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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN34




 四か国連合艦隊は全稼働戦力でワープを敢行して標的である人工大怪獣バージニアに追いつき追い越して主星日本の一つ外側にある惑星出雲宙域に陣取った。

『雪風ッ!! 出来た出来たぞッ!!』

「何がや?」

 通信は茂からやった。いきなり何やねん。

『バージニアにはバリアがあるからレーザーやビーム砲は通じない。しかし実体弾は通じる』

「まぁな」

『そこで、鉄鋼魚雷ではなく主砲から発射出来る実体弾……三式融合弾を開発したッ!!』

「……マジか?」

 それは2199ネタのはず……。

『対宇宙用としてロケットにより推進機能もあり、時間機能付きだッ!!』

「……普通の実体弾だよな?」

『当たり前だ。名称はあえてこうした。後悔はしていない』

「ドヤ顔すんな」

『取りあえず生産した砲弾を積んだ輸送船十四隻が来ているだろう?』

「そういや来てたな」

『急いで詰め込んでおけよ』

「三十分で終わらすわ」

『任せたよ』

 そう言って茂との通信を終わらして積み込み作業に移る。はよしないとバージニアが来るしな。

 ちなみに南遣方面艦隊はレッドライン――絶対防衛線から日本よりにいた。

 ……もしかして要らない子か?

「長官、長門から電文です。バージニアは警戒ラインを通過、作戦フェイズ3に移行との事です」

「バージニアにCORE艦隊は?」

「皆無のようです」

 となるとバージニアだけやな……。

「当初のプランAを採用するやろな東郷長官は」

 プランAとは艦隊援護をもって特務艦夕張で標的内部に突入して陸戦隊がワープ機関を破壊する事や。

 そして最悪でも日本を王の棺する……か。

「……やらしてたまるかよ……」

 俺はそう呟いた。そして長門の上甲板に帝の御座船が接続された。その周囲にはエイリスの防護巡洋艦が護衛している。

 長門の修理は工作艦明石によって完全修復されている。

「砲弾の積み込み作業は?」

「まだ掛かります」

「うちらの乗組員も手伝え」

「分かりました」

 しかし……ほんまに俺達の祖先は柴神様の世界の人間やったな。柴神様の話は大体が知っていたから詳細は省くけどな。

『私は本音を言えば神ではなく友人でありたいと思っている。賢明なそなたらであれば私がこの話を打ち明けた意味が分かるであろう。今は人類という種の危機だ。忘れないでほしい……どれ程争おうと、戦おうと。人類は一つの(ふね)に乗ってこの世界を訪れた(うみ)の仲間だった。そなたらは例外なく、一人残らず我が友であった人類の子孫なのだ……』

 柴神様は最後にそう言っていた。

「レーダーに反応ッ!! バージニアですッ!!」

「来たか……積み込み作業は?」

「九八%が完了しています。全完了まで後百八十秒ッ!!」

「急がせろッ!! バージニアとの衝突は?」

「約二百四十秒ですッ!!」

「……ギリギリ間に合うな」

 この時、連合艦隊の布陣は前衛にエイリス軍、左翼にドクツ軍、中央に日本艦隊、ガメリカ軍は後衛やった。防護巡洋艦の一部は長門を護衛するために急遽日本艦隊に編成されている。

 そして遂に砲弾の積み込み作業が完了した。

「戦闘用意やッ!!」

「第三艦隊が攻撃を始めますッ!!」

 惑星出雲を挟んでバージニアの反対側に田中の第三艦隊が鉄鋼魚雷をぶっぱなした。

 実体弾には無力なバリアは機能せずに鉄鋼魚雷はバージニアに命中するが然したる被害はない。

 そして長門では帝による『神風の儀』が始まった。

 しかし、帝の『神風の儀』でもバージニアは止まる事はなかった。

「バージニアは苦しんでいます。あの子は救いを求めている」

 御座船で帝はそう言っていた。

「この命尽きるまで……舞いましょう。語りかけ続けましょう。私の命は今、このためにいただいたのですから」

 帝はそう言った。

「……そして狹霧さんに謝らなければなりません」

 帝は小さく呟いた。

「夕張の山下長官に繋げてくれ」

 俺はそう言った。程なく山下長官が現れた。

『どうした?』

「長官、無茶はしないで下さい。貴女は猪突猛進なんですから」

『それくらい分かっている』

 山下長官は顔を赤らめながらそう言った。

「今度デートでもしませんか?」

『クク、どうせ南雲達と宴会になりそうだな』

「否定はしませんね」

 俺は笑う。

『後は任せろ』

 山下長官はそう言って通信を閉じた。

「バージニアからブレスが来ますッ!!」

 バージニアからの攻撃が始まった。

「被害はッ!?」

「エイリス艦隊の半数がやられましたッ!!」

 ちぃ、防護巡洋艦がいないところをやられたか。

「長門に打電ッ!! 我、前衛に向かうッ!! 南遣方面艦隊機関全速ッ!!」

「機関全速ッ!!」

 巡航だった速度が最大速度に上がる。

「夕張を気付かせるなッ!! 主砲発射用意やッ!!」

 主砲に三式融合弾が装填される。

「バージニアからエネルギー反応ッ!!」

「バリアミサイル発射ァッ!!」

 両舷からバリアミサイルが発射されて南遣方面艦隊前方を多数のバリアが覆い、そこにブレスが直撃する。

「被害ありませんッ!!」

「主砲発射用意完了ッ!!」

「撃ェェェーーーッ!!!」

 その瞬間、南遣方面艦隊全艦から三式融合弾が発射された。







 
 

 
後書き
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