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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第130話

同日、12:40―――



~クロスベル市・特務支援課~



「―――なるほど。通商会議の本番は明日ですか。」

「ああ、今日のところは昼食会に各種懇談会って所だな。夜には晩餐会に加えてアルカンシェルの観劇があるらしい。ちなみに首脳達は全員、ミシュラムの迎賓館に泊まる予定だ。」

「迎賓館というと、ハルトマン元議長の屋敷ですね。」

「へえ、あの馬鹿デカイ屋敷、そんな風に使われてんのかよ?」

「まあ、妥当な使い方ね。豪華さで言えばクロスベルでは一番でしょうし。」

エリィの話を聞いたランディは意外そうな表情で尋ね、エルファティシアは納得した様子で頷いていた。



「まあ、ハルトマンについては汚職や違法取引に関する罰金が凄まじいほどの額になったからな。その代償として没収されて迎賓館として使われたってわけだ。」

「うーん……まあ、自業自得でしょうね。」

「屋敷を没収されるほどって……一体どれだけの金額になったんですか?」

セルゲイの話を聞いたノエルは考え込みながら呟き、ロイドは目を丸くして尋ねた。



「一般市民なら一生遊んで暮らせる金額でしたね。」

「―――加えてハルトマンの口座にあった莫大な金もほとんど罰金として没収されたぞ。」

「そ、そんなに凄い金額だったんですか……」

アルとヴァイスの説明を聞いたロイドは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「それじゃあ当然、ミシュラム方面は封鎖ってわけかい?」

各国のVIP達がある場所に泊まる事を聞いたワジはセルゲイに尋ねた。

「ああ、通商会議の期間中はホテルやテーマパークも臨時休業だ。そっちは警備隊が詰めているから心配する必要はないだろう。」

「わかりました。俺達の方は、昨日に続いて支援活動に専念しますが……」

「それで構わんだろう。招待客の中には、昼食会の後、クロスベル各地を訪れる者もいるようだ。何か問題が起きるかもしれんからお前らでフォローしとくといいだろう。」

「了解しました。」

そしてセルゲイの指示にエリィは頷いた。



「しかし、さすが招待客どもは並みのオーラじゃなかったな。特に”鉄血宰相”………ありゃあタダモンじゃねえぞ。」

「ああ、あのレクター大尉が控えていたのも気になったけど……宰相本人はそれ以上に、圧倒的な雰囲気の持ち主だったな。共和国のロックスミス大統領は親しみの持てる雰囲気だったけど……でも、すぐ近くにあのキリカさんが控えていたな。」

「カルバードの諜報組織、”ロックスミス機関”の人間……庶民派で知られる大統領だけどやっぱり一筋縄では行かなさそうね。」

ロイドの話にエリィは続きながら答えた後考え込み

「まあ、ああいうタイプは表で笑って裏で何を考えているかわからないタイプだ。――――俺やエルファティシアのようにな。」

「うふっ♪確かにそうね♪」

ヴァイスは不敵な笑みを浮かべて呟き、ヴァイスの言葉にエルファティシアは頷き

「きょ、局長…………」

「アハハ、同類だからわかるってヤツ?」

「ワジ君だって同類でしょうが……」

「確かにこいつも何考えているか、サッパリわかんねぇしな……」

2人の会話を聞いていたロイドは冷や汗をかき、ワジは笑顔で言い、ワジの話を聞いたノエルとランディは呆れた表情で指摘した。



「フフ、でもルファディエルさんよりはマシと思うけど?確か聞いた話だと、支援課ができた当初から随分とえぐい作戦で大きな事件を起こした犯人達を嵌めまくったり、上層部の弱味を握って君達を守っていたんだろう?」

「うっ……」

「え、えっと……」

「馬鹿野郎!ルファディエル姐さんはそこが素敵なんだろうが!」

「あの腹黒女みたいな奴がこれ以上増えたら、こっちが堪ったもんじゃねーよ。」

口元に笑みを浮かべたワジに視線を向けられたロイドは冷や汗をかいて唸り、エリィは苦笑し、ランディはワジを睨んで指摘し、セルゲイは疲れた表情で溜息を吐いた。



「でも、リベールのクローディア姫はさすがに気品がありましたよね。一緒にいたユリア准佐もすっごく格好よかったですし!」

「ああ、リベール王国の王室親衛隊の女性隊長だっけ?何でもそのスジじゃ、熱狂的なファンがいるらしいけど。」

興奮した様子で言ったノエルを面白そうに見ていたワジは静かな笑みを浮かべて尋ねた。

「う、うん……そうだけど。」

「あはは……私もちょっとファンだったりして。」

尋ねられたノエルは苦笑しながら頷き、エリィも苦笑しながら頷いた。



「へえ、そうなのか?」

「なんだなんだ~?お嬢、そういう趣味だったのかよ?」

「別に趣味ってわけじゃないけど……その、前にリベールに滞在した時、王室親衛隊のパレードを見物して……写真集なんかも出ていたらから思わず買っちゃったのよね。」

「な、なるほど。」

「それ、後で見せて下さい!」

エリィの話を聞いたロイドは苦笑しながら頷き、ノエルは真剣な表情で言い

「あはは……うん、いいわよ。」

ノエルの言葉にエリィは苦笑しながら答えた。



「やれやれ、嘆かわしいねぇ。」

「フフ、男装の麗人は一種のロマンだからねぇ。僕としてはエレボニアの皇子殿下も結構気になったけどね。」

同性に憧れるノエルの様子にランディは溜息を吐き、ワジは静かな笑みを浮かべて言った。



「オリヴァルト皇子か……最近、わりと聞く名前だけど。」

「リベールの異変の解決に一役買ったことで有名な方ね。それから色々な催しに出席して評判になっているみたいだけど……たしか皇位継承権は持っていらっしゃらないのよね。」

「そうなのか……あれ、リベールの異変の解決に一役買ったっていうことは……エステル達と知り合いだったりするのかな?」

エリィの話を聞いたロイドはある事に気付いてエリィに尋ね

「ああ、そう言えば……」

「エステルちゃん達、顔が広そうだったしあり得るかもしれねぇな。ってそう言えば確かティオすけの写真に写っていなかったか?」

尋ねられたエリィも気づき、ランディも頷いた後ある事に気付いて声を上げた。



「そう言えばそうだったな………確か局長もエステルやティオ達と一緒に”影の国”という場所を冒険したんですよね?」

「ああ。まあ、俺とリセルはあのメンバーの中で”影の国”に現れた時には探索も終盤に入っていたからな。ちなみにオリビエもエステル達の知り合いだぞ。」

ロイドに尋ねられたヴァイスは頷いた後答えた。



「オリビエ?」

聞きなれない名前を聞いたロイドは不思議そうな表情になり

「オリヴァルト皇子の事だ。……当時はエステル達に自分の身を明かさず、彼女達と共に旅をした事があるらしい。……後で奴の事を知ったエステル達はかなり驚いたそうだぞ?」

「まあ、皇子と一緒に旅をしていたなんて事実、普通の人の感覚でしたら驚いて当然ですね。」

「ハハ、さんざん俺達を驚かせたエステルちゃんをも驚かせるとか中々凄いンすね、その皇子。……そういえばレンの嬢ちゃんが来るとはな……しかもあんな公の場で姿を現すなんて…………」

ロイドの疑問に答えた後説明したヴァイスの話を聞いたアルは納得した様子で頷き、ランディは笑った後真剣な表情になった。



「そう言えばハロルドさん達、今回の件でレンちゃんの事を知っちゃったわよね。どうするつもりなのかしら……」

「………………レンの事はハロルドさん達自身の問題だ。俺達は彼らに相談されるまでは見守るしかないよ。それよりレンの隣にいた皇族の衣装を着た女性がリフィア殿下なんだよな?」

不安そうな表情で呟いたエリィの言葉を聞いたロイドは静かな様子を纏って呟いた後ある事を思い出してエリィに尋ね

「ええ。あの方が現メンフィル皇帝夫妻のシルヴァン陛下とカミーリ皇妃の一人娘にして、リウイ陛下とカーリアン様にとっては孫にあたるリフィア殿下よ。」

「へえ、あのお姉さんの。……にしてはスタイルや背とか小さいよな?”戦妃”のお姉さんはスタイル抜群なのに。」

ロイドに疑問に答え、説明したエリィの話を聞いたランディは意外そうな表情で言った。



「お、おい、ランディ!」

「貴女、殿下にとって何て失礼な事を言っているのよ……」

ランディの発言を聞いたロイドは慌て、エリィは呆れ

「そういや、その姫さんで思い出したが隣にいた黒髪のメイドさんはよかったよな!清楚な雰囲気をバリバリ出していた上容姿は可憐……ありゃ絶対良い所のお嬢さんだぜ!」

ある事を思い出したランディは嬉しそうな表情で言った。



「ああ。けど、それを言ったらエリィだってそうじゃないか。」

「も、もうロイドったら……」

ランディの言葉にロイドは口元に笑みを浮かべて頷き、ロイドの言葉を聞いたエリィは嬉しそうに顔を赤らめ

(こ、この男は……)

(くかかかかっ!平然とそんな言葉を口にするお前はさすがだよ、ロイド!)

(……それが良い所であり、悪い所なのよね……)

エリィと契約している天使メヒーシャはエリィの身体の中で表情を引き攣らせ、ギレゼルは笑い、ルファディエルは溜息を吐き

「ア、アハハ…………」

「フフ、相変わらずバカップルだね。こっちまで火傷しそうだよ。」

「うふっ♪、若いわね~。」

「ったく、俺達のいないところでやれっつーの。」

その様子を見ていたノエルは苦笑し、ワジは静かな笑みを浮かべ、エルファティシアは口元に笑みを浮かべ、セルゲイは呆れ

「そう言う所がヴァイスと似ていますよね、やっぱり。」

「そうか?俺からしたらまだまだだぞ?」

アルは頷きながら呟き、アルの言葉を聞いたヴァイスは静かな笑みを浮かべて言った。



「――――そう言えば、その黒髪のメイドの方で思い出したけど、私が知る限りリフィア殿下には専属メイドがいないはずよ。」

「へ……そ、そうなのか?」

「どうしてでしょう?皇女様に専属メイドがいるのは当たり前の事だと思うのですが。」

エリィの疑問を聞いたロイドは首を傾げ、ノエルは目を丸くして尋ねた。



「え、えっと、その……以前その事に疑問を思った私がリウイ義兄様達に尋ねた事があるんだけど……―――リフィア殿下は破天荒な行動で有名の上、専属メイドになったらリフィア殿下のお目付け役も兼ねる事になるから、メイドの方達も気後れしちゃって、誰もリフィア殿下の専属メイドを希望しないってリウイ義兄様やエクリアお姉様が嘆いていたわ。」

「え、え~と……」

「フフ、どうやらとんでもないお転婆姫のようだねぇ?」

「うふっ♪その破天荒な行動ってのがどんなものなのか、気になるわね♪」

苦笑しながら答えたエリィの話を聞いたロイドは冷や汗をかき、ワジは静かな笑みを浮かべ、エルファティシアはからかいの表情になり

「破天荒という事はギュランドロス並みという事でしょうか?」

「さすがに奴ほどではないと思うが……」

「ア、アル警視~、洒落にならない事を言わないで下さいよ~。」

アルの疑問を聞いたヴァイスは苦笑し、ノエルは疲れた表情で指摘した。



「―――先程話に上がった黒髪のメイドだが、恐らく”聖魔皇女の懐刀”と言われているメイドだな。」

「へ……」

「リフィア殿下の……ですか?」

その時セルゲイが呟いた話を聞いたロイドは呆け、エリィは不思議そうな表情で尋ねた。



「ああ。今まで専属メイドを連れ歩いている所を見せなかった”聖魔皇女”が突如連れ歩く事になったことから有名になったらしい。何でもそのメイドは”剣聖”カシウス・ブライトの教え子の一人らしいぞ?」

「ええっ!?」

「け、”剣聖”の……」

「へえ?”聖魔皇女”が連れ歩くメイドだけあって只者じゃなさそうだねぇ?」

「そういやあのメイドさん、アリオスのオッサンが使っている得物と同じような得物を腰に刺していたぞ……」

セルゲイの説明を聞いたエリィとロイドは驚き、ワジは興味ありげな表情をし、ランディは冷や汗をかいて呟いた。



「ただいまー。」

するとその時キーアがある事件をきっかけに特務支援課に力を貸すようになり、”警察犬”として活躍している”神狼”と呼ばれている狼――――ツァイトと共にビルの中に戻って来た。



「キーア、ツァイト、お帰り。」

「ウォン。」

ロイドの言葉に頷くかのようにツァイトは吠え、キーアはロイド達に近づいた。



「あら、シズクちゃんは一緒じゃなかったの?」

「あ、うん、おとーさんと病院に戻っちゃった。でも、ビルのおひろめはいっしょに見たよー。すごかったねー!ロイドたちは近くで見たんでしょ?」

「ああ、正直大きすぎてよくわからないくらいだったよ。」

「ま、とんでもないビルってのはイヤってほどわかったけどな。」

「ふふっ、キーアちゃんの方がバッチリ見えたかもしれないね。」

「うんっ!すっごくカッコよかったー!ハナビ……だっけ?あれもすごくキレイだったし!でも……」

「ん、どうしたんだ?」

嬉しそうな表情で言った後不安そうな表情をしたキーアを見たロイドは尋ねた。



「あ、ううん、何でもない。ロイドたちはこれからまた仕事に出かけるのー?」

「ああ、夕方には戻ると思うけど。課長の方はどうですか?」

「今日は俺はここで待機だ。何かあったら連絡するから遠慮なく出かけて来い。」

「はい、お言葉に甘えて。……ちなみに局長達は?」

「俺とアルは今日からは特に用事はないな。警護に関しては一課に任せているからな。だから、通商会議の期間中はお前達と長い時間、共に行動できる。……こういう時に優秀な部下はありがたい。」

「きょ、局長…………ダドリーさん達が聞いたら烈火のごとく怒りますよ?」

「ンな事する暇があったら、もっと他の事をしてくださいよ……」

ヴァイスの言葉を聞いたロイドとセルゲイは呆れた表情で溜息を吐き

「ハア…………それじゃあ端末をチェックしてから出かけましょうか。」

エリィは溜息を吐いた後気を取り直して提案した。



「あ!そう言えばプリネとツーヤ、後はレーヴェが来ているよー。」

「へ――――」

そしてある事を思い出したキーアの話を聞いたロイドが呆けたその時

「―――こんにちは。」

プリネ、ツーヤ、レーヴェがビルに入ってきた。




 
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