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ミラエ=アル=リフ

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第五章

「ここは」
「そうするか」
「はい、そうするべきですね」
「それじゃあな」
 二人で話してだ、そしてだった。
 二人は実際に警察にそのヴェールの女性のことを警察に話した、それと軍にもだ。警官は二人の話を聞いてこう言った。
「そういえばだな」
「はい、ヴェールだとですね」
「顔がわからないからな」
 こうジャーファルに答えるのだった。
「わかりにくいな」
「顔も身体も隠れるので」
「顔がわからないし服の中にも何かと隠しやすい」
「考え様によっては危ないですね」
「テロリストが身元を隠すにもってこいだ」
 イスラムの女性の服自体がというのだ。
「しかも我が国でヴェールの女は減ったからな」
「それでは」
「よし、その女を調べよう」
 警官はジャーファルに約束した。
「それじゃあな」
「お願いします」
 軍でも同じ反応だった、そして。
 警察も軍もその女について調べることになった、それから一ヶ月程してだった。
 それぞれの店で商売をしていたジャーファルとバルダートのところに通報したその警官が来た。暫くこの通りに張り込んでいて二人の店の場所も頭に入れたのだ。
 それで二人にだ、こう言って来た。
「あの女のことがわかったぞ」
「あっ、そうなんですか」
「わかったんですか」
「ああ、あの女はな」
「テロリストですか」
「まさか」
「いや、幸いな」 
 二人の真剣な顔での問いにだ、警官はこう返した。
「そういうのじゃなかった」
「スパイでもなく」
「物騒な人ではなかったですか」
「ああ、ただな」
 ここで警官は顔を顰めさせて二人に言った。
「ちょっと大きな声で言えない人だ」
「っていいますと」
「その人は」
「ある人の五人目の奥さんだったんだよ」
 声を小さくさせての言葉だった。
「これがな」
「五人目、ですか」
「そうした人ですか」
「ああ、奥さんは四人まで持てるよな」
 イスラム教の教えではだ、ただし複数の妻を持った場合どの妻も公平に愛さねばならないとされている。ムハンマドは実はフェミニストだったのだ。
「それでもな」
「五人目、ですか」
「そうした人ですか」
「けれど五人目は持てないからな」
 コーランの教えではそう決められている。
「だからな」
「愛人ですか」
「そういうことですか」
「内密のな」
 その人物の四人の妻達には、というのだ。
「そうした人なんだよ」
「じゃあヴェールは」
 ジャーファルは警官に問い返した。
「顔を隠す」
「ああ、奥さん達にも周りにもばれないな」
「内密にする為にですか」
「着せてるんだよ」
「そうだったんですか」
「流石に五人目はまずいからな」
 四人まではよくてもだ。
「だからな」
「離婚すればいいんじゃ」
 バルダートはこう言った。 
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