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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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外伝~オーバルギア開発計画~中篇(前半)

~中央工房・演算室~



「……これが”パテル=マテル”。見た所、まだ10%も実力を発揮していない……成る程、確かにこれはすざましいスペックね……」

ティータが来る少し前、エリカは”カペル”のあるデータを見て真剣な表情で呟いた。

「お母さん!あれ、それって……パテル=マテルのデータ?」

エリカに近づいたティータはエリカが見ているデータに気付くと目を丸くして訊ねた。

「あらティータ、丁度よかったわ。ねえティータ。実際に見たんでしょ、コレ。」

「え……?う、うん。えっと、見たけど……?」

「実物はどんな感じだったの!?ねえ、教えて教えて~~!!」

「え………ええっと、ええっと……」

エリカにねだられたティータは苦笑していたがやがて自分が知る限りのパテル=マテルの情報を口にした。



「よ、よくわかんないかも……すごく大きかったし………」

「あー……確かにそうね……この体高を見上げても詳しいことはわかんないっか……」

「あの、お母さん………どうして、パテル=マテルのデータなんか見てるの?えっと、新発明の方は……?……………も、もしかして……!」

エリカに尋ねたティータが周りを見回した後、ある事に気付いたその時

「そのとおりじゃ。」

「こちらも準備完了。すぐにでも作業に入れるよ。」

ラッセル博士とダンが2人に近づいて来た。

「よし、揃ったみたいね。……これより我々はパテル=マテルに対抗し得る人形兵器の開発に着手します。………”オーバルギア”計画(プロジェクト)、始動!」

「ええ~~~~~~っ!?」

そしてエリカの宣言を聞いたティータは声を上げて驚いた!



「”パテル=マテル”………どうしてだろ、どうして………」

誰もいない演算室でティータはパテル=マテルのデータを見つめて呟いた後、背を向けて物思いに耽った。

「(新しい発明って聞くと、いつもは凄く嬉しくなる。それで何もかも忘れて、お祖父ちゃんと一緒に夢中になっちゃうのに……今日はちょっとだけ、悲しい気がする………)………これで、いいのかなぁ………ユウナちゃん。」

パテル=マテルの主である”執行者”―――ユウナの顔を思い浮かべたティータは疲れた表情で呟いた。その後、ティータはエリカ達の所に向かい、手伝いを申し出た所、ある用事――帰国書類をマードックに作るよう頼まれ、いつもマードックが通っている七耀教会に向かった。



~ツァイス市・七耀教会~



ティータが教会に到着すると、そこではマードック工房長が強く祈りをささげていた。

「………工房長さん?」

「ああ、エイドスよ。無力な我等を守りたまえ……!………?やあ、ティータ君。どうしたのかね?」

強く祈りを捧げていたマードック工房長はティータに気づいて尋ねたが、ティータが答える前に推測を始めた。

「も、もしや実験に失敗して有毒ガスが発生したのかね!?そ、それとも今度は大爆発して工房の半分が吹き飛んだとか………あ、あるいはレン君を脅迫して滅茶苦茶な金額の研究開発費を出させたとか……!」

「あ、あの………ごめんなさい、工房長さん。お祖父ちゃんもお母さんもいつも迷惑かけちゃって……でも大丈夫です。今日はまだ何も……」

表情を青褪めさせて推測しているマードック工房長の推測を聞いたティータは申し訳なさそうな表情で謝罪した。



「そ、そうか………よかった………女神への祈りが通じたのかもしれない。あ、明日の分もお祈りしておこう………」

まだ何も問題が起きていない事を知ったマードック工房長は安堵の表情で溜息を吐いた後再び祈り始めた。

「あ、あの工房長さん。……実はお願いがあるんですけど……」

「お願い、かね……?」

そしてティータは事情を説明し、両親の帰国書類を用意してくれるよう頼んだ。

「なるほど、今回は空を飛んで帰って来たのか。それではティータ君が驚くのも無理はない……」

事情を聞いたマードック工房長は微笑みながら頷いたが

「み………密入国ッ…………!?」

「あ、そうかも………」

二人が帰国手続きもせずにリベール王国に帰国した事に気づくと表情を引き攣らせて声を上げ、ティータはマードック工房長の言葉を聞いて呆けた表情で呟いた。



「はあぁ、参ったよ。急いで認可証を提出しないと……ティータ君、私の代わりにお祈りしておいてくれないか。今回の発明が、何事もなく終わりますように……とね!」

「あ、はい。………わかりました。」

「よ、よろしく頼むよ!」

「えっと………(お母さんとお祖父ちゃんが無茶しませんように………)」

二人の帰国手続きをする為に急いで教会から去ったマードック工房長の代わりにティータは女神に祈り、祈り終わったティータは不安げな表情をした。

(……でも、わたしに何ができるんだろう……エステルお姉ちゃんやレンちゃんみたいに強くないのに………あの時だって、ユウナちゃんに何も言ってあげられなかった……)

暗い表情でユウナの事を思っていたティータはある事を決意した。

(……そ、そうだ!わたしもオーバルギアの開発に入れてもらおう。パテル=マテルと同じくらいの力があるオーバルギアがあれば……ユウナちゃんの事が少しでもわかるかもしれない……!よ、よしっ!お母さんに頼んでみよう!)

そしてティータは急いで中央工房に向かった。



~中央工房・工作室~



「この工作機は新型での、従来の1/10精度で加工が行えるのじゃ。」

「チッ。こんなものがあったとは……これは基本設計を見直す必要がありそうね!」

「あ、お母さん!ここにいたんだ。」

ラッセル博士とエリカが相談をしているとティータが部屋に入って来た。

「あら、ティータ。そっちの方は上手くいった?」

「うん。帰国書類の方は大丈夫。工房長さん、すぐに用意してくれるって。それでね、お母さん……わたしもオーバルギアの開発に入れてほしいな。」

「ティータを……?」

ティータの頼みを聞いたエリカは驚いた後、ティータを見つめた。



「うん、あのね。手紙には書かなかったけど、わたし、ユウナちゃんとしばらく一緒にいたことがあって………ユウナちゃんは”結社”に入ってたけど、それでもわたしの友達なの。」

「ユウナ………どこかで聞いた事があると思ったら………パテル=マテルの操縦者ね。」

「あー、エリカ。ワシの方から補足しとくがの……」

ティータの話を聞いて真剣な表情で考え込んでいるエリカにラッセル博士が説明をしようとしたその時

「補足ぅ?」

エリカは怒りの表情でラッセル博士に近づき、ラッセル博士を掴みあげた。



「お、お母さん!?あの……」

「これはどーゆー事かしらね。アルバート・ラッセル………ティータが”結社”の構成員と一緒にいたですって……?そんな事、資料には書いてなかったわよ!!」

「あー、いやのー………書きにくいんじゃよ、こういうことは………」

「そういう意味じゃないわ。ティータをあれだけ危険な目にあわせた挙句この始末………テメー、可愛い孫とどーゆー接し方してたんだ!!」

「お、お母さん!わたしも開発に入れて!わたしには力はないけど、ユウナちゃんとちゃんと話がしたいんだ。そのオーバルギアって、パテル=マテルと対抗できるんでしょ?わ、わたしもエステルお姉ちゃんやレンちゃんみたいな力がほしいの……!」

ラッセル博士を怒鳴り散らすエリカにティータは必死になって自分も開発に入れてくれるように頼んだ。

「…………ティータ?まさかあなた………オーバルギアを使って、パテル=マテルと戦う気なの?」

「え……?そ、そういう意味じゃなくてわたしは………」

「…………ティータ。オーバルギアを作るってどういう事かわかる?」

自分に問いかけれて不思議そうな表情をしているティータにエリカは静かな表情で問いかけた。



「えっ………う、うん…………ちらっと見ただけだけど、二足歩行タイプで……」

「そうじゃないの。オーバルギアは兵器なの。たとえどんなに美化してもね。つまるところ、人を傷つける道具なのよ。」

「で、でも………お母さんだって、そんなつもりで作ってるんじゃないでしょ……?警備飛行艇だってリベールを守る為にあるんだし……」

「”そんなつもり”は関係ないの。実際に兵器を使うのは私達じゃないんだから。自分が作った機械で、たくさんの人が悲しむことになる。ティータ、あなたはそんな事を考えたことある?それでも力が欲しいって言える?」

「う………」

エリカに問いかけられたティータは不安そうな表情をした。

「私達のやっていることは、その可能性を含んでいるのよ。私もティータのことは大好き。友達のことを大切に思うのもわかります。でも、だからこそティータの参加を認める訳にはいきません。わかってくれるわね、ティータ?」

「………でも………わたしだって…………か、軽い気持ちで言ってるんじゃ、ないもん……!」

真剣な表情のエリカの言葉にティータは小さな声で呟いた後、涙を流して叫び、そしてどこかへ去った。

「エリカよ、今回の件はティータにもいろいろと思うところがあるんじゃろう。もーちっと尊重してやらんかい。」

「だからって、兵器の開発なんかに入れる訳にはいかないでしょ。………自分の手を離れたものが後々どのように使われても、研究者は口出しできない。私達はそこんとこ、ハラ括ってやるしかない。」

「……まあの。」

ティータが去った後エリカを諫めようとしたラッセル博士だったがエリカの正論を聞くと静かに頷き

「あの子の思いもわかるけど、オーバルギア計画に触らせるわけにはいかないわ。あの子は、こんなことで悩まなくてもいいんだから……」

エリカは寂しそうな表情でティータが去った方向を見つめて呟いた。一方ティータはダンにエリカに言われた事等を相談するために、ダンがいる場所に向かった。



~中央工房・地下実験室~



「……お父さん!」

「ティータ?ああ、ちょっと待って。今そっちに行くから。」

ティータに気付いたダンは作業の手を止めて、ティータの元に向かい、ティータから事情を聞いた。

「そうか……エリカさんは、開発に入れてくれなかったか……」

「うん……お母さんの言う事もわかるし、全然反論できないけど……でも、悔しい………」

「……エリカさんはお義父さんとは違って、明確な研究思想を持っているからね。情熱に突き動かされるのではなく、明確な動機を持って行動する……特に今回は、リベールの国防がかかっているんだ。確かにティータの話では太刀打ちできないかなぁ……」

肩を落としているティータにダンは静かな表情で語った後、苦笑した。



「…………でもわたし、ユウナちゃんとちゃんと向き合いたいんだ!わっ、わたしが言ってることは子供っぽいかもしれないけど!」

「ティータ……(こんな真剣な顔を見るのは初めてかもしれないな……)ティータの言ってることは、子供っぽいっわけじゃないと思うよ。でも、オーバルギアの開発にはやっぱり関係ないかな。たとえオーバルギアがあっても、その子と向き合うのはとても難しい事だろうし……ティータ、人と正面から向き合うという事はとても大変なことなんだ。多分、ティータが想像しているよりずっとね。ティータは優しい子だけれど、優しさだけでわかってくれるとは限らないから……」

ティータが見せた今まで見たことがない真剣な表情に驚いたダンは静かな表情で諭した。

「うん……やっぱり、わたしにはユウナちゃんと話をするのは無理なのかな……わたし、また何もできないよ……」

「……………さっきティータはエリカさんに掛け合って、逆に説得されてしまったんだろう?それはエリカさんが強い信念を持っているからだ。もしその子に深い事情があるのなら、ティータはそれ以上に強い心を持たないといけない。でないと、お互いに本音をぶつけ合えないから……」

「………そういえばアガットさんが言ってた……『ケンカは気合いだ!』って。それとレンちゃんは『圧倒的な力があれば、大抵の事は解決できるわ♪』って、言ってた。」

「い、いや、気合や力というか……(……アガット君にレン君……君達も中々不安をそそるね……)えっと……この場合は覚悟、かな。その子と正面から向き合って、ぶつかりあえるほどの覚悟……口で言うほど、簡単なことじゃないけれどね。」

ティータの説明を聞き、まだ見ぬアガットやレンがティータの教育に悪い事を教えた事に内心不安に思ったダンは冷や汗をかいた後気を取り直して指摘した。



「……確かにユウナちゃんは”結社”の人間だし、パテル=マテルは強すぎる……わたしにはエステルお姉ちゃんやレンちゃんみたいな力はないし……わたしの言葉なんか、届かないかもしれない……でもやっぱり、ユウナちゃんもパテル=マテルも放っておくわけにはいかない!」

肩を落として語ったティータだったが、やがて決意の表情になってダンを正面から見つめた。

「あ、あのね、お父さん。ユウナちゃんは”結社”にいたし、確かに悪いこととかもしてたかもしれない……わたしはユウナちゃんの側にいて、一緒にお買い物とかに行ったことがあるからわかるの。ユウナちゃんは優しいよ。演技とかじゃなくて、本当に優しいところがあるんだ。お店でかわいいペンダントを見つけたときは、思わず二人で一緒にはしゃいじゃったし……わたしが転んじゃったときにはしょうがないわねって言いながら手を貸してくれたり……ユウナちゃんは本当にいい子なんだ。わたし今でも、友達だと思ってる。………でも、ユウナちゃんもパテル=マテルもわたしには遠すぎてあの時は全然手が届かなかった…………でも……今なら近づけるかもしれない。オーバルギアがあればユウナちゃんが何を見ていたのか少しはわかるかもしれない………ユウナちゃんも心を開いて話をしてくれるかもしれない……だから、だから……わたし、この計画に関わりたい!」

「(そうか………ティータはもう……)………………エリカさん、どう思う?」

ティータの決意の表情を見たダンは優しい微笑みを浮かべえた後、静かな表情で呟いた。

「えっ………お、お母さんっ!?いつから聞いてたのっ!?」

ダンの言葉を聞いて驚いたティータが振り返ると、そこにはエリカがいた。

「……最後のトコだけね。」

驚いているティータにエリカは苦笑しながら答えた後、ティータに近づき、そして真剣な表情で問いかけた。



「ティータ、一つ聞いていい?」

「う、うん………何?」

「もしそのユウナちゃんがティータのことを友達だと思っていなかったら………ティータはどうするの?」

「……何も…………何も変わらないよ、お母さん。わたし、もうユウナちゃんと関わっていくって決めたんだから。わたしには、ユウナちゃんを追いかけていって説得したりすることはできないけど………………ユウナちゃんやパテル=マテルのことを知ったり、オーバルギア計画を手伝ったり………こんなことなら、わたしにだってできる。こんな形なら、わたしもユウナちゃんと関わっていける。…………そうしたい。それがわたしの気持ちだから。」

「…………そう。ま、いいわ。ちょっと甘い気もするけど……計画に参加するだけの理由はあるみたいだし。」

ティータの固い決意を知ったエリカは黙って考え込んだ後口元に笑みを浮かべて答えた。

「えっ………!?」

「ほーら2人とも、グズグズしない!……ダン!設計図書き直してるからチェックよろしく!!……ティータ!!私達は結晶回路の試作に入るわよ!!」

「………お母さん、それって…………わたしも開発に参加していいの………?」

そして次々と指示をするエリカをティータは嬉しそうな表情で見つめて尋ねた。

「……この子ったら、なに嬉しそうな顔してるのよ。参加したからにはキリキリ働いてもらいますから。」

「う、うん………任せて、お母さん!!」

「それじゃあ、行きましょうか。」

こうしてティータはオーバルギア計画に参加することになった。幾度となく出入りしていた中央工房も仕事場となると、新しい緊張感を感じさせる。ティータは大人たちに混じって一人の技師として働いた。特にエリカの要求は厳しく容赦ないものであったが………そんな厳しさもティータにとっては嬉しいものであった。―――そして数週間後。



~数週間後~



「完・成!よしっ、起動実験に入るわよ!」

エリカは完成した”オーバルギア”の試作機を見た後、振り返って言った。

「エ、エリカさん。少し休憩しよう………もう3日も働き詰めじゃないか。」

「お、お母さぁん………どうしてそんなに元気なの?」

「もう、2人とも何へばってんのよ!開発の醍醐味はここからじゃない!……特にティータ!!」

疲労感を見せているダンとティータにエリカは近づき、ティータに視線を向けて声をあげた。

「ふ、ふえっ………!?」

「今回の試作機は座席が小さくてあなたしか乗れないんだから。実験にも最後まで付き合ってもらうわよ!」

「う、うんわかってる………でも、ちょっとだけ寝かせて………」

エリカの言葉に頷いたティータは地面に座りながら眠り始めた。



「ま、しょうがないわね。こんな状態でミスられても困るし、起動実験は明日に回しましょうか。」

「ティータはよくやったと思うよ。ベテランの技術者でも、エリカさんのペースにはついていけないからね。」

「あ~ら、失礼ね。私はそんな体力バカのつもりはないけど。ええっと……28日の金曜日、起動実験………っと。」

「ん、んんん………お、お母さん………もしかして、明日って金曜日!?」

二人の会話を聞いてある事に気づいて目が覚めたティータは嬉しそうな表情で尋ねた。

「え、ええ。そうだけど………?」

「大変、お料理しなくっちゃ!」

エリカの言葉を聞いたティータはどこかに向かって走り出した。その様子を見たエリカとダンは首を傾げているとティータは実験室にエレベーターで降りて来たラッセル博士と鉢合わせした。



「おやティータ、どうしたんじゃ?」

「あ、お祖父ちゃん。明日は月末の金曜日だよ。」

「ああ、そうか……アガットの奴が来る日じゃったの。」

「うんっ、今日のうちにお料理の下準備をしとかないと。」

「そうじゃのー、ワシからのリクエストは………」

ラッセル博士と嬉しそうな表情でティータが会話をしていたその時、空気が凍った!

「アガット……?」

「えっと……『月末の金曜日』とか聞こえましたけど……」

ティータ達の会話を聞いていたエリカは凄味のある笑顔で呟き、ダンは戸惑いながらエリカと共に2人に近づいて尋ねた。



「……あ、そっか。お父さんとお母さんはアガットさんに会うのは初めてだよね。えへへ、アガットさん月に一度は家に来てくれるんだよ。それでね……」

事情がわかっていない2人にティータは嬉しそうな表情で説明をしていたその時

「あがっとサンガ来ル日……ウフフ、丁度起動実験の日だったなんてね。………彼も運がいいわ。アハハハハハ!!」

エリカは笑顔で呟き、そして声を上げて笑った!

「えっと………お母さん??」

「ああ、ティータ。実はエリカさん、その………」

エリカの様子に首を傾げたティータにダンが説明しようとしたその時、エリカは自分の近くにあった木箱を破壊した!

「………ダン?私、いい事を思いついたわ。今回の実験には生け贄を使います。ククク……我が家に遊びに来るくらいだもの。それなりの人間性(スペック)は要求されて然りよね………」

そしてエリカはダンを見つめて、とんでもない事を言った後、不敵な笑みを浮かべ

「アガット・クロスナー!!」

目を妖しく光らせて声を上げた!

「えっと……えっと……?」

「エ、エリカさん。つまり、アガット君に実験の手伝いをしてもらう……ということかな?」

エリカの様子にティータは戸惑い、ダンは驚いて尋ねた。



「あー、何じゃエリカ。アガットのやつはメカオンチでの……手伝いなんぞ勤まらんと思うが……」

一方ラッセル博士は意見を言ったが

「………手伝い?フッ、生温い。彼にはこの実験に、人生(いのち)を捧げてもらうのよ!!」

エリカは嘲笑した後声を上げてとんでもない事を叫んだ!

「ええ~~~っ!?」

「あ、あはは……大袈裟だなぁ………でも、協力してもらうのはやぶさかでもないかな。僕も……彼とは一度ゆっくりと話がしてみたいし。」

エリカの言葉を聞いたティータは驚き、ダンは苦笑した後自身もアガットと会いたい事を口にした。



「お、お父さんまで!?」

「決まりね。明日はきっと、いい日になるわ……」

「えっと、えっと………(も、もしかして………アガットさんのこと、何か勘違いしてる………??)」

2人の様子をティータは慌てて見回した後不安げな表情をした。



そして翌日…………… 
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