしようか。あまり時間はない……急がないと死んじゃうよ?」

「貴様……!」

声を聞いたダドリーは端末を睨み

「ロイド!とにかくやるしかない!」

「クッ……わかった!」

ワジの言葉にロイドは唇を噛みしめた後端末で対戦パズルゲームをし、1戦目に勝利した。



「よしっ!」

「ロイド、凄い!」

「やるじゃねえか!」

勝利を確認したロイドは頷き、エリィとランディは明るい表情で勝利を称えた。

「うーん。手を抜きすぎたかな?それじゃあ次は本気を―――」

そして声が考え込んだ後話を続けようとしたその時!



「―――いい加減にしてください。」

「!?」

ロイド達にとって聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声を聞いた謎の声は驚き

「あ……!」

「この声は……!」

エリィとロイドも驚いた。

「ここから先はわたしがお相手します。―――覚悟してください。」

するとゲームは進み、ほぼ一瞬で相手に圧倒的な結果で勝利した!



「や、やった……!」

「くっ……そろそろヤベエぞ!?」

「ウフフ、お見事。一応、お仲間みたいだし約束どおり出してあげるよ。―――それじゃあ、またね♪」

そして声が聞こえた後背後の扉が開いた!



「開いた……!」

「急げ、爆発するぞ!」

「はいっ!」

それを見たロイド達は走って扉の外をで

「伏せろっ!」

部屋を出たダドリーの警告を聞いたロイド達全員はその場で伏せると、部屋中が爆発した!



「はあはあ……」

「ったく、危機一髪だな……」

「し、死ぬかと思いました……」

爆発が収まるとロイドとランディ、ノエルは安堵の溜息を吐き

「クッ……一体何者だ………!?」

ダドリーは唇を噛みしめた。



「―――よかった。ご無事みたいですね。」

するとその時漆黒の翼を背に生やした”特務支援課”発足時からいるエプスタイン財団から”魔導杖(オーバルスタッフ)”のテスト要員として派遣されている少女―――ティオ・プラトーがロイド達に近づいてきた。



「ティオ!」

「や、やっぱりティオちゃんだったの!」

「おいおい!一体どうなってんだ!?」

ティオの登場にロイド達はそれぞれ嬉しそうな表情で声を上げた。



「――実は今日の午後、クロスベル行きの国際定期船に乗ったんです。色々、大変そうだったので何とか帰国を早めてもらいました。」

「そうだったのか……」

「ハハ……まさにドンピシャじゃねえか。」

「じゃあ、課長さんから話を聞いてここに来たんだ?」

「ええ、エニグマで連絡したらこちらに向かったと聞いたので。それで空港から直接来ました。」

「ふふ……本当に助かっちゃったわ。」

「ありがとう、ティオちゃん!」

「いえ、間に合ってよかったです。それにしても厄介な相手だったみたいですね。何とか割り込みをかけて撃退することができましたが……」

「割り込みって―――ああ、それか。」

ティオの話を聞いたロイドは出入口の近くに置かれてある端末に気付いた。



「ええ、ロイドさんたちが閉じ込められたとわかったので予備回線から介入しました。どうやら相当な腕前のハッカーだったようですね。」

「ああ、そうみたいだな。」

「フン、どうやらとっくに離脱されてしまったようだが……そういえば、プラトー。一人でジオフロントをここまで追ってきたのか?」

「あ、いえ。……ラグタスと共に追うつもりだったのですが、”あの人”とたまたま居合わせたのでここまで同行してもらいました。」

そしてダドリーの質問にティオが答え

「へ……」

ティオの答えを聞いたロイドが呆けたその時!



「―――とんだ場面に居合わせたようだな。」

なんと銀が出入口から現れた!

「あんたは……!」

「あ、あの時の……!」

「”(イン)”……!」

「……取り逃がしたか。どこのネズミか知らんが相当、抜け目がないようだな。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!ここにいたハッカーは”黒月”の関係者なのか!?」

銀の話を聞いたロイドは驚いた後尋ねた。



「フフ、”黒月”と”赤い星座”、”ラギール商会”は既にそれぞれ監視体制に入っている。少なくとも、そのハッカーとやらはそれぞれに属していないはずだ。―――どうやら通商会議に何か思惑がある者のようだが。」

「……!」

「端末に残っていたオルキスタワーの図面……」

「なるほど……まさに明日の会議の場所だね。」

銀の話を聞いたロイドは表情を厳しくし、エリィは呟き、ワジは納得した様子で頷いた。





「………………―――会うのはこれが初めてか。クロスベル警察、捜査一課、アレックス・ダドリーだ。」

その時ダドリーが静かな表情で名乗り出た。

「フフ……噂はかねがね。通商会議の警備と新たな上層部となった”六銃士”達には色々苦労させられているようだな?」

「フン、どこぞの組織を始め、怪しげな連中が跋扈しているのでな。それと局長達には手を焼かされるが、前局長達と比べれば天と地の差だ。どうやらこちらの知らない動きに色々と通じているようだし……ここは一つ、警察までご同行願って話を聞かせてもらおうか?」

銀に尋ねられたダドリーは鼻を鳴らして答えた後自身の武器である大型の軍用導力銃を構えて銀を睨んだ。



「ダドリーさん……」

「おいおい……マジかよ?」

「フフ、何の容疑で?クロスベルの刑事法に接触した覚えは無いのだが。」

ダドリーの行動にロイドとランディが驚いている中、銀は静かな笑みを浮かべて尋ねた。



「なに、任意の事情聴衆だ。後ろめでたい事がないならぜひ来ていただこうか―――!」

そしてダドリーが銀に向かって突撃したその時、銀の姿は消え、銀がいた場所には符が残っていた!

「フン……」

銀が消えた事にダドリーは鼻を鳴らし

「……いつの間に。」

「へえ、符術を使った分け身ってやつか。」

ティオとワジは驚いた。



「フフ……今宵はこれでさらばだ。また近いうちに会えそうな気もするがな。」

そして銀の声が聞こえた後、銀の気配は完全に消えた。

「……ロイドさん。付近をサーチしますか?」

「いや……その必要はないだろう。とりあえず支援課に戻って話し合う必要がありそうですね。」

「ああ……不本意だが仕方あるまい。」

その後ロイド達は支援課のビルに戻って行った……………


 
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