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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第100話

~根源区画・奥~



「そ……そんな……”輝く環”が……き、消えてしまっただと……馬鹿な……そんな馬鹿なああああっ!!」

人間の姿に戻ったワイスマンは信じられない表情で叫んだ後転移術を発動させて撤退した。

「逃げやがった……!」

「クソッ、どこに逃げやがった……!?」

それを見たアガットとルークは厳しい表情をし

「「……………」」

(……後は任せましたよ、ケビン。)

アリエッタは静かな表情で、アーシアが複雑そうな表情で黙り込んでいる中イオンはワイスマンが消えた場所を見つめていた。

「……本来なら後の災厄とならない為に追撃するべきだが、ああいう手合いの者は追い詰め過ぎれば何をするかわからないからね。”輝く(オーリオール)”の行方も気になるが、全員無事であの外道を撤退させることができた事を喜ぶべきだろう。」

「ま、逃がしちゃったのは残念だけど結社の最高幹部が逃げたんだから、これで結社もリベールから撤退するからいいんじゃないかしら?それにレン達の目的は”教授”を捕まえる事じゃなくてこの浮遊都市を何とかする事よ。」

「そうね………」

レイスとレンの正論を聞いたエステルは気を取り直して真剣な表情で頷いた。

「姉さんっ!!」

するとその時ヨシュアはカリンに抱きついた。



「よかった……姉さんが生きていて本当によかった……!」

「ヨシュア…………ごめんね、ずっと黙っていて………それに私のせいで貴方とレーヴェに辛い道を歩ませてしまって………」

涙を流して自分の生を喜ぶヨシュアをカリンは優しく抱きしめて辛そうな表情で答えた。

「姉さんが謝る必要なんて……ないよ……!姉さんが生きているのならそれだけで十分だよ…………!」

「………お前が気にする必要はない。その時の俺は俺自身が望んで歩んだ道なのだからな。それよりも……一体どういう事だ、”七の導師(セブンスフォンマスター)”。カリンが生き返ったのはまさかお前の仕業か?」

カリンの謝罪に対してヨシュアは涙を流しながら答え、レーヴェは静かな表情で答えた後イオンに視線を向けて訊ねた。

「まあ、そんな所です。」

「ええええええええええええええっ!?”守護騎士(ドミニオン)”って人達は死んだ人を生き返らせる事ができるの!?」

「あ、ありえねえ……」

そしてレーヴェの問いかけにイオンが肯定するとエステルは驚き、アガットは信じられない表情をした。



「フフ、カリンは事情が特別ですから蘇生が可能だっただけですよ。」

「イオン様、『ハーメルの悲劇』を知った時、とても悲しんで、せめてハーメルの人達の魂が安らかな眠りにつけるように祈る為に、ハーメルに行きました。そしてそこで、地縛霊と化していたカリンを見つけました。」

エステルとアガットの反応にイオンは苦笑し、アリエッタはイオンの代わりに説明をした。

「じ、地縛霊って………も、もももももしかして、幽霊!?」

「もしかしなくても、幽霊よ。”地縛霊”と言うのは、自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死んだことを理解できなかったりした魂、後はその土地に特別な思いがある魂が、自分が死亡した時にいた土地や建物などから離れずにいるとされる霊なのよ。」

表情を引き攣らせているエステルを苦笑しながら見つめていたアーシアは説明をし

「普通、霊となってなおこの世に留まっている魂は自我や理性を失っているのですが……彼女―――カリンは奇蹟的にも理性――つまり生前と全く同じ自我と理性を持っていた状態で霊と化して、あの地に縛られていたのです。」

「そして、カリンからこの世に留まり続けている事情を聞いたイオン様が、古代遺物(アーティファクト)を使って、カリンを甦らせました。」

「ア、古代遺物(アーティファクト)で!?」

古代遺物(アーティファクト)には人を生き返らせる物もあるのか……」

「ちなみにそのアーティファクトって、一体どんなものなのかしら?」

イオンとアリエッタの説明を聞いたエステルとレイスは驚きの表情でイオンを見つめ、レンはイオンに訊ねた。



「―――”聖杖ユニコーンズ・ホーン”。かつてゼムリア大陸に存在したと言われるその角に膨大な聖なる霊力を秘める一角獣の角を材料にして作られたアーティファクトです。」

「ブッ!?(レプリカのネビリムさんを封じ込めていた触媒と同じ名前の武器かよ!?しかも、効果も俺達が持っていたのと似ているし……偶然だよな??)」

「ルーク兄?もしかしてそのアーティファクトの事を知っているの?」

イオンの説明を聞いて噴きだしたルークが気になったエステルはルークに訊ねた。

「い、いや。たまたま俺が知っている武器と同じ名前だったから驚いただけだよ……ハ、ハハ………」

「??えっと……要するにそのアーティファクトのお陰でカリンさんは生き返ったって事なの?」

そして冷や汗をかきながら乾いた声で笑って誤魔化すルークを不思議そうな表情で見つめた後イオンに訊ねた。

「ええ。―――先に言っておきますけど、カリンを生き返らせることができたのは霊と化したカリンが自我と理性を持ち続けていた事で清浄なる魂であり続けたからです。もし彼女の魂がこの世に留まっていなかったり、彼女の魂が穢れていては蘇生はできませんからね。彼女が甦る事ができたのは奇蹟のような偶然が重なり合ったお陰です。」

「フッ……”奇蹟”か………今だけは女神に感謝するべきだな……」

「姉さんを甦らせてくれて、本当にありがとうございます、イオンさん……!」

イオンの説明を聞いたレーヴェは苦笑し、ヨシュアはイオンに頭を下げて感謝の言葉を贈った。



「あれ?そう言えばステラさんがカリンさんだった事にルーク兄やレンはあまり驚いていない様子だったけど、何で??」

「う”っ!え、え~と……」

ふとステラがカリンであった事にルークやレンが驚いていなかった事を思い出したエステルに訊ねられたルークは唸り声を上げた後答えを誤魔化し

「フフ、実はルークには僕にとって個人的に力を貸してくれるアーシアを通してカリンの事をあらかじめ伝えておいたんです。僕とアリエッタがいない時に彼女が貴方達と共に行動をして、その時に彼女の事を怪しまれた時に彼女を庇う人達が必要だと思いましたから。」

「ちなみにレンもその時たまたま一緒にいたから知っていたわよ♪」

「あ、あんですって~!?それじゃあ、ルーク兄とレン、それにアーシアさんは最初からステラさんがカリンさんだって事も知っていてあたし達に黙っていたの~!?」

イオンとレンの答えを聞いたエステルはルークとレン、アーシアを睨み

「お、俺は悪くねえぞ!?カリンの正体を黙る事はカリンの為でもあったから、仕方なく黙っていただけだぜ!?」

「うふふ、敵を欺くにはまず味方からって言うでしょう♪」

「アハハ………え、えっと、私達が彼女の正体を黙っていた事情もわかったから、そんなに怒らなくてもいいじゃない。」

エステルに睨まれたルークは慌てた様子で言い訳をし、レンは悪びれもなく小悪魔な笑みを浮かべて答え、アーシアは苦笑しながらエステルを宥めようとした。



「全くもう……ルーク兄とアーシアさんまでヨシュアやレンみたいに、隠し事をしていたなんて。父さんといい、何でウチの家族って隠し事だらけなのよ……ブツブツ………」

「クスクス……それにしてもさっきの屋上での二人の一騎打ちでのセリフを聞いていてちょっと思ったけど、レーヴェは私の事を誇張し過ぎよ……」

「え………」

「………?」

呆れた表情で溜息を吐いてブツブツ呟きだしたエステルを微笑ましそうに見つめた後疲れた表情で呟いたカリンの言葉が気になったヨシュアは呆け、レーヴェは不思議そうな表情をした。

「『カリンは特別だ!あんな人間がそう簡単にいてたまるものか!』、『人は試されなくてはならない!弱さと欺瞞という罪を(あがな)うことができるのかを!カリンの犠牲に値するのかを!』……あのセリフを聞いた時、正直恥ずかしかったわよ。私は天使や聖女でもなく、ただの村人よ?」

「グッ……………………」

「ハハ…………」

屋上でのヨシュアとの決闘の台詞を繰り返して呟いたカリンにジト目で見つめられたレーヴェは唸り声を上げた後カリンから視線を逸らして黙り込み、その様子をヨシュアは苦笑しながら見守っていた。



「でも……ありがとう。そんなにも私の事を大切に思っていてくれて……それに私の代わりにヨシュアをずっと見守ってくれて、本当にありがとう…………」

「………気にするな。それにヨシュアはもう俺達の手は必要ない。それより全ての呪縛が解けた今、本当の意味で強くなる必要があるだろう。それを支えるのは俺達ではない。」

「そうね………」

レーヴェの指摘に頷いたカリンはエステルを見つめた。

「へ?」

「エステルさん…………これからは貴女がヨシュアを………私達の弟を支えてくれませんか………?」

「えへへ……言われなくてもそうするつもりだったけど……。でも……今ここでちゃんと約束する。だから……どうか安心して。」

カリンの頼みにエステルは恥ずかしそうに笑いながら答えた。



「ありがとう、エステルさん………………………………」

エステルの答えに微笑んだカリンはレーヴェをじっと見つめた。

「?どうした、カリ………」

「ん………」

カリンに見つめられたレーヴェがカリンに声をかけようとしたその時、突然のカリンの口付けによって中断され、それを見たエステル達はそれぞれ驚きの表情をした。

「うわ~………カリンさんって、結構大胆ね~。」

「…………わかってはいた事なんだけど、それでも複雑だよ…………」

「うふふ、こんな事ならカメラも持ってくるべきだったわ♪そしたら、今の決定的な瞬間を写真で残せたのに♪」

「そんなもんを残して何に使うんだよ……」

顔を赤らめて呟いたエステルにヨシュアは疲れた表情で溜息を吐いて答え、からかいの表情で呟いたレンにルークは呆れた表情で指摘した。

「フフ、ヨシュアを見守ってくれたお礼よ。」

レーヴェから離れたカリンは頬を赤く染めて恥ずかしそうに笑い

「カリン……」

カリンに微笑まれたレーヴェは苦笑した。

「おーい……!」

するとその時屋上で戦っていたメンバーが駆けつけた。



「あ………」

「よかった……無事だったか。」

「……君達が降りた後、新手の機械竜が何匹も現れてな……苦戦していたその時、彼がそこの機械竜を呼んで戦況を覆してくれたんだ。」

「そうだったんだ……」

ユリア大尉は全員無事なエステル達を見て安堵の表情をし、ミュラー少佐の話を聞いたエステルはレーヴェを見つめた。

「あれれ?もしかして貴女って……ステラさんですか??」

その時カリンに気づいたティータは不思議そうな表情で訊ね

「ええ。ステラは今まで名乗っていた偽名で、私の本名はカリン・アストレイ。ヨシュアの姉よ。改めてよろしくね。」

「ふええええええ~~っ!?ス、ステラさんがヨシュアお兄ちゃんのお姉ちゃん!?」

「た、確かにお芝居の時に女装したヨシュアさんとそっくりですね……道理でステラさんに見覚えがあったはずです。」

「ク、クローゼ。できればその事は姉さんとレーヴェの前で口にしてほしくないんだけど……」

カリンが自己紹介をするとティータは驚き、信じられない表情で自分とカリンを見比べているクローゼをヨシュアは冷や汗をかいて指摘した。



「おおっ!あのヨシュア君の姉君……しかもヨシュア君似という完璧さ!フッ、カリンさんと言ったね?後でデートをしないかい?勿論ヨシュア君とセットで構わな―――いや、是非セットで♪」

「え、えっと……?」

一方カリンの容姿を見て酔いしれた表情をしたオリビエは髪をかきあげてカリンをナンパし始め、ナンパされたカリンは戸惑い

「このお調子者は……!」

「ハア……少しは時と場合を考えなさいよ……」

オリビエの行動を見たミュラー少佐はオリビエを睨み、シェラザードは呆れた表情で溜息を吐いた。

「………オリビエさん?」

「俺達の目の前でカリンを誘おうとするとはいい度胸をしているな?」

「ガクガクブルブル……!ごめんなさい、ちょっとしたお茶目です……」

膨大な威圧を纏って微笑むヨシュアと膨大な闘気を纏うレーヴェに睨まれた事によって今まで感じた事のない恐怖を感じたオリビエは表情を青褪めさせて体を震わせていた。



「やれやれ……それよりもワイスマンと”輝く環”はどうしたんじゃ?」

「あ………うん……”輝く環”はどこかに消えちゃって……ワイスマンも逃げたけど……やたらと慌てた感じだったわね。」

「なに……消えたじゃと?ううむ……それはマズイかもしれんな……」

エステルの答えを聞いて何かに気づいたラッセル博士は唸った。

「え………」

そしてラッセル博士の言葉を聞いたエステルが呆けたその時、その場が揺れ始めた。



「こ、この揺れって……」

「……”輝く環”は、浮遊都市を維持してきたエネルギー源でもある。それを破壊してしまった……じきにこの都市は崩壊するじゃろう。」

「マジかよ!?」

「うふふ、お約束の展開ね♪」

「早く撤退しないと……!」

「チッ、ダイクロフトといい、どうして浮遊都市というものは用がすめば崩壊する!」

(いや、都市を空に浮かせているエネルギー源を絶てばそうなるのが普通ですよ……)

自分達がいる場所が崩壊しようとしている事にルークは表情を引き攣らせ、レンはからかいの表情で呟き、ソフィは真剣な表情になり、舌打ちをしたリオンにシャルティエは苦笑しながら指摘した。

「そ、それでは……!」

「急いで”アルセイユ”に戻った方がよさそうですな……」

「うむ……。すぐに導力が尽きることはないが急いだ方がいいじゃろう。おまえさんたちの船はどうじゃ?」

ミュラー少佐の言葉に頷いたラッセル博士はドルン達に視線を向けた。

「ああ、今ごろ完全に修理が終わっているはずだ。」

「戻ったらすぐに飛べるだろうぜ。」

「よし……それでは皆、これより撤退を開始する!エレベーター近くに転位用のゲートがあった。順次、それを使って”中枢塔”より脱出するぞ!」

そしてユリア大尉の号令を合図にエステル達は撤退を始めた!



「……馬鹿な……そんな馬鹿な……。こんな事態……ありえない……。……ま……待てよ……。た、試されたのは……私も同じだったということか……くっ……戻ったら問い質さなくては……」

エステル達が撤退をし始めたその頃、ワイスマンは弱った様子で浮遊都市から脱出しようとしていた。

「悪いけど、それは無理やね。」

そこにワイスマンの行く手を阻むかのようにケビンがワイスマンの進む先から現れた。

「ケビン・グラハム……。いつの間にこんな所に……。どけ……貴様のような雑魚に関わっている場合ではない……」

ケビンを退ける為にワイスマンは魔眼を発動したが、何とケビンは星杯の紋章を掲げ、自分自身に結界を展開して魔眼を無効化した!



「……貴様……”魔眼”が効かないのか!?いくら教会の騎士とはいえ新米ごときに防げるわけが……」

「あー、スマン。ちょいと三味線弾いてたわ。オレは騎士団の第五位。それなりに修羅場は潜っとる。ま、それでも本調子のあんたに勝つのは難しかったけど……。今なら付け入る隙があるからな。」

「なに………」

「くっ……」

ケビンの言葉にワイスマンが呆けたその時、ケビンがボウガンの矢をワイスマンに放ち、エステル達の戦いによって疲労していたワイスマンは回避する事もできずに矢に命中してしまった。

「……オレの本当の任務は”輝く環”の調査やない。最悪の破戒僧、ゲオルグ・ワイスマン―――あんたの始末というわけや。ちなみにイオンの本当の任務はあんたにオレの正体を悟らせないためのあんたの注意を惹きつける為の”囮”や。」

「クク……なるほどな……。だが、この程度の攻撃でこの”白面”を滅するなど……」

ケビンの真の目的を知ったワイスマンは凶悪な笑みを浮かべてケビンを見つめ返したその時!

「な……なんだ……」

瞬く間にワイスマンの身体が白く固まり始めた!



「し、『塩の杭』……。かつてノーザンブリア北部を塩の海に変えた禁断の呪具……。私一人を始末するためにこんなものまで持ち出したのか!」

自分を白く固め始めている正体が『塩』である事に気づき、自分を『塩』へと変えたケビンの攻撃が何なのか悟ったワイスマンはケビンを睨みつけ

「あんたは少々やりすぎた。いくら教会が中立でも、もはや見過ごすわけにはいかん。大人しく滅びとき。」

睨みつけられたケビンは冷酷な目で『塩の杭』による侵食が進んで今にも命を落としそうなワイスマンを見つめた。

「おのれっ………狗があああっ―――――――!!」

そしてワイスマンをケビンを睨みつけながら完全に塩の像と化し、絶命した!

「狗か……。ま、その通りなんやけどね。………………………………。ヨシュア君、君は運がいいで。オレなんかと違ってまだまだやり直せるんやから。」

「ウフフ……それってジェラシー?」

ワイスマンの自分に向けた恨みの言葉を聞いて少しの間黙り込んでいたケビンがヨシュアと自分を比べて呟くとカンパネルラが塩の像とかしたワイスマンの傍に現れた。



「”守護騎士(ドミニオン)”第五位―――”外法狩り”ケビン・グラハム。うふふ……噂に違わぬ冷酷ぶりじゃない。」

「君は……たしか”道化師”やったな。悪いけど……彼の方は手遅れやで。」

「フフ……聞いてるかもしれないけど僕の役目は『見届け役』なんだ。計画の全プロセスを把握し、一片の例外もなく”盟主”に報告する。教授の自滅も単なる結果であって防ぐべき事態じゃないんだ。」

自身の組織の最高幹部が殺害されたにも関わらずカンパネルラは焦るどころか、不敵な笑みを浮かべて答えた。

「なるほどな……。”身喰らう蛇”―――まだまだ謎が多そうや。」

「フフ、君たち騎士団だってそれは同じだと思うけどねぇ。さてと……これで僕の役目も終了だ。落とし物も回収できたし、そろそろ帰るとしようかな。」

「なに……!?」

そしてカンパネルラが口にした不穏な一言にケビンが驚いたその時カンパネルラは指を鳴らした。すると塩の像と化したワイスマンは崩れ落ち、カンパネルラとワイスマンの魔導杖がカンパネルラの転移の炎に包まれた。

「あはは!それではどうもご機嫌よう!また次の機会に会えることを祈っているよ!」

「落し物って……まさか……。………………………………。まあいい……これ以上はオレの権限外や。急いでエステルちゃん達と合流せんとな……」

カンパネルラの最後の行動を考え込んでいたケビンはある事に気づくと信じられない表情で呟いたが、すぐに気を取り直してエステル達と合流するため急いで引き返していった。



……こうしてエステルたちは断続的に発生する揺れの中、”中枢塔”から脱出した。 急激な導力低下のためか”レールハイロゥ”は完全に使用不可能となっており……エステル達は地下道を通って公園区画に停泊するアルセイユを目指すことにした…… 
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