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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~聖獣との契約~

リィン達が課題の消化を開始した頃、レティカに到着し、領主のグラザ公爵とアリア公爵と出会った後課題内容が書いてある封筒を貰ったプリネ達も課題の消化の為に行動を開始し、課題の一つであるレティカ郊外にあるブレアード迷宮のある場所に置き去りにされた物品の回収の為にブレアード迷宮に潜り、時折襲い掛かってくる魔物達と戦闘をしながら進んでいた。



~ブレアード迷宮~



「!―――新手が来たぞ!」

「あれは……吸魂魂!!―――気を付けてください!相手は霊体属性持ちです!」

敵の接近に気付いたレーヴェは警告し、相手がわかったプリネは仲間達に言った。

「”霊体属性”……って事はわたし達の攻撃はほとんど効かないのか。」

「私とフィーが囮をする!フィー、行くぞ!」

「ん……!」

「―――ウォーゼル、お前は俺と戦術リンクを結んで二人の援護をするぞ。」

「承知……!」

そしてラウラ、フィー、レーヴェ、ガイウスはこの世を彷徨いし哀れなる魂達に果敢に挑み

「ラウラさん達が時間を稼いでいる間に私達は高火力の弱点属性のアーツや魔術で一気に決めましょう……!アークス、駆動…………!」

「霊体属性の弱点は既に知っていると思いますが空か火属性です!……………」

エマはオーブメントを駆動させ、プリネは魔術の詠唱を開始し

「フン、まさかエクソシストの真似事をする羽目になるとはな。アークス、駆動……!」

初めて出会うこの世を彷徨いし哀れなる魂に怯む事無くユーシスもオーブメントを駆動させた。



「ハァァァァ……洸円牙!!」

最前線に向かったラウラは幽霊たちを自分の元へと引き寄せて斬撃を叩き込み

「ラウラ、下がれ!」

「!!」

ガイウスの警告を聞いた後後ろへと跳躍し

「竜巻よ、薙ぎ払え!!」

ラウラが後ろへと跳躍すると同時にガイウスはクラフト――――タービュランスによる闘気の竜巻を発生させた。

「せーの…………!」

そして竜巻が消える瞬間フィーが電光石火の早さで斜め十字(クロス)の斬撃を叩き込んだ後敵達の目の前に現れ

「やあッ!!」

連続で銃撃を放った。



「オォォォォ……!」

3人の総攻撃を受けた敵達だったが霊体属性の為、闘気を込めた事によって万能属性の3人の攻撃はほとんど効かず、それぞれ襲い掛かった。

「っ!」

「クッ!話には聞いていたがここまで攻撃が通じないとは……!」

「物理攻撃が主体のわたし達にとってはまさに天敵だね……!」

ほとんどダメージを受けていない様子の霊体達にガイウス達はそれぞれ苦戦していたが

「――――旋風斬!!」

レーヴェが魔剣で霊体を真っ二つに斬って消滅させ、他の霊達を怯ませた!



「―――行きます!イグナプロジオン!!」

「浄化の光よ、哀れなる魂に救いを!救世の聖輝!!」

「浄化されるがいい!エクスクルセイド!!」

するとその時駆動や詠唱を終えた3人が高火力のアーツや魔術を放ち、弱点属性の魔法攻撃を受けた霊達は次々と消滅した!



「フウ……何とかなりましたね。」

「フン、他愛ない。」

敵の消滅を確認したエマは安堵の表情になり、ユーシスは鼻を鳴らし

「……サラ教官の話では戦技(クラフト)ならある程度の効果はあるとの話だったが……」

「全然効いていないし。後で文句を言わなくちゃ。」

静かな表情で呟いたガイウスの言葉を聞いたフィーはジト目で答え

「そう言えばレオンハルト教官の攻撃には効いていたようでしたが……」

レーヴェが霊を斬った事が気になっていたラウラはレーヴェを見つめた。



「俺の剣は”匠王”ウィルフレドによって鍛え上げられた”魔剣”だからああいった霊も斬れる。」

「ま、”魔剣”ですか……」

「むう。レーヴェやプリネ達だけずるい。わたし達も欲しい。」

レーヴェの持つ剣の正体を知ったエマは表情を引き攣らせ、フィーは頬を膨らませてジト目でレーヴェを見つめ

「ない物をねだるな。見苦しい。」

フィーの様子を見たユーシスは呆れ

「しかし……フィーの意見に賛成する意味ではないが、武器屋で売っていた属性が付与されてある武器を買っておくべきだったかもしれんな。EPや魔力も無限ではないのだから、できれば前線の我らも霊に有効な武器が欲しいな。」

「ああ。街に戻ったら買った方がいいかもしれないな。」

考え込んだラウラの意見にガイウスは静かに頷いた。そして迷宮をある程度進むと多くの魔物達が身体の所々に鎧を身に纏い、天馬(ペガサス)のように白き翼を生やし、背後に天使の輪っかがある馬らしき生物を襲い、生物は孤軍奮闘していた。



「あの馬は一体……」

「ペガサス……でしょうか?」

「それにあの光の輪は一体……」

未知の生物を見たガイウスは目を丸くし、エマとラウラは戸惑い

「鎧を身に纏い、天使族の証拠である光の輪がある天馬(ペガサス)…………まさか文献にあった”聖獣ラウクソー”!?一体どうしてこんな所に……」

「―――”ブレアード迷宮”は広い。どこからか迷い込んできたかもしれんな。」

生物―――”聖獣ラウクソー”を見たプリネは驚き、レーヴェは静かな表情で考え込み

「それよりどうするの?見た所、かなり劣勢みたいだけど。」

「フン、あれ程の名馬を魔物共に喰われてたまるか!」

フィーの疑問を聞いたユーシスは”聖獣ラウクソー”の許へと駆け出し、ユーシスを追うかのようにプリネ達も走り出し、”聖獣ラウクソー”を庇いながら魔物達を殲滅した。



「ブルルル……!」

戦闘を終えて”聖獣ラウクソー”を守りきったプリネ達だったが、”聖獣ラウクソー”は興奮した様子でプリネ達を睨んでいた。

「不味い……!興奮している……!」

「せっかく守ってあげたのに、わたし達の事も敵と認識しているみたいだね……!」

「ど、どうしましょう……!?」

”聖獣ラウクソー”に睨まれたラウラは厳しい表情をし、フィーは警戒し、エマは不安そうな表情をした。



「…………!」

そしてユーシスは”聖獣ラウクソー”の許へ駆け出し

「ユーシスさん!?」

「まさか……!宥める気か!?」

「ユーシス、今の状態で近づくのは危険すぎる!下手をすれば跳ね飛ばされるぞ!?」

ユーシスの行動を見たプリネとレーヴェは驚き、ガイウスは警告した。



「ヒヒーン!!」

自分に向かって来たユーシスを見た”聖獣ラウクソー”は突撃したが何とユーシスは自分に突撃した瞬間を狙って間一髪で”聖獣ラウクソー”の首に掴まると同時に素早い動作で背に跨った!

「落ち着け!貴様の敵はもういない!」

暴れる”聖獣ラウクソー”の胴に両足でしっかりと跨ったユーシスは必死に宥め、やがてユーシスの必死の行為が功を制したのか”聖獣ラウクソー”は大人しくなった。



「ブルルル…………」

「よし……それでいい。」

落ち着いた”聖獣ラウクソー”から降りたユーシスは”聖獣ラウクソー”の身体を撫でて宥めていた。

「興奮した聖獣を宥めるなんて……」

「フッ、馬術部で活動しているだけはあるな。」

その様子を見守っていたプリネは目を丸くし、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「私では今のような事はできんな……」

「ああ……興奮している馬を宥める等並大抵の事ではないからな……」

ラウラとガイウスは感心し

「フフ、ユーシスさんの馬を大切にしている心が伝わったのかもしれませんね。」

「そうかもね。」

エマとフィーは微笑んだ。



「――プリネ、足に怪我をしている。治療してやってくれないか?」

「え?あ……わかりました。――――闇の息吹。」

ユーシスに呼ばれたプリネはユーシスに近づいて聖獣を治療した。

「………………」

「―――行け。今後はもうあのような魔物共に後れをとるな。」

自分をジッと見つめる”聖獣ラウクソー”にユーシスが指示をしたその時

「ヒヒーン!」

”聖獣ラウクソー”は鳴き声を上げた後光の球体となり、ユーシスの身体に同化した!



「なっ…………!?」

自分の身体の中に入った”聖獣ラウクソー”を見たユーシスは驚き

「ええっ!?」

「今の消え方は……」

「リィンやアリサ、それにプリネが契約している使い魔達がそれぞれの主の元に戻る時に見る光景だな……」

プリネは信じられない表情をし、ガイウスとラウラは考え込み

「って事はユーシス、さっきの馬を使い魔にしたの?」

「お、恐らくそうでしょうね……」

フィーの疑問にエマは戸惑いながら答えた。

「―――アルバレア。試しに呼んでみろ。”聖獣ラウクソー”と。」

「―――――”聖獣ラウクソー”!!」

そしてレーヴェに促されたユーシスが叫ぶと”聖獣ラウクソー”がユーシスの傍に召喚された!



「……お前、この俺と共に行くつもりなのか?」

「ブルルル………………」

ユーシスの問いかけに”聖獣ラウクソー”は静かに頷いた。

「フッ、いいだろう。”聖獣”である事を評してお前に”アルバレア”の名を授ける。今日からお前は”アルバレア号”だ。アルバレア家の次男である俺の誇り高き愛馬としてこの俺が直々に躾けてやる事、光栄に思うがいい。」

「ブルルル…………」

静かな笑みを浮かべたユーシスの言葉に応えるかのように”聖獣ラウクソー”――――アルバレア号はユーシスから目を逸らさずユーシスの目をジッと見つめ

「ア、”アルバレア号”ですか……そちらの”聖獣ラウクソー”は”天使”に分類される聖獣なのですが……」

「安直すぎる名だな。」

「もうちょっとマシな名前は思いつかなかったの?」

聖獣と契約した事に満足しているユーシスの様子を見守っていたプリネは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、レーヴェとフィーは呆れた表情で指摘し

「まあ、馬の身でありながら”四大名門”の一つである”アルバレア”の名を貰う事は確かに光栄だと思うが……」

「アハハ………」

困った表情をしているラウラの言葉を聞いたエマは苦笑し

「よかったな、ユーシス。ノルドの民達が育てて来た数多くの軍馬を見て来たオレも今まで見た事のない名馬だ。」

ガイウスは静かな笑みを浮かべてユーシスを見つめ

「ああ。高貴さを示すかのような穢れのないこの白い毛並に白き翼……そして無駄のない筋肉に加えてこの純白に似合う蒼き鎧。これ程の素晴らしい軍馬は2度とお目にかかるまい。こいつとの出会いの切っ掛けを作って頂いたリウイ陛下には感謝しないとな。」

ユーシスは満足した様子でアルバレア号を見つめた。その後探索を続けていると回収を依頼されていた物品らしき物を見つけた。 
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