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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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外伝~それぞれの道へ~

ディアーネ達に勝利したその日に宴会が開かれたがプリネやイリーナは参加せず、ツーヤの看病をしていた。



~2日後・工匠都市ユイドラ・宿屋の一室~



「ツーヤ、大丈夫?」

「は………い…………あたし………ようやく……”成長”………するん………ですよね………?だったら…………これぐらい………耐えて………見せます…………!」

プリネに心配されたツーヤは顔色を悪くして、途切れ途切れに応えた。そこにドアがノックされた。

「プリネ様、入っていいですか?」

「イリーナさんね。入って来ていいですよ。」

「………失礼します。」

プリネの許可を聞き、イリーナがおかゆが入った入れ物を持って来て部屋に入って来た。

「…………具合はどう、ツーヤちゃん?」

「頭が………ボーっと………していて………とても………つらい…………です………」

「そう………ほら。おかゆを作って来たから少しでも食べて、力をつけて。」

「すみ………ま………せん………」

そしてツーヤはイリーナにおかゆを食べさせてもらったが、3口ほど食べると、もう食べれなくなった。

「ごめん………なさい………食欲が………なくて………」

「気にしないで。………それより早く元気になってね。」

「ツーヤ……………」

つらそうにしているツーヤに何も出来ない事をプリネとイリーナは歯がゆい思いで看病していた。そしてその日の夕方、プリネと交代で看病をしていていつの間にかうたた寝をしていたイリーナが気がつくと、ツーヤが寝ていた場所にツーヤはいなく、光の玉が輝き、ベッドの上に浮いていた。



「なっ………!まさか、あの中にツーヤちゃんが!?」

いきなりの光景に驚いたイリーナは光の玉に手を伸ばしたが

「キャアッ!?」

光の玉に触った瞬間、火傷をしてしまい、悲鳴を上げた。

「イリーナさん!?大丈夫ですか!?」

そこにイリーナと交代するために部屋に入って来たプリネがイリーナに駆け寄った。

「はい…………っつ!」

「大変!火傷をしているわ!今、治しますね。………闇の息吹!!」

「ありがとうございます。………今はそれよりツーヤちゃんが。」

「………あの光の玉の中ね。………ガプタール様の言う通り、あの中で”成長”しているようね………今はツーヤを信じて、待ちましょう。」

「………はい。」

そして2人はそれから、必要最低限の事をする以外部屋から出ず、ひたすら光の玉を見守り続けた。そしてツーヤが光の玉になってさらに数日が経った。



~数日後~



「………?………!プリネ様!光の玉が輝き始めています!!」

プリネと肩を合わせていつの間にか眠っていたイリーナは輝き始めた光の玉に気付いて、プリネを起こした。

「え………あ………!光の玉が……!」

やがて光の玉は強烈な光を走らせた後、光がなくなり始め、球体の中に一人の黒髪の美しい女性が裸で眠っていた。

「もしかして………ツーヤ………?」

ツーヤの面影を残す女性を見て、プリネは呟いた。そして女性は目を覚ました。

「マスター…………」

「!その声!やっぱり、ツーヤなのね!?」

球体の中から起き上がり、自分を見つめている女性――ツーヤの声を聞いたプリネは驚いた。

「はい。………今まで見守ってくれてありがとうございました………イリーナさんもマスターと一緒に見守ってくれてありがとうございます。マスターとイリーナさんの優しい気持ち………繭の外から一杯伝わってきました………」

「そう………フフ………それにしても、立派に成長したわね。」

ツーヤの言葉を聞きイリーナは成長したツーヤを見て、苦笑した。

「?そうでしょうか………?少しはマスターに近付いていればいいのですけど………」

「ツ、ツーヤ…………貴女の今のスタイル………私やイリーナさんどころかカーリアン様をも超えているんじゃないかしら………?」

プリネはツーヤのスタイルを見て、冷や汗をかいた。大人になったツーヤの今のスタイルは幼かった頃と違い、背はプリネ並にあり、腰はほっそりとしていて、逆に胸はスタイルが自慢のカーリアンとも並ぶかそれ以上に胸が大きかった。

「そういえば………さっきから気になったんだけど、その”マスター”っていう呼び方………私の事かしら?」

「はい。……成長したお陰でようやく『竜化』も出来るようになりました。……これからも存分にあたしをお使い下さい、マスター。」

「フフ………ありがとう。これからも期待しているわね。」

「はい、マスター。」



そしてプリネ達はツーヤの服を用意した後、リウイ達にも知らせた。成長したツーヤを見て、驚いたリウイ達だったが、ツーヤの成長を祝福した。ちなみにカーリアンはツーヤのスタイルを見て、自分が負けた事に軽くショックを受けていて、それを見たファーミシルスがカーリアンを馬鹿にして、2人は口喧嘩を始め、最終的にリウイによって収められた。そしてその後、数日間リウイ達はウィル達の仲間と手合わせや互いの技を教え合う等の修行をした後、ついにメンフィルに帰還する時が来た。

~工匠都市ユイドラ・正門~



「さて………と。数日間、世話になったな、ウィル。」

「セテトリの葡萄………一杯食べさせてくれて、ありがとう。」

「こちらこそ。ユエラ達にとっても、いい刺激になったようだし。」

見送りに来たウィル達にリウイ達の中にいたリフィアやエヴリーヌは順番にウィルと握手をした。

「大陸を制した”王”の剣技………私が思った以上にすざましい剣技だった。私のような者と手合わせをしてくれて、感謝する、メンフィル王。」

「………こちらこそ、東方の剣技という滅多に体験できない剣技と戦えた。礼を言う。」

「貴女、結構やるじゃない♪久しぶりに楽しませてもらえたわ♪」

「ディスナフロディの剣技………見事だったわよ。」

ユエラの称賛にリウイとユエラと手合わせをしたカーリアンやファーミシルスも同じように称賛しながら答えた。

「あの………”抜刀”や東方の技を教えてくれて、ありがとうございました。お陰でさまざまな技を覚えれましたし……」

「私のような未熟者が教えられるのはあそこまでだ。後は自分で使いこなしてみろ。………願わくは私が教えた技を後世に伝えてくれれば、教えた私にとっては最高の謝礼だ。」

「はい、必ず。」

ユエラから刀のある技を教えられたツーヤは凛とした表情で頷いた。

「ペテレーネさん!魔法を一杯教えてくれて、ありがとう!すっごい勉強になったよ!」

「フフ………私なんかがお役に立てれば幸いです。」

明るくお礼を言うエミリッタにペテレーネは微笑んで答えた。

「うふふ………死神さん、技を教えてくれて、ありがとうね♪」

「別に………いい………私も教えていて………楽しかったから……」

ラグスムエナにお礼を言うレンにラグスムエナは口元に笑みを浮かべて答えた。

「セラウィ、家族と末永く幸せにな。」

「はい。今回は本当にありがとうございました、フォーチュラ様。」

リウイ達と同じように旅立つフォーチュラもセラウィに別れの言葉をかけた。そしてウィルはリウイ達と共に去ろうとしているロカに声をかけた。

「ロカさんも忙しい中、ありがとうございました。」

「フフ………気にしないで。私は光と闇………そして”神殺し”すらも争う事なく、共に生きていく道を目指しているのだから………いつかセリカ達がこの街に来るような時が来れば、暖かく迎えてくれないかしら?」

「はい。ユイドラは全ての種族と共に”共存”を目指す街です。誰であろうと、追い返したりとかそんな酷い事はしません。」

ロカの頼みにウィルは快く引き受けた。



「それにしても軍神に仕えし神官が”神殺し”を庇うなんてねぇ………正直、私は会いたくないのだけど。」

「エリザスレイン様。お気持ちはわかりますが………」

「わかっているわ。その時が来ればその時よ。」

神殺しの存在を苦い顔で語るエリザスレインにメロディアーナは諌めた。

「フィニリィも元気で。………パラスケヴァスの事も頼むよ。それと永恒にもよろしく。」

「ええ。見つけたら、連絡を差し上げますし、あの者に再び出会った時、貴方と再会した事や今回の事を話してあげますわ。」

ウィルの頼みにフィニリィは快く引き受けた。

「フフ………それにしてもあ奴が契約するほどの娘子………一度、会ってみたいものよ。」

狐伯蓮は異世界にいるサエラブが契約した人物――エステルに興味を持っていた。

「メンフィルとユイドラが交流し合う時が来れば、エステルとも会う日が来るかもしれんな!さて………余達もそろそろ帰還しようぞ、リウイ!」

「ああ。………お前達の”道”を陰ながら応援しているぞ、”匠王”。」

「そっちもね。………武器が完成すれば君達にもらったこの”帰還の耳飾り”を使って必ずそっちに持って行くよ!だからそれまで、お元気で!」

リウイとウィルは握手をした。そしてリウイ達はウィル達に見送られ、ユイドラを去り、街道の分かれ道まで来た。



~セテトリ地方・某所~



「さて………私とフォーチュラ殿はここから別の道を辿って、それぞれの場所へ帰還します、リウイ様。」

「そうか………………先ほどの件………本気なのか?」

「先ほどの件といいますと………光と闇、そして神殺しと共に生きていく事ですか?」

「ああ。………かつてシルフィアは俺達を信じ、お前達から破門され、そして逝った。下手をすればお前も同じような目に遭うかもしれないのだぞ?」

「確かにそうかもしれないですね………でも、私は信じています。人はみな、分かり合える事を。」

リウイの忠告に対し、ロカは凛とした表情で答えた。

「…………そうか。」

ロカの答えを聞いたリウイは口元に笑みを浮かべた。

「それではこれで失礼します。………またいつか、あなた達と邂逅するその時が来るまで、みなさん、お元気で。」

「みなさんのこれからにルリエンのご加護を………」

そしてロカとフォーチュラはリウイ達と別れ、別の街道へと行った。



「………俺達も行くか。」

「うむ!ここからだとレンストが近いな!まず、レンストで休んで、その後冥き途に向かおうぞ!」

リウイの言葉に頷いたリフィアはある提案をした。

「………待て。何のために冥き途に向かう?もう、あそこに用はないのだぞ?」

リフィアの提案を聞いたリウイは一瞬イリーナを見た後、首を傾げて尋ねた。

「忘れたか?ツーヤやイリーナ、そしてプリネにさまざまな世界を見せるためだ!それにプリネは門番の2人と仲がいいと聞くぞ?違うか?」

「はい。リタさんやナベリウスさんと会うのも本当に久しぶりです………私の為にありがとうございます。」

リフィアの答えを聞いたプリネは頷き、リフィアにお礼を言った。

「………まあいいだろう。”あいつ”の足取りを教えてくれた2人にはその後どうなったかを知らせるべきだろうしな。」

「うむ!」

そしてリウイ達は次なる目的地へと足を進めた………



一方その頃、エステル達はツァイスに到着した…………







 
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