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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~聖魔の魔人姫との出会い~

~帝都ミルス・郊外~



「凄いです……!これが空を飛ぶ感覚なんですね……!まるで鳥になった気分です……!」

「フフッ、水竜(サーペントドラゴン)のあたし達は飛行できないから、こうして空を飛べると嬉しいよね。」

ペガサスを駆って空を飛んで嬉しそうな表情をしているセレーネの言葉を聞いたツーヤは微笑み

「ペガサスに乗って空を駆けるなんて、夢を見ているみたいよ……!」

「地上と違って、障害物を気にする必要もないから、凄い解放感だな……!」

「眺めはいいけど……これはかなり怖いよ……リィン、いきなりスピードを速めたりしないでね?」

同じように空を飛ぶことに嬉しく思っているアリサとマキアスと違い、リィンの後ろに乗っているエリオットは地上を見下ろして不安そうな表情でリィンを見つめ

「ハハ、大丈夫だって。…………?あれは……………」

エリオットの言葉に苦笑しながら答えたリィンは何かを見つけ

「―――悪い、エリオット。今からスピードを上げるからしっかりと掴まっててくれ。それっ!」

何か――――1人の女性が魔物達に囲まれて迎撃している事に気付いた後グリフィンのスピードを速めて急降下し

「ええっ!?わわっ!?」

エリオットは驚いた後リィンの背中にしっかりと捕まり

「お兄様?」

「一体どうしたのかしら?」

「とにかく追いましょう!」

「あ、ああ……!」

リィンの様子に気付いた仲間達もそれぞれリィンの後を追って行った。



「ハア……ハア…………」

リィンが見つけた女性――――桃色のリボンを後頭部につけてブロンドの髪を腰までなびかせ、スリットが入った白と桃色を基調としたドレスを身に纏い、清楚な雰囲気を纏わせ、可憐な容姿と細身だが出ている所は出ているバランスのいいスタイルを持つ亜人族の女性は息を切らせながら長剣を構え

「グルルッ!」

女性の様子を見て好機と察した狼型の魔物達が襲ってきたが

「ヤア―――――ッ!!」

「ギャン!?」

女性は舞うような動きで剣を振るって襲い掛かって来た魔物達を滅した!



「グルルル……!」

女性が放った剣技―――剣舞によって仲間達が葬られた事によって魔物達は警戒した様子で女性を睨み

「あ……ダメ……もう力が入らない…………」

女性は疲弊した様子で地面に膝をついた。

「グルルル…………」

女性の様子を見た魔物達は女性を包囲しながらゆっくりと距離を縮め

(こんな所で死ぬの……?例え魔物配合で生み出された娘でも(わたくし)はメルキア王家とアンナローツェ王家の血を引く者……!こんな所で終わる訳には……!お父様、お母様……!)

魔物達に包囲された女性は唇を噛みしめて魔物達を睨みながら、自分の両親の顔を思い浮かべた。するとその時!



「二の型―――大雪斬!!」

「ギャンッ!?」

リィンが魔物達の背後から強襲して魔物の一体を葬った!

「え……」

リィンの登場に女性が呆けたその時リィンは女性に近づいて、女性を庇う形で魔物達を警戒していた。

「大丈夫ですか!?」

「は、はい。おかげさまで……貴方は一体……」

リィンが自分を庇った事に女性が戸惑っていると

「えいっ!セレーネ、今だよ!」

「はい!ディープインパクト!!」

「燃えなさいっ!―――ファイアッ!!」

「喰らえ―――ブレイクショット!!」

「十六夜―――”破”!!」

エリオット達も次々と駆け付けて魔物達を怯ませたり退治していた。

「みんな、まずはそちらの女性を守る形で円陣を組んで撃退するぞ!」

「おおっ!!」

そしてリィンの号令で仲間達は女性を守りながら周囲の魔物達を殲滅した。



「フウ……何とか終わったね。」

戦闘を終えたエリオットは安堵の表情をし

「突然急降下するから、驚いたわよ……」

「独断による単独行動は感心しないぞ?」

「ハハ……ごめん。状況からしてすぐに向かわないと不味いと判断したんだ。――――それで怪我はありませんか?」

アリサとマキアスの言葉に苦笑しながら答えたリィンは女性を見つめ

「はい、皆様のお蔭で生き延びる事ができ……まし…………た…………」

リィンの言葉に女性は微笑みながら答えたが何と地面に倒れた!

「ええっ!?」

「あ、あの!どこか具合が悪いのですか!?」

地面に倒れた女性を見たツーヤは驚き、セレーネは心配そうな表情で話しかけた。するとその時



グルルルル…………



何かの唸り声のような音が聞こえて来た。

「へ…………」

「な、何だ今の音は……?」

音を聞いたリィンは呆け、マキアスは戸惑い

「空腹の時に鳴る音だったような気がしますが……」

「え、えっと……もうすぐ夕食ですから、どなたかのお腹の音が鳴ったのでは?」

ツーヤの言葉に続くようにセレーネは苦笑しながら推測し

「わ、私じゃないわよ!?」

アリサは顔を赤らめて慌てた様子で否定した。すると

「ううっ………すみません………今の音はお恥ずかしながら(わたくし)ですわ………………昨日から何も食べていないんです…………」

女性が恥ずかしそうな表情で呟いた。

「え、えっともしかして倒れた理由は……」

「どうやら空腹で倒れたみたいですね。」

女性の言葉を聞いたエリオットとツーヤは苦笑しながら女性を見つめ

「ハハ……―――もう夕方だし城に戻って、エリゼに頼んでこちらの女性の分の食事も出してもらおう。」

その後城に戻ったリィン達はエリゼに事情を説明して、女性の分の夕食も出してもらった。



~マルーダ城~



「フウ……放浪の身になってまさか再び王宮料理を口にする事ができるなんて、思いませんでした。―――行き倒れの私の為にこのような豪勢な食事をわざわざ用意して頂き、本当にありがとうございます。」

「いえ、お構いなく。」

食事を終えた女性にお礼を言われたエリゼは会釈し

「へ……」

「”再び王宮料理を口にできる”だと?」

「まさか……王族の方なのですか?」

女性の言葉が気になったリィンは呆け、ユーシスは眉を顰め、ある事を察したラウラは目を丸くして尋ねた。



「そう言えばまだ名前も名乗っていませんでしたね。――――私の名はメサイア・シリオス。メルキア皇帝ヴァイスハイト・フィズ・メルキアーナの妾の一人――――元アンナローツェ王国女王マルギレッタ・シリオスの娘です。」

「”メルキア皇帝ヴァイスハイト”だと……?」

「メルキアの方が一体何故メンフィルに……」

「ええっ!?ヴァ、ヴァイスさんの娘さんですか……!?」

「まさかエルファティシアさんやギュランドロスさん達のように過去から未来に……?」

女性―――メサイアが名乗り出るとレーヴェは眉を顰め、エリゼは戸惑い、ツーヤとプリネは信じられない表情でメサイアを見つめた。



「こ、皇帝の妾の娘って……」

「妾の娘って事はオリヴァルト皇子と同じ立場なのかな?」

「ど、どうでしょう……?自己紹介では母親の方は”女王”と仰っていましたし……」

エリオットは表情を引き攣らせ、フィーの疑問を聞いたエマは驚きの表情でメサイアを見つめ

「皇帝と他国の女王の娘なら、文句なしの”尊き血”よね……?なのに何で女王様が妾なのかしら?」

「……まあ、色々と事情はあるんだろうな。」

戸惑いの表情をしているアリサの言葉を聞いたマキアスは複雑そうな表情でメサイアを見つめた。



「?お姉様とプリネ様はメサイア皇女のご両親とお知り合いなのですか?」

ツーヤ達の反応を不思議に思ったセレーネは尋ね

「うん。昼頃に話した”影の国”に巻き込まれた人の一人なんだけど……」

「その方は遥か昔の方で、現代に転生したとても稀有な方なのです。」

「”ヴァイスハイト”…………―――まさか、”六銃士”の一人の”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダーと同一人物なのかしら?」

ツーヤとプリネの話を聞いてある事に気付いたサラ教官は目を丸くして尋ねた。



「ええ、そうですよ。」

「なるほどね……元”皇帝”だからあんな短期間であっさりと市民達に慕われるようになったのね……」

「”六銃士”……?一体それは何なんですか?」

プリネの答えを聞いて納得しているサラ教官を見たリィンは不思議そうな表情で尋ねた。

「―――”六銃士”。遊撃士協会が全員最初からAランクでいいと言って勧誘する程の凄腕達よ。」

「ええっ!?Aランクと言えば……!」

「遊撃士の中では最高ランクじゃないですか……!」

「その”六銃士”とやらは何なのだ?遊撃士協会がそこまでして勧誘するとは相当の使い手なのか?」

サラ教官の話を聞いたエリオットとマキアスは驚き、ある事が気になったラウラは尋ねた。



そしてサラ教官は”六銃士”の話―――突如現れた6人の凄腕の使い手達で常に市民の味方であり、時には猟兵団の殲滅も行い、更には民達を苦しめている他国の貴族の不正も暴いて失脚させた事もあり、市民達にとっては”英雄”である存在で、現在はクロスベル警察と警備隊の上層部を務めている事を説明した。 
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