| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

血の髑髏

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七章

「そして博物館の所蔵品、展示品も含めてです」
「全てですか」
「はい、まだ運ばれておらず」
「全て確保出来ましたか」
「ご安心下さい」
「そうですか、侵入されましたが」
「被害はケース等だけです」
 割られたり壊されたものだけだというのだ。
「他は何もありません」
「怪我人もですね」
「一人もいません」
「それは何よりです」
「それで窃盗団の残りは」
「ここに博士だけ来てもらいました」 
 このことからだ、館長は話した。
「そういうことです」
「そうですか、倉庫の中で」
「髑髏が転がっています」
 このこともだ、館長は話した。
「そういうことです」
「わかりました」
「では」
「はい、これからですね」
「倉庫の中に入りましょう」
 髑髏の存在を知っている彼等だけだというのだ。
「そうしましょう」
「それでは」
「警察も今はこの中にはです」
「入ってもらっていませんね」
「まずは髑髏のことを確かめてからです」
「そのうえで、ですね」
「入ってもらいましょう」
 まずは彼等が入ってというのだ、そして。
 二人で倉庫の中に入ってだ、まずは中を調べた。すると。
 窃盗団の者達は誰もがだ、防毒マスク明らかに催眠ガスを避ける為のそれを被ったままだった。そのマスクの奥に恐ろしい形相を凍りつかせて動かない。その彼等を見てだった。
 博士は館長にだ、喉をゴクリと鳴らしてから言った。
「やはり」
「そうでしょうね」
「髑髏にですね」
「見られたのでしょうね」
「そうでしょうね」
「その髑髏はです」
 見ればだ、今もだった。
 彼等の間に転がっている、その髑髏を見てだった。
 博士はその顔を深刻なものにさせてだ、館長に言った。
「絶対にですね」
「はい、目は」
「見るべきではないですね」
「そのうえで元の箱に収めましょう」
「そうしましょう、あの箱ですね」 
 空いている箱を見てだ、博士は言った。
「髑髏が入っていたのは」
「そうですね」
「ではあの箱にですね」
「今から入れて」
「まずは難を収めましょう」
 最大の難であった窃盗団をも全滅させたそれをというのだ。
「是非」
「これから」
 二人で話してだ、そしてだった。 
 二人で髑髏の視界に入らない様にしてだ、そのうえで。
 箱に収め丁寧に倉庫の隅に置いてからだった。
 館長は深刻な顔でだ、窃盗団の者達を見下ろしながら言った。
「全く動かない」
「これはですね」
「死んでいますね」
「間違いなく」
「髑髏はどうやらです」
 その箱に入っているそれを見ての言葉だ。
「人の命を奪う」
「その目に見た相手の」
「眼球はないですが」
「そうしたものですね」
「どうしてどういった目的で造られたかはわかりませんが」
 それでもとだ、博士は館長に自分の推察を話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧