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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第七十九話

 
前書き
月イベントと書いたつもりが詠イベントになってしまった。 

 




「……涼州が落ちたか……」

「はい。韓遂以下涼州の主だった将は曹操軍に降伏しました。しかし馬謄、馬超、馬岱の三人は依然として行方不明です」

 俺は自分の部屋で仲達から報告を受けていた。

「……曹操の次は何処だと思う?」

 俺は仲達に聞いた。

「恐らくこのまま漢中の張魯を攻略するかと思います。蜀を抑える役目もありますので」

「……南陽へは攻めないと?」

「今、南陽を攻めても後ろに控えるのは孫呉を吸収した我等袁術軍です。曹操は最終的な決戦として我等と戦う事を望んでいるのではないですか?」

「……曹操の性格からして有り得るな」

「はい」

「……一応は国境の監視強化くらいしかないな。それと……」

「砲の生産は順調です。また、真桜が砲身を延ばした四斤山砲の生産もしています」

 ……弥助砲と言うべきかな。

 確か大山巌が設計したとか。

「報告は以上です」

「分かった。また何か分かれば報告してくれ」

「分かりました」

 仲達は俺に頭を下げて部屋を出た。

「……さて、俺もそろそろ行くか」

 詠達との約束を果たさないとな。






 俺は仲達と分かれて門のところまで行くと、既に詠と月は着ていた。

「遅いわよッ!!」

「え、詠ちゃん……」

 詠は俺を見つけると怒って、月は詠を諌める。

「悪い悪い。出掛ける時に仲達から報告が来てな。それを聞いていたんだ」

「何の報告よ?」

「元軍師だから気になるか?」

「今でも軍師よッ!!」

「ま、まぁまぁ」

 月は詠の保護者みたいな存在になってるし。

「涼州が曹操に占領されたみたいだ。それと馬謄一族が行方不明だ」

「「…………」」

 涼州出身の二人には流石に堪えたかな。

「なに、曹操もそんなに悪政はしないだろ」

 むしろあの貧乳は悪政を撲滅しているだろうな。

「……そう、それなら構わないけどね」

「……馬謄さん達大丈夫かな……」

 月が心配そうに言う。

「馬謄達とは知り合いなのか?」

「正確に言えば馬謄ね。あの人とは何回か顔を会わせていたから私は知り合いに近いわ。ただ月は私以上に会っていたからお姉さんと妹みたいな存在ね」

 成る程な。

「大丈夫だ月。馬謄達はそう簡単にくたばらんよ」

 俺は月に励ますように言う。

「……そうですね」

 月は笑う。

「さて、今日は一杯買い物するわよッ!! 中身がスカスカになるのを覚悟してなさいッ!!」

 詠がニヤニヤしながら言う。

「おぉ恐い恐い。財布の中身を確認しておかないとな」

 俺達三人は街へ向かった。




「それで最初は何処に行きたいんだ?」

「そうね……月は?」

「私は……服屋かな。新しい服が欲しいから」

 月は少し考えてから言った。

「いいわね。ボクも新しいの欲しかったしね」

「なら最初は服屋に行くか」

 俺達は服屋に向かった。




「……てか俺来たらあかんよな……」

 服屋に着いて中に入ったのはいいが二人は女性だしな、それに服と言っても下着もあるだろうし。

「俺は外で待っとくからな」

 俺は二人にそう言って外へ出ようとする。

「べ、別に構わないです御主人様……」

「へ?」

「ゆ、月?」

 月の言葉に俺と詠が驚く。

「下着はこの間詠ちゃんと買いましたので。今回は普通に服ですので……」

 月はそう言いつつも顔を赤くする。

「……いいのか?」

「ボクに振らないでよッ!!」

 詠に振ったら怒られた。

「……駄目ですか?」

 う、上目遣い……。

「……分かったよ。此処におるよ」

 俺は折れた。

「良かったね詠ちゃん」

「な、何でよ月ッ!!」

 ん? 何か二人が喋っているな。

「どうした?」

「な、何でもないよ御主人様。ね、詠ちゃん」

「う、うんそうよ」

「……ならいいけど……」




「……どうですか御主人様?」

 月はメイド服から白のワンピースを着ていた。

「……うん、マジでいい」

 いいんだけど、何故ワンピースがこの時代にあるんだ?

 ……まぁ犯人はあいつしかいないだろうな、自称天の御遣いだよな。

 あいつが原因の現代の服が多数あるんだよな、まぁたまには役に立ったか。

「ところで詠。詠は此れを着てくれないか?」

 俺は詠にある服を渡す。

「えッ!? な、何で私が此れを着るのよッ!!」

「頼むッ!!」

「詠ちゃん、私もお願い」

「月までッ!?」

 まさかの月が此方側で参戦した。

「~~いいわよ。着てやろうじゃないのッ!!」

 詠はそう言って俺から服を奪い取って更衣室に入った。

 ……更衣室もあるのかよ。

 百パーあいつだな。

「けど、月が此方側に来るとは思わなかったな」

「たまには詠ちゃんも可愛くしてもらいたくて……詠ちゃん、可愛いのにいつも否定しますから」

「成る程な。ならもっとやりまくるか?」

「はい♪」

 月が笑う。

「着たわよッ!!」

 その時、詠が更衣室から出てきた。

「これでいいんでしょッ!!」

 詠は顔を赤くしていた。

「……パーフェクト……」

 俺は思わずそう呟いた。

 何故なら詠が着たのは――巫女服だったからだ。





 
 

 
後書き
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