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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第114話

エレベーターを使って、エステル達が地下に到着するとそこには地下とは思えない広々とした場所だった。



~封印区画 第1層~



「な、なによここ……」

「ふえ~………」

「古代ゼムリア文明の遺跡……」

エステルやミントは風景を見て驚き、ヨシュアは驚いた表情で呟いた。

「相当古い遺跡のようじゃが死んではおらんようじゃの……。『四輪の塔』などと違って、装置が稼働しておるようじゃ。」

ヨシュアが呟いた事を博士は頷いた後、驚きの表情で言った。

「装置が動いてるだけじゃねえ。やばそうな化物がうようよいる気配がするぜ。」

「ええ。しかも街道とかにいるのとは、比べ物にならないくらいの気配ね♪」

アガットの言葉にカーリアンは頷いた後、好戦的な笑みを浮かべた。

「ふ、ふえぇ……」

博士の説明やアガット、カーリアンの言葉を聞いたティータは思わずよわよわしい声を出した。

「このあたりの建材は最近持ってこられたものね。リシャール大佐の指示で建造されたということか……」

「まあ、間違いないだろうね。こんな地下深くで工事とはご苦労様なことだ」

シェラザードは真新しい建材を見て推測し、オリビエはシェラザードの推測に頷いた。

「でも、思っていた以上に巨大な遺跡のようですね……。効率的に探索しないとすぐに迷ってしまいそうです。」

「ふむ……。ここは、探索班と待機班に分かれた方がいいかもしれんな。」

クロ―ゼの意見に頷いたジンは提案した。



「え、どういうこと?」

「つまり、安全な場所を拠点としてそこを足がかりにするんですね?」

ジンの提案にエステルは理解できない様子で首を傾げていたが、ヨシュアはわかっていて、確認した。

「まあ、そういうことだ。探索班がルートを発見する間、待機班は拠点を守りながらいざという時の交替に備える。ルートが見つかったら全員で移動して新たな拠点を作る。」

「なるほど……合理的だな。」

ジンの提案を聞いたアガットは頷いた。

「ならば、当面はこの場所を拠点にした方がよさそうじゃの。エステル、ヨシュア。さっそく探索班を決めるがええ。」

「ええ、あたしたち!?」

「ですが……」

博士に促されたエステルは驚き、ヨシュアは自分達が決める権利はないと思って、それをいいかけた所を

「今回の事件に一番深く関わっとるのはお前さんたちじゃ。みなも異存はないじゃろう。」

博士がエステル達が相応しいといい、全員に確認した。

「ええ、あたしは賛成よ。」

「もちろん私もです。」

「わ、わたしもお姉ちゃんが決めるなら……」

「リスティは難しい事はわからないですけど~、エステルが決めるなら大丈夫だと思います~。」

「ママが決めるの、賛成~!」

「チッ、仕方ねえな。お前らの指示に従ってやるよ。」

「フッ……信じているよ。ボクを選んでくれることをね。」

「フフ………当然、この私も連れて行ってね♪」

「ま、そういうことだ。ちゃっちゃと選んじまいな。」

仲間達はそれぞれ賛成の意見を言った。



「ヨシュア……どうしよう?」

「深く考えることはないよ。いざとなったら、拠点に戻ってメンバーを交替すればいいからね。」

「そっか、それじゃあ……」

ヨシュアに諭されたエステルはヨシュアと相談した後、オーブメント技術に詳しいティータ、数少ない魔術使いであるシェラザード、

実力は未知数ながらもエステルの希望で指名したリスティ、そして自分達の中で最も実力があるカーリアンを指名した。

「ジークを、エステルさんたちに付いて行かせるようにします。拠点になりそうな場所を見つけたら彼をこちらに向かわせてください。エステルさんたちがいる場所まで案内してもらいますから。」

「ピュイ。」

「なるほど、わざわざ戻らなくても済みそうだね。」

クロ―ゼの提案に頷くようにクロ―ゼの肩に止まっていたジークが頷いて、鳴いた。また、ヨシュアもクロ―ゼの提案を聞いて、賛成した。

「頼むわよ、ジーク!」

「ピューイ!」

エステルに言われたジークは笑顔を見せて鳴いた。

「傷を負ったり、魔力が減ってきたら私に言って下さい。いつでも回復します。」

「うん!ありがとう、ティアさん!」

ティアの申し出を聞いたエステルはお礼を言った。

「あの………何か欲しい道具や武具があれば、私に……言って……下さい………ある程度の種類の武具や……回復薬を……持って来ていますので………言って頂ければ……お安くしますので……よろしくお願いします……」

そこにチキが遠慮気味に出て来て、申し出た。

「回復薬に関してはわかるけど、武具はどんな物を持って来ているのかしら?」

シェラザードはチキがどんな武具を持って来たのかが気になって、尋ねた。

「もしよろしければ……今、見て行って……下さい………」

「エステル、どうする?」

チキの申し出を聞いたヨシュアはエステルに尋ねた。

「そうね………あたしとヨシュアはさっき貰った武器があるからいいけど、他の人達の分で何かいいのがあったらいいわね!支払いはミラでいいの?」

「ミラでも………構いませんが………クオーツやセピスで払って頂いても……いいです………」

「セピスはわかるけど、どうしてクオーツでもいいんだい?」

チキの説明を聞いたヨシュアは首を傾げて尋ねた。



「私の店で……将来、商品にしようと……思って……いますので………」

「そうなんだ。じゃあ、早速で悪いけど回復薬や武具を見せてくれない?」

「はい………」

そしてチキはその場で荷物から持って来た商品を並べた。

「へ~………一通りの回復薬は揃っているじゃない。さすがチキね。」

並べられた商品の中から治癒の水や魔力石、闘技石、血廉の滴等を見つけたカーリアンは感心した。

「あら。鞭もあるじゃない。………しかも、魔力が籠っているわね……これ、売ってもらってもいいかしら?」

商品の中から自分の得物である鞭を見つけ、鞭から感じられる魔力を感じたシェラザードはチキに尋ねた。

「『女王様の鞭』……ですね。かしこまりました………」

「女王様の鞭………シェラ君にピッタリな名前の武器だね。」

「何か言った?」

「イエ、何でも。」

シェラザードに睨まれたオリビエは目をそらした。そしてシェラザードはチキに交換値段を聞き、自分の持っていたセピスの全てや予備のクオーツの一部をチキに渡した。

「…………これで足りるかしら?」

「はい。毎度ありがとうございます………『女王様の鞭』は攻撃力も高いですが………鞭に込められた電撃属性の魔力のお陰で………攻撃した相手を………麻痺に陥らせる事も………あります………」

「へ~………かなり便利な武器じゃない。気にいったわ!」

チキの説明を聞いたシェラザードは新しい自分の武器を見て、口元に笑みを浮かべた。

「ねえねえ、もしかしてここにある武器ってみんな、異世界で作られた物なの?」

並べられている商品を見ていたエステルはチキに尋ねた。

「はい。……数ある武器の中でもそれらは全て、何らかの魔術効果が込められている武器です……」

「ほ~……ちょうどいい機会だし、買い換えておくか。アガット、お前さんはどうする?」

チキの説明を聞き、感心したジンは商品の中にあった籠手を見つけて、自分も買う事を決めた後、アガットに尋ねた。

「………そうだな。俺が使っている重剣と、ちょっとタイプが違うが、これぐらいの重さの剣なら問題なく使えるな。見た所かなりの業物のようだし、俺も買っておくか。」

ジンに尋ねられたアガットは両手剣――『火炎剣ルバニオン』を手にとって、素振りをした後、買う事を決めた。そしてジンとアガットもそれぞれチキから武器を購入し、またクロ―ゼも今後の事を考え、レイピア――『シーバキュラ』を購入し、エステルもミントに新しい剣――『アーナトス』やアクセサリーを買った。

「ありがとう、ママ!」

「異世界の武器やアクセサリーが手に入るなんてチャンス、滅多にないだろうし、せっかくなんだから買わないと損だろうしね。別にいいわよ。」

新しい剣やアクセサリーを買ってもらったミントは嬉しそうな笑顔でエステルにお礼を言った。



「あの~……これって、何なのでしょうか?見た所、銃や導力砲みたいなんですけど………」

一方ティータは商品の中にあった魔導銃や魔導砲を興味津々な顔で手にとって調べ、チキに尋ねた。

「それは”魔導”で創られた武器ですが………何か?」

「なぬ!?”魔導”じゃと!?」

チキの説明を聞いていた博士が突然、目の色を変えた。

「この銃と導力砲みたいなやつが欲しいんじゃが、これだけあれば十分か?」

そして博士はクオーツの中でも効果が高いクオーツを15個、チキに渡した。

「は、はい……まいどありがとうございます……」

押しつけられるようにクオーツを渡されたチキは戸惑いながら、頷いた。

「あのあの……わたしはこれが欲しいのですが、これで足りますか?」

そこにティータが残っていた魔導砲を手にとって、クオーツやセピスをチキに渡して尋ねた。

「『魔導砲エリル』ですね……十分です………まいどありがとうございます………」

「フッフッフ……まさかこんな所で”魔導”技術によって創られた物を手に入れるとは。ついてるの~。早く分解して、どういう構造になっているか調べんとな。……いや、まてよ。まず、導力銃とどう違うのかも実験しないとな……う~む、どうするべきか迷うの~。」

「ふわあ~……これが話に聞いていた異世界の技術なんだ~……」

博士とティータは目を輝かせてそれぞれが購入した武器を手にとって呟いていた。

「え……それって、異世界で創られた銃や導力砲なんだ。」

「話には聞いた事がありますけど、まさかこんな形で触れる事になるとは思いませんでしたね。」

エステルの呟きに頷くようにクロ―ゼも驚いた表情で言った。

「(フム……)じゃあボクもこれが欲しいんだけど、いいかな?」

そこにオリビエが最後に残っていた武器である魔導銃を手に取った後、チキに尋ねた。

「はい、ありがとうございます……」

そしてオリビエもミラやクオーツを渡して、新たな武器を購入した。そしてエステル達も同じようにセピスやクオーツを渡して回復薬やアクセサリーを購入した。

「武具はこれで全て………売り切れ………です……クオーツやセピスがこんなに手に入るとは……思いません……でした……ありがとう……ございました。」

荷物に支払ってもらったクオーツやセピスを仕舞ったチキは嬉しそうな表情でエステル達にお礼を言った。

「こっちも薬とか補充できたから助かったわ!また、よろしくね!」

「それじゃあ、行こうか。」



そしてエステル達は遺跡の探索を始めた………… 
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